Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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第2章完結に伴い滅茶苦茶感想をいただいてホクホクしておりました。今日からしばらく閑話として更新していきますので、本編はよしろや!!という方々は申し訳ないです。本編に絡んでくる話ではあるので許してください!


第2.5章 世界の呼び声
第101話 戻ってきた日常


「おはよう」

 

「お、加賀美!!皆ー!ヒーローのご帰還だぞー!!」

 

「!?」

 

 

 理事長先生から与えられた臨時休暇も終わり、久々に登校することが出来た……と思ったら、教室にやってきてすぐ囲まれて身動きが取れない。何だ、モテ期はもうお断りだぞ。

 

 

「宇宙人と戦ってどうだった!?」

 

「バッカお前、エイリア学園の正体は宇宙人じゃないってあの……誰だっけ、首謀者っぽい人が言ってたろ?」

 

 

 囲まれるや否や、凄まじい勢いでの質面攻めに遭う。その質問の大半がエイリア学園との戦いについて。そりゃ気になるよな、宇宙人を名乗って全国の学校を破壊してた組織のこと。その組織と戦ったうちの一人が目の前に現れたら当然注目もされるか……

 

 

「あの宇宙人って名乗ってた人達、あの悪い人に脅されてたんだよね?可哀想……」

 

「隣のクラスの風丸とか染岡もあの細いヤツに脅されてたらしいな。それで加賀美や円堂と戦わせるなんて、クソみたいなことしやがる……!」

 

 

 俺を囲む輪の中で誰かがそう呟く。そうだった、表向きではそういうことになってるんだったな。ジェネシスとの戦いの前に吉良による首脳陣へ向けた放送で、エイリア学園のその正体が大衆に明かされた。そのせいでヒロト達が世間から悪感情を向けられないようにと警察がそういうことにしたんだ。俺の推測でしかないけど、多分裏には吉良の意思がある。最後に見せた吉良からヒロト達への感情は本物だ。自分の子ども達がそんな目に遭うくらいなら自分が全ての汚名を背負う。そんな考えがあったんだと思う。研崎に関してもそういうことになっているが、アイツはそんな自白しないだろうな。

 

 

「……まあ、本当に色々あったよ」

 

「なんだよー!勿体ぶらず話してくれよー!!」

 

「その辺にしとけよーお前ら」

 

「そうそう、加賀美くんが困ってるって」

 

 

 困り果てていると、東と大谷さんが助け舟を出してくれる。2人はこのクラスの学級委員だ。よく周囲が見えており、事ある毎にアクションを起こしてくれる。例えば今みたいに。

 そんな皆からの信頼も厚い2人のおかげで質問地獄は解散、ようやく席に着くことが出来た。

 

 

「2人共、ありがとな」

 

「気にしないで!でも私も気になるから気が向いたら話して欲しいな」

 

「俺も。労いの意を込めて今度ラーメン奢るからさ」

 

「それは熱いな」

 

「皆おはよう!!」

 

「お、円堂だ」

 

 

 2人と話していたら守がやってきた。流石に守も囲まれるようなことはなく、俺のすぐ近くの自分の席までやってくる。

 

 

「守、勉強は大丈夫か?」

 

「おう!課題はバッチリだ!」

 

「いや、そうじゃなくてテスト」

 

「……テスト?」

 

 

 夏休み明けということもあり、今日は課題テストがある。それの復習するために囲まれた時のらりくらりと躱したんだが、もしかしてコイツ……

 

 

「……お前、忘れてたろ」

 

「……うわあああああああ!!どうしよう柊弥ぁぁ!!」

 

「そんな日もある」

 

 

 守の悲鳴をBGMに教科書を開く。俺は知らん。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 テストが終わった。出来栄えは良いとは思う。とりあえず疲れたから購買に何か甘いものでも買いに行こう。

 

 

「おう加賀美」

 

「お前も糖分補給か?」

 

「染岡、風丸。お前らもか」

 

 

 購買に向かって歩いていると正面から風丸と染岡がやってきた。2人は勿論、半田や影野達も皆戻ってきている。こうして学校に来て皆と会うと、本当の意味で日常が戻ってきたことを実感させられる。

 

 

「なんかよ、皆がやたらと優しいんだ……」

 

「あんなピチピチの服着せられてとか、酷い演技させられてとか……心に来たよな」

 

「ああ……ドンマイ」

 

 

 染岡と風丸は分かりやすく項垂れる。エイリア石に手を出すことを選んだのはあくまで自分達。それに対して生暖かい視線を向けられたら……気まずいというかなんというか、な。まあ何だ……贖罪として頑張ってくれ。

 

 

「柊弥せーんぱい!」

 

「春奈、テストお疲れ様」

 

「先輩もお疲れ様です!」

 

「……慣れねえなあ、お前らが付き合い始めたってのは承知なんだけどよ」

 

「まあ、エイリア学園との戦いが始まる前から時間の問題って感じだったけどな」

 

 

 購買で何を買うか吟味していると、後ろから声が掛かった。振り向くと俺の胸元にすぐ飛び付いてくる。腕の中からこっちを見上げているのは、俺の大切な人。春奈と付き合い始めた、というのは別に公言していないけど、まあ分かるよな。昨日サッカー部皆で焼肉に行った時もずっとベッタリだったからな。

 

 

「先輩、今日一緒に帰りましょうね!」

 

「もちろん。久々の部活もあるからな」

 

「やった!」

 

「お熱いねえ」

 

「じゃあまた後で!」

 

「……音無、何も買わずに帰ってったぞ」

 

「そんなところも良いだろ?」

 

「俺の中の加賀美像が……」

 

 

 元気があって可愛いだろ。それでもし春奈のことを狙い始めたらちょっと容赦出来なくなるけどな。

 

 

「部活中にイチャつくのはやめてくれよ?」

 

「そこはちゃんと弁えるっての。副キャプテンだぞ」

 

「それはそれで面白いけどな」

 

「うっせ……じゃ、また後でな」

 

 

 ……絶対にやらない自信はないけどな。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「加賀美さん加賀美さん」

 

「どうした少林」

 

「何かキャプテン元気なくないですか?何か知ってます?」

 

「あー……ヒントはさっきのテスト」

 

「あっ……」

 

 

 待望の放課後がやってきた。早めに来たから皆が来るのを待っていると、段々と人が増えていく。本当に久しぶりだな、こういうの。

 ちなみに守は俺と修也、秋と同じタイミングで一番最初に来たけどずっとモノクロ化してる。絶望を体現したような佇まいだ。このままじゃキャプテンとして機能しないな。

 

 

「おいキャプテン、そろそろ始めんぞ」

 

「……おー」

 

「重傷だな。修也、ファイアトルネード」

 

「屋根突き破っても良いのか?」

 

「やっぱナシで」

 

 

 そんな理由で部室を壊したら多分夏未辺りに怒られる。ファイアトルネードで屋根をぶち破る修也はちょっと見てみたいけど。

 

 

「終わったら響木監督のとこで拉麺食おうぜ、な?奢ってやるから」

 

「よし!練習始めるぞ!!」

 

「コイツ殴っていいか」

 

「加賀美、ステイ」

 

 

 何はともあれ練習が始まる。準備運動、アップのランニング、課題練……本当に久しぶりだ。いつも通りの部活が出来てるのはもちろん、皆が揃ってるって言うのが何より嬉しい。皆も楽しいんだろう、終始笑いが絶えない良い練習だ。

 

 

「加賀美、今いいか」

 

「おうシャドウ、どうした?」

 

 

 それに、新しい仲間も増えた。シャドウだ。俺達が全国を巡っている時に雷門に転校してきてて、晴れてサッカー部の仲間入りを果たした。俺と修也、染岡の中に混ざっても全く劣らない凄いストライカーだ。チームの攻撃力がまた高まったな。

 

 

「ダークトルネードのスイングスピードをもっと早くしたいんだ」

 

「そうだな……」

 

 

 シャドウの代名詞、ダークトルネード。修也のファイアトルネードを自己流に落とし込んで得られた必殺シュートらしい。修也じゃなくて俺に聞いて来たのはスピードに関する話だからだろう。俺もファイアトルネードを撃てるけど、スピードだけで言ったら修也より俺の方が上だ。威力は比べ物にならないけどな。

 

 

「多分回転の勢いを活かしきれてないな。一瞬溜めを作ってるせいでトップスピードのまま打ち込めてないんだ」

 

「なるほど……でもそれだと威力が落ちないか?」

 

「足に込めるエネルギー量を増やしてみろ。あるいはもっと身体を鍛えるかの2択だ。後者は長い目で見ないとだけどな」

 

「やってみよう。消耗に関しては……それこそ鍛えるしかないな」

 

「今度俺がやってる特訓を教えてやるよ。意外と瞑想って良いんだ」

 

 

 シャドウにアドバイスをし終わったくらいのタイミングで紅白戦が始まる。キーパーは守しかいないから少しイレギュラーにはなるんだけどな。

 

 

「行かせないぞ、加賀美!!」

 

「止めてみろよ、風丸!!」

 

 

 目の前に立ちはだかるのは風丸。もうエイリア石の力は残っていないが、それでもかなりのスピードだ。本人達曰く、あの時の感覚が残っていてそれに身体が引っ張られている感じがするらしい。だからやけに消耗が大きいが、それなら身体を鍛え続ければいつか自力であれに近いレベルに到達するのも夢じゃないってことになる。当然自分の能力を今の200%以上まで鍛え上げるのは途方もない話。あくまで近付けるかもってだけだ。

 

 

 その話は置いといて集中しよう。風丸め、相当鍛えたな?一切手を抜いてないってのに俺の動きに完璧に着いてきやがる。この前リハビリと称して一緒にサッカーしてた時よりも明らかに速い。スピードでは互角だって言うなら、テクニックで上回るしかないな。

 

 

「くっ、流石だな加賀美!」

 

「お前こそ!!」

 

 

 これでもかとフェイントを混じえ、風丸の重心がブレた瞬間を狙って最高加速。風丸を置き去りにしてそのままゴールへ向かう。

 

 

「よし、来い柊弥!!」

 

「おう!!」

 

 

 目の前に構えてるのは守。いくら練習の中の紅白戦と言えど手は抜かない。全力でボールを踏み抜き、力を注ぎ込む。

 

 

"極"轟一閃ッ!!

 

正義の──

 

 

 あの戦いの中で進化した轟一閃をぶち込む。元々スピード重視だったこのシュートは、神速の域に達したという自負がある。もちろんそれに比例してパワーも一級品。仕上がったばかりの雷霆一閃以上のパワー、それに加え俺の必殺技の中でも随一のスピード。まだまだ強く、速くなれるだろうけどな。

 そんな轟一閃は守の反応速度を大きく凌駕し、ゴールネットに突き刺さる。

 

 

「くーッ、速すぎるぜ柊弥!!どうやったら止められるかな?」

 

「そうだな……シュートモーションで予め予測して正義の鉄拳の発動までを短縮するとか?まあ、同じ初動から雷霆一閃やライトニングブラスターに派生出来るし、撃ち出すタイミングをズラして対策の対策も出来るけどな」

 

「難しいな……けど、絶対止めてみせるからな!!」

 

「はっ、俺もその分成長してやるよ……ん?」

 

 

 守とそんなやり取りをしていると、視線の先に見慣れない人物が入り込んだ。生徒でも先生でもない、外部の人だな。しかもこっちを見ている。エイリア学園との戦いがあったから興味で見に来たここら辺の人?いや、それにしてはスーツだ。

 

 

「まあいいか」

 

 

 練習に集中しよう。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「ふう」

 

 

 部活が終わり、春奈を家まで送って俺も帰宅した。夕飯、風呂と済ませて特にやることも無くなった。当然課題は終わってるし、授業も別に復習するような内容はない。予習は……まあ良いだろ。

 

 

「ん?」

 

 

 とりあえずベッドで伸びている。すると、携帯が鳴った。これはメールが届いた通知音だな。

 

 

「……お」

 

 

 差出人は瞳子監督だ。前々から話してたことが正式に決定した、その連絡だな。日にちは……今週末か。善は急げって言うからな。瞳子監督が最初連絡をくれた時から結構、というか滅茶苦茶楽しみにしてた。

 

 

 さて、とりあえず明日の部活でやることを考えておこうかな。明日は最初のアップだけ全体でやった後に自由練習だからな。正確には考えるって言っても皆から鍛えて欲しいって声を掛けられまくったからそのメニューの考案だけど。

 

 

 まずはシャドウ、染岡。アイツらは今以上にシュートを磨きたいって言ってた。とりあえず身体を鍛えるのは当然必要事項として、シャドウに提案した瞑想トレーニングを取り入れるのも良いな。必殺技は鍛えた自分の身体とエネルギーを効率良く扱うのが大切だからな。少ない消耗でフルパワーを出せるようにしておけば、結果としてスタミナの向上にも繋がる。

 

 

 次に風丸。風丸は単純なスプリントを伸ばすのも良いけど、風丸自身にフェイント技術を仕込むのも良い。自分でテクニックを伸ばせれば、相手の技術面の強みにも抵抗出来るようになる。風丸ほどの瞬足ならそのスピードとテクニックを掛け合わせてDF以外の活躍も増やせるだろう。それに個人的な欲でもあるけど……アレを磨かせるのも良いかもしれない。そうすれば前衛、特に俺との連携手段も増やせる気がする。俺とアイツには2人のドリブル技もあるからな。

 

 

 そして壁山や栗松、少林に宍戸、一年生達だな。アイツらはとにかく身体を鍛えたいって言ってた。それなら俺がカオス戦前にやったあのトレーニングをやらせてみても良いかもな。いや、それより先にイナビカリ修練場フルコースを耐えれるようにした方が良いか?ナニワ修練場の自分が伸ばしたいコースのレベルMAXをクリア出来るくらいが俺の指標だったんだけど、大阪までは流石に……なあ?

 まあ良いか。明日俺も一緒にやってみよう。フルコースを試したことは無いからな。

 

 

 こんな感じで皆のことを考えてるけど、俺も自分の成長を考えないとな。轟一閃の進化でスピード面が伸びたから今度はパワーを付けるか?それも良いし、集中力を鍛えるのもアリだな。ジェネシス戦で鬼道が教えてくれたことが本当なら、それを続けていれば意図的にゾーンに入れるかもしれない。そこからもっと力を伸ばせる可能性だってある。例えば化身の感覚を掴めたりとかな。化身は俺自身もよく分かってないことが多すぎるし、頭の片隅くらいに置いておくくらいでちょうど良さそうだけどな。

 

 

 さて、こんなもんか。こういう風に皆が強くなれる方法を考えるのも久しぶり……いや、なんなら初めてか?フットボールフロンティアの時も、エイリア学園との戦いの時も自分以外の特訓をじっくり考えたことはない気がするな。頼まれて付き合うとかなら全然あったけど。

 それが出来るのも、あの戦いを乗り越えたから。このまま皆で頑張って来年のフットボールフロンティアも優勝したいな。後はもしかしたら、世界大会とか……はないか。プロの世界ならまだしもな。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「少し久しぶりね、加賀美くん」

 

「少しご無沙汰しております、瞳子監督」

 

 

 そして迎えた週末。家の外で待っていると一台の車がやってくる。運転席から顔を見せたのは瞳子監督。ジェネシスとの戦いが終わった時ぶりだから、1ヶ月は経っていないか?久しぶり、ご無沙汰というのにも微妙な期間だからお互いに変な挨拶になったな。

 

 

「さ、乗ってちょうだい」

 

「はい、お世話になります」

 

 

 俺は荷物を後部座席に置いて助手席に座る。

 

 

「あれからどうかしら?」

 

「もう絶好調ですよ。色々ありましたけど風丸達も戻ってきましたし、皆でまたサッカー出来ることのありがたさを噛み締めてます」

 

「あれは大変だったわね……研崎のことを忘れていた私の責任でもあるわ。ごめんなさい」

 

「そんな訳ないじゃないですか。瞳子監督が謝ることじゃありません」

 

「ありがとう。それで、他に何か変わったことはある?」

 

「そうですね……あ、春奈と付き合い始めました」

 

「……やっとくっついたのね貴方達」

 

「もしかして、バレてました?色々と」

 

「ええ勿論。だってことある度に距離感が近いんだもの。まだそういう関係じゃなくても、両想いなんだろうなってバレバレよ」

 

「お恥ずかしい限りで」

 

 

 そんな他愛もない話をしながら車は進んでいく。瞳子監督の近況を聞きながらたまに俺も周りのことを話して、あの戦いの日々を懐かしんだりもした。

 

 

「着いたわよ」

 

「……ここが」

 

「ええ。私やお父さん、あの子達にとってかけがえのない場所……」

 

 

 話をしていると案外すぐに目的地に着いた。時間的には結構掛かったんだけどな。

車から降りて、その目的地を一望する。そう、この場所が……

 

 

「……お日さま園」

 

「加賀美くん!!」

 

 

 その時、建物の扉が勢い良く開かれ、中から人が飛び出してくる。赤い髪を揺らしながらこっちに走ってくるのは──

 

 

「久しぶりだな、ヒロト。約束果たしに来たぜ」

 

 

 ──基山ヒロト。俺達と戦ったあのジェネシスのキャプテンであり、俺の友達だ。




日常回って難しいですね。前まで散々試合描写ばっかだったのでやたらと詰まりました。
そして柊弥がやってきたのはお日さま園。今回再会を果たしたのは瞳子さんとヒロトだけでしたが、次の話では多くの人物が出てくることでしょう。

本編では無いのでいつもより文字数が少ないですが、多分閑話のうちはこんな感じになると思います。今回は導入の話だったからというのはありますが、前話や前々話のように1万字を超えることは無いと思います…多分。
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