Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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何とか生きてます。


第42話 再戦、ジェミニストーム

 

 

「ここの屋上にアイツらがいるんだな」

 

「いかにも、って感じの雰囲気だな」

 

 

 古株さんが全力で飛ばしたおかげで10分程度で奈良シカTV、エイリア学園が出現したと報告のあった場所へとやってきた。

 屋上からは、紫色の光が怪しく蠢いている。

 

 

「……よし、行くぞ皆!!」

 

 

 早速中に乗り込み、エレベーターを使って全員で屋上へと上る。

 頑張って表に出さないようにしているのだろうが、どうしても連中に対しての恐怖が皆の顔に滲んでいる。

 無理もない。俺だってまたあんなヤツらと試合するって考えたらボコボコにされた記憶が嫌でも蘇る。

 

 

 けど、それでも俺らがやるしかないんだ。

 

 

「着いた!」

 

「あれは……!」

 

 

 状況とは真逆に軽快な音が鳴り、エレベーターの扉が開く。

 すると、視界の先には屋上に取り付けられたグラウンドの真ん中で紫に輝くサッカーボールを囲むエイリア学園、ジェミニストームがいた。

 

 

「レーゼ!!」

 

「探したぞ、エイリア学園」

 

「……何故、貴様がここにいる」

 

 

 俺の顔を見るや否や、レーゼはそんな疑問を投げかけて来る。

 

 

「貴様は再起不能まで追い込んだはずだ」

 

「あの程度で俺を止められると思うな。お前達を倒すためなら地獄からでも這い上がってやる」

 

「……威勢のいいことだ」

 

 

 俺の存在にやや驚いたような表情を見せたが、すぐさま余裕を見せてくる。

 現に俺達は以前酷くやられているからな。他のチームもアイツらに勝つことは当然、点を取ることすらできていない。

 だからこそ、俺達がコイツらを打ち負かす。

 

 

「また我々と勝負でもするか?次は何人負傷するだろうな?」

 

「当然だ!次は俺達が勝つ!」

 

「いいだろう……今一度己の無力さを知るがいい!」

 

 

 こうして、再びエイリア学園との試合が始まる。

 一度ベンチで作戦会議をしていると、塔子が俺達の輪に入ってくる。

 

 

「私も試合に出して欲しい!絶対役に立ってみせる!」

 

「勿論さ!頑張ろうぜ!」

 

「なら、僕がベンチに下がりましょう」

 

 

 目金が自ら控えに回り、塔子はDFとして試合に出ることになった。

 お前絶対ビビってるだろ。誰かが危なくなったら試合に出てもらうからなって脅したら案の定高い声を上げて震えていた。面白いヤツだなお前。

 

 

「前はアイツらのスピードに面食らったけど、今回は食らいついていくぞ!」

 

「ロングパスはカットされる可能性が高い。ショートパスで攻めていこう」

 

「ああ。俺達は必ず点を奪ってみせる」

 

 

 作戦会議を終え、先にポジションに着いてるエイリアの正面に俺達も構える。

 いつ見ても不気味なヤツらだ。今に至るまで宇宙人なんて信じたこともなかったが、こうして対面するとやはり悪寒のようなものが走る。

 

 

 ……いや、ダメだな。少しでも弱気になったら相手に一方的に呑まれる。

 点を取る俺は常に強気でなければならない。

 

 

「修也?」

 

「……ん?悪い、どうした?」

 

「なんか上の空だったからさ。もしかして調子が悪いのか?」

 

「いや、そうじゃないんだ……気にしないでくれ」

 

 

 キャラバンで移動中からずっとこうだ。風丸達の前例もあるから不調を隠していないかが不安で仕方ない。

 引き際を分かっている修也だから大丈夫だとは思うが……どうだろうか。

 それとも何か、他に懸念点があるのか?

 

 

「……無理はするなよ」

 

「ああ、勿論だ」

 

 

 そう短くやり取りを終える。もし本当に駄目そうなら無理やりにでも俺がベンチに下げるしかないな。

 

 

 さて、そんなことをしているうちに全員の準備が整う。

 審判は塔子のとこのSPさんがやってくれるらしい。ちなみにまた角間が実況としてベンチ付近に参戦してる。

 

 

「よし、行くぞ」

 

「ああ」

 

 

 そしてホイッスルが響いた。

 修也にボールを渡すと、それを更に後ろの染岡にパスする。それを確認して俺達はすぐさま前線へと押し上がる。

 

 

 後ろから染岡、風丸、鬼道、塔子が攻め上がってくる。

 短めのパスで段々とボールが俺達に近付いてくるが……

 

 

「なにッ」

 

「早い!」

 

 

 いつ動いたのかも分からない程のスピードでパスコースに割り込み、ショートパスするもカットしてきた。

 やはり早い。姿が消えたタイミングすらも分からなかったくらいだ。

 

 

 ボールを奪ったエイリアのパスワークは正確かつ機敏だった。

 流れるようにFWにボールが渡り、気付けばあっという間にゴール前まで入り込まれている。

 

 

「守!」

 

 

 直後、相手の足元からボールが消えた。

 守とて、一切警戒していなかったはずがない。マジン・ザ・ハンドでは発生が間に合わないと理解していたからゴッドハンドで迎え撃つつもりだったのだろう。

 

 

 しかしそれでもシュートを抑えられなかった。

 開始30秒にしてこちらのゴールネットは揺らされた。

 

 

「クソッ、なんて速さだ」

 

「焦るなよ?まだまだ1点だ」

 

 

 染岡にそう声を掛けるが、そんな強がりで太刀打ちできる相手では無かった。

 こちらのキックオフで試合再開だが、またボールを奪われすぐさまシュートを撃たれ、あっちの点が増える。

 

 

 鬼道の指示を聞き、時に自分で考えて立ち回るがそれどれもがヤツらに通用しない。

 こちらがどれだけ策を弄しても、圧倒的な実力でそれをねじ伏せられてるような気分だ。

 

 

 せめて何か、アイツらの癖でも分かれば。

 

 

「加賀美!」

 

「おう!」

 

「ふん、先程の威勢と現状が伴っていないようだが?」

 

 

 風丸からのパスを受け取ると、レーゼが俺の前に立ちはだかる。

 

 

「精々油断してればいいさ」

 

 

 一気に加速すると、レーゼは俺を妨害することなく素通りさせてくる。

 が、その後ろに控えていた連中がすぐさま俺のボールを狙ってくる。

 

 

 落ち着け。

 ここで少しでも焦ったら相手の思うツボだ。

 だったら、ここは一度落ち着いて──

 

 

「なっ」

 

「加賀美が……抜いた!?」

 

 

 加速から急停止、ゆったりとボールを動かし、適当なタイミングで再び超加速。

 相手のペースを乱すような緩急のつけた動きだ。初見殺しの一手でしかないが、一度抜ければ十分だ。

 

 

轟一閃"改"

 

 

 最速で轟一閃を放つ。

 抜き放たれた雷鳴が真っ直ぐに相手のゴールへと襲い掛かる……が。

 

 

「ふんッ!」

 

 

 キーパーが拳を振り下ろすと、一切粘ることなくシュートは無力化される。

 正直分かっていた。以前の試合ではファイアトルネードDDもライトニングブラスターも通用しなかった。

 お世辞でもその2つに威力で勝てるとは言えない轟一閃じゃ、太刀打ちは出来ないだろうな。

 

 

 しかし、こちらの士気は確実に上がった。

 俺がヤツらを躱し、シュートまで持ち込んだからな。

 

 

「口ほどにもねえシュートだな……ほらよッ」

 

 

 豪快なスロー。ボールを受け取った小太りの肌が赤っぽいヤツは骸骨みたいな雰囲気の男にパスを出す。

 その時、自分の目を疑うようなことが起こった。

 

 

「ここだッ!!」

 

「鬼道!?」

 

 

 なんと、鬼道がボールをカットしてみせた。

 正攻法でヤツらから奪うのは難しい……鬼道め、俺も探してた相手の癖を見つけやがったな?

 

 

「上がれ豪炎寺!!」

 

 

 鬼道は1番ゴールに近い修也に上がるよう指示する。

 高いセンタリングに向かって修也が炎と共に飛び上がると、蹴りを叩き込まれたボールはゴールへ向かって落ちていく。

 

 

ファイアトルネード!!

 

 

 修也の必殺技を見て皆が声を上げる。

 けど、俺には分かってしまった。あれはいつもの修也のシュートじゃない。

 撃つ瞬間に何かを迷ったというか、そのせいで蹴りから威力がしっかりと伝わっていなかったというか……

 

 

 案の定、シュートは相手のキーパーに触れられることすらなくゴールから大きく逸れていく。

 

 

 

「修也……やっぱり」

 

「……すまない、今のはたまたまだ。次は決める」

 

 

 声を掛けるが、サラっと流される。

 ただの偶然を装っているが、本当にそうなのか?このまま修也に試合をさせてもいいのか?

 ……分からない。本来の修也を知っているだけに、これだけでは判断出来ない。

 

 

「加賀美、良いか?」

 

「ああ」

 

 

 修也を追いかける前に鬼道が近寄ってくる。

 

 

「俺が次ボールを奪ったら上がってくれ」

 

「分かった。……何か気付いたんだな?」

 

「まあな」

 

 

 やはり何か付け入る隙を見つけたようだな。鬼道はそのまま修也にも声を掛けに行く。

 俺と修也に同時を声を掛けたということは、ファイアトルネードDDだな。

 以前は呆気なく取られたが、やはりヤツらから点を奪うには鬼道から見てもそれが最善手のようだ。

 

 

 相手のキーパーからボールが動き始める。

 まるで閃光のように繋がれるパス。翻弄されるばかりで誰もそれに追い付けない。

 しかし、鬼道だけは違った。

 

 

「……ここだァッ!!」

 

 

 意を決して飛び出すと、ジャストタイミングでパスをカットしてみせた。

 それを見て俺と修也はすぐさま上がる。

 

 

「頼む!!」

 

「任せろッ!!」

 

 

 鬼道が再び高くボールを蹴り上げる。俺と修也はそれを見て炎を纏いながら同時に飛ぶ。

 回転しながらボールと同じ高さまで到達し、互いの脚に纏った炎をボールに叩き込む。

 

 

 ……いや待て、何かがおかしい。

 いつもは互いの出力が完全に噛み合って威力を増幅させる筈だが、その噛み合いが感じられない。

 俺のアプローチは完璧だった。ということは──

 

 

「──ぐあァッ!?」

 

 

 その瞬間、ボールから炎が弾け飛ぶ。

 必要以上に高められた火力が行き場を無くし、空中で爆発四散してしまった。

 俺はそれに為す術なく吹き飛ばされ、受け身を取ることなく地面に叩き付けられた。

 修也も予想していなかった事に反応が遅れ、そのまま背中から落ちていく。

 

 

「加賀美!豪炎寺!」

 

「ぐ……痛ぇ……」

 

 

 高さが高さだ。ダメージそれなりのものだった。

 とはいえまだ倒れるほどではない。鬼道の手を借りながらも何とか立ち上がる。

 すると、それと同じタイミングで前半終了のホイッスルが鳴る。得点は0-13か……

 

 

 ベンチに戻ると、鬼道が先程の種明かしをしてくれる。

 全員にヤツらの攻めにおけるパターンを説明すると、それならば行けるんじゃないかと皆の表情が明るくなる。……1人を除いて。

 

 

 その1人とは修也だ。

 1人だけ後ろの方で暗い表情をしている。

 やはり、今の修也は危険だ。シュートチャンスがあっても修也に撃たせ無い方が良いだろう。

 

 

「甘いわね。ジェミニストームの攻撃パターンが分かったところで本当に彼らに勝てるのかしら?」

 

「それは……」

 

「後半はフォーメーションを変えるわよ」

 

 

 監督が指示したのは、俺達の度肝を抜くようなものだった。

 何と、MFもDFも全員前線に押し上げた全員攻撃体勢を取るようにと言ってきたのだ。

 そんなことをすれば、ゴールまでの道はガラ空き。守がゴールを守っているとはいえ、いくら何でも無茶振りがすぎる。

 

 

「そう思うなら、ボールを奪われない事ね」

 

 

 同じ疑問を抱いた風丸が抗議するも、そう返されて終わってしまった。

 納得のいかないといった表情の皆に、守がとりあえずやってみようぜと声を掛ける。

 

 

「鬼道、どう見る?」

 

「分からん……何か考えはあるんだろうが、俺には読み取れん」

 

「お前ですら、か」

 

 

 鬼道で分からないなら誰も分からないと諦めるしかない。

 とりあえず今の俺達にできるのはヤツらにボールを奪われず、1点でも返すこと。

 

 

「皆、やるぞ!」

 

 

 後半のホイッスルが鳴り響き、俺達は監督の指示通り全員で攻撃を仕掛ける。

 しかし、瞬く間にボールは奪われセンターラインからシュートを撃たれると、守は身体ごとゴールに押し込まれてしまう。0-14だ。

 

 

 再びキックオフ。短くパスを回しながらどんどん攻め上がっていくが、為す術なくボールの支配権はヤツらに移り、そのまま一連の流れのよう1点奪われる。

 

 

 奪われ、撃たれ、奪われ、撃たれ。

 一切の抵抗は許されず、ただただ一方的にシュートを撃ち込まれる。

 監督の意図は未だに分からないが、1つだけ確かなことがある。

 

 

「……くっ、まだまだッ……」

 

 

 守が持たない。あのまま撃ち込まれ続ければ、間違いなく守は潰れる。

 だったら、俺らが……いや、俺が何とかするしかない。

 

 

 ヤツらはキックオフ直後の俺達のパスをそのまま奪い、すぐさまシュートへと繋げている。

 今俺が考えている作戦は賭けに近いほど確率の低いものだ。あらゆる要素が噛み合わないと成功することは無い。

 

 

 だが、やるしかない。

 

 

「……鬼道!」

 

 

 今まで隣の修也に渡していた染岡だったが、ここで鬼道へバックパスを出す。

 俺の予想が当たれば……

 

 

「くッ!?」

 

「──ここだ」

 

 

 横から走り込むようにして連中は鬼道からボールを奪う。

 俺がやったことは至極単純。右から左に抜けてくる相手の射線上に脚を添え、ボールが触れる感触があった瞬間に思いっきり引き抜く。

 

 

「頼むぞ鬼道!前まで運んでくれ!」

 

「ああ!任せろ!」

 

 

 呆気に取られるヤツらを他所に、俺達はすぐさま駆け上がる。そして必要に応じて俺は鬼道と共にパスを回す。

 ヤツらのスピードは常軌を逸している。しかし、ヤツらにはテクニックが足りてない。

 俺と鬼道のフェイントを織り交ぜたパスワークなら、少なくとも初見は抜ける。

 

 

「豪炎──」

 

「鬼道ォ!!俺に寄越せッ!!」

 

 

 修也にシュートを任せようとした鬼道だったが、俺の声を聞くとすぐさまこちらに切り替えてくれる。鬼道とて修也の不調を察していたのだろう。

 ボールを受け取った俺は、ようやくゴールと近い距離でキーパーと向き合えた。

 

 

「──らァァアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!」

 

 

 全部だ。文字通り俺の中の何もかも全てこの1本に注ぎ込む。

 試合時間は残り3分程度、どちらにせよこれ以上のシュートチャンスは見込めない。

 だからこそここで全て出し切る。後先は考えない。

 

 

 俺の全身から轟雷が荒れ狂い、それら全てが軽く浮いたボールに注ぎ込まれる。

 圧倒的すぎる出力。空間を裂く雷は俺の身体すらも灼くが、エイリア学園の連中も近寄ることは出来ない。

 

 

 前は9割だったからな。10割全部注ぎ込んだらどうなるかな。

 

 

ライトニングゥゥゥゥ……ブラスタァァァァァッッッッ!!!

 

 

 両脚を槍のように突き刺す。

 直後、許容範囲を大きく超えても注がれたエネルギーが大爆発を起こし、ゴールに向かって全てを貫き、焼き尽くす雷が放たれる。

 

 

「ゴルレオ!!油断するな!!」

 

 

 背後からレーゼの声が飛んでくる。

 しかしその忠告はシュートの轟音に掻き消され、ゴルレオと呼ばれたキーパーには届かなかった。

 

 

「ぐ、ぉぉぉぉおおおおお!?」

 

 

 両手でシュートを抑えに行くキーパーだが、シュートの威力は止まらない。1歩、また1歩ヤツを後ろへと押し込んでいく。

 行ける、これなら行ける。

 

 

「───────」

 

 

 貫け、そう叫んだつもりだった。

 しかし声は出なかった。10割全部シュートに注ぐと声すらも出なくなるみたいだ。

 

 直後俺は膝を着く。脚に込めていた力が全部抜け、立っていることすらもままならなかった。

 それだけじゃない。膝立ちする余裕すらなかったようで顔面からその場に倒れる。困ったな、指1本すら動かすのが厳しい。

 

 

 だがせめて、このシュートだけは。そう思って何とか顔だけ上げた。

 

 

「はぁ、はぁ……焦らせやがって」

 

 

 シュートは止められていた。キーパーはかなり消耗させられたみたいだけど点にはならなかった。

 その事実がトドメとなり、俺の意識は闇に沈んだ。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「……ここは」

 

「柊弥先輩、気が付きましたか?」

 

 

 次に目を覚ました時、俺はキャラバンの中にいた。

 頭の辺りの柔らかい感覚と、俺の顔を覗き込む春奈の顔から俺はどうやら膝枕をされているということが分かった。

 周りに人はいないか。ならまあいい……のか?

 

 

「あれから、どうなった?」

 

「柊弥先輩のシュートが止められた後、相手のキャプテンと円堂先輩の一騎打ちが始まったんです。けど、相手の必殺があまりに強すぎて……キャプテンはマジン・ザ・ハンドで対抗したんですけど、為す術なく打ち破られちゃって」

 

 

 結果としては0-32。俺達は以前よりも圧倒的な差で敗北したらしい。

 身体を起こすと、全身に倦怠感が走る。全力のライトニングブラスターの代償はこんなものか。やはり試合中に撃てばその後は動けないのは確実だ。

 

 

「皆は外に?」

 

「はい。行きますか?」

 

「ああ。……悪いが手を貸してくれるか?」

 

「はい、勿論です」

 

 

 起き上がることは出来ても、立ち上がること、歩くことはかなり辛そうだ。ここは大人しく春奈に助けてもらうが吉だ。

 

 

 春奈に支えられながらキャラバンの外に出ると、外で皆が話をしていた。

 

 

「柊弥!大丈夫なのか?」

 

「何とかな。お前こそ、派手にやられたみたいだな」

 

 

 守と軽口を交わすと、少し心に余裕が出来た。

 皆はさっきの試合の反省をしていたらしい。論点は主に監督の指示について。

 結局最後まで意図が理解出来なかったと怒りを顕にする皆に対し、鬼道が自分なりに考察した監督の意図を説明する。

 それは、前半で体力を使い果たした俺達が病院送りにならないためのものだったのでは、とのことだ。

 

 

 それでも最後まで諦めないのが雷門だと土門が声を上げるが、守がそれに対するフォローを入れる。

 守曰く、監督はあの作戦によって守に特訓させていたのだという。

 アイツらのハイスピードなシュートをに対して慣れるための特訓だったのだと、そう主張する。

 

 

 そう言いはしたが、やはり皆はイマイチ納得の言っていない様子。

 正直、俺は賛成も反対も出来ない。皆の言うことも、守と鬼道の言うことも分かるからだ。

 

 

 では守備はそうだったとして、攻めはどうだっただろうか?

 俺の最後の1本は有効打になり得たが、やはりその後に動けないのは不味いだろうと結論付けられた。当然だ。

 

 

 それより俺は、修也にさっきの不調について聞いておきたかった。

 が、それよりも早く監督がやってきて口を開いた。

 

 

「豪炎寺君、貴方にはチームを離れてもらいます」

 

「……は?」

 

 

 一瞬、静寂がその場を支配した。

 そしてそれを誰よりも何よりも早く打ち破ったのは、俺だった。

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