URA
Uma-musume Racing Associatio(ウマ娘競走協会)
文部科学省所管の特殊法人。かつては旧文部省ウマ娘競走部が自ら運営を行っていたが制度改革により民間団体へ引き継がれることとなり、現在の形となった。
なおURAが直接運営するレース場が札幌、函館、福島、中山、東京、新潟、中京、京都、阪神、小倉と存在する。
ウマ娘人気も相まって他の国内競技連盟より業務範囲はかなり広く、レースからウイニングライブのお膳立てまで文字通り幅広く行っている。
※URAが史実JRAと違う管轄なのは彼女達が理性ある子達で普通のスポーツ扱いだから…と解釈した結果です。
トレセン学園
正式名「日本ウマ娘トレーニングセンター学園」
東京都府中市の東京レース場に隣接する全寮制の中高一貫校。
トゥインクルシリーズデビューのために全国から選りすぐりのウマ娘が集結する。
URAが監督しているが、そこまで拘束はなく、運営自体は伝統に沿いつつも比較的自由に行われている。
自衛隊
防衛省と同一組織であり、太平洋戦争における反省から専守防衛に基づく国防を担う事実上の軍事組織。
度重なる脅威の襲来により正式に国防軍に格上げさせる機運自体は高まっているものの脅威の前に組織変更は混乱しかねないということもあり現状は棚上げされている。
陸上、海上、航空の3自衛隊を保有。艦娘は海自の指揮下である。
対特殊生物特殊部隊も保有している。
過去にも深海棲艦以外の特殊生物(通称怪獣)災害の経験もあり、その点の対策に関しては他国に比べて豊富である。
協賛レースまであと数日となった時。
「はぁ……」
明石が学園に来て最初のセリフ…と言うべきか。
ともかくため息であった。
彼女は工作艦である以上、様々な艦娘の修理…というより今の「形」では治療やコンディションの管理を行い、また兵装の開発や修理も行う。ときには骨折等の診断も行うため医師免許相応の資格をもっている。
もちろん気苦労も多い。艦娘達は基本無茶をする。
兵装も規格外に使ったり、足の水上移動用の靴で深海棲艦を思いっきり蹴ったりしてパーにされたこともある。
それ故にいつしかそこらへんに関しては慣れた…が
「あー明石!」
「はぁ…島風さん……なんで足捻ってるんですか」
島風がベッドの上で寝て、右足を更にタオルので作った段の上にのせて包帯巻いて氷で冷やしているのを見るのは流石になかったのでため息を付いたのだ。
「あの…交流とまではわかってましたが…まさかとは思いますが…競走したとかじゃ…」
「うん!きょーそーしたよ!!」
「」
明石は言葉を失う。
そして明石の助手のような存在の夕張も同じく足を観察しつつも苦い顔をする。
「派手に捻ったわね……」
なお夕張は軽巡であり、本来は実戦に出るのだが史実では実験艦というのが強かったためか現在はたまに前線につくが基本は明石とともに試作兵装の開発をしていたりするのがほとんどである。
「いやまあ…私達艦娘は普通の人間よりははるかに丈夫ですから、ウマ娘と競い合えること自体は特に否定しません…第一普通の人間なら海の上にも浮かばないし、砲撃もできないし、敵の攻撃を耐えることもできません……そもそもウマ娘系のDNAから誕生した説も根強いですし私達……でも島風さん…」
「?」
「あんまり無茶しないでくださいね?今回は捻っただけで済みましたが、しっかりと念入りに準備運動したりでなるだけ体を柔らかくしないと骨折の危険があります。骨折の可能性は波乗りしてる海上より陸上のほうが高いんですから」
まるで保険の先生如くアドバイスをする明石。
「はーい」
そしてそうした途端に駆け込んできたのはサクラバクシンオーである。
「大丈夫ですか!?島風さん!!」
「うわっ!?」
急に突風が吹いたかのごとく風が吹く。
当然明石と夕張は物凄く驚く。
「ししょー!へーきへーき、ただ捻っただけだよー?」
そして島風はいつの間にかバクシンオーのことを師匠と言うようになったようだ。
「すみません!私が先行しすぎたばかりに…!」
文字通りバクシンしすぎたようだ。
「すごい速さで来たわね……」
「なるほどこれがウマ娘の速さ…ってあなたはサクラバクシンオーさん?」
「はい!サクラバクシンオーです!」
明石の問いにも元気に答える。
なんとなく状況を察したようで。
「バクシンオーさん、気をつけてくださいね?私達艦娘は陸上で走れはしますけどまだ慣れてないですから、準備運動も念入りにお願いしますよ」
「わかりました!以後気を付けます!ところでいつくらいに治りますか?」
「ああ、多分この感じなら数日で大丈夫です」
「そうですか!ありがとうございます!!では私はまたあとで!委員のしごとも片付けないといけないので!!島風さん、お大事に!!」
そして風のごとく去っていく
「ししょー、やっぱりはやーい!」
島風は相変わらず目をキラキラさせている。
それに対して明石と夕張は色々な意味でやれやれと思うのであった。
(島風さんには瞬発力より持久力を鍛えてほしいんですけどね……)
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一方その頃、スペシャルウィークは珍しく図書室に来ていた。
勉強もそれほど得意ではなく、本もあまり読まない彼女がなぜ来たかというと
やはり「艦娘」のことに関してであろう。
(…うーん…戦中のことが書いてある本ってどんなのがあるんだろう?)
と熱心に探しているのだが、その光景を見たある図書委員のウマ娘は少し驚いていたそうな。
その後、なんとか自分でも読めそうな本を見つけ、机に向かって座り、本を開く。
(1941年12月8日未明に真珠湾攻撃……あ、ここで赤城さんと加賀さんが…あと色々と空母が居るんだ……)
そうして戦争の記録を読んでいくとちらほら駆逐艦吹雪の名前が出ている。
吹雪が史実において参加した作戦はマレー沖海戦、エンドウ沖海戦、バタビア沖海戦などがある。
どれもずば抜けているわけではないが堅実に作戦行動を行っていた。
そして「サボ島沖海戦」の項目に入る。
(サボ島沖海戦…ガダルカナル島の周辺で行われた……)
日本海軍はガダルカナル島への重火器輸送を考え、その支援のためにヘンダーソン飛行場へ艦砲射撃を行うことになった第六戦隊を中枢とする艦隊は迎撃に出たアメリカ海軍の艦隊と衝突。
当時夜戦であったがために視界が狭く、結果ともに行動していた重巡青葉がアメリカ艦を日本の輸送艦と誤認し「ワレアオバ」と発光信号を送った結果集中攻撃を喰らい、青葉を守る形で古鷹とともに吹雪も轟沈した。
輸送作戦自体は成功したものの日本海軍の十八番であった夜戦としては初の敗北となり、徐々にのちの敗戦への門を開いていく終わりの始まりの…追撃であった。
ミッドウェー海戦が始まりとするならばである。
「……」
(あそこで負けて…一回死んだ…って言えばいいかはわからないけど、それでも転生してからもああやって前に進んでる……)
スペシャルウィークは当然挫折しかけたことや、止まりかけたこともある、だがそれでも立ち上がりもう一度考え直しまた前へ進んできた。
だが一回死んだ上でそれでも皆を守る意志をそのまま続けるというのはスペシャルウィークから見ても凄まじさを感じた。
艦娘には耐久力はウマ娘と同様に人間より大幅に上とは言え、当然死というものは存在している。
もう一度死ぬ可能性もある。そして声援も戦いの中には当然ない。
それでも戦い続けるというのは……常に声援もあり、死ぬ可能性は戦うよりはないウマ娘にとって想像を絶するものである。
(吹雪さん……いえ、艦娘さんはどうしてそこまで………)
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「はあっ…」
それから図書室を出て考え込んでいるスペシャルウィーク。
聞くだけでも極限状況の中戦って死んだ後も戦うことを選んだ艦娘達。
不安とかないのか?怖くはないのか?そう考えていると…。
「スペシャルウィークさん?」
「うわあ!?」
吹雪から後ろから話しかけられて思わずびっくりする。
「ふ、吹雪さん!?ど、ど、どうして?」
「いえ…そのままだと壁に激突するから止めようかなって」
「あ」
あと約30cmでぶつかりそうになっていたのだ。
流石に考えすぎていたようだ。
「す、すみません…」
「いえ、何か考え事していたんですか?」
「…あ…いや…」
ちょうど本人がいるから聞いてみよう……と思ったがすぐに引っ込めた。
何故なら残酷なことを思い出させる可能性があるからだ。
「い、いえ…今日の夜のメニューはなにかなって……」
「ふふっ、スペシャルウィークさんらしいですね」
いつもの大食いがここでも役に立つのかとスペシャルウィークは思う。
だがそれでも気になるのは言うまでもなかった。
(どんなふうに…どんな思いで……戦ってるんだろう…?)