ポケットモンスター不思議のSPECIAL   作:Nフォース

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閑話なので短めです


閑話1

「……と言う訳でチコリータの保護をお願いしたいんじゃ」

「わかりました博士」

 

 それをクリスに頼むウツギ博士とオーキド博士の顔は、クリスが今まで見たことがないほど悲壮な物だった。当然だ。まだレベルの低く、自分の手塩にかけて育ててきたポケモンが研究所を飛び出していってしまったのだ。心配にならない筈がない。

 

「チコリータは必ず私が保護します」

「ウム、頼むぞ。クリス君」

 

 博士とのやり取りの中、すでにクリスは頭の中で研究所からこのキキョウシティまでの地図を描いていた。

 話によればどうやらチコリータはクリスを追って研究所を飛び出していったらしい。ならばチコリータが今いる場所はクリスがいるキキョウシティと博士のいる研究所のあるヨシノシティの間だろう。早速向かって保護しなければ。

 

「そう言う訳ですからレイ君。私少し出かけてきますね」

「え? 僕も一緒に行きますよ」

「え?」

 

 まさに心外だ、とそういう顔をして受け答えるレイ。しかしクリスからしてみればそこに何の疑問も感じずについていくと言うのが驚きだった。

 

「だから、僕も一緒に行きますよ。人手は多い方が良いでしょう?」

「いや……でも」

 

 今、レイのキリンリキはどこかに行ってしまっている以上レイには自分の手持ちがいない。だと言うのについてくる、と言われても……

 そのことをレイ本人に伝えるとやはり

 

「大丈夫。いざとなったら自分でなんとかできるから」

 

 とよくわからない自信でもってそう答えるのみだ。あのリボンの事と言い正直よくわからない。

 当たり前だが大丈夫と言われただけでクリスは彼を連れて行くことなんてできない。なのでどうにか説得してキキョウシティのポケモンセンターで待っていて貰うことにした。

 

「本当に大丈夫なんだけどなあ……」

 

 髪をかきながら何か言っていたがそこは徹底的に無視した。

 

 

 そんな経緯があって今クリスは31番道路に再びきている。

 チコリータ捜索の為に手持ち六体も総動員だ。野生でチコリータが生息することは有り得ない。そうオーキド博士は言っていたがその言葉を信じるならばもしこのあたりでチコリータを見つければそれは野生の、ではなくウツギ博士のチコリータで間違いない。

 

 しかし……

 

「見つからない……」

 

 31番道路は草原。そしてチコリータは『はっぱ』ポケモンだ。この草原の中に隠れていられたらハッキリ言って見つけようがない。草むらにカモフラージュされてしまうからだ。

 六体の手持ちを総動員して見つけにかかっているが。未だに見つかる気配すらない。じわりじわりと嫌な予感が広がり始めていた。あのチコリータが研究所を飛び出した理由は既に聞いている。自分を追いかけて研究所を飛び出したと言う事を。つまり責任の一端はクリスに有るのだ。

 

「ネイぴょん。もう一回お願いできる?」

 

 ネイぴょんのテレパシーを利用しての探知もさっきから試している。子供のころから外敵を察知するのに役立っていた方法だが今回に限ってまるでアタリを引く事ができない。

 

「ウィンぴょん。チコリータの気配はする?」

 

 ウィンぴょんは首を力なくよこに振る。クリスのメンバーの中で随一の危機察知力と実力を持つ彼でも気配を察知できないらしい。

 

 そんなこんなでながーい時間が経過する。

 

「はあああぁぁぁぁ……」

 

 クリスは捕獲の専門家だ。ポケモンをおびき寄せる方法も探る方法も熟知している。

 しかし一向にチコリータが見つかる気配が感じられない。

 

「どうしよう……チコリータが見つからなかったら」

 

 彼女はただの一般トレーナーとして図鑑を渡されているわけではない。捕獲の専門家としての仕事で彼女は図鑑を渡されている。であるからには何としてでも博士達の要望に応えなければならない。それがプロと言うものだ。

 だからこそチコリータを探すのにだって全力だ。草むらをかき分け木への『ずつき』に川のほとり、いろいろな場所を調べに調べた。

 それなのに……

 

「チコリーターどこにいるのー?」

 

 返事は無い。当たり前だ。こんなことで出てくるならばとっくの昔にチコリータは見つかっている。

 へなへなと座り込む。疲れた。肉体的にもだが、精神的な物の方が大きい。そもそも今クリスが見つけようとしているチコリータは自分を探している筈なのだ。ならばクリスの声を聞けばすぐに出てくる筈である。しかしチコリータはこれだけ探しても見つからない。

 

「大丈夫かな……」

 

 野生のポケモンと戦って倒されてしまったのではないか、もしくは何も知らない第三者の手に渡ってしまったのか。心配は募るばかりだ。

 とりあえず博士から連絡があるかもしれない。そう考えフィールドワークに出ているときには電源を切っているポケギアの電源をつけてみた。すると、

 

「あ、着信だわ」

 

 電源を入れた瞬間になりだして、すこしびっくりしたがオーキド博士から何か情報が入ったのかと思い出る。

 

「もしもし」

「クリスさん」

「あ、レイ君。何かあったの?」

 

 一応ポケギアの番号はレイに教えてある。レイ自身はポケギアを持っていないがポケモンセンターには電話が有るのでそれをつかっているのだろう。

 

「クリスさん、チコリータを探してるんだよね」

「ええそうよ……ひょっとしてオーキド博士から連絡があったの?」

「いや、そうじゃないんだけど……」

「?」

 

 何だか妙に歯切れが悪い。一体どうしたのかと思いレイの次の言葉を待つ。すると。

 

「チコリータ、今僕の足元にいるんだけど」

 

 ……

 

「はぁ!?」

「ついでに言うと三十分ぐらい前から」

「ええ!?」




皆もケータイの電源はちゃんとつけようね。緊急の連絡が来そうなときは! お兄さんとの約束だぞ!

クリス「解せぬ」
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