Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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先行試合終了とお別れです
原作とは少し順番変わってます


第113話 決定、日本代表

 ハーフタイムの会議を切り上げて後半に向けての準備に入る。ポジションに着くと予想外の光景が移り込む。最前線に立っていたのは修也、そして……風丸だった。攻めの手数を増やしてきたか、これは止めるのに苦労するな。

 

 

「行くぞ、風丸」

 

「ああ!」

 

 

 後半開始。修也からボールを受け取り早々に風丸は攻め上がってくる。

 

 

「いかせないよ!」

 

「ふッ、止めてみろ吹雪!」

 

 

 そんな風丸の正面を抑えたのは吹雪。スピードはほぼ互角、その裏で修也や虎丸、シャドウが動いている。ここはパスコースを潰しに動くのがベストか。1番自由にしておくと面倒なのは……シャドウだな。修也達の影に隠れて完璧に裏取りしに来ている。

 

 

「おっと、いかせねえよ加賀美クン」

 

 

 動き出そうとしたその時、急に行く手が阻まれる。身体を差し込んできたのは不動だ。コイツ、前半は完全に存在感を消えてた。あれは意図的だったか?

 

 

「この試合におけるエクストラであるアンタを抑え込むのが一番手っ取り早いからねェ。殴らないでくれよ?」

 

「ちゃんとサッカーしてる以上は手は出さねえよ」

 

 

 しかしコイツ厄介だな。俺の動きに完璧に合わせてプレスしてきやがる。しかもボールの動きに合わせて、俺に繋げられそうなパスコースをその都度遮るように立ち位置を調整してる。上手いな……どうする?パワープレイで突破しようものなら、コイツならファールになるように振舞いそうだ。

 

 

 さてどうする?まず不動を振りほどいて自由にならなきゃどうしようもない。

 

 

「豪炎寺!」

 

「おっと、行かせねえぞ!!」

 

 

 視界の先では吹雪のマークを突破し、風丸が修也へパスを送り出していた。ボールを受け取った修也はそのまま走り出す……ことは叶わない。点取り屋としての嗅覚が機能したのか、染岡が修也をドンピシャで抑え込む。単純な当たり強さなら染岡の方が上だ、不利と判断して修也はボールを後ろへ戻す。

 

 

「よし」

 

(アイツが来る……!)

 

 

 そしてそのバックパスを受け取ったのは……鬼道だ。アイツにボールを持たせるのはマズい。さっきはこっちが攻める側だったから何とかなったが、鬼道がボールを持って攻めるとなれば抑えるのは相当に困難。思考で勝てる可能性があるのは多分俺だけ、けどその俺は不動に完全に抑えられてる。

 

 

「止める!」

 

「すまんな佐久間……イリュージョンボール!

 

「くッ、ダメか……!?」

 

 

 さっき鬼道を抑えてくれた佐久間がボールを奪いに行くが、鬼道の圧倒的テクニックは止められない。こうなったら力尽くで──

 

 

「おっと、行かせねえって」

 

(やたら上手え……!)

 

 

 キツイな。これは多分……いや間違いなく俺と同じ読み。自分が1番阻止したい、相手にとって最高の行動。それを読んで潰しに来てる。しかも目的は攻めるでも守るでもなく、俺の動きを止めるという超限定的かつ少ない労力で実現出来るもの。それを振りほどく側は楽じゃない。

 

 

(こういう時は……待つ)

 

 

 下手に動いて不利になるくらいなら、自由になれる絶好のタイミングをひたすらに待つ。たまには我慢が道を開く時もあると信じよう。

 

 

 

 ---

 

 

 

(ヤツのおかげなのは不本意だが、不動が加賀美を抑えていることで随分と動きやすくなった……この機を逃す訳にはいかん!!)

 

 

 柊弥が不動によって動きを制限されている中、鬼道率いるBチームの攻めはこの試合最高の精度で機能していた。風丸を前線に上げたことによる手数の増加、前半で凄まじいシュートを見せた豪炎寺のプレッシャー、そして鬼道と同レベルの読みを展開する柊弥の束縛。まさに絶好のチャンスというに相応しい。

 

 

「風丸!!」

 

「おう!」

 

「行かせないッス!!ザ・ウォ──

 

「俺は囮さ……シャドウ!!」

 

「もらった……!」

 

 

 1人抜けた風丸の行く手を阻む壁山。しかしそれは風丸の想定内だった。シュートモーションは完全にフェイク、軸足で僅かに角度を変えながらカーブが掛かったパスを送り出す。その先に走り込んでいたのはシャドウ。受け取ったボールを高く蹴り上げ、闇の炎を纏いながら自身も跳び上がる。

 

 

ダークトルネード!!

 

「点はやるもんか!!」

 

 

 シャドウの十八番であるダークトルネードが放たれる。それを円堂は万全の構えで迎え撃つ……はずだった。

 

 

「う、おおおおおおおッ!!」

 

「飛鷹!?」

 

 

 何とその間に割り込んだのは飛鷹だった。この試合では立ち尽くすのみで何もしていなかった飛鷹。だからこそその行動はその場にいた全員にとって予想外。だがしかし飛鷹が脚を振り抜いたのはシュートからかなり離れた距離。それではシュートブロックになるはずがなかった。

 

 

 そう、普通なら。

 

 

「何だ……!?」

 

 

 シュートがある位置まで到達した途端、その威力が急激に殺された。まるで突如乱気流の中に放り込まれたように軌道がブレたのだ。先程までとは打って変わり、まるで子どもが投げたもののように緩やかにゴールへと向かっていくボール。当然円堂はそれをがっしりと受け止める。

 

 

「今のは……飛鷹が?」

 

「円堂!こっちだ!」

 

「あ、ああ!頼むぞ佐久間!」

 

 

 一体何が起こったのか呑み込みきれない円堂。しかしそんなことを悠長に考えている時間はなかった。いち早く動き出した佐久間へと受け止めたボールを送り出す。

 

 

(加賀美の動きは封じられる、それなら一番突破力が高いのは誰だ!?パワーがある染岡か、スピードの吹雪、オールラウンダーなヒロトか──)

 

「もらったぁ!!」

 

「──ッ、しまった!!」

 

 

 佐久間は冷静に戦況を俯瞰しようとしていた。だがそこで脚を止めてしまったのが悪手。気配もなく迫ってきていた虎丸が佐久間からボールを奪い取り、再び流れはBチームへ。

 

 

「行かせねえよ!!」

 

「そこッ!!」

 

「うおッ、マジか!?」

 

 

 虎丸の動き出しを潰しに行ったのは綱海。完全に不意を突かれ体勢を崩した虎丸だったが、何と前に倒れながらボールを繋いだ。正確に放たれたそのパスが向かう先は──

 

 

「よくやった、虎丸」

 

 

 Bチームの主砲、豪炎寺だ。豪炎寺と円堂の間に立つものはいない。再びこの2人が衝突する……はずだった。しかし一人だけそれを阻止するために動けていた男がいた。

 

 

「やらせねえぞ、豪炎寺!!」

 

「土方……!」

 

 

 何故土方が豪炎寺の動きを完璧にキャッチ出来たのか……答えは単純明快。エイリア学園との戦いの中で雷門を離れた豪炎寺を匿っていたのは土方。強さを求めて一心不乱に特訓していた彼の姿を土方はずっと見てきたのだ。だからこそ、豪炎寺という男の強さをずっと警戒していた。

 

 

(撃てそうにない……それなら──)

 

「鬼道!!」

 

 

 先程柊弥と対面した時のように爆熱ストームの放熱で強行突破も不可能と踏んだ豪炎寺は一旦ボールを下げる。走り込んできていた鬼道がそれを確保、そのままシュートを狙う。

 

 

「行くぞ円堂!オーバーヘッドペンギンッ!!

 

「お前のシュートは久しぶりだな、鬼道!」

 

 

 薄紫色のエネルギーに満ちたボールが5匹のペンギンと共に襲い掛かる。円堂は久々に目にする鬼道のシュートに笑みを浮かべながら拳に力を溜める。

 

 

正義の鉄拳(G2)!!」

 

「くッ、ダメか……!」

 

 

 だがあくまで鬼道の本業はMFであり司令塔。その上で円堂の本気を突破するのはかなり難しい。ペンギン達は打ち砕かれ、威力を殺されたボールは弧を描いて飛んでいく。

 しかし、そのボールが飛んでいったのは円堂達Aチームにとってマイナスとなりうる方向だった。

 

 

「お、ラッキー……」

 

 

 そこにいたのは……不動。攻めに転ずる機会を伺っていた不動にとってこのボールは僥倖。ニヒルな笑みと共に不動はボールに狙いをつける。

 

 

「意識、逸らしたな?」

 

「ッ!しまッ──」

 

 

 突如として不動の背中に悪寒が走る。そう、不動はその野心に気を取られて一瞬意識を逸らしてしまった。止めておかなければ自分どころかチームのチャンスすら喰らい尽くす、圧倒的存在から。

 

 

「お前なら来ると信じていたぞ、柊弥!!」

 

「今日はよく会うな、修也!!」

 

 

 不動の拘束を振りほどいて飛び出したのはそう、柊弥だ。横に弾け飛んだ後に鋭角に曲がるように飛び出し、その勢いのまま跳び上がる。ボールを確保した柊弥はすぐさまカウンターを狙ったが、それを阻止すべく豪炎寺も同じ一点へ向かってきていた。自分の相棒である男なら絶対に来るという真っ直ぐな信頼が為せる技だ。

 

 

はァッ!!/らァッ!!

 

 

 豪炎寺は炎を、柊弥は雷を脚に纏わせながら互いに蹴り込む。先程の爆熱ストームと雷霆一閃の衝突ほどではないが、凄まじい衝撃波がフィールド全体を叩く。

 

 

「勝つのは……俺だァァァァァ!!」

 

「負けるかァァァ!!」

 

 

 互いの脚に更なる力が込められる。それに呼応するように炎と雷は暴れ狂い、もはや誰の追随も許さない。

 

 

『──ッ!?』

 

 

 しかし、その意地と意地のぶつかり合いは突如終わりを迎える。先程は豪炎寺の爆熱ストームが柊弥を上回り、シュートとして炸裂した。だが今回は完全なる拮抗状態に陥り、エネルギーがボールの許容量を越えてしまった。結果そのエネルギー達は爆発へと変換され、その原因たる2人へと襲い掛かる。

 

 

(あの2人のぶつかり合いならきっと──)

 

「ここだッ!!」

 

 

 そしてそのボールも爆風に乗り飛んでいく。誰にも予測出来なかったはずのその着弾点に走り込んでいたのは虎丸だった。そこはAチームのゴール付近、シュートコースも開けている。

 

 

(来るッ!!)

 

「……お願いします!!」

 

 

 円堂はすぐさま虎丸に警戒を向ける。しかし次に虎丸が取った行動は全くの予想外のものだった。シュートモーションから送り出されたのは真横へのスルーパス、そのパスが向かう先には緑川が。

 

 

「ナイスパス……アストロブレイクッ!!

 

「しまッ──」

 

 

 虎丸からのパスに完璧に反応した緑川はそのままシュートを放つ。かつてジェミニストームのキャプテンとして雷門イレブンを恐怖に陥れたアストロブレイクが再び円堂へと襲い掛かる。

 しかし今回のアストロブレイクはスピードに重きを置いていた。そして円堂は予想外のパスに反応が遅れた。咄嗟に飛び出した拳をすり抜けるようにシュートはゴールへと突き刺さる。

 

 

「よしッ!!」

 

「ナイスシュートだ緑川!!」

 

「……引き分けだな、修也」

 

「いいや、さっきのと合わせて俺が一勝一分だ」

 

「この野郎」

 

 

 

 ---

 

 

 

 この選考試合ももう終盤だ。俺と修也の衝突から緑川がゴールを決めてからというものの、追加点はない。また序盤のような拮抗に陥っている。ボールを奪い奪われの繰り返し、中々試合展開が動かない。序盤は互いに上手く動けていなかっただけだけど、今は違うな。逆に上手く動くようになって相手にやりたいことを潰せるようになっているのと、体力の消耗だ。かく言う俺もだいぶキツい。

 

 

「そのボール貰うぜ加賀美くんよォ!!」

 

「渡さねえよッ!!」

 

 

 どこからともなく現れた不動がタックルを仕掛けてくる。馬鹿正直にぶつかったら当たり負けしかねない、ここは冷静に力を受け流すのがベストだ。

 

 

「まだだッ!!」

 

「次はお前か鬼道ォ!!」

 

 

 マズイな、今鬼道との対面はキツすぎる。鬼道を突破するためには読み勝った上でスピードでぶち抜くのがセオリー。けどそんな体力はもう残ってない……どうする?

 

 

「加賀美くん!!こっちだッ!!」

 

「お前はいつも良いとこにいるな……ヒロトッ!!」

 

 

 思考を巡らせているとヒロトが飛び出してくる。鬼道のプレスが甘く、それでいてパスを通しやすいフリーの場所だ。出し渋る理由はない、迷わずヒロトへとパスを出す。

 

 

「へッ、行かせねえって──」

 

「お前もな!!」

 

「ッ、やり返されるとはねぇ……!」

 

 

 ヒロトを潰しに抑えにいこうとした不動を逆に俺が抑え込む。仕返しも兼ねてな。さっきやられたみたいにずっと止めておく必要は無い。一瞬でもその動きを止めれば、アイツならゴール前へ辿り着く。

 

 

「今度はやらせないでやんス!!」

 

「止める!!」

 

「手厚いね……それなら!!」

 

 

 俺の予想通りヒロトはゴール前に到着したが、栗松と木暮が完璧にヒロトに着いた。あれじゃシュートに移るのは厳しいな……どうする?

 

 

「ヒロトくん!!」

 

「吹雪くん……!任せた!!」

 

 

 その時ヒロトに救いの手を差し伸べたのは吹雪。風のように走り込んできてヒロトからのパスを受け取る。

 

 

ウルフレジェンド……オオオオオオオッ!!!

 

 

 戦場に響くのは狼の咆哮。心胆を寒からしむような雄叫びと共にシュートが襲い掛かる。

 

 

「速───」

 

 

 凄まじいスピードだった。この試合の中で決まったどんなシュートよりも圧倒的、立向居に一切の反応を許さないほどに。

 

 

『ゴォォォォル!!吹雪のウルフレジェンドが炸裂!!2-2の同点を打ち破ったのは狼の咆哮ッ!!Aチームが勝ち越したァァァァァ!!』

 

 

 得点を告げた後、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。試合終了……3-2で勝ったのは俺達だ。

 

 

「──ッ、疲れた……」

 

 

 ホイッスルが俺達の緊張の糸を斬る。その場に俺が倒れ込むと同時に、他の皆も座り込んだり倒れ込んだり様々だ。

 

 

「俺、皆の力を引き出せたかな……」

 

「俺も……皆を活かすゲームが出来ただろうか」

 

「見せてもらったぞ。これで運命の選択をしなければならん」

 

「監督……」

 

 

 青空を見上げていると、すぐ近くで守と鬼道が話す声が聞こえてきた。そこにやってきた響木監督の声も。直後、秋から休憩に入り30分後に再集合の旨が伝えられる。

 

 

「やあ加賀美、お疲れ様」

 

「ヒデか。どうだ?日本のサッカーは」

 

「素晴らしいよ。キミ達と戦うのが楽しみだよ」

 

「じゃーねカガミ。また世界で」

 

「おう、またな2人共」

 

 

 ベンチに戻ってドリンクを流し込んでいると、後ろから声が掛けられる。ヒデとルカだ。俺の問い掛けにヒデは笑みだけを残し、ルカと共に去っていく。ルカはイタリアの代表になるのか分からないが……ヒデ、そしてフィディオと戦うなら勝ち続けないとな。まずは代表に選ばれないと話にならないんだが。

 

 

「柊弥先輩、さっきの人達は?」

 

「友達だよ、ライバルでもある」

 

「へえ……あ、そんなことより選考試合、お疲れ様です!」

 

「ありがとう。一体どんなヤツらが選ばれるのか、楽しみだな」

 

「柊弥先輩なら絶対選ばれますよ!!私が保証します!!」

 

「頼もしい」

 

 

 ヒデ達が去った後、その様子を見ていたのか春奈がこちらへやってくる。そのまましばらく話していると、響木監督から集合の声が掛かる。さて……運命の時だな。

 

 

「さあ、僕のチームメイトになるのは誰かな」

 

「強いヤツが生き残る、自然界の掟と同じさ」

 

「アンタ達が生き残るとは限らないけどね、うっしっし!」

 

 

 そうだ。誰が生き残るとは限らないんだ。キャプテンだったからって守、鬼道が選ばれるとは限らない。点を決めたからって、俺や修也達が選ばれるとは限らない。全ては監督の意志の元。

 

 

「ん……?誰だ、あの人」

 

「分からん」

 

 

 そんな話をしていると、響木監督と知らない男の人がやってくる。誰も見覚えないらしい。当然俺もない。

 

 

「代表選手発表の前に、日本代表の監督を紹介する!!」

 

「!?」

 

「私が日本代表監督の久遠 道也だ。よろしく頼む」

 

「響木監督は……代表監督じゃないんですか?」

 

「久遠なら俺以上にお前達の力を引き出してくれると判断したからだ」

 

「それでは……代表メンバーを発表する」

 

 

 誰が監督になるかについては俺達が決めることじゃない。響木監督がそう判断したならそうなんだろう。俺達に出来るのは……結果を受け入れることのみ。

 

 

「……鬼道 有人、豪炎寺 修也」

 

『はい!』

 

「基山 ヒロト、吹雪士郎」

 

『はい!』

 

「風丸 一郎太、綱海 条介、木暮 夕弥」

 

「おう!」

 

『はい!』

 

「土方 雷電、緑川 リュウジ、立向居 勇気」

 

「おう!!」

 

「はい!」

 

「はい!!ほっ……」

 

 

 続々と選ばれたヤツらが呼ばれていく。

 

 

「不動 明王」

 

「……へっ」

 

「宇都宮 虎丸、飛鷹 征矢」

 

「はい!」

 

「ッ、はい!」

 

「壁山 塀吾郎」

 

「はいッス!!」

 

「良かったでやんスね、壁山!!」

 

「栗松 鉄平」

 

「お、俺もでやんスか!?」

 

 

 これで15人。残された枠は……あと2つ。

 

 

「最後に……キャプテン、円堂 守。副キャプテン、加賀美 柊弥」

 

「はい!」

 

「……はいッ!」

 

(よしッ、選ばれたッ!!これで世界と戦える!!)

 

「以上17名を日本代表、イナズマジャパンのメンバーとする」

 

 

 日本代表に正式に選ばれた歓喜に震える。ヒデやフィディオ、クラリオ達と世界の舞台で戦える。それだけじゃない、まだ見ぬ強者達とも会えるんだ。

 ……だけど、その裏で選ばれなかったヤツらもいる。染岡や佐久間、シャドウにマックス。コイツらの想いを……俺達皆で背負うんだ。

 

 

「おい加賀美!俺たちの分まで暴れて来いよ!!」

 

「染岡……おう、任せとけ!!」

 

 

 染岡の拳を受ける。震えてる、隠しきれない悔しさがあるんだろう。……俺が染岡の立場なら、きっと同じだ。だからこそ受け取る、染岡達の分まで暴れてやる。

 

 

「マネージャーも紹介する。木野 秋、音無 春奈」

 

「はい!」

 

「頑張ります!」

 

「そして……久遠 冬花」

 

「はい」

 

「ん……?もしかして、ふゆっぺ!?」

 

 

 俺達の盛り上がりを遮るように久遠監督が声を上げる。俺達をサポートしてくれるマネージャー達の発表だ。秋に春奈、そして聞いたことない子だ。苗字から察するに、久遠監督の娘さん?そして何やら守が食いつく。知り合いなのか?

 

 

「ねえ、ふゆっぺじゃない!?ほら俺、サッカーの守くん!」

 

「守くん……?」

 

「そうそう!」

 

「……ごめんなさい、多分人違いだと思います」

 

「あれ?」

 

「いや違うんかい」

 

 

 変な関西弁が出た。ここまで言って違うなんてことあるのかよ。

 

 

「おかしいなあ……絶対そうだと思うんだけど……」

 

「……あれ、久遠監督。夏未はいないんですか?」

 

「……雷門は留学のため日本代表には参加しない」

 

『……えええええええええ!?』

 

「聞いてなかったのか。アイツは夕方には日本を発つぞ」

 

「み、皆!!今すぐ空港に行くぞ!!」

 

「夕方までなら……走れば間に合う!!」

 

 

 アイツ、そんな大事なこと何で黙ってやがった!?アイツも含めて大切な仲間のはずだろ……いいやつべこべ言ってる暇はない。とにかく走るしかねえ!!

 

 

 

 ---

 

 

 

「これまでに調査した最新の資料だ。現地に着くまでに読み込んでおきなさい」

 

「分かりました……これが事実なら、円堂くんの運命は大きく変わってしまう」

 

「……本当に一人で大丈夫か?」

 

「私、誰かのために何かをしたい……こういう気持ち、初めてなの」

 

「おいいたぞ!!皆こっちだ!!」

 

 

 空港を全速力で駆ける。体力はさっきの試合で限界、人混みをかけ分けながら何とか出発ゲートに辿り着くと夏未と理事長がいた。声を上げて皆を呼ぶと続々集まってくる。

 

 

「み、皆!?なんでここに」

 

「夏未、俺達が仲間の旅立ちに顔も出さないと思ったか?」

 

「加賀美くん……貴方達、先行試合の後よね?」

 

「夏未!!」

 

「夏未さん!!」

 

「ああそうだよ、だけど皆来た。お前が大事だからな」

 

 

 何とか全員間に合ったな。壁山なんてヘロヘロでもうダメかと思ったけど、これで見送れる。

 

 

「何で黙って留学に行くのか、何で俺達と世界に行かないのかとか色々聞きたいことはあるけど……頑張ってこいよ、夏未!」

 

「円堂くん……」

 

「何かやることがあるんだろ?じゃあお前はそれを頑張れ。俺達は世界と戦うために頑張るから」

 

「加賀美くん」

 

「マネージャーは任せて!夏未さん」

 

「会えなくなるのは寂しいけど……これでお別れじゃないですもんね!皆で待ってますから!」

 

「木野さん、音無さんも……」

 

 

 守、俺、秋、春奈が代表して言葉を贈る。あらかじめ教えてくれてれば手向けの品でも用意出来たんだけどな……まあそこは仕方ない。

 

 

「……ふふっ、ありがとう。世界に無様な姿を晒したら承知しなくってよ?」

 

「望むところさ!離れてても俺達のこと、見ててくれよ?」

 

「ええ……仲間ですもの」

 

 

 そう言うと夏未は振り向いて歩き出す。もう出発の時間だったんだな……本当に間に合ってよかった。

 

 

「皆……来てくれてありがとう。本当は私も皆に見送ってやって欲しかったんだ」

 

「水臭いですよ理事長。仲間の旅立ちを見送る、当然のことです」

 

 

 しばらくすると、夏未が乗っている飛行機が空へと旅立つ。見えているかは分からないが皆で手を振った。また会える日を楽しみにしながら。

 

 

「……さて、明日から日本代表として練習開始だ。夏未をガッカリさせない為にも気合い入れてくぞ」

 

「だな!次は世界だ!」

 

 

 世界にはどんな凄いヤツらがいるのかな。それも楽しみだけど……どんな相手でも乗り越えて、このメンバーで世界一になる。それが一番楽しみだ。




ということで日本代表決定でした。原作の16人+柊弥の17人となってます。原作よりも明らか強化されてるイナズマジャパン、敵も勿論強くなるらしいです。
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