陸を走る娘と海を進む娘   作:モンターク

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ウマ娘、石が足りない
ダレカタスケテ


信念

「避難誘導完了したよ!」

 

川内達が報告すると摩耶はかなり深刻な表情出会った。

 

「……嘘だろ…!」

 

「どうしたんですか?摩耶さん」

 

「吹雪!いやみんな!こっちにも航空隊が向かってきやがる!!早期警戒管制機とのデータリンクで探知した!俺のレーダーはまだ入っていないが…」

 

「提督の勘があたったってこと!?」

 

「くっ、赤城とか加賀が横田から艦載機を出す作戦もあたったってことだが…!だが…!」

 

いくらなんでも艦載機で全ての航空機を撃破するのは無茶である。

赤城加賀が歴戦の覇者であるとは言えである。

 

「戦闘機隊、各自撃破して!絶対に落とさせないわ!」

 

「加賀、こちらも同じく行きます」

 

烈風改(試製艦載型)が随時発進していく。

言うまでもなくエース達である。

 

だが現代も負けてはいない。

空自のF-2、F-35A、F-15Jも迎撃を開始する。

そして同時に横田等への米軍基地へ攻撃の可能性も大であり、日本及び極東の安全が脅かされる可能性も大であるため在日米軍も日米安全保障条約による軍事行動を発令。

横田基地よりF-15C、F-16C、F-22A、F-35Aが発進し、たまたま外海へ出ていた第7艦隊も日本へ急行し、F/A-18E及びF-35Cを発艦させ、敵の別働隊への攻撃を開始。

まさしく久しぶりの大規模な迎撃行動であった。

 

一方、学園内体育館。

学園は従来の学校等と同様に広域避難所に指定され、津波災害に加え、特殊生物災害の機能が付与され、シェルターとしても問題ないものになっている。

 

「大丈夫かな……吹雪さん達…」

 

そんな中でスペシャルウィークはある一人の困っている女性を見つけた

 

「どうしたんですか?」

 

「うちの子が…うちの子がいなくて……!スタンドではぐれてしまって…あ…こ、この写真の子が…!」

 

どうやら子供のお母さんらしく、写真には幼稚園児のような小さな女の子が写っていた。

 

「もしかして…まだ会場に……わかりました!すぐ探しに!」

 

「スペちゃん、行くの?」

 

「スズカさん…」

 

サイレンススズカ

スペシャルウィークのルームメイトである。

あるレースで故障し、一時期は復帰が絶望的だと言われていたが、完全復活を成し遂げたウマ娘である。

 

「はい…私にもできることがあるなら…!すぐに行って帰ってくれば大丈夫!」

 

「…だけどスタンドも広いわ」

 

「おう!だからアタシ達もいくぜ!!」

 

その後ろに居たのはゴールドシップ、メジロマックイーン、トウカイテイオーが居た。

 

「なんで私まで……ゴールドシップ!外は戦闘機とかで危ないですわよ!?」

 

「なあに、当たらなければどうということはないだろ?すぐにぱぱっとやれば!」

 

「ボクもいくよー、みんなで探すなら大丈夫だよ!」

 

「テイオーまで……」

 

「みんな……」

 

というわけでこの5人で探しにいくのであった。

なお入り口の門番はゴールドシップの策?によりやり過ごしたそうな。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

『対空戦闘、CIC指示の目標!シースパロー攻撃はじめ!コメンスファイア!』

 

『スタンダード、撃ち方はじめ、用意…撃てーっ!』

 

 

<<ネオスカイ2、エンゲージ!>>

 

<<ランサー5、エンゲージ>>

 

<<FOX1、Fire!>>

 

<<FOX3!>>

 

「グゴゴゴゴ……」

 

海自護衛艦、空自戦闘機と在日米軍戦闘機が深海棲艦の重爆撃機隊と交戦中であった。

 

<<おい、ミサイルあたったんだよな!?>>

 

<<当たりましたが、撃墜できてません!恐ろしく頑丈です!>>

 

「グギギギギッ!」

 

 

そして深海棲艦の爆撃機は爆撃体制に入った。

 

<<まずい!>>

 

 

「やばい!あいつらこっちにむかってくる!ここに爆弾が落ちたら…」

 

摩耶の言う通り、あの爆撃ならレース場や施設がめちゃくちゃになってしまう。

 

「やばいね…これって……」

 

川内も深刻な表情になる。

 

「ウマ娘さん達や皆を……守らないと!!摩耶さん!」

 

吹雪は必死になる。ウマ娘や観客の皆を守りたいという気持ちが強くなっていた。

この平和を守るため、「艦娘」としての役目を果たすために

 

「おっしゃあ!大穴開けさせないように分散して対空迎撃いくぜ!!」

 

摩耶は防空巡洋艦であり、対空能力は防空駆逐艦の秋月型にも劣らない。

その指揮の元、残りの艦もレース場内、外に分散して対空迎撃を取る。

もちろん周辺基地も対空迎撃陣営の構築は完了している。

 

避難して「人」の安全こそ確保されたが、「財産」や「風景」の安全はまだ危機に晒されたままだ。

その人々の世界を守るために彼女たちは戦う。

たとえ声援がなくても、たとえ孤独であろうとも……。

 

「うてええ!!!」

 

さながら、戦中における陸上対空砲である。

陸上でも比較的行動可能な艦娘だからこそできる芸当であった。

 

一方のウマ娘達は先程の子供を探していた。

スタンドの方に居るとわかってはいたが、そこから離れた可能性も考慮している以上、少し範囲は広めだ

 

「誰かいませんかー!」

 

「いませんかー!!」

 

トウカイテイオーとスペシャルウィークも大声で呼びかけるが応答がない。

 

「いらっしゃいませんかー?」

 

サイレンススズカも同様に呼びかけるが応答がない。

だがかすかな物音をサイレンススズカは感じ取る。

 

「……大丈夫?」

 

「あ、さ、サイレンススズカさん…」

 

どうやらその子は散々泣いたあとのようでもはや泣きつかれて声もガラガラになっていた。

応答できないのも無理はない。

 

「スペちゃん、見つかったよ」

 

「よかった……よし、今から戻って…」

 

その時、スペとスズカの耳にふっとした不協和音が流れる。

それは人では探知できないものである。

 

「伏せて!」

 

「!」

 

スペシャルウィークとサイレンススズカが女の子を抑えて席の下に増えると、なんと機銃斉射だ。

そう、深海棲艦の艦載機が攻撃してきたのだ。

彼らは当然艦娘以外のものにも攻撃する。

無差別なのは言うまでもなし。

 

「くっ!」

 

(これが…戦場…?)

 

スペシャルウィークは当然経験したこともない。

恐怖を覚え、自分も死ぬかもしれない…とよぎる。

 

だが…。

 

「てーっ!!」

 

吹雪の対空射撃により迎撃し、その艦載機は撃墜された。

 

「…ふ、吹雪さん…?」

 

「大丈夫ですか!」

 

そこには吹雪がいた…いや、少し前に見た雰囲気とは全く違う。

日本…そして世界を守るために決意したその確固たる信念をもった駆逐艦「吹雪」であった。

 

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