……うんめいのとうのニョロトノが鬼畜すぎる(泣) ほろびのうたはやめろ。やめてくれ
(レイ!)
見知らぬ男がいる今声を出すわけにはいかない。それがもどかしい。彼女の前でレイとクリスを乗せた潜水艇のドアが閉まってしまうこの瞬間は。しかし今、乗り込めばレイの策を台無しにしてしまうのも事実。忸怩たる思いとはまさにこういう心持ちの事を言うのだろう。悔しがるキリンリキの前で、ゆっくりと潜水艇のドアが閉じた……
潜水艇の持ち主で、レアコイルのトラップを仕掛けた男……クチバジムのリーダーマチスはすこぶる機嫌が悪かった。気づけば突破されているレアコイルのセキュリティ(本人はそう言い張っている)に加え、超人的な力で船体を引っ張るサニーゴ。想定外な事情がいくつも重なりいつもに増した粗暴さを見せていた。
その証拠の一つが粉々になってマチスの足元に落ちている交信機だ。半ば腹いせに部下からの連絡を受けるこの通信機を思い切りマチスは握りつぶしてバラバラに破壊した。予備が有るとはいえ勿論やっていいことではない。――ちなみにこれと同じようなことをできるアサギシティ出身で後にホウエン地方における最強のジムリーダーとなる男がいるのはまた別の話。マチスもその男も腕力は並はずれているのだ。
一方その様子を後ろで見ていたレイは冷や汗を流していた。当然だろう。ほぼ間違いなく敵である男が通信機を片手で握りつぶせるような握力を持っていると言う事がわかったのだ。体格の上で圧倒的に負けているレイは元々腕力でこの男に勝てるとは思っていなかったがこれは流石に想定外だ。
(ポケモンを出されたらどうこうの問題以前に、平野や高原。移動できる空間が有る場所ならともかくこの狭い潜水艇の中でマトモに戦ったら必ず負ける……!)
不幸だ。つくづく不幸だ。せめてもう少しましな状況であって欲しかった。並の大人の男程度の相手なら未だしもこれでは元から薄い勝ち目が更に薄くなる。
しかしこの男。腕力は大したものだが気配には若干疎いようだ。何せ未だにレイに気づいていない。物陰に隠れていて更にまだ十代前半の子供とは言え距離的にはこれだけ近くて二人もいるのに気づかないのは流石に気配に疎いと言われても仕方がないだろう。――勿論レイからすればそれは大歓迎な事なのだが。
(潜水艇がどこかに着いた瞬間が最初で最後のチャンス。その時は多少手荒な手を使ってでも脱出する)
如何にこの男が屈強で凶悪な腕力を有していたとしても人間に変わりはない。ポケモンよりはマシの筈だ。気づかれていない内ならば先制攻撃を仕掛ければ手元にある『ぎんのハリ』を容赦なくツボに打ち込めば意識を一撃で落とせるはず。
ならばこそ今のうちに仕掛けられればより確実に勝利を収められるだろう。向こうがこちらに気づいていないことは既に明らかだ。なら今の内にと思うのは人間として当然である。しかしこれは駄目だ。なぜならばレイは潜水艇の操縦方法を知らない。つまり今この男の意識を奪えば潜水艇は完全にコントロールを失ってしまうのだ。レイの目的はクリス共々ここから無事に脱出すること。相手を倒すことではない。
(こう言うのを『急がばまわれ』って言うんだっけ?)
内心でレイはこう呟いたが、これは微妙に違う。『急がば回れ』は言うなれば一見最速に見える手段とは別の一件遠回りに見える手段を選ぶことで、より早く目的を達成できると言う意味の諺である。この場合レイは遅かれ早かれ同じ手段を取って目的を成そうとしている。同じ手段を用いるのならば『急がば回れ』は正しくない。
寧ろこの状況を正確に表す諺は『短気は損気』だろう。……どちらにせよどうでも良いことだが。
しかしそんなどうでも良い事でも考えていなければこの重く圧し掛かる緊張感に負けてしまいそうだった。緊張して、チャンスを逃しでもすれば取り返しがつかない。こう言った時に別の事を考えて体の力を抜くのも経験で得た知恵だ。適度なリラックス、適度な緊張。物事は全て適度であるのが最高だ。ジュースを作る時の材料の比率と同じように。だからこそ
(とりあえず気づかれていないこの状況をどっかにこの船が泊まるまで持てば少しは救いが有る。仮に途中で気づかれれば最悪……少しの救いか最悪か、いずれにせよ状況は相当に悪いな)
適度な状況分析も忘れない。そしてそんな状況分析をしている中、レイは明らかに可笑しいことに一つ気付いた。
(やけに遅くないか? この潜水艇)
隠れているレイだがそれでも潜水艇についている窓から外の光景は見える。この窓もモンスターボールの形をしていることに辟易したレイだが(なにせここではさまざまなグッズがモンスターボールの形をしているのを既にレイは知っている)それはさておき。
(可笑しい、さっきから景色がまるで変わらない。さっきまでは普通に景色が……と言っても水面しか見えないけれど確かに動いている感じはした。なのに今はどうして?)
景色だけではない。レイの体感的にも先ほどとは違う違和感が感じられる。間違いなくこの潜水艇は止まっている。
(一体どういう事……?)
と、そんな事をレイが考えた時だった。
「……うーん」
そのクリスの声を聞いた瞬間。レイは自分の心臓が止まったと錯覚した。全身の毛が逆立つ所か心臓が口から飛び出そうなほどの驚愕、底知れぬ絶望感。冷や汗をダラダラ流しながらレイは前に座っている男の様子を伺う。しかし気づいた様子はない。近くにいたレイにしか聞こえないほどの小さな声だったのだ。ホッと胸をなでおろす。
しかしレイ本人はに前を向いていたからこそ気づかなかったが、今レイの傍らにいたクリスは、ぱっちりとその目を開けたのだ。強すぎる男への警戒故にレイはそのことに気が付けない。もし気が付いていればクリスを落ち着かせることができたかも知れないがもはや手遅れ。完全に意識が覚醒したクリスは辺りを見渡し、
「ええ!? どこ、ここ!? 私つながりの洞窟にいたんじゃ……!?」
(クリスさあああああああああん!?)
そんな叫びを口から出さなかっただけ、レイは褒められるべきだろう。何という不幸。この最悪なタイミングでクリスが目を覚ましてしまったのだ。気絶していた彼女が何事もなく起きると言うのは本来ならば歓迎すべきことだが、今回ばかりはレイは頭を抱えたくなった。
そして、レイと同じくらい驚いていた人間はもう一人いた。
「
クリスの声は勿論潜水艇を運転している男の耳にも届いていた。
(『オーマイゴッド』だって!? それはこっちが言いたいよ!)
最早隠れている意味も完全に無くなってしまった。苦虫を噛み潰したような顔で俯く。こうなれば最早一巻の終わりだ。今レイにできることは男が自分たちに対してどこまで攻撃的な人物なのかをぼんやりと考える事だけ。悪く言えば現実逃避だった。
「レイ君? これは一体……何がどうなっているの!?」
未だに状況が把握できていないクリスの口からはそんな言葉が出る。しかし今はそんなことを説明している場合ではない。レイが言えるのは「落ち着いて!」の一言だけだ。この危機的な状況をどうにか乗り切る策を緊急に立てなければならないと言うのが今の状況。もしできなければここでレイとクリス、二人の旅は終わってしまう。懐の『ぎんのハリ』に手を伸ばす。こうなったからには勝ち目が薄くとも戦いを挑まねばなるまい。そんな悲壮とも言える決意を固める。
だがそんなレイの思惑に対して、男の口からは予想外の言葉が飛び出した。
「おい、坊ちゃんに嬢ちゃん! なんでここにいるのかは知らねーが、チッとの間だけ静かにしていてくれ!」
「え?」
まるで侵入者にかける言葉とは思えない。先ほどの台詞からレイ達が侵入者であることは確信している事は明らかだ。なのに男はこうしてレイ達に構っている暇はないと吐き捨て潜水艇の舵を操る。
(もしかして僕たちがレアコイルを倒したってことには気づいていない? 僕らが子供だからか?)
だとすればラッキーだ。この場さえ切り抜けられれば無事に旅に戻れるかもしれない。肩の荷が下りたような気分になる。先ほどまでの緊張感が嘘のようだ。この場さえ切り抜けられれば、何と心地いい響き。
「あ、あれは!?」
(おっと。集中集中!)
何かに気づいたようなクリスの声で再び身を引き締める。この場さえ切り抜けられればと言う事はまだ安全圏ではない。安全圏が見えてきたのに過ぎないのだ。ならばこここそが本当の踏ん張りどころであるのだ。気を抜いてはいけない。レイも潜水艇の窓の外を見る。
「サニーゴの群!?」
「これが原因で浮上できなくなっているんですね!?」
サニーゴ。
桃色の美しい体色が特徴的な『さんごポケモン』だ。頭の先の木の枝のような部分は綺麗な水の養分を取り込んで育つため綺麗な海の象徴とされるポケモンである。何気にレイはこのポケモンを見るのが初めてであったりもする。噂程度には聞いていたし、かつてはサニーゴが生息していたと思われる場所も見たことはあるがその実物を見たことは今までなかったのだが、こうしてみるとどうしてなかなか可愛らしい見た目をしている。丸っこい体躯と言い白とピンクの鮮やかな対比と言い、中々にレイの好みに当たるポケモンだった。
しかし見た目が可愛らしいとはいっても、その力まで可愛らしいとは限らない。
「サニーゴの結びつく力で、船が浮上できなくなっているのか!」
レイの言葉に男もうなずく。
「見た目に似合わねえ馬鹿力だぜ。大量に集合している
クリスもうなずく。どうやら彼女はサニーゴが集合した時に強靭な力を発揮することは知っていたらしい。この辺りは流石、捕獲の専門家である。サニーゴを見たこともなかったレイとは大違いだ。
(見れる環境も無かったんだけど……って言い訳してる場合じゃないか)
重要なのはサニーゴの結合を崩す事。集まれば強い力ならバラバラに分解してしまえば良い。機械と同じだ。そしてサニーゴならともかくポケモン同士が集合しているときにどうすればその結合を解けるかはレイは良く知っている。
「クリスさん!」
「何? レイ君」
「あのサニーゴの群のリーダー格の奴を狙って捕獲できる?」
ポケモンの群はリーダーとなる一匹を中心に機能する物だ。ならばその中心であるリーダー格を倒すか、捕獲するかしてしまえば群の結束は解ける。このサニーゴの拘束も解けるはずだ。
「潜水艇を浮上させられれば何とか……あ、そうだレイ君! キリンリキは!?」
ここにきてクリスもレイの傍らにいるポケモンの不在に気づいたようだ。レイがキリンリキをモンスターボールに入れていないのは知っている。そしてこの狭い潜水艇の中で体躯の大きいキリンリキをボールから出している余裕はない。と、言う事はレイはキリンリキをつながりの洞窟に……
「キリンリキなら大丈夫さ! それよりクリスさん! 僕に手伝えることが有ったら何か言ってくれ!」
「……わかったわ。それじゃあ私の言うタイミングで潜水艇に念力で働きかけてくれない?」
レイの大丈夫と言う言葉をキリンリキが近くにいると言う意味でクリスは受け取ったからこその指示。任せて、と笑顔にサムズアップもつけてレイは返す。その間に無駄なやり取りは無い。立派な信頼の証だ。
しかし、それでは納得できない者もいた。この潜水艇の操縦種である男はレイを見て
「おいお前! モンスターボールをどこに持っているんだ!?」
「モンスターボール? そんなの持ってませんよ?」
厳密にはクリスからもらったモンスターボールが有るのだが、ここで男が言ったのはモンスターボールその物ではなくてトレーナーが持つ手持ちポケモンの事を言うのだろう。なのでもっていないと返答した。わざわざ説明するのも面倒だったし、レアコイルの罠の件もあってレイは男をあまり信用してはいなかった。しかし、そんな言葉を聞いて男が納得できるはずもない。ツンツンにとがった髪を搔き毟りながら男はレイに怒鳴る。
「そんな状態で大丈夫か!?」
「大丈夫だ、問題ない」
怒鳴られた勢いとは反対にレイはそっけなく返していた。それも取り出した『ぎんのハリ』で船の壁を叩きながら。そんな様子にいら立つ男だが今は争っている場合ではないのは彼も重々承知の上。すぐに舵を握り直しクリスの指示を待つ。
「……今です! 船を右へ旋回させてください!」
「やったらどうなるって言うんだよ……」
不満を漏らしながらマチスは舵を切る。
するとどうだろう。今までビクとも動かなかった潜水艇が僅かな速度ながら浮上し始めた。これにはさすがのマチスもレイも驚きを隠せない。
「コイツは……
マチスの驚きを隠しきれていない様子に、しかしクリスとレイは微かに笑って
「半分当たってますよ」
「でも半分は外れ、ネイぴょんは海流に働きかけているんです」
その言葉を聞いてマチスもようやく理解する。先ほどのクリスが指示したタイミング。それは海流の流れが変わる瞬間を読んでの物だったのだ。しかしこれと同じだけの事ができるポケモントレーナーがどれだけいるだろう。
(……またとんでもねえ
思い出すのは数年前のカント―とスオウ島。マチスが敵として戦い、或いは味方(仲間、ではない)として共闘した図鑑所有者達の事を思い出す。ひょっとするとこの娘も図鑑所有者何て事も有り得るかも知れない。……正直その可能性は笑えない。
(って、待てよそう言や……半分)
先ほどこの二人は半分はマチスの予想が当たっていると言った。それは一体どういいう意味なのだろう? しかしそれを疑問に思っている間に船は水面まで浮かび上がって出た。ここまでくれば水中と言う枷はもう存在しない。勢いよく潜水艇の窓を開いて
「今よ! ネイぴょん!」
「リーダー格はアイツだよ!」
サニーゴの群の中心となっている個体を一番最初に見抜いたのはレイだった。これは彼が優れた知覚を持っている事も勿論理由の一つだが、そうでなくともレイはポケモンの生態を読み取り、行動パターンを把握することに長けている。
「わかったわ、ネイぴょん!」
ネイティが攻撃の態勢に移る。そしてそれと同時に一匹のポケモンがまるで矢のような速さで潜水艇を抑えつけるサニーゴの一匹に襲来し、その上で着地する。
「キリンリキ!」
頭の触角から水滴を垂らしながら躍り出たキリンリキは今日一番堂々としているように見えた。結合したサニーゴと言う優れた足場もあって水面でも今は戦える。レイの呼び声に答え彼女も攻撃の姿勢を取った。丁度ネイぴょんと一緒にリーダー格のサニーゴを挟み込むように着地したのも勿論偶然ではない。
「今よネイぴょん!」
「キリンリキ! お願い!」
二匹のエスパーポケモンに同時に囲まれたサニーゴに最早逃げ場はない。もしあるとすればレイとクリスのコンビネーションの間にある隙位の物だろう。
しかしここに来て二人のコンビネーションは清々しい程に絶好調だった。意図せずして二人の声が重なる程に。
「「『サイコキネシス』!!」」
サニーゴに逃げ場が有ったはずもない。群を丸ごと薙ぎ払う規模の『サイコキネシス』が最高のタイミングで水面を叩きつけリーダー格のサニーゴを高く浮かせる。そして、それが決定的な隙となる。
「いっけえ! ルアーボール!」
クリスの足が空中でうなりを上げ、ボールもその勢いをそのまま受け取ってサニーゴへ向かって一直線に飛ぶ。
捕獲ができたかどうか。その結果は態々言うまでもないだろう。
「この船の名はアクア号! カント―とジョウトを結ぶ新型高速豪華客船だ!」
クリスにアクア号について声高に説明している船員。その声にレイは聞き覚えがあった。あの潜水艇の中で聞いた声。潜水艇の主である男……マチスの通信相手があの船員だったのだ。男の説明はレイも途中までは聞いていたが、どうやらマチスと言う男はやはり軍人かそれに属する職業についていたらしい。それゆえに警戒心も人一倍強くだからレアコイルのトラップも張られていた。
「……お前はもう説明を聞かねえのか?」
「大体内部の構造は理解しましたから」
レイに声をかけたのはマチスであった。性格の良いレイにしては珍しくその口調は素っ気ない。それはレイがマチスを疎んでいることを何よりも雄弁に語っていた。そしてマチスも既にその事は察している。しかしそれでもマチスはレイに声をかけた。気になる事が有ったからだ。船の端で横になり体を休めているキリンリキを指さしながら問いかける。
「あのキリンリキはお前のか」
「……まあ、一応」
「へえ、大した育て方じゃねえか」
これは嘘偽りない本音だ。マチスは知り合いに一人エスパータイプを専門に扱うトレーナーがいるが、あのキリンリキは彼女の扱うエスパーポケモンと比べても遜色ない……いやこれは少々贔屓目だ。あのキリンリキは間違いなく、彼女の扱うどのポケモンよりもレベルが高く、強い。
断っておくがマチスの知り合いであるエスパータイプのエキスパートトレーナーは決して弱くはない。むしろ半端ではない強さを持つトレーナーだ。今でこそ療養中で、全盛期の力は発揮できないだろうが間違いなくカント―でも指折りの実力者である。その手持ちの鍛え方だって並大抵のものではない。――だが、それでもあのキリンリキには及ぶまい。それは彼女が弱いのではない。キリンリキが強すぎるのだ。
「けどなあだからって納得できねえよなぁ」
「何がですか?」
「とぼけるなよお坊ちゃん……キリンリキは『なみのり』は使えねえぞ」
――一瞬、本の一瞬だけレイの顔に微妙な変化が現れる。間違いなくこれはこの少年のウィークポイント。しかし
「覚えませんね。僕のキリンリキだって使えませんよ」
しゃあしゃあとまるで何事もなかったかのようにそんなことをのたまった。まるで可愛げが微塵もない。こういう子供はマチスの最も嫌いな人間と言って良いだろう。一瞬だけ見せた表情の変化だってその事実を確信しているマチスだからこそ見えたものであり、普通の人間なら違和感すら感じないほどの小さな物だ。要はこの少年がそれだけ強く自分を律することができると言う事。
(気にいらねえな)
その子供に似合わないポーカーフェイス。剥ぎ取って捨ててやろう。マチスの目は誤魔化せない。水中でマチスは弾丸のような影を見ていた。それがキリンリキだった。どんな種かはわからないが間違いなくあのキリンリキは水中を泳いでいたのだ。潜水艇に上がってきたときずぶぬれだったのも、突然水面に表れたのもそれが理由。
もしマチスの勘が正しければこの小僧は、ただの小僧などではない。それもあのクリスという娘とは別の意味での。恐らくこの小僧はより自分に近い類の存在だ。ジムリーダーとして、ではない。ロケット団三幹部としてのマチスと。外道な手段を肯定し、醜い物を知る自分と。ならその顔を暴いてやろうと決意する。
そうと決めたならば
「テメエ、何者だ」
直球勝負。やはりこれが自分にはしっくりくる。妙な策をこじらせるから付け込まれる隙を生むのだ。圧倒的な力で全てを飲み込み、征服する。それこそがロケット団の最もあるべき姿だと思う。――マチス自身は無意識だが、この思考はあるトレーナーに明らかに影響されていた。本人にそれを伝えても必ず否定するだろうが。
「あんなトラップを仕掛けておいてその口で言いますか」
マチスに対して少年はそう切り返した。まるでレイが特殊な人間であることを確信しているかのような口調での質問を、レイは否定はしなかった。それは最早答えだと言ってもいいだろう。
(……いいや。それ以前にこの小僧)
マチスの目を一直線に射抜く眼光。強面のマチスに対して微塵も臆せずに睨み返してくるその目はまるで龍のような目だ。隙を見せれば喉元に食らいついて噛み千切る、そんな強大で攻撃的な龍。こんな目を持つ少年が只者で有る筈がない。
「ありゃあトラップじゃねえ。セキュリティだ」
「こじ付けですね。聞こえの言いように言い換えただけじゃあないですか?」
「かく言うテメエは人様の潜水艇に勝手に上がり込むような奴じゃあねえか」
しばし二人はにらみ合っていた。
そして同時に目をそらす。お互いにわかったからだ。この船上で、勝負がつく事は無いと言う事が。
「……ここはあのサニーゴの群の突破に協力してくれた事で手打ちにしてやる」
逆に言えばココはだ。もし次に会うことが有ったならば必ずとっちめてやろうとマチスは思う。
「それはそれは。どうもありがとうございます」
全く持って心のこもっていない礼を返すレイ。その心はやはり穏やかではなかった。
お互いに背を向け、歩き去る。
さて、その時船員から説明を受けていたが二人の様子が気になってレイの方へ歩み寄ったクリスは自分の目を疑っていた。
「レイ……君?」
そこにいたのはクリスの知らないレイだった。レイと出会ったのはつい最近だ。一緒に旅をしてこそいるが、ほんの数日前まではクリスとレイは赤の他人だったのである。だからクリスの知らないレイの一面があったって不思議な事は無い。しかし――
(怖い)
レイの口調は静かで皮肉めいていて、だからこそ伝わる深い怒りが有った。クリスはまだ少女だ。声を荒げる以外に人を威圧できる口調が有る事など知らない。だから彼女にはその時のレイがどうしようもなく怖かった。
思わず二、三歩その場から後ずさる。体の事だけではない。その心も。
その時には目的地のアサギシティはもう甲板から見えるほど近づいていた。二人の距離とは反対に。
うんめいのとうでたまったストレスを晴らすべく(ちゃんとクリアはできました。ロトムさん流石っす)、楽しいポケダン関連のサイトを探していた時の事。
ピクシブのポケダンのページ見て唖然。どんな感じだったかと言うと……
ドーミラー&ドータクン「さすがポケダンだ。ふゆうとたいねつの同時発現でなんともないぜ!」
ポリゴン ポリゴン2 ポリゴンZ「君達が!倒れるまで!ほうでんをやめない!!」
フワライド「速攻特性発動、バーサーかるわざソウル!あやしいかぜ×2でずっと俺のターン!!」
カクレオン「けっきょく ぼくが オール255で いちばん つよくて すごいんだよね」
( ゚Д゚)
これで一部である。何だこのカオス。いやわかるけど。