Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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UAの増加が止まらない。6000、7000・・・バカな、8000だと!?
これやりたかっただけです、すみません。
というわけで毎度の事ながら多くの閲覧ありがとうございます!


第12話 野生魂を打ち砕け、イナズマ魂

 

 

「とうとう明日か……」

 

 

 夕食後の自室で、ベッドに仰向けで寝転がり天井とにらめっこしながらそう呟くが、それに対して返答は当然返ってこない。

 ずっと目標にして頑張ってきたフットボールフロンティアにいざ明日乗り込むのだと思うと、緊張や恐れなどという負の感情よりも、興奮や期待といった正の感情が胸の内で膨れ上がる。

 

 

 全国中学サッカーの頂点を決める大会、フットボールフロンティア。これに勝ち進めば、今はまだ見ぬ強豪達と戦えるし、帝国との再戦も叶うだろう。そしてそれに勝って勝って勝ち続ければ、その先に待っているのは"全国王者"の座だ。

 

 

 小学生の全国大会で優勝したあの時の興奮は今も忘れちゃいない。ホイッスルが鳴った瞬間、一瞬何がどうなってるのか分からなかったが、得点板を見て自分達の得点の方が高いのを何度も確認し、仲間達が騒ぎ出したところでようやく自分もその現実を呑み込んだ。それはもう大騒ぎだ。その場で大騒ぎ、優勝トロフィーを受け取って大騒ぎ、家に帰っても大騒ぎ……それくらい熱くなれる出来事だった。

 

 

 そして今度は、守や豪炎寺をはじめ、新たな仲間達とその感動を勝ち取るべく戦おうとしている。それが嬉しくて嬉しくて堪らない。アイツらと全国大会で優勝して、トロフィー片手にバカ騒ぎする。そんな光景がありありと浮かんでくる。

 

 

 だが、1つ不安要素がある。イナズマ落としだ。特訓の末にジャンプ力を身につけた壁山だったが、その後になんと高いところが怖いということが判明した。そんな理由で、結局イナズマ落としが完成しないまま終わってしまった。

 

 

 豪炎寺は試合の中で完成させるつもりだったが、壁山は依然として震えるばかりだった。いざとなれば俺のシュートがある。だが、今後の成長のためにも壁山に頑張って欲しい。

 

 

「柊弥、少しいい?」

 

「うん、いいよ」

 

 

 感傷に耽っていると、部屋の外から扉がノックされる。母さんだ。その手にはキラキラと輝く何かが握られていた。

 

 

「それは?」

 

「お父さんからよ。柊弥がフットボールフロンティアに出る時に渡して欲しいって」

 

 

 父さんから? 母さんからそれを受け取り、広げてみるとそれの正体が分かった。ネックレスだ。全体的に白銀色をしており、中央には紅く輝く石が埋め込まれている。

 

 

「お父さんが中高ってサッカーをしていた時、試合の時に必ず身につけていたネックレスよ」

 

「え? 父さんサッカーやってたの?」

 

 

 初耳だ。父さんが家に居た時も、1度もそんな話をしてくれたことはなかった。母さん曰く、父さんは中学からサッカーを始め、中学の終わりには全国大会へ。高校の終わりには全国大会の準決勝まで行ったと言う。……本当に何で教えてくれなかったんだ? 

 

 

「お父さんはね、いつか柊弥は自分なんかより凄い選手になるって言ってたのよ。このネックレスを渡して欲しいってメールが来た時もそう言ってた」

 

「父さんが……」

 

「明日からの試合、頑張ってね」

 

 

 そう言って母さんは部屋から出ていく。試しにネックレスを首にかけてみると、熱い何かをそれから感じる。きっと、父さんがサッカーにかけてきた熱意そのものだろう。

 

 

 ありがとう父さん。俺、必ず勝ってみせるよ。

 

 

 

 

 

---

 

 

 

 

『さあ! 間もなくフットボールフロンティア地区大会1回戦、雷門中対野生中の試合が始まります!』

 

 

 俺達は、試合会場に指定された野生中へとやってきていた。事前に調べて把握はしていたが、とんでもなく山奥にあるんだな。いくつもの山を超え谷を超え、ようやく辿り着いた。緑に囲まれた校舎からは、どことなく野性味を感じる。到着して早々、現地の生徒……というより、野生イレブンと遭遇したが、全員が動物を連想させる風貌をしていた。まさに"野生"か。

 

 

 そういえば、今回は夏未お嬢様が視察に来ているらしい。いちいちお嬢様と付けるのも面倒だし、雷門呼びだと色々と紛らわしいので今後は夏未と呼ぶことにする。

 グラウンドの周囲では、多くの応援の生徒が声を上げている。とはいえ、全員野生中の応援だが。とはいえ、こちらに応援が全くないというわけでもないらしい。

 

 

「兄ちゃーん! 頑張れー!!」

 

 

 壁山の弟だそうだ。面白いくらいに似てるな、一発で分かった。

 

 

「良いところ見せないとな? 壁山」

 

「は、はいッス……!」

 

 

 壁山は相変わらず震え上がっている。本当に大丈夫か? 他の皆は既に準備万端。もちろん俺もだ。

 

 

「加賀美、ちょっと良いか」

 

「どうした? 豪炎寺」

 

 

 試合開始直前、豪炎寺が傍によってきて小声で話しかけてくる。

 

 

「お前のシュートだが……イナズマ落としが決まるまでは撃たないで欲しい」

 

「……ああ、そういうこと」

 

 

 豪炎寺の意図は簡単に読み取れた。俺と同じことを考えているんだろう。頷きを返して、すぐポジションに着く。鍵を握るのは、壁山……お前だ。

 

 

『さあ! 雷門中のキックオフで試合開始です!!』

 

 

 戦いの火蓋が切って落とされた。豪炎寺から染岡、染岡から俺にボールが渡る。先手必勝だ、早速攻め上がろう。

 

 

「いかせないコケー!」

 

「それはどうか……な!」

 

 

 相手キャプテンの鶏井(とりい)が素早く道を塞ぐ。なるほど、確かに高い瞬発力を備えているらしい。だが、生憎と俺も瞬発力には自信がある方だ。フェイントをかけて一瞬で鶏井を抜き去る。

 

 

 さて、ゴールが狙えそうなのは……豪炎寺か? 染岡はボールを受け取れる位置にはいないが、豪炎寺は完全にフリーの状態で右サイドから走ってきている。

 

 

「豪炎寺!!」

 

「ああ! ファイアトルネ──何!?」

 

 

 豪炎寺にセンタリングを上げる。それを追って豪炎寺は高く飛び上がるが、なんとそれよりも早く鶏井が空中でボールを奪っていた。嘘だろ? この一瞬で後ろまで下がり、あそこまで飛んだというのか……? 

 

 

 そのまま鶏井はロングパス。成程、さっきはフェイントを絡めたから楽に抜けたのであって、単純な速さだったら俺よりも上と見たほうが良さそうだ。これは中々厳しい戦いになりそうだ。

 

 

 そのロングパスを受け取ったのは11番水前寺(すいぜんじ)。鶏井だけでなく、アイツも凄まじい俊足だ。チーターのような装いをしているだけある。あの風丸ですら追いつけなかった。

 右サイドから雷門ゴールへと駆け上がっていき、そのままシュート。かのように思われたが、それはセンタリングだった。逆サイドから上がってきていた7番大鷲(おおわし)がセンタリングと同じ高さまで飛び、そのままヘディングシュートの体勢に入る。

 

 

コンドルダァァイブ!! 

 

 

 鷲の急降下のような速さでそのシュートはゴールへと襲い掛かる。守のから見てかなり右ゴールポストのギリギリを狙ったシュート。それに対応すべく脚を踏ん張った守⋯だが。

 

 

ターザンキィィック!! 

 

「何!?」

 

 

 何と右サイドから密かに上がってきていた9番五利(ごり)が、ギリギリでシュートコースを左にずらす。それを見て守は身を翻し、すぐさまボールへと拳を叩きつけた。

 

 

熱血パンチ!! 

 

『円堂辛うじて防ぎました!! しかし雷門中、野生中の苛烈な猛攻になかなか追いつけない!!』

 

 

 守が弾いたボールを風丸が受け取る。予想以上のスピードだ。1人だけがあのレベルならまだしも、全体があのスピードときたものだ。あれだけ特訓したとはいえ、これに追いつくのは至難を極めるな。

 風丸がボールを中陣まで運んで俺にパス。俺はダイレクトでそれを豪炎寺に流した。豪炎寺がそのままゴールへと向かおうとしたが、3人から徹底的なマークに着かれる。隙のないマークだ。

 

 

 だが、1人が厳重にマークされるということは他が手薄になるということ。その機を逃さず染岡が走り出し、ボールを要求した。豪炎寺はすかさず高めのパス。それを受け取った染岡はドラゴンクラッシュの構えに入る。ボールに視線を向けている染岡は、目の前から迫る5番獅子王(ししおう)に気づいていない様子。

 

 

「染岡! 引け!」

 

ドラゴン──がハッ!?」

 

 

 獅子王のアルマジロのような突進に、堪らず染岡はボールごと吹き飛ばされ、グラウンド外の冊に叩きつけられてしまった。あれは不味い。

 

 

「染岡! 大丈夫か!」

 

「ぐ……うっ……!?」

 

 

 染岡は脚を抑えてうずくまっている。すぐさま秋と音無さんを呼び、応急処置を頼む。ソックスを降ろすと、染岡の足首は真っ赤に腫れており、軽く触るだけで苦悶の声を漏らす。これでは試合続行は不可能だ。選手交代しかない。

 

 

「守、ちょっと」

 

「ん? どうした……」

 

 

 守に耳打ちする。選手交代についてだ。俺が提案したのは染岡と土門の交代と、染岡のポジションに壁山を持ってくること。この試合を制するにはやはり新必殺技の力が必要不可欠。壁山を前に押し上げて試行数を増やす作戦だ。

 

 

「壁山、気張っていけよ」

 

「ほ、本当に俺がフォワードをやるんスか!?」

 

 

 壁山がつべこべ言っているが、それに構わずスローインから試合が再開。ボールを受け取った6番香芽(かめ)がすぐさま駆け上がる。そしてその行く手を阻むのは土門。

 

 

「さて、いっちょやりますか……キラースライド!! 

 

 

 なんと土門が繰り出したのは帝国も使っていたディフェンス技。野生中の攻めを途切れさせるとは……やるな、土門。そのまま土門はセンタリング。その下には豪炎寺と壁山が。そして豪炎寺の背後にはぴったりと鶏井が張り付いている。だが、あの高さなら2段ジャンプで飛び越えられる。

 が、壁山は上手く体勢を整えられず、豪炎寺はジャンプ出来ずにボールを奪われてしまった。やはりダメか……とにかく、ヤツらからボールを奪わなければ。

 

 

モンキーターン!! 

 

コンドルダイブ!! 

 

スネークショット!! 

 

 

 とは言ったものの、ヤツらの速さに誰1人追いつけず、猛攻を止めることが出来ない。1人だけなら何とか抑えられるが、あれが複数となるとどうにもならないパスコースを読んでボールを奪うも、すぐさま徹底的なプレス。何とかパスを出しても、それが渡る前に割り込まれる。 奇跡的にパスが繋がり、豪炎寺達に繋ぐもやはりイナズマ落としは成功せず。

 

 

 守の顔に段々と余裕がなくなってきた。今1番負担が大きいのは間違いなく守だ。ゴールにはノーマルシュートも必殺シュートも雨のように降り注いでおり、その度に守は全て受け止めている。もうそろそろ守が持たない。俺も後ろまで下がってカバーにいった方が良さそうだ。

 

 

ターザンキック!! 

 

「しまっ──」

 

 

 五利の必殺シュート。守は間に合わない⋯なら俺が止める! 

 

 

「させ……るかァッ!!」

 

 

 軸足が地面を削りながら身体が後ろに押し込まれる。かなりギリギリのところで、上手く全身の捻りを加えてシュートの勢いを殺しきる。危ない……

 

 

「柊弥、悪い!」

 

「気にすんな」

 

 

 全体を見渡す。俺がパスを通せそうなコースは全て潰されている。自分で上がるしかない。何とか豪炎寺達にボールを繋ぐ──

 

 

『ここで前半終了!! 両チーム無得点だが、試合を支配しているのは野生中だ!!』

 

 

 脚に力を込めたところで前半終了のホイッスルが響いた。正直今のシュートブロックでかなり持ってかれたから命拾いしたかもしれない。

 

 

 ベンチに戻り、染岡の脚の状態を確認しつつ後半の作戦を練る。守の両手は真っ赤に腫れており、かなり負担がかかっているのが見ただけで分かる。それでも守は後半もゴールは割らせないと気丈に振る舞う。

 

 

「……俺をディフェンスに戻してください。俺にはイナズマ落としは無理っス……加賀美さんの必殺シュートで──」

 

「断る」

 

 

 壁山が元のポジションに戻して欲しいと願い出るが、すぐさまそれを却下する。

 

 

「壁山。俺はお前と豪炎寺がイナズマ落としを決めるまでシュートを撃たない」

 

「そ、そんな……」

 

「目を背けても、絶対に逃げるな」

 

 

 そう言って俺は少し離れたところで身体を冷やす。俺という逃げ道がある限り壁山は絶対にこの山を乗り越えられない。だったらここは1つ心を鬼にするさ。

 

 

「言うじゃないか」

 

「まあな……俺はアイツを信じるよ」

 

 

 豪炎寺が微笑を浮かべながらそう話しかけてくる。後ろでは守から発破をかけられている壁山。大丈夫さ、お前はあんなに努力したんだ。きっとイナズマ落としを成功させて、俺達を勝利に導いてくれるはず。

 

 

 

 

 

 両チームが再びポジションに。後半開始だ。 ボールは水前寺に渡り、すぐさまこちらのゴールへと駆け上がる。俺は前で待機していたところでシュートは撃たないと決めている。だったら俺も後ろに下がってディフェンスに回るが吉だろう。

 

 

「ゴールの周りを固めろ!! 守だけに負担を負わせるな!!」

 

「「「おう!!」」」

 

 

 後陣へ下がりながら指示を出す。守は前半で既にオーバーヒート寸前。これ以上負荷をかけたら次の試合が危なくなってしまう。だったら、可能な限り俺達フィールドプレイヤーでそのサポートをするしかない。

 

 

「遅いゴリ!」

 

「くッ!」

 

ターザンキック!! 

 

 

 それでも、ヤツらの機動力に俺らは翻弄されるばかり。抵抗虚しくシュートを許す、それを守は止めるが、顔が苦痛に歪む。シュートを抑えられないなら……さっきみたいにシュートそのものを防ぐ! 

 

 

スネークショット!! 

 

「させないッ!!」

 

 

 エネルギーを脚に集中させ、擬似的な必殺シュートでのブロックを図る。割り込む形でボールを奪うことに成功したため、そのまま前線へボールを運ぶ。段々と周りに着いてくるヤツらが増えてきたところで、高く、長いパスを豪炎寺と壁山に向かって送る。

 

 

「いけェ!!」

 

「壁山!!」

 

「む、無理っス……!!」

 

 

 それでも壁山は飛べない。その場に頭を抑えてうずくまり、高さを得られない豪炎寺はボールを受け取れず、またしても野生中へボールをが渡る。

良いぜ、ボールを持ってこっちに来るっていうなら──

 

 

「何回でも止めてやるよッ!!」

 

 

 鶏井と1対1。一瞬鶏井の視線が上に向き、膝が曲がったのが見えた。コイツの狙いは俺を跳び越すこと。単純な高さで勝てないなら、先に飛んでそれを上から押さえ込めばいい。

 

 

「そんなバカなコケッ!?」

 

 

 鶏井はすぐさま空中でパスへと切り替えようとするが、それよりも早く脚を伸ばし、無理やりパスコースを潰す。ボールは真下に。

 

 

「もらい!!」

 

「何ッ!?」

 

 

 が、俺達の下に滑り込むようにして水前寺が走り込み、落ちたボールを奪い去って行った。瞬く間にボールは俺達のゴール付近へ。しかしここで、風丸の指示で皆が複数で1人を抑えるように動く。ゾーンプレスだ。しかし、あの抑え方は抑えてる側の体力がどんどん持っていかれる。限られた人数で次々とマークに着かなければならないからだ。前半でも消耗が激しいこちらにとってはまさに諸刃の剣。

 

 

 数が重なれば消耗も重なる。やがてゾーンプレスも突破されてしまう。そうするとまた守にシュートの嵐が襲い掛かる。反応しきるために守はパンチング中心に守っているが、そのボールが弾かれた先に相手がいるため、延々と消耗する羽目になっている。

 

 

「オオオオオォォォ!!」

 

 

 俺は身体でシュートを止めにいく。ゾーンプレスとその前の攻め合いのせいで、俺もかなり体力を持ってかれているが、そんな甘えを言っている場合ではない。守が、皆が頑張っているんだ。俺だって頑張らなきゃならない。

 

 

 そして壁山、お前もだ。

 

 

「柊弥、頼む!!」

 

「おォ!!」

 

 

 守が反応しきれないシュートを俺が抑える。俺が取りこぼしたシュートを守が弾く。シュートを撃たせまいと、皆がまとまってプレスをかける。ボールを奪えれば、すかさず前線へとボールを送る。全ては、アイツらがゴールを決めてくれると信じているから。

 

 

ターザンキック!! 

 

「させねェよ!!」

 

 

 五利がボールに蹴り込む瞬間、俺も左脚をボールに叩き込む。行き場を失った力は、俺と五利両方を吹き飛ばし、ボールをどこかへと飛ばしてしまう。

 

 

「もらった!! スネークショット!! 

 

「皆が必死に守ってくれてるんだ……このゴールは割らせない!!ゴッドハンドッ!! 

 

 

 光り輝く黄金の手が、蛇のように曲がるシュートをがっちりと受け止める。

 

 

「守!!」

 

「柊弥! 頼むぞ!!」

 

 

 守からボールを受け取り、爆発的な加速を得て前線へと攻め上がる。守が根性見せたんだ、俺だってここで必ずボールを繋いでやる! 

 

 

 目の前に水前寺が立ちはだかるが、ボールに回転をかけて俺は右前へ送り出す。それに相手が気を取られている隙に、俺は左側からその先へと進む。回転を加えられたボールは、地面に触れた瞬間ぐにゃりと曲がり、俺の足元へと収まる。俗に言う"ひとりワンツー"だ。

 俺の目の前を塞ぐ者はいない。はるか前にいる壁山の眼には、先程まではなかった闘志が芽生えている。

 

 

「いけッ!! 壁山、豪炎寺!!!」

 

 

 アイツらを信じて、空高くへとボールを蹴り上げる。豪炎寺と壁山はボールを追いかけて併走し、先に豪炎寺が跳び、ワンテンポタイミングを遅らせて壁山が跳ぶ。一瞬目をつぶった壁山だったが、すぐさま目を見開き、()()()()()()()()()()()()

 

 

 そうか、地面を見なければ……! 豪炎寺の背後から鶏井が迫っていたが、壁山を踏み台に豪炎寺は更に空高くへ。ボールに対して正確に豪炎寺がオーバーヘッドキックを叩き込むと、ボールは落雷のようにゴールへと落ちていく。イナズマ落とし成功だ……!! 

 

 

『ゴール!! 雷門中、ついに野生中のゴールをこじ開けたァ!! そしてここで試合終了!! 雷門中が2回戦へ進出だァ!!!』

 

 

 イナズマ落としが炸裂すると同時に、試合終了のホイッスルが鳴り響く。

 

 

 

「壁山!! やったじゃないか!!」

 

「はいッス!! 加賀美さんのアドバイスのおかげッス!!」

 

 

 アドバイス? 何のことか分からないので訊ねると、俺がハーフタイムで言った"背を背けても逃げるな"という言葉から地面を見ないで腹を足場にすることを思いついたそうだ。……全くそのつもりはなかったが、そういうことにしておこう。そうしたら豪炎寺に脇腹をつつかれた。バレてた。

 

 

「守、手は大丈夫かよ」

 

「ああ! そういえば……結局柊弥の必殺技、出番なかったな」

 

「……またのお楽しみってことで」

 

 

 やめろ、それ結構気にしてるんだからな。

 

 

 そんなやり取りをしていると、夏未が守に氷嚢を手渡して去っていく。去り際に言われた言葉に守は問い返すが、夏未は涼しい顔をしたまま車に乗り込んで去って行った。素直じゃないねえ。

 まあ、何はともあれ……フットボールフロンティア地区大会、2回戦進出だな! 

 

 

 

 

 

---

 

 

 

 

 

 翌日。放課後を迎え、早速部活だと姿を消した守の後を追い部室へ向かう。部室の扉を勢いよく開けると、そこには何故か夏未がいた。

 

 

「……なんで?」

 

「私、雷門 夏未は今日からサッカー部のマネージャーになりましたので、どうぞよろしく」

 

 

 驚きの声が学校に木霊した。夏未がうちの部に来るなんて誰が想像していただろうか、きっと誰も想像していなかっただろう。

 

 

 




【悲報】柊弥の新シュート、お披露目ならず
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