Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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最近イナイレ原作の新規連載増えてて嬉しいですね。もっと増えて欲しい…


第103話 不穏な蠢き

「それじゃあまたね、加賀美くん」

 

「おう、そのうちまた遊びに行く。瞳子監督もありがとうございました」

 

「こちらこそ、ありがとうね」

 

 

 翌日、瞳子監督の車で家まで送ってもらった。行きとは違う点はヒロトも着いてきたことだ。これで俺の家が分かっただろうし、今度はこっちに来てもらうのも良いな。ヒロトと緑川くらいなら全然俺の部屋で寝泊まり出来るだろうしな。何故砂木沼達がそこに入っていないのかというと……まあ、察して欲しい。だってアイツら、寝るってなった時に部屋まで押し掛けてきてずっと話してたんだよ。ヒロトと緑川が追い出してくれなかったら寝不足確定だった。

 

 

『加賀美!次会う時まで鍛錬をサボるなよ!』

 

『次は絶対ぶっ潰す!!首洗って待っとけ!!』

 

『今回は結局勝てなかったが……次はない!!絶対に私が勝つ!!』

 

 

 ……最後の最後まで暑苦しいヤツらだった。守に負けず劣らずだったな。

 

 

「次は絶対俺が勝ってみせるよ」

 

「上等」

 

 

 訂正。目の前のヤツもそうだった。

 

 

「さて、いくか」

 

 

 段々と車の姿が遠ざかっていく。帰ってきた矢先に忙しいが今日はまた予定が入っている。集合時間まではまだある……けど特にやることもないしもう向かうか。場所はいつもの河川敷だ。

 

 

「あれ、修也?」

 

「柊弥、奇遇だな」

 

 

 河川敷に向かう道中、見慣れた顔が前から歩いてくることに気付く。

 

 

「もしかして……お兄ちゃんがいつも話してる柊弥さん?」

 

「……あ」

 

 

 そして、その隣に小さな女の子がいた。そう、修也の妹である夕香ちゃんだ。直接話すのは初めてだな。

 というのも、夕香ちゃんはついこの頃まで意識不明の状態だった。去年のフットボールフロンティアの時期からだから一年以上だ。帝国を優勝させるための影山の謀略に巻き込まれ事故に遭ってしまったが、何の因果かその影山が率いる世宇子中に勝って間もない時に目を覚ましたらしい。その後すぐ俺達は全国を巡る旅に出た上に修也はチームを離れたから、ようやく兄妹の時間が戻ってきたってことだよな。

 

 

「初めまして夕香ちゃん、修也の相棒の加賀美 柊弥です。よろしくね」

 

「お兄ちゃんも同じこと言ってた!!」

 

「夕香、自己紹介しなさい」

 

「あっ、ごめんなさい。お兄ちゃんの妹の豪炎寺 夕香です!」

 

「うん、よろしく」

 

 

 修也がお兄ちゃんしてるの新鮮だな。鬼道と春奈も兄妹だが歳の差もあってこの2人ほどの兄妹感がないからな。

 

 

「これから音無とデートか?」

 

「いや、春奈じゃないがこれから人と会う約束をしててな。そっちは?」

 

「ただの散歩だ。夕香が身体を動かしたいって言っててな」

 

「なるほどな。外に出れるようになって本当に良かったな」

 

「ああ、本当に……」

 

「じゃ、そろそろ行くわ。またね、夕香ちゃん」

 

「うん!バイバイ!」

 

 

 兄妹、か。俺は一人っ子だから少し憧れるな。一人だったからサッカーとかで我儘を言えたのかもしれないけどな。

 

 

「まだ来てないか」

 

 

 そんなことを考えながら歩いていると目的の河川敷に着いた。集合よりだいぶ早く来たから当然アイツはまだ来てない。休日の昼間ってこともあってか結構人がいるな。片側のゴールの確保だけして軽く動いておくか。

 

 

 そういえば明日からの部活はどうしような。この前から皆に頼まれてメニューの考案とかやるようになったけど、意外とこれが楽しい。どうやったら皆が伸びるのか、どういう特訓が効果的なのか。これをやることで俺自身も成長への活路が見えてくる。案外俺って選手よりも指導者とかに向いてるのかもな。

 それにしても将来か。今まで漠然としか考えたことなかったな。プロの選手はもちろん、学校の先生なんかにも興味がある。何か大きな事業をやってみたいとも思うし、今考えたみたいにサッカーの指導者も面白そうだ。確定路線は……このまま春奈と添い遂げることだな。それだけは譲らない。

 

 

 ……話が逸れたな。まずは目の前のことを考えよう。これからチームとしてのレベルアップを目的するのは勿論だけど俺自身ももっと強くなりたい。それこそ、プロになれば世界を相手することになる。その中で一番浮き彫りになる課題は多分海外選手とのフィジカル差かな。幸いにして中学の折り返しで170cmはある。筋肉量は鍛えれば何とかなるかな。当たり負けしないフィジカル、なおかつ何もかも突破できるくらいのスピード、それを最大限活かすテクニック、ストライカーとしてゴールをぶち抜くシュート。課題は山積みだな。

 どこかで一度世界を体験出来る機会があれば良いんだけどな……それこそアイツみたいにサッカー留学に行くとか。ただ皆とは離れたくないな……海外に行くとなると親にとんでもない金銭的迷惑も掛かる。それは流石に申し訳ない。

 

 

「やあ、もう来てたんだね」

 

「お、来たか……アフロディ」

 

 

 色々考えながら半コートをジョギングしているとアフロディがやってきた。今日約束していたのはコイツだ。明日には韓国に行くから最後に会っておきたいと声を掛けられ、せっかくならサッカーしながらどうだと提案して今に至る。

 

 

「どのくらい韓国にいるんだ?」

 

「そうだねえ、来年のフットボールフロンティアの時期までには帰ってくる予定だよ。多分進級したタイミングかな」

 

「じゃあまた大会で会えるな」

 

「そうだね、次は最初から真っ向勝負だよ」

 

 

 練習着に着替えたアフロディとパス回しをしながら例の韓国留学の話をする。ちなみにその練習着は世宇子のユニフォームみたいにヒラヒラはしていない。

 

 

「俺も少しサッカー留学に興味が湧いてきたんだが、如何せん出費がな……」

 

「なるほど。僕はあっちに親戚がいるからそのあたりは大丈夫なんだけど……韓国に一緒に来るかい?」

 

「その手があったか……いや、でも雷門の皆と一緒にいたいから遠慮しておく」

 

「ふふ、それが良いよ」

 

 

 アフロディに着いていくって発想はなかったな。そうだな……雷門中を卒業して高校に上がるまでの期間でまだ心変わりしてなかったら相談してみるか。少なくとも、今はこのままで良い。

 

 

「そういえば加賀美くん、雷門の練習に変な大人は来なかったかい?」

 

「変な大人?」

 

「うん。スーツを着て髭を生やした、肩くらいまで髪を伸ばしてる4、50代くらいの」

 

「……あ、そういえばいたな」

 

 

 ヒロト達のところにいく数日前の練習でまさにその特徴と一致する人が見に来てたな。世宇子中にも来てたのか?

 

 

「俺は見覚えないんだが、アフロディはどうだ?」

 

「僕もないね……新しい監督にも聞いてみたんだけど詳しいことは分からないって。もしかしたら何かユースチームへのスカウトじゃないかとか、そんな話を皆としてたよ」

 

「ユース……プロを目指しての育成チームか」

 

 

 なるほど、それなら合点が行く。優勝校と準優勝校である雷門と世宇子に視察に来てたってところか。それなら他の出場校にも同じ人が来てるかもな。例えば帝国とか、木戸川とか。

 

 

「仮にユースからの誘いが来たら、どうする?」

 

「迷うな……高校の部活でサッカーをしたい気もするし、プロを本格的に目指してサッカーをしたい気もする。そのドリブル甘いぞ」

 

「手厳しい。なるほどね、ユースにいくなら必然的にプロを目指すことになるし、将来の選択肢も狭まることになりそうだしね」

 

「そういうこと」

 

 

 デュエルをしながらもしもの話をする。実際ユースを目指すと部活に参加したり普通の高校生大会に出られたりはしないって聞くけど、その辺どうなんだろうな。皆が皆ユースに入れるわけじゃないし、その道を選ぶと今サッカーしてるヤツらと高校で戦えないことになるかもしれない。それは嫌だ。将来守や修也、鬼道と別のチームで戦ってみたりしたいからな。

 

 

「その話で思い出したけど、加賀美くんどこの高校に行くとか考えてるのかい?」

 

「迷ってるな。勉強で選ぶかサッカーで選ぶか。もしどっちも取るなら慶真とか帝国高等部かな?ただ帝国高等部の外部入学はだいぶ難しいらしいんだよな」

 

「悩ましいね。僕も同じ路線で考えてるんだけど、やっぱりその二校かサッカーの名門、陽閃かな」

 

「陽閃か、優勝常連校なんだっけか」

 

 

 高校の話なんてあんま考えたことなかった。家から通えるか、寮生活するかも考えないとだからな。勉強はそれなりに出来る方だから選択肢は広く持てるのが救いだ。

 

 

「色々考えることは多いな」

 

「そうだね」

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「轟さん。例のプロジェクトの選考は終わったんですか?」

 

「ああ、ついさっきな」

 

 

 都内某所、日本少年サッカー協会。そのとある一室。

 

 

「まさかスペインからこんな誘いが来るとは、思ってませんでしたね」

 

「うむ。しかも我々日本だけでなく、イタリアも招待されてますからね」

 

「カタルーニャの巨神、イタリアの白い流星、伝説のヒーロー……凄いネームバリューです。ここに並べる選手がこの国にいますかね?」

 

「案ずるな、しっかりと見つけてきたぞ……世界の頂点にも立ちえる逸材をな」

 

 

 そういうと轟と呼ばれた男はとある資料を差し出す。

 

 

「彼は……確か雷門中の」

 

「ああ。加賀美 柊弥、先のエイリア学園事件でも雷門イレブンの第一線で活躍し続けた男だ」

 

「確かに彼なら世界とも戦えるかもしれませんね……」

 

 

 轟はその男を尻目に、用意されている自分のデスクに腰掛ける。そのデスクに置かれている卓上プレートに刻まれた彼の役職は……日本少年サッカー協会統括チェアマン。

 

 

「三国親睦会……これを機に日本のサッカーが世界に羽ばたくやもしれんな」

 

 

 そんな彼が目を落とした書状に記されているのは、とある催しについて。その内容は……日本、スペイン、イタリアによるサッカー少年の強化合宿。世界との接点を望む柊弥にとってこの上ない話が秘密裏に進んでいるのであった。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「いやあ、日本を発つ前に良いサッカーが出来たよ。ありがとう」

 

「こっちこそ。最後にお前とやれて良かった。全然最後ではないんだけどな」

 

「また帰ってきたらよろしく頼むよ」

 

 

 あれから1時間くらいサッカーして、他にコートを使いたそうな人が集まってきたので切り上げることにした。こうして2人とかでボールを蹴るのは久しぶりだったな。

 

 

「じゃあ、あっちで頑張ってこいよ?次会う時まで俺ももっと強くなっとく」

 

「勿論さ。また全力でぶつかるために、全力で磨いてくるよ」

 

「全力のために全力、か。良いなそれ」

 

「君が教えてくれたことさ……それじゃ、またね」

 

「ああ、またな」

 

 

 片付けが終わり、帰路に着く。逆方向のアフロディと別れを済ませて歩き出す。またアイツと会うのが楽しみだな。一体どれだけレベルアップしてることか。俺も負けないように頑張らないとな。

 

 

「あれ、柊弥じゃん」

 

「守。こんなとこで何してたんだ?」

 

「俺は鉄塔特訓の帰りだよ、お前は?」

 

「さっきまでアフロディとサッカーしてた」

 

「ええ!?俺も誘ってくれよ!」

 

「悪い悪い。2人で積もる話があったんだよ」

 

 

 歩いていると偶然守と出くわした。泥まみれになってるのを見るに、また一人で相当やってたみたいだな。コイツのタイヤ特訓だけは真似れる気がしないな。いや、でもタイヤに当たり負けしないほどのキック力って相当凄いんじゃないか?そう考えるとちょっとやってみたくなってきたな。

 

 

「それにしてもさ、いざいつもの日常が戻ってくると何だか変な感じするよな」

 

「確かにな。長い間ある意味使命を背負って戦ってきたようなもんだったし」

 

「そうそう。急に肩の荷が降りたって言うのかな?」

 

「ま、ずっとそれを目指して俺達は頑張ってきたんだけどな」

 

「だな!」

 

 

 守が言いたいことは分かる。エイリア学園との戦いが始まってからはずっと緊迫感のあるサッカーばっかだったからな。楽しいことが全くなかった訳じゃないけど、最初は地球の命運を守るため。最後は野望を止めるために戦ってたからな。それから解放されて前みたいな楽しいサッカーが出来てるっていうそのギャップってヤツだな。

 

 

「そういえば柊弥、明日俺の特訓に付き合ってくれよ!」

 

「お前もか……まあ良いけど」

 

「あ、最近お前皆の特訓に付き合ってるもんな。響木監督がいない時もお前と鬼道で何とかなるな!」

 

「職務放棄か?キャプテン」

 

「いやー、皆のメニュー考えるのとかはあんまり得意じゃないからさ」

 

「まあ確かにそうだよな。お前に任せると皆でタイヤ特訓とか始まりそうだ」

 

「タイヤ引きながらのランニングとか良いぞ?体力つくし」

 

「重りつけてのランニングは俺もしてるし、慣れてきたらありだな」

 

 

 守と部活の話をしながら歩いてると、気付いたら家の前まで辿り着いていた。夢中になりながら話してると本当にすぐだな。

 

 

「じゃあ柊弥、また明日な!」

 

「おう、お疲れさん」

 

 

 

 ーーー

 

 

「トウドウ議長!!」

 

「何だ騒がしい」

 

 

 静かな会議室の扉が突如として蹴破られ、慌ただしい様子で眼鏡をかけた男が入ってくる。セカンドステージ・チルドレンへの対策を会議していたその場にやってきた男を睨むトウドウだったが、男の様子からただ事ではないと察する。トウドウの記憶ではその男は観測員。会議している最中にまたフェーダ関連の騒動かと頭が痛んだが、男の発言はその予想を大きく越えてきた。

 

 

「エージェント・ガンマより報告……加賀美 柊弥の時代にタイムジャンプが出来ないとのことです!!」

 

「何だと?まさかヤツか?」

 

「いえ、ヤツはフェーダに見つかり現在交戦しつつ逃走中、そんな余裕は無いはずです!!」

 

「どういうことだ!何故そんなことになる!」

 

 

 トウドウでは無い別の男が騒々しく席から立ち上がり、男を問い詰める。しかし男もその原因など知るはずがなく、上の立場からの怒声に萎縮してしまう。

 

 

「何故だ……まさか、覚醒か?」

 

「いや。覚醒したとしてもタイムジャンプに影響はないだろう」

 

「では何故……」

 

 

 考え込むトウドウ、それに指摘するサカマキ。他の要人達も様々な憶測を繰り広げるが、一向に結論には辿り着けない。

 

 

「失礼します!!」

 

「何か分かったか!?」

 

「い、いえ!直結する事実は何も……」

 

「直結する、ということはそうではない何かは分かったのか?」

 

「は、はい!これを……」

 

 

 その場の空気を切り裂くように新たにもう一人の男がやってきた。その男が何やら端末を操作すると、会議室のディスプレイに資料が表示される。

 

 

「これは……時空干渉の数値?」

 

「……まさか、我々以外に加賀美 柊弥の時代に接触している人物がいるのか!?」

 

「人物、ではなく組織の可能性もある。どちらにせよ……我々には不都合極まりない。現状フェーダ共の力を削ぐのに一番有効と考えていた加賀美 柊弥の封印を敢行できなくなったのだからな」

 

「ヤツでも我々でもない……一体何者なのだ」

 

 

 自分達以外に過去に干渉している存在の誕生。200年後の未来は更なる混沌に包まれていく。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「よし、じゃあ今日の練習はここまで!」

 

「全員クールダウン忘れんなよ」

 

 

 その翌日、いつものように部活が始まり終わる。柊弥や鬼道が考案したメニューや、響木からのメニューもこなす。エイリア学園の騒動の前よりも充実した部活生活を送っていた。

 

 

「春奈、手伝うぞ」

 

「良いんですか?ありがとうございます!」

 

 

 練習終わりのクールダウンに勤しむ他のメンバーをよそに柊弥はマネージャー達、主に音無の元へ向かう。部員たちが使ったタオルの洗濯やドリンクボトルの洗浄。部内でぶっちぎりの運動量を誇るにも関わらず、平然とマネージャー業務である後片付けを終わらせる。

 

 

「アイツ、良くやるなあ」

 

「音無と早く帰宅デートするためだろ」

 

「ほんと仲良いッスよねえ、あの2人」

 

「加賀美のやつ、付き合い始めてから明らかに吹っ切れたよな……」

 

 

 そんな柊弥を見て苦笑いを浮かべる一同。しかしそこに悪感情はない。ただただ暖かく見守っているようなもの。

 

 

 ただし、一人を除いて。

 

 

「……」

 

「鬼道」

 

「……止めてくれるな、豪炎寺」

 

「いや、そのうちお前が柊弥を刺すんじゃないかって不安なんだが……」

 

「安心しろ、法には触れん」

 

「そういう問題じゃないんだが」

 

 

 静かに黒い炎を燃やす男、鬼道 有人。この男が仁義なき戦いを繰り広げることになるとは誰も思っていなかった。




仁義なき戦い(一方的なもの)
どうやら柊弥を狙っていた人達に何かアクシデントが起こっているようです。一体何が起こっているんだ…
次回第104話 加賀美 柊弥暗殺計画、果てさてどうなることやら。
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