Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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誤字修正滅茶苦茶助かってます。毎回投稿前に確認してるんですが絶対見落としがあるので今回もお願いします←カス


第121話 挑戦状

「いやー、今日の試合は疲れたな」

 

「そうだな、もう動けない」

 

「早く夜ご飯食べたいッス」

 

 

 いつの間にか宿舎に戻ってきてたみたいだ。試合が終わってキャラバンに乗り込んだらいつの間にか寝てたな。今日はマジで疲れたな……身体が痛い。早く寝たいけど食事も風呂もしないうちに寝るのは流石にキツい。

 

 

「加賀美」

 

「はい?」

 

 

 皆がキャラバンを降りて荷物を置きに部屋へ向かう中、急に監督に話しかけられて足を止める。

 

 

「……今日の試合で私が出した指示、覚えているか」

 

「指示……はい、主導権を握れっていう指示ですよね」

 

「そうだ」

 

 

 デザートライオンのラフプレーと炎天下で皆がスタミナを削られた中、余力のある俺が中心に立ち回って皆に余裕を持たせろ。吹雪をベンチに下げた時に監督から出された指示だ。

 

 

「お前はあの指示の意味を理解出来ていたか」

 

「俺が中心になって皆に余裕を持たせる、ってことですよね」

 

「違う」

 

「え」

 

「もう一度考え直せ。理解出来なければお前は世界の舞台に立てない」

 

 

 そう言って監督は宿舎へ帰っていく。あの指示の意味を理解出来ていなかった……正しく理解出来なければ、世界とは戦えない。一体何が違かったんだ?確かに、期待された役割を100%遂行出来たとは思えない。いや、そもそも役割の解釈そのものが間違ってる?

 

 

「ダメだ、分からない」

 

 

 身体と同じように疲れきった頭じゃいくら考えても無駄か。とりあえず夕飯前に風呂は済ませておこう。ん?前から来るのは……

 

 

「不動」

 

「何だよ」

 

「この時間から練習か?」

 

 

 不動は片手にボールを抱えている。不動は試合に出ていなかったとはいえ、これから少し時間が空いてすぐ夕飯だ。

 

 

「俺は優秀な加賀美クンと違って試合に出れてないんでね」

 

「そんな卑下すんなよ……あ、そうだ」

 

 

 急に頭に過ぎった。コイツならさっきの監督の意図が分かるんじゃないか?ベンチからずっと試合を見てたし、何より不動は頭が切れる。

 

 

「さっき監督に"お前はあの指示の意味を理解出来てない"って言われたんだけど、何か分からないか?」

 

「ああ?そんなモン火を見るより明らかだったっつーの」

 

「マジか。何がダメだったのか教えてくれないか」

 

「ヤダね、自分で考えな」

 

「ええ?」

 

「自分で分からないんじゃそれまでだろ。精々頑張んな」

 

 

 そう言って不動はどこかに去っていく。何だよアイツ、やっぱ俺のこと嫌いなのか?いやまあ、全力でぶん殴った俺が悪いんだけど……仕方ない、とりあえず風呂に入る。

 

 

「お、柊弥も風呂か?」

 

「ああ、お前も?」

 

「おう、一緒に行こうぜ」

 

 

 1回部屋に戻って荷物を置き、着替えとタオルを回収するとちょうどそのタイミングで守も部屋から出てくる。そのまま浴場に向かい、身体の汚れを綺麗さっぱり落として湯船に浸かる。

 

 

「なあ守」

 

「どうした?」

 

 

 監督のさっきの指摘、不動の濁し。今日は考えないようにしようと思っていたけどやっぱりどうしても気になる。守に詳細を話して意見を聞いてみる。

 

 

「んー……分からん!」

 

「知ってた」

 

 

 元々期待はしてなかったから良しとする。

 

 

「それにしても、次はとうとうアジア予選決勝だな」

 

「ああ。とうとうと言うべきか、もうと言うべきか分からないけどな」

 

「だな……よし、柊弥!」

 

 

 急に守が拳を向けてくる。ああ、そういうことね。

 

 

「勝つぞ」

 

「おう!勝って世界だ!」

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「いくぞ!」

 

 

 デザートライオンとの試合翌日、早速決勝戦に向けての練習開始だ。まだ決勝戦の相手は決まっていないが、とにかく練習だ。

 

 

「豪炎寺!」

 

「させないぞ!」

 

 

 鬼道からパスを受けた修也が駆け上がり、その正面を風丸が捉える。修也は左右に大きく揺さぶり、風丸が見せた一瞬の隙を見抜いて加速する。

 

 

「まだまだ!」

 

「流石だな、風丸……!」

 

 

 それで立ち尽くす風丸じゃない。鍛え抜かれた反応速度で修也に追い付き、再び対面する。

 

 

「豪炎寺さん!」

 

「虎丸!」

 

「くッ」

 

 

 直後、風丸の死角から虎丸が飛び出してくる。そのままゴールへと向かっていく虎丸の前に吹雪と木暮が立ちはだかるが、虎丸は間髪入れずヒールリフトでボールを跳ね上げ、2人の意識がボールに集中した隙にその空間を突破し、ゴール前に到達する。

 

 

「ここッ!」

 

「残念、まだ甘い」

 

 

 最早誰も反応出来ていない虎丸の独壇場。放たれたシュートは守の反応も許さずゴールネットを揺らすはずだった……が、そんな簡単にはやらせない。修也と風丸の対面から虎丸を察知して動いていた俺なら止められる。まだまだ後輩には負けてられねえな。

 

 

「くぅーッ、何でいるんですか!」

 

「先輩の意地ってヤツだよ」

 

 

 昨日の試合があって随分と積極的に動くようになった、良いことだ。このままコイツが成長していけば……末恐ろしいな。

 

 

「飛鷹さん!いきますよ!」

 

「……うッ!?」

 

 

 紅白戦が終わってふと練習場を見回すと、立向居と飛鷹が練習している様子が目に入った。立向居が優しく出したパスに対して飛鷹はボールを激しく蹴り上げ、それは立向居の頭上を大きく越えていく。無駄な力が入りすぎている……ってよりは、力の入れ方が違うか。

 

 

「そこまで!」

 

「え、もう?」

 

 

 監督から練習終了の声が掛かる。随分早いな……皆も同じことを考えてたようで、各々疑問を露わにするようなリアクションをとる。

 

 

「決勝が近い、身体に疲れを残すな。クールダウンのストレッチをよくやっておけ」

 

『はい!』

 

 

 監督の指示通りしっかりストレッチしておく。昨日の試合が終わってすぐだ、身体に大なり小なり疲労が蓄積しているし、そういう意味でも今日は早く切り上げたってところか。

 とはいえ何もしないのはアレなので各々クールダウンが終わったあとで食堂に集合、これまでの試合の映像を見直してブラッシュアップすることになった。

 

 

「加賀美」

 

「ん?どうした緑川」

 

 

 自室に戻ろうとしていたら緑川から急に声を掛けられる。その表情はどこか強ばっている。

 

 

「ちょっと良いか?」

 

「おう」

 

 

 緑川に人気が少ないところへ連れていかれる。何か相談したいことでもあるのか?随分と深刻な顔だ、何もないことはないだろうな。

 

 

「ちょっと相談したいことがあってさ」

 

「俺でいいなら何でも聞くぞ」

 

「……俺さ、このままで良いのかな」

 

「というと?」

 

 

 緑川は淡々と語り出す。緑川は元々日本代表に選ばれてからというものの、スタメンから外されないように常に焦っていたらしい。これまでの試合で前にのめり込んでいる姿が見えたのもそういうことだったんだな。現状本人としては満足のいく活躍が出来ていない、このままでは自分は戦力外になる。だからどうすれば良いのか分からなくなった、そういうことらしい。

 

 

「なるほどな、今の自分に自信がないと」

 

「ああ。加賀美はさ、俺がエイリア学園だった時から誰よりも強くなるために努力してただろ?だから何か良い助言をもらえないかなって」

 

「……そうか、だいたい分かった」

 

 

 どう言葉を掛けるべきか……友人としても副キャプテンとしても、適当なことは言えないな。

 

 

「お前さ、今サッカー楽しいか?」

 

「え?」

 

「今お前は強くなるために前のめりになりすぎている。努力する者は楽しむ者には勝てない、だったか?強くなろうと努力することは悪くない、けど楽しむ心を忘れたら辛いだけだぜ?」

 

「楽しむ……心」

 

「そうだぞ、緑川」

 

「ヒロト、いつからそこに」

 

「2人がどこか行くのが見えてね」

 

 

 俺と緑川が話していると、唐突にヒロトがその場に現れる。どうやらずっと聞いてたみたいだ。

 

 

「あの事件が終わってからお日さま園でやってたサッカーを思い出せよ。楽しかっただろ?日本を背負って戦うのは確かに重圧だけど、俺はあの時の楽しい気持ちを忘れてないよ」

 

「そうだぜ?お前、俺がお日さま園に遊びにいった時よりも強くなってた。それは楽しみながらサッカーを出来てたからじゃないか?」

 

「……確かに。最近の俺、強くなることだけ考えて全然サッカーを楽しめてなかった。それどころか、苦しいとまで思ってた」

 

「だろ?」

 

「……よし!」

 

 

 緑川が立ち上がる。その表情はさっきより明るい。

 

 

「俺、もっと楽しんでみるよ!もっと強くなるために、もっと楽しむ!」

 

「その調子だ」

 

「じゃあそんな緑川と加賀美くんに提案だ」

 

「ん?なんだ?」

 

 

 ヒロトがニヤリと笑って口を開く。

 

 

「俺達で新必殺技を作らないか?」

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「よし、今日も練習頑張りましょう!」

 

「おう」

 

 

 今日も今日とて練習だ。とはいえ昨日と方針は変わらないらしく、練習時間は短めだ。その分中身の濃い練習にしなきゃな。

 

 

「飛鷹、今日は俺とパス練習しようぜ!」

 

「……?はい」

 

 

 準備していると、守が飛鷹に声を掛けていた。どうやら2人で練習するらしい。珍しいな、昨日の立向居との練習を見て思うところでもあったのか?

 

 

「ここだ!俺の真正面を狙うんだ!」

 

「分かってます……あッ」

 

 

 飛鷹がボールを蹴る。けど昨日と同じようにボールは明後日の方向へと飛んでいく。なんだろうな……やっぱ蹴り方が違う。

 

 

「良いか?俺に繋ぐつもりでやってみろ」

 

「……はい!」

 

「おっと……うん、さっきより良くなった」

 

 

 次は守に向かって蹴れた。だが高い、守がジャンプしてようやく届く高さだ。

 

 

「……すみません、走り込みが足りないようなんで」

 

「え?あ、おい!待てよ!」

 

 

 そう言って飛鷹は1人走っていってしまう。追いかけるのは……逆効果か?

 

 

「……難しいな」

 

 

 結局飛鷹は練習の間ずっと走り込みをしていた。何だろうな……やっぱり俺らと距離を感じる。自分から遠ざかっていってるんだよな。虎丸みたいに心を開いてくれれば良いんだけど、ワケありみたいだからな。決勝戦も控えてるんだ、チーム一丸になって頑張りたいんだけどな……

 

 

「なあ柊弥、今良いか?」

 

「おう、どうした?」

 

 

 練習が終わってから守に声をかけられる。要件は……飛鷹のことだろうな。

 

 

「飛鷹のことなんだけどさ……」

 

「俺も気になってた。悪いヤツじゃないんだけどな……やる気がないわけでもない。空回りしてるって言うのかな」

 

「うん。今日一緒に練習してみたけど、最初の頃よりボールを蹴れるようになってた」

 

「……日本代表のメンバーを招集したのは響木監督だ。話を聞いてみれば何か分かるかもしれないな」

 

「確かに。雷々軒に行ってみるか」

 

「俺も行く」

 

 

 という訳で俺と守は練習が終わってから響木監督を尋ねるために商店街へと向かった。雷々軒に着いたが……店が閉まっている。響木監督は不在みたいだな。

 

 

「円堂、加賀美。何か用か?」

 

「響木監督、ちょうどいいところに」

 

「どうした?」

 

「飛鷹についてです。俺達もっと飛鷹と仲良くなりたいんです。でも、何だか上手くいかなくて」

 

「……」

 

「監督?」

 

 

 響木監督は守の問いに答えることなく建物の中に入っていってしまう。が、途中で歩みを止めた。

 

 

「お前達は今のアイツ、これからのアイツとサッカーをしていくんだろう?」

 

「はい」

 

「だったら、これから知っていけばいい。ゆっくりとな」

 

「これから、ゆっくりと……確かに、焦っても良いことはないかもな」

 

「……うん、そうだな!ありがとうございます、響木監督!」

 

 

 簡単なことだったな。仲良くなりたいならこれから時間を掛けてアイツのことを知っていけばいい。アイツにも俺達を知ってもらえばいい。

 

 

「ふっ、ラーメンでも食べてくか?」

 

「はい!あ、でも皆待ってるや……」

 

「だな。また今度食べに来ます」

 

「そうか。じゃあ、これからも頑張れよ」

 

『はい!』

 

 

 俺達はそのまま宿舎に戻った。少し夕飯の時間に遅れて春奈達に怒られたのは内緒の話だ。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「円堂くん、響木監督から電話よ」

 

「んあ?響木監督から?」

 

 

 練習中。秋が守のことを呼びに来た。今は幸い自由練習の時間、守は電話を取るべく宿舎へ向かっていった。

 

 

「……さて、緑川、ヒロト。例の必殺技について詰めてくか?」

 

「だな。ヒロト、何か考えはあるのか?」

 

「うん、こんな感じで……」

 

 

 ヒロトが新必殺技の構想を語り始める。俺ら3人でパワーを溜めながらパスを回し、パワーが高まったボールを撃ち出すシンプルな必殺シュートだ。イメージとしては雷霆一閃を複数人でやる感じか?

 

 

「だいたい分かった。せっかくだ、軽く試してみるか?」

 

「だね」

 

 

 というわけで早速挑戦だ。三角形を作ってシュートを回し、力を溜めていく。雷霆一閃の要領でいけるかと思ったけど……なるほど、中々難しい。自分が込めた力は勝手が分かる。けど他2人のはそうじゃない。どれだけ力を込めたのかを把握していないと、的確にボールを送り出せない。完璧に出来たら相当強力だとは思うんだけどな。

 

 

「くッ……悪い、ミスった」

 

「大丈夫さ、最初から上手くいくとは思ってないからね」

 

「難しいな……俺も力の込め方にムラがあるな」

 

 

 緑川から受けたボールをヒロトに送る時、ボールが弾け飛んでしまう。完成には時間がかかりそうだ。何回か試してるうちに練習時間も終わったから今日はこれまでだ。

 

 

「そうだ守、響木監督からの電話なんだって?」

 

「ん?ああ、何か雷々軒の近くの空き地に行けって」

 

「理由は聞かされてないのか?」

 

「うん。行けばわかるって」

 

「抽象的だな……まあ気をつけて行ってこいよ」

 

「おう!」

 

 

 最近は練習時間も短くて少し不完全燃焼だ。たまには散歩にでも行ってみるか。

 

 

「さて、どこに行くかね」

 

 

 風呂に入ってから一人宿舎を出る。夕飯までは1時間くらいある、あんまり遠くまで行きすぎたらまた怒られるから程々の距離にしておかなきゃな。

 

 

「あれ?響木監督じゃないですか」

 

「加賀美か」

 

「何してるんです?こんな時間にこんなところで」

 

 

 河川敷の方へ向かうと、土手に響木監督が座り込んでいた。たまにこの辺を散歩しているけど響木監督と会うのは初めてだ。

 

 

「あれを見てみろ」

 

「……守に飛鷹?」

 

「実は練習の後に飛鷹の個人練習を見ていたんだがな、今日は用事があったから円堂に頼んだんだ。予定が終わったらたまたま通りがかってな」

 

「なるほど、飛鷹が徐々に上手くなってたのは響木監督が見てたからなんですね」

 

 

 響木監督の隣に座って2人の練習を眺める。飛鷹のシュートを守が受けてたみたいだけど……結構やってたんじゃないか?飛鷹が明らかに疲れてる。あまり飛鷹はシュート練習をしていないからな、慣れてないのもあるだろう。

 

 

「お?」

 

「今のは……」

 

 

 飛鷹が転びながらシュートを撃つ。何回も枠を外してたが、そのシュートは守の正面に正確に撃ち込まれた。

 

 

「アイツ、元々脚の力ありますよね。力の使い方がボールを蹴るそれじゃなかったというかなんというか」

 

「流石見る目があるな。せっかくだ、お前には飛鷹のこれまでを話しておこう。円堂にはこれからの飛鷹を任せたからな」

 

 

 響木監督は飛鷹について話をしてくれる。どうやら飛鷹は前まで巷では有名なヤンキーだったらしい。"蹴りのトビー"という異名で呼ばれるほどにだ。日本代表候補を探している時、偶然飛鷹のことを見つけて声をかけた。初めて知ったが響木監督も昔は荒れてたらしく、自分と同じものを感じて放っておけなかったと言っていた。そんな時の響木監督を気にかけてくれたのが守のおじいさんだったらしい。

 

 

「なるほど……あの脚力は才能に更に努力を重ねなきゃ手に入らない。磨けばもっと光りますね」

 

「ああ。別に飛鷹を選んだのは私情じゃない。ヤツの力は日本代表に必要だと感じたからだ」

 

「理解してます。俺達の響木監督はそんな甘い人じゃないですから」

 

「言ってくれるじゃないか……さて、水を差すのもあれだからな。俺達はそろそろお暇しよう」

 

「ですね」

 

 

 せっかく良い感じになってきたところで俺達に気付いて流れが切れたら悪いからな。この辺りで俺と響木監督は帰ることにする。俺もそのうち飛鷹とボールを蹴ってみたいな。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「皆、ちょっと良いか?」

 

「どうした?」

 

 

 次の日、食堂で皆集まって昼食を取っていると鬼道が皆に声を掛ける。

 

 

「昨日からヒロト達が新必殺技を作っているが、チーム全体として新しい手札を増やしたい」

 

「というと?」

 

「オーストラリア戦、カタール戦で皆世界のレベルの高さを痛感したと思う。次の決勝戦に勝って本戦に進むためにも、新しいことに挑戦しよう」

 

 

 そう言うと鬼道は続けて何人か指名した。まずは風丸。風丸のスピードから生まれる風に更に磨きを掛け、新しいドリブル技を作るらしい。

 次は土方と吹雪。パワーと安定したボディバランスを持つ土方とスピードの吹雪、2人の連携シュートがあれば攻撃の幅が広がる。それを目的としての人選らしい。確かにDFである土方が攻撃に参加できるようになれば、チームとして攻撃力が跳ね上がる。

 

 

「ヒロト、緑川、加賀美。お前達は今の必殺技を完成させるんだ。3人での必殺シュート、難易度はかなり高いが完成すれば強力な武器になる」

 

「分かった、頑張るよ」

 

「連携必殺技か、面白そうだな!俺達もやるか、壁山!」

 

「ええ!?俺っスか!?」

 

「綱海と壁山か……面白いコンビかもしれないな」

 

 

 俺達、土方と吹雪、綱海と壁山、そして風丸。一気に4つの新必殺技を開発することになった。全部完成したら……相当手札が増えるな。今日一日は自主練だ。時間はたっぷりある、まずは昨日の反省を活かして色々試してみよう。

 

 

「よし。昨日は全員込める力がバラバラで上手くいかなかった。今回は調整しつつ良い塩梅を探っていこう」

 

「ああ、分かった」

 

 

 まずはひたすら数を重ねる。覚悟はしてたがそんな簡単にはいかないな。雷霆一閃の完成にも時間がかかった、単純に3人で同じようなことをやるならもっと時間がかかってもおかしくない。けど決勝戦までそんなに時間があるわけじゃないから質を上げていかなきゃな。

 

 

「よし、どんどんいこう」

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「皆、昨日一日練習してどうだった?」

 

「はあ……」

 

「ま、まあまあ加賀美くん、まだ始まったばかりじゃないか」

 

 

 翌日、鬼道に進捗を聞かれて思わずため息をついた。いや、覚悟はしてた。そんな簡単に完成するものではないからな。けど、なあ……

 

 

『うおッ』

 

『ぐはッ』

 

『おっふッ』

 

 

 断トツで俺のやらかしが多かった。割合的には6割俺、3割緑川、1割ヒロトくらいだ。おかしいなあ……エネルギーの扱い方にはそれなりに自信があったはずなんだけど。自分で完結するならまだしも、他人が絡んでくるとここまで難しいとは……修也とのファイアトルネードDDとはまた違う難しさだ。

 

 

「俺は少し掴めたぞ」

 

「僕達も。このまま試行回数を重ねていけばいけそうだよ」

 

「俺達はまだまだだな、ノリが足りてねえ!」

 

 

 風丸、吹雪と土方は良い調子らしい。綱海達は……まだ遠そうだ。俺らも人の心配をしてる場合じゃないけど。

 

 

「今日はなんだっけ?」

 

「分からん。監督があとで直接指示を出すらしい」

 

 

 ということで昼食が終わって少し時間が空いてから全員グラウンドに集合した。

 

 

「今日は2チームに分かれて練習試合だ」

 

「はい!……ん?」

 

「柊弥、危ない!」

 

 

 監督がチーム分けを発表する、その時だった。何かの気配を感じてその方向を向くと、何とシュートがこちらに飛んできていた。あまりに唐突、蹴り返そうにも間に合わない……が、守が俺の前に飛び出してそのシュートを受け止める。

 

 

「重い……!」

 

「誰だ!」

 

「流石は円堂、素晴らしい反応だ。それに比べて加賀美、たるんでいるのではないか?」

 

 

 急にシュートを撃ってその声の正体、俺にとっては久々に会うヤツだった。

 

 

「お前……砂木沼じゃないか!何でこんなところに?」

 

「私だけじゃないぞ」

 

「久しぶりだな、お前達」

 

「源田!」

 

 

 そう、砂木沼……イプシロンのキャプテン、デザームだったアイツだ。更に帝国の源田、他の学校のヤツらもいる。御影専農に尾刈斗、戦国伊賀島に世宇子、更にイプシロン、ジェネシス。色んなチームで見たヤツらだ。

 

 

「久しぶりね、皆」

 

「……!瞳子監督!?」

 

 

 そして1番最後にやってきたのは……瞳子監督だ。一体どういうメンバーなんだ?

 

 

「久遠監督ですね。初めまして、吉良瞳子です」

 

「貴方のことは響木監督から聞いている。地上最強イレブンを率いた監督だと」

 

「ご存知ならば話は早いですね」

 

 

 次の瞬間、瞳子監督は耳を疑うことを口にする。

 

 

「私は彼ら、ネオジャパンの監督として……正式にイナズマジャパンに試合を申し込みます!」

 

『ええ!?』

 

 

 おいおい、一体何がどうなってんだよ?




ネオジャパン戦〜予選決勝戦まで書きたいこと多すぎてどんどん書き溜めが増えていく
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