Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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第14話 吼えろ雷鳴

『さあやって参りました、フットボールフロンティア地区大会2回戦!! 本日は雷門中と御影専農中の対戦! 御影専農のその強さは帝国に匹敵するとも言われています! それに対し雷門中はどう戦うのか!?』

 

 

 実況の声が高らかとグラウンドに響き渡る。それを受けて、グラウンドを取り囲む御影専農の応援生徒達が声を荒らげる。が、応援されている当の本人達は眉一つ動かさない。まるで機械のよう。サッカーサイボーグと言われるだけのことはある。

 

 

 俺は今日この日の為に全力で仕上げてきた。1週間前のあの日、俺は杉森に完膚なきまでに敗北した挙句、下鶴にアイデンティティを奪われた。それから俺は、いや俺達はイナビカリ修練場に籠り、あの地獄のような特訓と毎日向き合った。そして俺はその中でも特に地獄に脚を突っ込んでいた。

 

 

 俺をここまで動かしたのは1人のストライカーとしての意地。負けたままじゃ絶対に終われない、終わりたくない。この試合でアイツらにリベンジし、試合に勝つ。そして何より、データで全てを判断できると思っているアイツらに、心の底から熱くなれる本当のサッカーを教えてやる。これが俺の今日の目標だ。

 

 

「加賀美、調子は?」

 

「最高潮だ。何本でもゴールが奪えそうだ」

 

「そうか……今日はお前にボールを集める。構わないな?」

 

 

 豪炎寺が試合開始直前に話しかけてくる。きっと、前の敗北を俺が気にしているのを察していたのだろう。イナビカリ修練場で無茶してた時も気にかけてくれていたしな。

 

 

「ああ。頼りにしてる」

 

「……おう!」

 

 

 そう返すと、豪炎寺はニヤリと笑う。コイツ、表面上は滅茶苦茶クールだけど内面はやっぱり熱い、俺や守と同じサッカー馬鹿だよな。

 

 

 さて、両チームの全員がポジションに着いた。それを確認した審判が──

 

 

『審判により試合開始のホイッスルが吹かれました! 試合開始です!!』

 

 

 豪炎寺から受けたボールと共に、早速御影専農ゴールへと切り込む。目の前には御影専農の選手達が待ち構えているが、()()()()()()()()()()()()()()()()()。が、少し遅れてこう聞こえてくる。

 

 

「データより速い……!」

 

「バカな!?」

 

 

 データを元に予測していた俺の動きとは大きくかけ離れていたのだろう。抜き去った直後に口を揃えて驚いている。俺の前に控えている連中は、それを見て焦ったように動き出すがスピードが乗った俺の動きには追いつけていない。

 

 

「狼狽えるな! ディフェンスフォーメーション、ガンマ3!」

 

 

 杉森のその指示で、DF陣がゴール前へと動き出す。だが、もう遅い。

 

 

──轟一閃"改"! 

 

 

 杉森の指示による陣形が完成するより数段速くボールの側面を踏み抜く。以前より雷の威力は高まり、それに至るまでの時間も短縮されている。そして何より、ボールに対し振り抜かれるキックの威力が段違いのレベルへと至っていた。

 

 

 あの日の練習後、守に相手してもらって何度も撃ち込んだ轟一閃。その過程で俺は自分の技への理解を深め、更なるステージへと昇華させることに成功した。加えて、イナビカリ修練場での地力の底上げ。この2つが重なり、少し前とは比較にならない威力へと変貌を遂げる。

 

 

 以前よりも大きく、力強く轟いた雷は容赦なく御影専農のゴールへと襲い掛かる。ギリギリのところでゴール前へと躍り出たDF陣はシュートへ脚を伸ばすが、為す術なくぶっ飛ばされる。4人のDFが目の前から姿を消し、ようやくシュートと対面した杉森は両腕を伸ばすが、そのままゴールへと押し込まれた。

 

 

『……ゴ、ゴォォル!! 開始僅か数分!! 加賀美が凄まじいシュートで御影専農ゴールをこじ開けたァァァ!? その速さたるやまるで雷!! あまりに一瞬のことに興奮が治まりません!!』

 

 

 唖然とする御影専農、喜び沸き立つ雷門。とりあえず、リベンジは成功だな。

 

 

「味方ながらとんでもねえな……俺も負けてらんねえ」

 

「おう、どんどん決めてこうぜ」

 

 

 染岡に若干引き気味ののリアクションをされた。自分も決めねばと言う染岡の闘志を煽り、ポジションに戻る。

 

 

 御影専農キックオフからの試合再開。開始前は飄々としていたヤツらの表情に、焦りが浮かんでいるのが分かる。すぐにボールを奪って2点目を決めてやろうと思い走り出した直後、3人からマークに着かれる。恐らく、俺を抑えれば他のメンバーは恐るるに足らないとでも思ったのだろう。

 

 

 だが残念、努力していたのは俺だけじゃない。

 

 

「ナイスだ風丸!!」

 

 

 風丸が磨かれた瞬足ですぐさま追いつきスライディング、一瞬でボールを奪った。それに気を取られている隙につけ入り、マークを振り払って走る。

 

 

「こっちだ宍戸!」

 

「加賀美さん!」

 

 

 風丸からボールは宍戸に。相手がボールを奪うべく宍戸にスライディングをかけるよりも速くボールを要求し、受け取る。

 

 

「ナイスパス! 皆上がれ!!」

 

 

 ボールを受け取った俺は、皆に攻め上がるよう促す。さっきのシュートで、ヤツらは間違いなく俺への警戒を強めてくる。ならそれを利用してやるまで。俺は囮になりつつボールを前線に運び、様子を見て皆にシュートを委ねればいい。

 

 

 予想通り、複数でプレスをかけてくる御影専農。流石連携が取れている。徹底的に逃げ道を潰しているいいディフェンスだ。

 だが、それを覆せるだけの力があれば問題は無い。1人目の正面からのスライディングと2人目の左からのタックル、そして3人目が俺の背後を抑えている。右に誘導されているのを把握しつつ俺は()()()()

 

 

 仮に右に逃げれば、スライディングを飛び越えた左のヤツと前から新しく迫ってきていた4人目に挟まれ、ボールを奪われていただろう。だが残念、壁山みたいに大柄なDFはいない、野生中みたいにジャンプ力が凄まじいヤツもいないとくれば、上に逃げてしまえば良いだけだ。

 

 

「豪炎寺!!」

 

 

 左サイドから走り込んできた豪炎寺に空中からパスを出す。豪炎寺はそのまま上がっていき、ボールを高く蹴りあげ自身も飛び上がる。

 

 

ファイアトルネード!! 

 

 

 炎の竜巻を携えたシュートが御影専農ゴールへと伸びていく。ファイアトルネードの威力も以前より遥かに上がっている。

 

 

シュートポケット! ──何ッ!?」

 

 

 豪炎寺のファイアトルネードは、シュートポケットでは威力を殺しきれなかったようだ。突破に腕を伸ばし、ボールを何とか弾く杉森。

 

 

「まだだ! 豪炎寺!!」

 

「おう!!」

 

 

 後ろから上がってきていた染岡が弾かれたボールを受け取り、豪炎寺と連携を図る。染岡は大きく足を振りかぶり、力の込められたボールを蹴り上げる。すると蒼いドラゴンがその後を追従する。

 そのドラゴンの行く先には、炎と共に飛び上がった豪炎寺。豪炎寺がそのドラゴンに炎を吹き込むと蒼は紅へと変わり、口元から炎を吹かせながらゴールへと襲い掛かる。

 

 

ドラゴォォォン!! 

 

トルネェェド!! 

 

 

 放たれたドラゴントルネード。杉森は先程と同じく、胸を大きく開いてバリアを展開。そのバリアに触れた途端にシュートの威力は削がれていくが……やはり完全には殺しきれない。またボールは弾かれる。

 

 

「壁山! 豪炎寺!」

 

 

 そのボールは俺の足元に。そして後ろから上がってきていた壁山に気づいていた俺は、豪炎寺が壁山に合わせられるよう声を掛ける。2人が並走を始めたのを見届け、高くセンタリングを上げる。それを見た2人はほぼ同時のタイミングで大きく跳ぶ。

 1人で飛べる限界まで達したところで、壁山が地面に背中を向けて豪炎寺の足場となる。そこから更に豪炎寺は跳び、オーバーヘッドキックをボールに叩き込む。

 

 

「「イナズマ落とし!! 」」

 

 

 空高くからイナズマが落とされた。大気を割くように地上へ迫るそのシュートは、ゴールより明らかに手前へと落ちてきている気がした。ミスキックか……? と思い、豪炎寺の方を見ると俺の方を見ていた。

 なるほど、そういうことか。豪炎寺の意図を把握した俺は一気に加速する。その行き先は、()()()()()()()()()()()()

 

 

「───喰らえッ!!」

 

「何だそのシュートは……データにない!!」

 

 

 ボールではなく脚にエネルギーを集中させ、轟一閃と同じようなモーションで落ちてきたイナズマに雷を上乗せする。その瞬間ボールは爆発的な加速を得る。杉森は悲鳴にも似た驚愕の声を上げつつも、真正面からボールと向き合う。

 

 

ロケットこぶしッ!! 

 

 

 シュートポケットとは違い、腕に集中させたエネルギーをそのまま射出した。こぶしの形をしたエネルギーの塊がボールを殴りつけるが、消されたのはこぶしの方であり、容赦なくイナズマが杉森ごとゴールを貫く。

 

 

「ぐはァッ!?」

『雷門2点目だァ!! ファイアトルネードとドラゴントルネードを辛うじて防いだ杉森!! イナズマ落としと轟一閃の合わせ技には対応出来なかったァァ!!』

 

 

 正確には轟一閃とはまた違うシュートだけど、まあそこはいい。前半15分、といったところか。この時点で既に2点のリードだ。このままいけば問題ないだろう。

 

 

「──何故だッ!?」

 

 

 杉森がそう叫び、拳を地面に叩きつける。

 

 

「何もかもがデータと違う……! 一体何故なんだ!?」

 

「言っただろ、データだけじゃ全てを測れないって」

 

 

 そう短く言い残して自陣へと戻っていく。杉森は試合再開のホイッスルが響くまで地に伏せたままだった。

 

 

 ……まだ足りないか、もう少し焚き付けてやる必要があるな。

 

 

 再び相手のキックオフから試合再開。ホイッスルが鳴った直後、下鶴がバックパスでボールを下げる。そしてそのボールを受け取ったヤツを中心に、円形に他の選手がかこんで攻め上がる。それに対してこちらがボールを奪いにかかると、その円を形作っているヤツがそれを阻み、意地でもボールを前へと運んで行った。これではボールを奪うことは難しい。

 

 

 遂に俺達はボールを奪うことが出来ず、相手にシュートチャンスを許してしまった。下鶴はボールを受け取ると、高くセンタリング。すると、高く蹴り挙げられたボールはそのまま火を噴きミサイルのようにゴールへと向かい始めた。

 

 

パトリオットシュート!! 

 

 

 先程のイナズマ落としのように真っ直ぐにゴールへ降っていく。守はそのシュートを迎え撃つべく、拳に力を集中させる。

 

 

熱血パンチ!! 

 

 

 ゴールの際の方を狙ったシュートに対し、素早く反応して拳を叩き込む。下鶴のシュートの威力と守のパンチの威力は互いにせめぎあい、やがてゴールを超えて飛んでいきラインを超えた。相手のコーナーキックから試合再開。頭でボールを奪い合い、弾かれた先には下鶴が。

 

 

「いくぞ! パトリオットシュートッ!! 

 

 

 再びパトリオットシュートが放たれる。それに対して守は……なんとゴールを空け、前へと走り出した。何やってんだアイツ!? 

 

 

「豪炎寺!! このままシュートだ!!」

 

「円堂!? ……ああ、分かった!!」

 

 

 後ろまで下がってきていた豪炎寺に声をかけ、2人で前へと走っていく。そしてそのまま、落ちてくるシュートに対して同時にボレーシュートを叩き込んだ。すると、ボールを中心に雷が迸り、そのまま真っ直ぐにシュートを蹴り返してしまった。こちらのゴールから杉森が守るゴールへと突き進んでいく。全く予報していなかった展開に、杉森は反応が大きく遅れる。

 

 

「こんな……こんなこと有り得るかァァァ!?」

 

 

 必死に両手を伸ばすも、無慈悲にそのままゴールへと押し込まれた。3点目。そしてここで前半終了のホイッスルが鳴り響いた。

 

 

 

 

「ふう、すっげえシュートだったな! 豪炎寺!」

 

「ああ……まさかあんなシュートが撃てるとは」

 

 

 あんな形になるとは守も豪炎寺はも思っていなかったらしく、ハーフタイム中の控え室であのシュートを振り返り盛り上がっていた。

 

 

「にしてもすげぇのは加賀美だ。試合が始まった瞬間に1点取っちまうし、その後もイナズマ落としの威力に負けねえでシュートを上乗せしやがった」

 

「ここまでレベルアップしてるなんて、相手としても予想外だろうな」

 

 

 前半の活躍に賞賛の声が浴びせられる。このままいけば間違いなく試合には勝てるが……俺の中ではまだ1つ果たせていない目的がある。そう、ヤツらに本当のサッカーを教えることだ。

 データだけのサッカーでは勝てないということは前半で見せつけたつもりだが、今までその戦い方をしてきたからか、中々その間違いに気づかない。あともう一押しだと思うんだが……

 

 

「先に戻ってる」

 

「おう! すぐ行く!」

 

 

 考えるだけ無駄か、と思い皆よりも早く控え室を出た。グラウンドをに向かって歩いていくと、前から男の人が歩いてきた。御影専農の監督だ。酷く取り乱した様子で「もうダメだ」などと呟いている。何かあったのだろうか。

 

 

 その答えはすぐ分かることになる。後半開始直前だというのに、御影専農のベンチには監督の姿がない。絶望しきった選手達の表情を見るに、恐らくあっちの監督は逃げ出したのだろう。あの下鶴も終わった、と口にして顔を青くしていた。

 

 

 だが、ただ1人。目に炎を宿している男がいた⋯杉森だ。ゴールの前で、こちらを真っ直ぐ見据えている。

 

 

『後半開始!! 御影専農、3点の得点差を覆せるかァァァ!?』

 

 

 後半開始のホイッスル。力無く繰り出されたパスは、誰の足元に収まることも無く転がり続けた。御影専農の大半は戦意喪失。このままでは試合にならない。

 

 

 だが、お前だけは違うんだろ……杉森! 

 

 

 転がるボールを奪い、そのまま単身ゴールへと向かう。その行く手を阻もうとするものは誰もいない。

 

 

「杉森ィィィィィ!!」

 

「……来いッッ!!」

 

 

 俺の叫びに、負けじと大声で返してくる杉森。逃げ出す監督、絶望するチームメイトを前にお前が何を感じたのか……俺に見せてみろ! 

 

 

轟一閃……"改"!! 

 

 

 再び全てを斬り裂く雷が御影専農ゴールへと襲い掛かる。それに対し、杉森は一切臆することなく必殺技の構えに入る。

 

 

ロケットこぶしッッ!! 

 

 

 こぶしの形のエネルギーがシュートへぶつかる。だが多少威力を削られただけでシュートは止まらない。

 

 

「まだだ!! シュートポケットォ!! 

 

 

 大きく胸を開き、先程よりも大きなバリアが展開される。そのバリアは少しずつシュートの威力を殺すが、それでも殺しきれない。バリアを突き破ったシュートはゴールネットを揺らす──

 

 

「まだ、まだァァァァァ!!」

 

 

 ──ことはなかった。杉森は両腕を突き出す。踏ん張った両足が地面を削り、杉森はどんどん後ろへと押されていく。だがそれでも、シュートは完全には止まらない。

 

 

「負けてたまるか……負けて、たまるかァァァァァ!!」

 

 

 空気が変わった。杉森の両腕にエネルギーが集中していく。するとやがて、杉森の身体の後退は止まり、ボールは完全に杉森の腕の中に収まる。

 

 

「皆もそうだろ!? 絶対に負けない、最後の1秒まで諦めるなァァァ!!」

 

 

 杉森の魂の叫びは、他のメンバーの心にも届いたようだ。我に返ったような表情で頭に取り付けていた装置を外す。その瞳には今の杉森や俺達と同じ、熱い炎が宿っていた。

 

 

 ……変わるぞ、ヤツら。

 

 

「いけェェェェェ!!」

 

 

 そこから御影専農の猛攻が始まる。先程のような機械のように正確で精密な連携は見る影を失ったが、それでも前半より強くなっているように感じた。勝ちたいという貪欲な気持ちが、今のアイツらを動かしている。そんなヤツらが弱いはずない。アイツらは今、本当のサッカーをしているんだ。

 

 

 そう思うと、笑みが零れ落ちるのを止められなかった。

 

 

「……よし、俺達も攻めるぞ!! まだまだ後半は残っているぞ!!」

 

「「「おお!!!」」」

 

 

 そこからは互いに1歩も譲らない試合だった。ボールを奪っては奪い返し、シュートを撃っては撃ち返した。キーパーだけでは止められないシュートは他がカバーし、攻めきれない場面では率先してキーパーも動いた。

 

 

「豪炎寺ッ!!」

 

 

 後半も残り僅かというところで、攻めの主導権が俺達に移る。最後の1秒まで手は抜かない。すぐさま俺達は前線へ駆け上がった。ボールを運ぶ俺は囲まれ、身動きは取れない。それでも、豪炎寺が決めてくれると信じてパスを出した。

 

 

ファイアトルネードッッ!! 

 

 

 豪炎寺は回転しながら飛び上がり、ファイアトルネードを繰り出した。と思ったその時、なんとゴール近くまで下がってきていた下鶴が、豪炎寺と全く同じタイミングで飛び上がり、同じくファイアトルネードを撃ち込んだ。

 

 

 行き場を失った力は空中の2人に襲い掛かり、そのまま2人は真っ逆さまに落下した。ボールは明後日の方向へ飛んでいくと、俺の足元へと転がってきた。目の前は開けており、杉森1人が待ち構えている。

 

 

「来い、加賀美ッ!!」

 

「……行くぞッ!!」

 

 

 この試合の1番の立役者はお前だ、杉森。お前の熱意が御影専農を変え、この試合をここまで熱いものにしたんだ。俺はそれに最大限の礼儀を払いたい。

 

 

 だから、今から俺が撃つのは全身全霊、全てを乗せたシュートだ。

 

 

 轟一閃と同じような初動でボールにエネルギーを注ぎ込み、前へ送り出す。ただしその量は段違いのもの。轟一閃とは比較にならない勢いで放電し、周囲の全てを痺れさせる。更に強く放電したと思うと、その雷はボールを中心に球体状のエネルギーを形作り落ち着いた。そして俺は完成した雷の塊に、全力で両脚を叩き込む。

 

 

 これが俺の新必殺技──

 

 

ライトニング、ブラスタァァァ!! 

 

 

 刺激された雷の塊は途端に暴れ出す。力を加えられた方向に対し、万物を貫く極太の雷を吐き出した。

 

 

シュート、ポケットォォォ!! 

 

 

 杉森はバリアを展開する。が、雷は全てを呑み込み、ゴールを貫いた。得点を知らせるホイッスルが鳴り響いたその直後、試合終了のホイッスルが後を追う。

 4-0、俺達の勝ちだ。

 

 

「杉森、いい試合だった」

 

「お前のおかげで、本当のサッカーが分かった……礼を言う、加賀美」

 

 

 ボロボロの杉森に手を差し伸べ、立ち上がらせる。周りを見渡す。皆、良い顔をしていた。敵味方関係なしに互いの健闘を称え合い、笑っていた。

 

 

「良いもんだろ、サッカーって」

 

「ああ……またやりたいものだ」

 

 

 再戦の約束を交し、力強く握手を交わした。その後中央に整列し、挨拶をしてそれぞれ控え室に戻っていく。

 

 

「豪炎寺、脚大丈夫か?」

 

「もしかしたら次の試合は厳しいかもしれないな……それより、凄いシュートだったな。あれなら帝国も敵じゃない」

 

「まあな……帝国と戦うには、あと1回勝てばいいのか」

 

 

 脳裏には、鬼道を始め帝国イレブンのプレーが思い浮かぶ。あれから俺達も強くなったが、それでも帝国に対する印象は揺るがない。だが、次に勝つのは俺達だ。その日までひたすらに磨き続けよう。




原作ブレイクが過ぎましたかね・・・柊弥がここまで無双するのは今回が最初で最後になると思います。今後無双出来る場面が思い浮かばないので。
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