真剣で騎士(笑)に恋しなさい!   作:ガスキン

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この先原作キャラの関係性が大きく変わります。そのためアンチ・ヘイトタグを追加しましたが、原作の関係性に尊さを感じている方々はこの先読まれない方がいいと思います。

また、D×D小説を読んでいただければわかると思いますが、オリ主の強さは仕様となっておりますので、この先原作キャラとの闘いの結果にご不満を抱かれるかもしれませんが、主人公最強が私の小説のモットーです。読んで頂いている方々にはご理解頂けているとは思いますが、この場で今一度説明させて頂きます。



真剣で騎士(笑)に恋しなさい! その三

 マシュマロをこちらに差し出し、緊張した面持ちの女の子。そんな彼女に対し百代ちゃんはというと。

 

「……お前は何を言っているんだ?」

 

 百代ちゃんや、いくら武術を学んでいるとは言っても今“あの人”を肖らなくても……!

 

「ッ……!」

 

 ジト目の百代ちゃんにビクつく女の子。ダメだよ百代ちゃん。怯えさせちゃってるじゃないですか。

 

「キミのオヤツを分けてくれるのかな?」

 

 怖がらせない様に努めて優しく声をかけてみると、女の子は小さく頷いた。

 

「いらん。もらう理由がない。というか鍛錬の邪魔だからさっさとどっか行け」

 

「落ち着くんだ百代ちゃん。わざわざずっと眺めてたという事は俺達に何か用事があるんだと思うよ?」

 

「私にはありませんけどね」

 

 イライラする百代ちゃんを宥め、俺は女の子に隠れていた理由を聞いてみた。

 

「え、えっとね。お兄さん達が追いかけっこしているの見ててね。楽しそうだったからボクも混ぜて欲しいなって……」

 

「そのマシュマロは?」

 

「……これあげれば混ぜてくれると思ったから」

 

 なるほど、つまりこの子は遊び相手が欲しいんだな。……にしても、“物をあげれば仲間に入れてもらえるかもしれない”だなんて……こんな小さな子に誰がこんな悲しい考え方を教えやがったんだ……!

 

「馬鹿馬鹿しい。大体なんで私達なんだ。遊んでくれそうな奴らなんか他にいくらでもいるだろ」

 

「……ボク、お願いしたよ。でも「ていいんおーばー」だからダメって……」

 

 そっか、断られちゃったんだな。……わかるよその気持ち。俺も似たような事された事あるし。

 

「そもそも私達は遊びじゃなく鍛錬をしてるんだ」

 

「たんれん?」

 

「……チッ。もういいでしょう神崎さん。こんなヤツ放っておいて始めましょう……!」

 

 吐き捨てる百代ちゃんに女の子の目に見る見るうちに涙が浮かんでいく。……そうか、織江さんの危惧しているのはこういう事か。

 

(百代ちゃんにとって武術というのは何よりも優先するものなんだろう。けど、大切にしている分、それを妨げようとするものに対しては攻撃的になってしまう。だが、それでは織江さんのいう「心」を育む事は出来ない。なら、俺が彼女に……いや、彼女達にしてあげられる事は……)

 

「神崎さん?」

 

「……百代ちゃん、俺と勝負しないか?」

 

 俺の提案に、百代ちゃんは期待と戸惑いの半々といった目を向けてきた。

 

「……へえ、どういう勝負ですか?」

 

「やる事は変わらない。キミが攻撃して俺が避ける。そうだな……三十分。その間に一撃入れられればキミの勝ち。避けきれば俺の勝ち。もし俺が勝ったら、俺と一緒にこの子と遊んでもらうよ」

 

 そう告げると二人の表情が一変する。百代ちゃんは明らかに不満そうな。そして女の子は驚きに目を丸くしていた。……べ、別に俺一人でこの子と遊んでたらまた変質者に間違われるのが嫌だとかそういうわけじゃな無いですからね!

 

「なら、私が勝ったら?」

 

「……俺の本気を見せるよ」

 

「ッ……!?」

 

 この三日間、百代ちゃんはずっと俺に本気を見せろと訴えてきた。もちろん、手を抜いているつもりはなかったが、それでも彼女には不十分だったようだ。

 

「……嘘じゃないですよね」

 

「約束する」

 

「技とか見せてもらったりも?」

 

「ああ」

 

「後からやっぱり無しとか言うつもりは」

 

「無いよ」

 

「……よっしゃーっ! いい! やる! その勝負受ける! 絶対勝ってやる! ……おい、お前!」

 

「ふえっ!? な、何?」

 

「名前は?」

 

「え? あ、こ、小雪だよ?」

 

「よし小雪! お前も今の約束聞いてただろ?」

 

「う、うん」

 

「ふふふ、証人もバッチリ。これで逃げられませんからね神崎さん!」

 

 俺、よっぽど信用ないんですかねぇ(泣)。

 

「そういうわけだから、小雪ちゃん。ちょっとだけ待っててもらっていいかな?」

 

「わかった。あ、あの……頑張ってね?」

 

 両手をグッと握って応援してくれる小雪ちゃん。……これは、負けるわけにはいきませんねえ!!!

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

 そして三十分後、そこには地面にへたり込む百代ちゃんとそれを見下ろす俺がいた。

 

 今日の百代ちゃんは明らかに昨日までと比べて動きが鋭くなっていた。これは百代ちゃんが本気を出していなかったというわけじゃなく、俺との約束を絶対に叶えさせるという思いが動きに現れたんだと思う。

 

 ……まあ、それは彼女だけではなく俺の方もなんだが。

 

「はあっ……はあっ……。おい神崎さん! やっぱり今までずっと遊んでたな! 何だよあの変態的な動きは!?」

 

 へ、変態……。いや、確かに絶対勝たないとと思って頑張ったけど、そこまで言われるような事はしてないよ! ←空中二段ジャンプ。速く動きすぎて分身したかのようになる。まるでワープしたかのような移動。

 

 ―――どう見ても変態です。本当にありがとうございました。

 

「ッ!?」

 

 な、何だ今の? どこからか変な声が……。

 

「お兄さん、すごーい!」

 

 小雪ちゃんがキラキラした目で俺を見ている。結果的に一人除け者にしてしまったみたいで申し訳なかったが、どうやら楽しんでもらえたみたいだ。

 

(……やっぱり、この人は凄い。川神院じゃ私の動きに追い付けるヤツはほとんどいない。ジジイはいつも小言ばかりでまともに相手してくれないし、最近ルー師範は一子に付きっ切り。釈迦堂さんだって私が弟子のはずなのに一子を可愛がってる。それなのにやれ鍛錬をサボるなとか、心を鍛えろとか言いたい事だけ言ってきてばかり。けどこの人は……神崎さんは違う。余計な事は言わずに私に付き合ってくれるし、手加減されてるけど、侮られてるわけじゃない。それに……)

 

「いや、凄いのは百代ちゃんだよ」

 

「え?」

 

 俺は百代ちゃんの傍にしゃがみこんだ。

 

「キミだって、昨日より動きが全然違っていたから驚いたよ。このまま毎日一生懸命鍛え続けたら、俺ぐらいの年齢になったらとんでもない武術家になってしまうかもな」

 

 だからこそ、織江さんの言う通り、才能だけじゃなく、努力を重ねる大切さとその力を正しく使えるよう「心」を鍛えないといけないんだろうな。

 

「あ……」

 

 そんな事を考えている内に、俺はまた百代ちゃんの頭を無意識に撫でてしまっていた。

 

(それに……この人はちゃんと褒めてくれる。今日までだって、ちょっとした動きとか拳の打ち方とか、細かいところを見つけては凄いって言ってくれる。“出来て当然”とか“まだまだ未熟”とか言わずに、“今の”私を見てくれている。それが……私は嬉しいんだ)

 

「百代ちゃん?」

 

「……もし」

 

「ん?」

 

「もし、私が鍛錬をサボらずに鍛えて、ジジイも余裕で倒せるくらい強くなれたら……褒めてくれますか?」

 

 おじいさんって、確か川神院の総代さんなんだよな。おお、つまり百代ちゃんは新たな総代さんを目指すつもりなんだな! 素晴らしい目標じゃないか!

 

「ああ、もちろん」

 

 それは百代ちゃんが夢を叶えたって事だもんね。そりゃもう百パーセント、全力で褒め称えさせて頂きますとも!

 

「ッ~~~~~~! あー、もう、神崎さんがそこまで言うんならしょうがないなぁ! 本当は嫌だけど、神崎さんがどうしても褒めたいって言うんなら、百代ちゃん頑張るしかないかな~!」

 

 ひたすらしょうがないと繰り返す百代ちゃん。なのにその顔はとても嬉しそうだった。

 

 うーん、女の子の気持ちはわかりませんなぁ(なげやり)。

 

「ま、頑張るのは明日からとして……待たせたな小雪。約束通り遊んでやろう」

 

起き上がった百代ちゃんは小雪ちゃんの前まで歩いていくと右手を差し出した。

 

「……本当にいいの?」

 

「私は嘘が嫌いだ。約束は守る。……だが覚悟しろよ。私と遊ぶんなら、私が満足するまで家に帰さないからな?」

 

「―――うん!」

 

 返事と共に百代ちゃんの手を握る小雪ちゃん。そして二人は元気よく遊具の方へ駆け出して行った。

 

「ほら、神崎さんも早く来い!」

 

「はは、今行くよ」

 

 よ~し、お兄さん張り切っちゃうぞ~!

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

 はしゃぐ二人に付き合っている内に辺りはすっかり夕暮れとなっていた。二人ともすっかり仲良しになり「小雪」「百代ちゃん」とお互いに呼び合う程になっていた。

 

「二人とも、そろそろ帰ろう。親御さんが心配してしまうよ」

 

「ジジイは心配というより門限について言ってきそうですけどね」

 

 やれやれと首を振る百代ちゃん。

 

「……あの人は心配なんかしないよ」

 

「小雪ちゃん?」

 

「ッ……。な、何でもないよお兄さん」

 

 ごまかすように言う小雪ちゃんだが、俺に耳にはしっかり聞こえていた。あの人? 両親に対する呼び方にしては他人行儀過ぎるが……。

 

「ね、ねえ、もうちょっと遊ぼうよ百代ちゃん」

 

「あー、私もそうしたいけど、さすがにそろそろ帰らないとな」

 

「で、でも……」

 

「別に今からじゃなくて明日またたっぷり遊べばいいだろ」

 

 百代ちゃんのその一言に、小雪ちゃんは衝撃を受けたかのように固まってしまった。

 

「? 私、何か変な事言ったか?」

 

「……また、またボクと遊んでくれるの?」

 

「うむ。百代ちゃんはお前が気に入った。特別に友達にしてやろう」

 

 そろそろ本気でヤバいな……と言い残し、百代ちゃんが公園を出ていく。かと思ったら小雪ちゃんの方を振り返り。

 

「またな、小雪!」

 

 最後に、とても素敵な笑顔で挨拶したのだった。

 

「―――うん! また、またね、百代ちゃん!」

 

 そして、小雪ちゃんもまた、眩いばかりの笑顔でそれに応えたのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

「……と、いう感じで今日は終わりましたね」

 

 織江さんに今日の出来事を報告する。すでに日課となっているこの報告だが、織江さんの様子がいつもと違う。

 

「亮真さん!」

 

「は、はい!」

 

織江さんは肩を震わせたかと思うといきなり俺の名前を叫んだ。反射的に返事をする俺の前で織江さんは頬を蒸気させながら俺の手を握った。

 

「素晴らしい……! 素晴らしいわ亮真さん! やっぱりあなたにお願いして正解だったわ!」

 

「ええっと、それはどういう?」

 

「百代さんの事よ! しかも新しいお友達まで出来たなんて! どこまで私を喜ばしてくれるのかしら!」

 

 織江さん、大人しい方かと思ってたけど、けっこうはっちゃけるタイプなんだなぁ。

 

「……決めたわ。ねえ、亮真さん。明日、小雪さんをこのお店にまで招待してくれないかしら。もちろん百代さんも一緒にね」

 

「は、はあ。二人がいいのなら」

 

「お願いね(……ちょっと気になる事もありますからね)」

 

「はい?」

 

「おほほ。なんでもないわ」

 

 小雪ちゃんをここにか……。俺一人なら事案かもしれんが、織江さんと知り合いの百代ちゃんがいる事だし大丈夫かな。

 

 というわけで、百代ちゃんと小雪ちゃんを招待する事になったわけだが……まさか、これが織江さんという女性の印象を大きく変える事件に発展するとはこの時の俺は知る由もなかったのだった。




今のところ、オリ主=憧れの近所のお兄さんという立ち位置を目指してます。

本当は店への招待と小雪のアレ、織江さんのプッツンと無双まで書きたかったのですが、次回に回します。

え? オリ主じゃなくて織江さん無双ってどういう事かって? やだなー。オカンの目に留まるような人間が“あんなもの”見せられて他人に任せっぱなしになるわけないじゃないですかやだー。
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