Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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第35話 神が齎すのは

「必ず点は取る……そして勝つ!」

 

 

 轟一閃に雷龍一閃・焔、ザ・フェニックス。俺達の必殺技はいとも簡単に世宇子のキーパー、ポセイドンに止められた。俺轟一閃はともかく、他の2つは雷門の中でも屈指の威力を誇る連携シュート。それを余裕で止められては、染岡や皆が焦るのも分かる。

 

 

 だがまだ手ならある。俺と修也のファイアトルネードDD。鬼道を交えたイナズマブレイク。そして未完成のまま終わったあの必殺技。あれらなら点数を奪うことも可能かもしれない。だからこそ、まずは何としてもボールを奪い取る。

 

 

 ポセイドンが腕を大きく振りかぶり、手の中のボールをぶん投げる。どんな腕力してやがる、センターラインまで伸びていったぞ。それを受け取ったのは兜を着けたFW、デメテル。

 

 

「ゴールには近付けさせない!」

 

「ゴールを守るのは、キャプテンだけじゃないっス!」

 

 

 迫るデメテルに対し風丸、マックス、壁山が行く手を塞ぐ。3方向から同時に襲い掛かると、デメテルは一気に加速し、風を纏う。両手を振り払うと、デメテルの周りの風は支配から解放されたように周囲へと吹き荒れる。

 

 

ダッシュストーム!! 

 

「ぐ、ぐあああああ!?」

 

 

 凄まじい突風だった。こちらに向けられたものではないにも関わらず、その余波が肌を撫でた。そんな俺とは逆に、それを真正面から食らった3人は為す術なく風に巻かれ、大きく吹き飛ばされる。何度も転がされ、ようやく止まる。あの1発だけで3人はボロボロにされてしまった。不味い、あのディフェンスラインを突破されたら、次は守だ。

 

 

「間に合えェェェ!!」

 

「邪魔だ!」

 

 

 あと少しで手が届く。そう思ってさらに加速したその時だった。デメテルはその身を翻し、足元のボールを俺に向かって蹴り抜いた。真っ直ぐに撃ち出されたボールは、俺の鳩尾をモロに捉えた。腹の中のものが全て押し戻される感覚に襲われたが、何とかそれを吐き出しそうになるのを耐える。しかし、顔を上げた時には、既にデメテルはゴール前へと辿り着いていた。

 

 

「柊弥!! ──来いッ!! 次は止めてやる!!」

 

「はぁぁぁぁぁ!! リフレクトバスター! 

 

 

 デメテルが短く咆哮すると、周囲の地面が砕け、宙へと浮き上がる。その中の1つに対して蹴られたボールは次々と反射され、その力を何倍、何十倍にも増幅させる。力の帯び過ぎで赤く染まったボールは、最後の欠片に弾かれるとゴールに向かって突き進む。アフロディのシュートに比べれば劣るが、それでもさっきの俺達のシュートのどれよりも圧倒的に強大。誰もシュートの威力を削げに行けない……クソッ、まずいな。

 

 

「止める……ゴッドハンドッ!! 

 

 

 それは先程のゴッドハンドよりも大きく、輝きに満ちていた。反射によって力を増したシュートと真正面からぶつかり合う。拮抗している。いける、これなら止められる。

 

 

「ぐッ……はァァァァァァァァ!!」

 

 

 守は更に、帝国戦で見せたように片手のゴッドハンドにもう片方の手を重ねた。一際強い光を放ち、更に巨大となった神の手。ボールの勢いが殺され始めた。それを見ていた誰もが守の勝ちを確信した。

 

 

「なんだ……これッ!?」

 

 

 守が油断しただけなのかどうなのかは分からなかった。その瞬間にシュートの威力が急に上昇したんだ。徐々に守が後ろに追いやられていく。急げ、今ならまだ間に合う。早く守の後ろに着いて──

 

 

「がッ──」

 

『ゴォォル!! 世宇子中9番デメテル!! アフロディのシュートに引けを取らない必殺シュート、リフレクトバスターでゴッドハンドを再び打ち破ったァァァ!!』

 

 

 間に合わなかった。ダメだった。走り出したその瞬間、守のゴッドハンド……いや、ダブルゴッドハンドは打ち砕かれた。そのまま守を巻き込み、ゴールネットを貫かんとばかりに真っ直ぐに突き刺さった。数秒後ようやく勢いを失ったボールは音もなく転がり、守は音を立てて崩れ落ちた。

 

 

「守ッ!!」

 

「クソッ!! また守れなかった……!!」

 

 

 守が拳を地面に叩きつける。だがここでムキになったところで仕方ない。手を差し出し、立ち上がらせた。フィールドに視線を巡らせると、あることに気が付いた。蹲ったまま立ち上がらないヤツがいる。帽子を被ってる男…マックスだ。

 

 

「マックス!! おい! 大丈夫か!?」

 

「う、うぅ……!!」

 

 

 あの抑え方は……恐らく、いや間違いなく脚を痛めている。さっき吹き飛ばされた時だ。俺達が点を取られたことで試合は停止中。とにかく、ベンチに連れていかなければ。

 

 

「ぐぅッ!!」

 

「ひどい……これじゃ試合は無理です!」

 

 

 すぐさま春奈が応急処置に入るが、やはりダメだったようだ。マックスが抑えていた箇所は真っ青に腫れており、これ以上動こうものなら確実に今後サッカーが出来なくなる。

 

 

 マックスに代わってフィールドに入るのは少林。無念を口にするマックスから少林は、俺達はその意思を継いだ。それぞれポジションにつき直し、試合再開だ。

 

 

「ぐおォ!?」

 

「染岡!!」

 

 

 キックオフ直後、修也から受け取ったボールを染岡は強烈なスライディングで奪われる。先程と同じように爆速で駆け上がる。その行く手を少林、栗松、土門が抑えにかかるが、デメテルは再びダッシュストームでそれを突破する。あっという間に防衛線を抜けたデメテルは、シュートに近いパスをヘラに向かって送る。

 

 

ディバインアロー!! 

 

 

 宙に浮いたままのボールにヘラは何度も何度も蹴り込む。聖のエネルギーが高められたボールを最後に思い切り蹴り込むと、一直線に空気を切り裂きながらゴールへと迫っていく。パワーこそ他の2本に劣るが、スピードは群を抜いている。

 

 

 守は瞬時に構えるが、ゴッドハンドは間に合わない。ダブルゴッドハンドならいけるかと思ったが、爆裂パンチで止められるか? 

 

 

爆裂パンチ"改"ッ!! 

 

 

 まさに爆裂の名に相応しい連打がボールに叩き付けられる。しかし、ここまで受けた2本のダメージがあまりに大きすぎた。ぶつかり合ってから間もなく、守は三度ゴールネットへ押し込まれた。

 

 

「──少林ッ!! 栗松ッ!!」

 

 

 風丸がそう声を荒らげる。すぐさま視線を向けると、そこには倒れて立ち上がらない少林と栗松の姿。まさか、またあのドリブル技にやられたのか!? 秋と春奈の反応を伺うが、やはりダメだった。2人はすぐさま交代、代わりに半田と影野が入る。

 

 

 ふと電子掲示板を見る。時間はまだ前半の15分に差し掛かるかというところ。まだまだ試合は続くというのに、こちらは既に3人削られている。交代はしていないが、他の皆もダメージが大きい。特に守はまずい。あの威力のシュートを3回も喰らっている。代わりのキーパーは勿論いない。とすれば、あいつらにこれ以上シュートを撃たせる訳にはいかない。そして、この3点差を覆さなければならない。

 

 

 ……いけるか? この神紛いの化け物達相手に。

 

 

「畜生! このままじゃジリ貧だ……!」

 

「……俺達で活路を開くぞ。染岡、柊弥」

 

「ああ」

 

 

 ダメだ、弱気になるな。いけるかいけないかじゃない、やらなきゃいけないんだ。副キャプテンの俺が弱気な姿勢なんて見せられない。どれだけ圧倒的な力の差があろうが、最後まで喰い付いてやる。

 

 

「行くぞ!」

 

 

 キックオフ。ボールを受け取った染岡とその後ろから半田がすぐさま駆け上がる。その行方を遮るのは大柄のDF、ディオ。ヤツは染岡の前に立ちはだかったと思ったら大きく跳躍し、自身を中心に地を砕く。その砕けた地面が急に盛り上がり、染岡は大きく打ち上げられ、空中に身を投げ出される。

 

 

メガクエイクゥ! 

 

「がッ!!??」

 

「ぐぁッ!!??」

 

 

 俺と修也は更に前に上がっていたから巻き込まれなかったが、メガクエイクに巻き込まれた染岡と半田はそのまま動かない。想像したくない最悪の状況が頭を過る。すぐさま2人に駆け寄ると、それぞれ肩、足首を抑えながら苦悶の声を漏らしている。俺と修也が肩を貸してベンチへ下がり処置をしてもらうが、やはり2人も重症。試合続行は不可能だ。

 

 

「お、俺が!」

 

「ぼ、僕だって……雷門の一員です! 染岡君の代わりに出ます!!」

 

 

 半田の代わりに宍戸。染岡の代わりに目金が入ってきた。これで俺達は全員試合に引きずり出された。ベンチは全員負傷者。これ以上の交代は出来ない。

 

 

 交代が済み、すぐさま試合再開。徹底マークされた俺と修也に対し、目金はフリー。それを見て宍戸がボールを送るが、それは悪手、世宇子の狙い通りだった。

 

 

「逃げろ、目金ぇえええ!!」

 

メガクエイク

 

 

 再び大地の恐怖がフィールドを鳴らす。恐怖で動くことが出来なかったんだ。抵抗する間もなく大地に呑み込まれた目金は地面に叩きつけられ、動かない。アイデンティティの眼鏡は粉々に砕け、ピクリとも動かない。気を失ってしまったようだ。当然、目金はベンチに下がる。しかし、その代わりにフィールドに立てるものはいない。俺達はこの絶望的状況で、さらに数的不利を背負わされた。

 

 

 ここまで極力冷静に立ち回ろうと努めてきた。しかし、激しい怒りが俺の頭の中を支配する。仲間をここまで傷つけられ、怒るなという方が無理な話だ。コイツらが反則を取られないように計算した上で立ち回っていることは明白だ。だからこそタチが悪い。いや、影山のことだ。審判にまで手を回しているだろう。期待するだけ無駄だ。

 

 

「柊弥」

 

 

 修也に話しかけられ、ふと我に返る。

 

 

「自分を見失うな。今お前が欠ければ、俺達はこの試合……負ける」

 

「……悪い」

 

 

 修也が掛けてくれた一言で、何とかドス黒い感情を押さえ付けた。ムキになって俺まで退場すれば、更にチームが追い込まれるだけだ。1回落ち着くんだ。

 

 

 前線に出れる中で1番速く動けるのは俺だ。なら、俺がアイツらを掻い潜り、シュートチャンスを作る。決めるのは俺でも修也でも、誰でもいい。とにかくこの3点の差を巻き返すんだ。

 

 

雷光翔破ッ! 

 

 

 雷を纏い、一瞬のうちに雷光の速度へ達して駆け上がる。よし、ヤツらを欺けている。このまま上がって、まずは1点──

 

 

「あれ?」

 

「へッ、遅いな」

 

 

 気が付いた時には俺の足元からボールは消えていた。俺からボールを奪ったのはヘパイス。すぐさまボールを奪いに飛びかかるが、気が付いたら俺の腹にボールがめり込んでいた。意識が遠のきかけたが、気合いで持ち堪える。だが、その一瞬の隙がダメだった。ボールは既に別の選手へ渡っており、それを止めに掛かった鬼道と一之瀬が弾き飛ばされていた。

 

 

 その後も蹂躙は続く。修也が、鬼道が、一之瀬が、宍戸が。風丸が壁山が影野が土門が。守が。何度も風を、大地を、ボールをその身体に叩き込まれる。コイツらの目的は単に試合に勝つことじゃない。俺達を徹底的に痛めつけ、力の差を見せつけること。その為にコイツらは一切躊躇しない。

 

 

「まだ……まだァ!」

 

 

 守が立ち上がった。それを見たアフロディはボールを受け取り、ゴールへ歩いて近付いていく。脚をガクガクと震わせながらも、ギラギラと輝く眼で守

 アフロディを見据える。

 

 

「ふっ」

 

 

 アフロディはそのまま、ごく自然な足取りでボールを蹴る。ただのノーマルシュート、当然ゴッドノウズに遠く及ばない威力だ。しかし。

 

 

「がッ──」

 

 

 守は為す術なくゴールに押し込まれる。わざと顔を狙われたりして執拗に痛めつけられた守には、もうノーマルシュートを止まる力すら残っていなかった。

 

 

『ゴ、ゴール……世宇子中4点目! 雷門はもはや限界か、辛うじて立っているものの、受けたダメージは計り知れません! もはやこれは試合ではない、一方的な蹂躙劇だ! 神が齎したのは……絶望そのものです!』

 

 

 再開のホイッスルが響く。直後、修也はボールを奪われ、まるでついでのように打ち倒される。風のようにフィールドを駆け巡る世宇子。徐々に、徐々に皆が倒れていく。ホイッスルが鳴って1分も経っていない。けど、皆は倒れて動かない。顔面にボールを喰らい、守も倒れた。

 

 

 立っているのは、俺だけ。

 

 

「上等だ……ぶっ潰す!!」

 

 

 ははっ、我ながら清々しいほどの強がりだ。俺1人でこいつら11人相手できるはずない。けれど、だとしてもやるしかない。俺まで倒れたら、試合続行が出来ないと見なされて強制的に負けになる。そんなことはさせない。皆が回復する時間を俺1人で稼いでやる。

 

 

 ボールを持つアフロディに飛びつくように襲い掛かる。簡単に躱された。ボールはデメテルへ。体勢を立て直しすぐさま駆け出すと、こちらに向かってシュートを放つ。それに対して真正面から蹴り込むと、やや後ろに押されたがボールは俺の支配下に。

 

 

 そのままゴールへと走る。コイツらは間違いなく油断している。その虚を突くことが出来れば、1点くらい俺1人でも奪えるかもしれない。それが皆の士気を上げてくれるかもしれない。だから、決める。

 

 

ライトニングブラスター

 

 

 俺の身体から溢れるエネルギーがボールに注ぎ込み、暴れさせる。轟々と鳴きながら暴れる雷がボールを包み込む。そいつに両脚を叩き込むと、極太の雷がポセイドンへと襲い掛かる。

 

 

「ふんッ!!」

 

 

 しかし、それは地面に叩きつけられる形で止められる。必殺技無しでだ。ポセイドンは思い切り俺に向かってボールを蹴る。それが俺に当たることはなかったが、俺の後ろにいたヘルメスの脚元に収まる。間髪入れずに放たれたボールは俺の背中を捉える。

 

 

 顔面から崩れ落ちるが、寝ている余裕なんてない。すぐさま立ち上がる。

 

 

ダッシュストーム! 

メガクエイク! 

さばきのてっつい! 

 

 

 その矢先だ。荒れ狂う暴風に吹き飛ばされ、その先で大地に全身を打ち上げられる。挙句の果てに、巨大な脚に高所から思い切り地面に叩き落とされ、潰される。もうここまで来ると、何も感じなくなってきた。

 

 

 けど、俺の身体はもう限界みたいだ。もう一切言うことを聞かない。立てない。戦えない。地面に倒れたまま、視界が段々と暗くなってきた。意識が、遠くなってきた。

 

 

「……チェックメイトだ、雷門中、加賀美君」

 

 

『雷門中の選手は、誰1人として動けないようです……前半終了を前に、雷門中が試合続行不可能! フットボールフロンティア全国大会決勝戦は、4-0で世宇子中の圧勝です……!』

 

 

「……まだだァ!!」

 

 

 試合は強制終了。もうダメだと思ったその時だった。守が覚束無いながらも立ち上がり、叫んだ。守だけじゃない。皆が次々と立ち上がる。まだ、皆諦めていない。だけど俺は、もうダメみたいだ。

 

 

 あとは、任せていいかな。俺は意識を手放した。

 

 

「来い! 柊弥の意思は、無駄にしない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、まだだ。

 

 

 皆が立ち上がってるのに、俺1人だけ寝てるのか? 

 

 

 まだまだ、これからだろ? 

 

 

 いつだって強敵を相手に戦ってきた。どれだけ追い詰められても、最後まで諦めないで立ち上がってきた。逆境を、ギリギリの状況を楽しんできた。

 

 

 楽しめよ、お前が大好きな追い詰められてどうしようもない状況をだぞ。

 

 

 さあ、立て。

 

 

 

 

 ---

 

 

 

 

 次々と立ち上がる雷門イレブン。ボロボロになりながらも歯を食いしばり、身体を奮い立たせて世宇子イレブンに向き合う。

 

 

「面白い……なら、もっと痛ぶってあげよう!」

 

 

 アフロディが雷門ゴールへ一気に加速しようとした、その時だった。アフロディはただならぬ気配を感じ取りその脚を止める。心胆を寒からしめるそれに、アフロディだけでなく誰もが冷や汗を流す。

 

 

 恐る恐るアフロディは後ろを振り返る。そこにいたのは──

 

 

「楽しくなってきた」

 

 

 ──全身から青と黒の炎が立ち上る、圧倒的"異能"。




次回、覚醒

アンケート置いてるんで良かったら答えてやってください、参考にさせていただきます。

ー追記ー
各番外編はだいたいこんな感じのストーリーです
オーガ編→正史通り決勝でオーガと試合。助っ人に1部変更あり。
アレオリ編→スペインにボコされた後どこかへ派遣。恐らく永世。もしくは世宇子。
GO2編→パラレルストーンに巻き込まれるor天馬の救援要請でタイムジャンプ。太陽or白竜ポジに。
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