陸を走る娘と海を進む娘   作:モンターク

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やっとウマ娘要素です。


トレセン学園

東京都府中市

多摩地域中部に位置するこの地域に全寮制の日本ウマ娘トレーニングセンター学園。通称”トレセン学園”が存在する。

ウマ娘たちの「トゥインクル・シリーズ」デビューを目指すためにウマ娘が通う学園であるが、もちろんここ以外にもトレーニング施設が存在する。だがここは最先端かつ最大規模の施設であり全国から選りすぐりのエリートが集結しているのだ。

 

艦娘たちは現状5つの基地のみで収まっているがウマ娘はURAが直接管轄する中央レース場10つに加え、各都道府県が管轄する地方レース場があり、そこにはいかずに普通に定職に就くウマ娘もいる。つまり言うまでもなくウマ娘のほうが歴史も深く、人口も多いのだ。

 

「……あんぐり…」

 

吹雪はトレセン学園の大きさに文字通りあんぐりとしている。

 

「鎮守府より大きいっぽい…」

 

夕立も同じく上を見上げている。

 

「うむ……そしてこの近くには空自の基地もあるはずだ」

 

「はい。そしてこのレース場も…」

 

そんな時、ほぼ全身緑の制服をしている女性がやってきて挨拶をしてくる。

 

「ようこそ、トレセン学園へ。艦娘(かんむすめ)の皆さん!」

 

「ああ、あなたは…たづなさんですか?」

 

「あ、はい!申し遅れました。私はトレセン学園理事長を務め、今回の案内役も努めます駿川たづなと申します」

 

大和がそう言うと彼女…たづなさんもそう返す。

そして長門は気になっていたのか「ある指摘」をする

 

「あの…すまないが、私達は『かんむす』というのだ。ややこしいが…」

 

「あ!申し訳有りません!いつもの癖で……」

 

(この感じ…なんとなく大淀さんに似ているような…)

 

吹雪がそう思っている内に通されたのは理事長室。

そこにはちょこんと一人の少女?がいた。

 

(ええ!?)

 

吹雪は驚いているが一応この子が学園の理事長「秋川やよい」である。

 

「あっぱれ!よく来てくれたぞ!艦娘の諸君!今日から数日の間ではあるがぜひこのトレセン学園についてよく知ってぜひ参考になることがあればぜひ参考にしてほしい!!」

 

「は、はあ…」

 

(こんなに小さいのに凄いな…)

 

吹雪はその勢いに内心押されても居る。

一方の長門は感心してもいる。

 

「感謝します理事長。ではこちらの書類のほうを」

 

「うむ!」

 

大和より手渡された書類を理事長は目を通し、軽めにサインする。

 

(提督もあんなんだし…どこも上役ってこうなのかな……)

 

薄々そう思う吹雪であった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

と、見学にはいる前に吹雪は少しお手洗いに行くのであったが

 

「あれ…あれれ?」

 

…あまりにも広いがために迷ってしまった吹雪

 

(お手洗いはさっきその突き当りを…でその…突き当りって…あれ?)

 

どうしようと焦る吹雪。

そんな時、ある一人のウマ娘が目に入る。

 

(ウマ娘さん…話しかけたことはないけど……背に腹は代えられません!)

 

追い詰められると意外と馬鹿力を発揮する吹雪である。

 

「すみません!」

 

「え?」

 

 

 

「ふぅ…危ないところでした…案内してくれてありがとうございます!」

 

「い、いえ…それよりあなたは…トレーナーさんにしては小さいような…」

 

「いえ、私は特型駆逐艦の吹雪と言います!」

 

「くちくかん……あ!噂に聞く艦娘さんですね。あ、私はスペシャルウィークって言います!」

 

「よ、よろしくおねがいします!」

 

(…まるで前の私みたい…)

 

どこか昔の自分を思い出すスペシャルウィーク。

 

「吹雪ちゃーん?どこっぽーい?」

 

「あ!夕立ちゃん!!待たせちゃってた……すみません、失礼します!」

 

すっとこすっとこと走る吹雪。

 

「あ、いっちゃった……」

 

…その速度は早いがウマ娘にとっては普通なのでスペシャルウィークは特になんとも思わなかった

 

「……あれ?これって…」

 

その後にはお守りらしきものが落ちていた。

 

(家内安全…世界平和……落としていったのかな?後で届けないと……)

 

どうやら吹雪が落としていったらしい。

後で届けようと思い、スペシャルウィークはそのお守りを仕舞うのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

その後、たづなの案内で学園内を見学することになった艦娘御一行。

まず最初はメイン施設であるトラック練習場である。

 

「すごい…ウマ娘さんたちが…」

 

「はい、ここがトラックです。今日もトレーナーの元で練習しているウマ娘たちがいらっしゃいますね」

 

と言っても練習方法は様々だ。

走り込みからウサギ跳び、大きいタイヤを引っ張ったり…と皆必死に練習しているようだ。

 

そしてその中で特に走り込んでいるウマ娘が一人。

 

「バクシーン!!」

 

「うわあっ!」

 

その速さで土煙が一瞬巻きおこる。

 

「凄い速さだな…!」

 

「バクシンオーさん、また…すみません。いつも早い分こういう感じでして…」

 

たづなも少し苦笑いしており、いつもこんな感じなウマ娘であろうと艦娘たちも想像がつく。

 

「はははは…」

 

「すごいっぽい…」

 

「すげえな…」

 

吹雪も苦笑いしており、夕立や摩耶も圧倒される中

一人輝いていたのは…島風であった。

 

「はっやあい!!」

 

キラキラしている島風。

なにせ艦娘内では彼女の速度に追いつける艦娘はほぼいなく、実質独壇場なところであり、逆に言えば一人ぼっちな風になってしまうことが多かった。

そんな彼女が自分と同じくらい、いやそれ以上のを見つけてしまえば、こうなることは想像にも難くない。

 

「私、あのウマ娘とキョーソーしてみたい!」

 

「ちょ、島風さん!?」

 

「あの島風さん…私達は今見学で…」

 

「はい、いいですよ?」

 

吹雪と鳥海が止める中、たづなさんはなんとOKを出した。

 

「ええ!?」

 

「い、いいんですか?」

 

鳥海の答えにたづなはこう答える。

 

「はい。もちろん本来ならあまり望ましくはないのですが…あなた達は艦娘であるということもあり、理事長とそちらの提督さんいわく「OK」だそうで…」

 

「ええ…」

 

理事長はともかく、提督までOKを出していたことに半ば脱力する吹雪。

 

「わーい!」

 

そんなことを気にせずに喜ぶ島風であった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

というわけでまさかの異種競走の幕が上がる。

距離は芝1400mの短距離。この距離の場合はスタミナはあまり重要視されず、純粋にスピードやパワーが求められる。

その分、出遅れたが最後、挽回が難しくなる。

 

そして周りにはウマ娘と艦娘、異種すぎる競走の噂を聞きつけたウマ娘やトレーナー達が集まっていた。

艦娘は海上では最大30ノットを出す艦が多く、低速でも20ノット代は出すという言うまでもなく人外の速度。島風は特に最速の40ノットでこれは時速キロメートル換算にすると約74km/hと短距離競走馬より少し上になる。

そしてこれはあくまでも重い艤装等を背負った上での速度であり、それらを外した上で、更に陸上での速度は現状は未知数である。

 

これもあり、皆が皆興味津々なのである。

ゴールドシップとメジロマックイーンのいつものコンビもその中にいる。

 

「なあマックちゃん、あれってどっちが勝つと思うか?」

 

「言うまでもなくバクシンオーさんのほうだと思いますが……艦娘さんがきっと大幅に離されてのゴールを……ゴールドシップは艦娘のほうを?」

 

「いやアタシもこの芝と距離ならバクシンオーのほうがつええと思うが…なんだろうなぁ…この感じは……300年の眠りから蘇ったような…」

 

「なんですのその例えは」

 

「ま、ゆっくり見守ってみようぜ」

 

どこからともなく取り出した人参をかじるゴールドシップにその例えにはてなを浮かべるマックイーンであった。

 

「色々と集まってきたっぽい……」

 

「はは……」

 

夕立はきょろきょろと周りを見ている。吹雪は乾いた笑いを隠しきれず。

 

「アタシもこういうので走ってみてえなぁ…はぁ…」

 

「姉さんまで走らなくていいですから……」

 

「うーん…夜間競走とかってあった?」

 

「川内姉さんも走りたいんですか?」

 

「体最近なまってるからなぁ…これじゃ夜戦しにくいし…」

 

摩耶のうずうずをなんとか抑える鳥海と同じように川内抑える神通

ちなみに高雄型、川内型は35ノットほど出たりする。

 

そしてレース場。

島風は流石にあの格好では過激すぎるので借りた体操服で走ることとなる。

 

「…よし、準備できたよ!」

 

人通りの準備運動をした島風、珍しく真剣な表情であった。

戦いの際でも比較的真剣になる島風なので、スイッチが入ったと言うべきか。

 

「はい!わかりました!!どんな相手だろうとも絶対に手を抜きません!模範的な学級委員長として!!」

 

「望むところ!」

 

そして戦いの火蓋は切って落とされた。

 

ーーーーーーーー

 

結果としては勝ったのはサクラバクシンオーである。

だが、それはあくまでも結果である。

最初の直線は島風がバクシンオーを抜かすというマジックが発生、そのまま直線を突き進むもカーブの際にフォームを崩し、減速した結果、そのスキを突かれバクシンオーが追い抜き、最後の直線では島風が再びブーストをかけるもバクシンオーとは0.5バ身差で負けてしまった。

…だがそれすら人間とウマ娘ではあり得ないことである。つまり艦娘が人間より力がありウマ娘と競える能力があると改めて認識できるものであった。

 

「はあっ…はあっ…」

 

「大丈夫ですか!島風さん」

 

タオルと水を持って駆け寄る吹雪と夕立。

 

「島風ちゃんが負けるって…凄いっぽい…」

 

「島風さん、艦娘の中では一番負け知らずでしたからね…って、あ!決して駄目とかそういうわけじゃないです!」

 

あわわする吹雪だが、逆に島風はうずうずが止まらなかった。

 

「し、島風ちゃん…?」

 

「…すっごおおおおい!!!」

 

 

「…へ?」

 

「すごおおい!なんであんなに早く走れるの!?なんであんなに行けるの?!」

 

「おおっと!」

 

島風はすぐさまバクシンオーに駆け寄って色々と質問詰めする。

どうやら尊敬の念?を抱いたらしい。

 

「いえ、島風さんもとてもいい走りです!カーブで追いつけなかったら多分負けてました!」

 

「もっと上手く走れるようになりたい!!バクシンオーさん、島風を弟子にしてください!!」

 

「わかりました!一緒にバクシンで突き進みましょう!!」

 

「おー!!」

 

トントン拍子すぎるくらいに話が進む二人。

どうやら「気が合う」らしい。

 

「あらあら…バクシンオーが負けかけるって…凄いわ…」

 

そしてこの試合?を見守っていたマルゼンスキーも関心を寄せていたそうな。

マルゼンスキーもスピードはピカイチであり、まさしくスーパーカーのごとく何馬身も離してのゴールを勝ち取ったこともある。

この島風に関心を寄せるのも当然のことであろう。

 

「な?負けは負けでもただでは負けてないだろ?」

 

「そうですわね……」

 

(艦娘…島風さんが”あの”バクシンオーさんに負けず劣らずなんて……)

 

バクシンオーは芝短距離においてはピカイチであり、スピードも申し分ない。

だがそのバクシンオーに島風が迫ったと言うだけでかなりの衝撃であろう。

 

「…マックちゃんも疼いてるだろ?ああいうのとも走ってみたいって」

 

「それは……ゴールドシップもですわよね?」

 

「まあな、小惑星探査機の破片探したり、300年封印されてたロボットを探すやつより面白そうだぜ」

 

「だからなんで宇宙の話になるんですの……」

 

 

 

 

そしてその後ろから見ていたトレーナー達も色々とどよめきを隠せないようで

 

「あれが艦娘の実力…海で早いと聞いたが陸でもここまでやれるとは…」

 

「ウマ娘ならウチにほしいわ……艦娘とウマ娘の混合の可能性ってないの?」

 

「甘く見てたわね…」

 

色々とボソボソ話していたそうな。

 




艦娘とウマ娘はいい勝負すると思った…が適性は仕方ないね。
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