今後ともよろしくお願いします。
「加賀美 柊弥が化身を?これも時空の共鳴現象と断定」
「まさかここで……加賀美さんが化身を出したのは確か……」
「くっ……!?」
"化身"と呼ばれたそれが形を失ったのを知覚すると同時に、全身に強い疲労が襲いかかる。
原理はよく分からないが……強力な力を発揮出来る分消耗が激しいのかもしれないな。この試合のうちにもう一度使おうものならば、間違いなくベンチ送りとなるだろう。
そして天馬にフェイ、アルファ。化身の存在を知っているかのような反応だった。この3人も化身が使えるのだろうか……
「次はこっちからだ! もう1点取るぞ!」
呆気に取られている天馬達を現実に引き戻すため、大声を上げて反撃を指示する。
天馬に向かってパスを出したが、少し反応が遅れて相手に奪われてしまった。それを取り返すために味方と敵が入り乱れ、もみくちゃになるがボールは一向に相手の支配下だ。
「はっ!!」
流れを断ち切るため、フェイがボールを無理やり外に弾いた。
心做しか、フェイは化身を使った俺以上に消耗しているように思える。これまた何か理解の及ばないことが起こっている気がする。
「おーい、この試合……俺も混ぜてくれないか?」
「……あれは?」
「剣城!?」
観客席から突如として男の声が響く。
声の方向に視線を向けると、彼はこちらへ歩み寄ってきていた。天馬は彼に見覚えがあったようで、すぐに駆け寄っていった。
「……あれ、剣城?」
「俺は君の知っている京介ではない。京介の兄、
「優一さん……!? 脚は、もういいんですか?」
「話は後だ。まずはアイツらと戦おう」
そう言って手首のブレスレットに触れると光に包まれ、なんと一瞬にして俺達と同じユニフォームに着替えていた。
そしてフェイが指を鳴らすと、MFが1人が一瞬にして姿を消した。
……段々と、こいつらの正体が掴めてきた気がする。案外未来から来てたりするのではないだろうか。
とりあえずそれを聞くのは後だ。今は試合に集中しよう。
「加賀美さん……貴方と同じフィールドに立てて光栄です」
「それはどうも。聞きたいことは山ほどありますが……とりあえずこの試合、勝ちましょう」
「はい、勿論です。……それと、敬語はやめてください」
見るからに歳上だと思うんだが……まあいい。
どうやら優一は、天馬やフェイと同じく俺と面識があるようだ。重ねて言うが聞きたいことは後回しだ。
相手のスローインから試合は再開。
大柄な選手がボールを受け取るも、優一は一瞬で奪い取る。再びボールを手中に収めようとプロトコル・オメガの面々は次々と優一へ襲いかかるが、圧倒的な身のこなしで全て軽々と抜き去る。
……上手いな。
「天馬君、化身だ!!」
「えっ……はい!!」
"化身"。再びその単語が登場する。
それはあの凄まじい力が再び顕現することを意味する。
「うおおおおおおお!!! 魔戦士ペンドラゴン」
優一の背中から影が吹き出し、徐々に形を形成していく。
影を払って姿を現したのは、黒を基調とした鎧と翼を携え、一振りの剣を手にしていた。
「アームドッ!! 」
聞きなれない単語を優一が口にすると、姿を現したばかりの化身は再び影へと姿を変える。
一体何を……と思ったら、答えはすぐに出た。
その影は優一の全身を覆うように広がり、まとわりつく。少しすると影は実体へと姿を変えた。そこには、化身とよく似た姿をしている優一の姿があった。
「アームド……化身を纏ったのか!?」
「その通りだよ。化身アームドは化身の力をより無駄なく扱うための技術さ」
「さあ天馬君、君も!」
「俺も……よし!!」
そう声を掛けられた天馬は、身体に力を集中させるような動作を取る。
するとたちまち、背中から翼が生えたように影が放出される。
「魔神ペガサスアーク!! アームド!! 」
そう口にすると、先程の優一と同じように化身は影となり、天馬の全身へとまとわりつく。
一際強く輝いたと思うと、そこには優一と同様に化身に身を包んだ天馬がいた。
「出来た……俺にも化身アームド出来ました!!」
「さあ、行くぞ!!」
化身を身にまとった2人は一直線へとゴールへ駆けていく。そしてその行方を阻む影が1つ……アルファだ。
アルファは高く飛び上がったかと思うと……
「天空の支配者 鳳凰!! アームド!! 」
当然のように化身を解き放ち、己の鎧とした。
化身アームドした3人による睨み合い。距離が離れていても肌を激しく打つこの圧力。
文字通り次元が違う……俺があそこに付け入る隙はない。
「「はああああああああ!!」」
高く上げられたボールに対し、ツインシュートが叩き込まれる。
並の必殺シュートよりも遥かに高い威力を誇るそれは、一直線へと落ちる彗星のようにゴールへと迫る。
「キーパーコマンド03!! 」
相手GKが衝撃波をボールに叩きつける。が、抵抗出来たどうかの判別がつかないほど一瞬でシュートは守りを突き破った。
だが、その後ろには化身アームドしたアルファが控えていた。
ゴールを割らんとするシュートに対して真正面から対抗するアルファ。
力と力のぶつかり合い、辺りには行き場を失ったエネルギーが迸る。
「……ぐッ!?」
が、抵抗虚しくシュートはゴールをこじ開ける。2点目だ。
視線の先では天馬と優一が熱い握手を交わしていた。
化身アームド……やはり凄まじい力だ。見ていて気づいたことだが、純粋なパワーだけなら化身の方が強く、有り余るパワーを適切に扱うためにあるのが化身アームドなのだろう。
事実、3人のパフォーマンスには一切の無駄がなかった。
「……ヤツら何のつもりだ?」
ふと視線を中央に戻すと、プロトコル・オメガのメンバーが集合していた。試合中だというのに。
試合放棄だろうか。
「撤退する」
アルファがそう言うと、頭上で紫色の光が怪しく煌めいた。
つられて目線をやや上向きにすると、何とヤツらの頭上にはUFOが浮かんでいた。比喩などではなく本当のUFOだ。
仮装上のものと思っていたそれに気を取られていると、プロトコル・オメガはそれに吸い込まれるようにして姿を消し、ついにはそのUFO自体が姿を消した。
相変わらず何が何だか分からないが、とにかく凌いだということで良いのだろうか。
「ありがとう加賀美さん、君のおかげでヤツらを斥けることが出来たよ」
「俺は特に……それより、話してくれるんだろうな。アイツらが、お前達が何者なのか」
もちろんさ、と返事してフェイは身を翻す。
フェイが指を鳴らすと、それに合わせてフィールド上から大多数が姿を消し、ユニフォーム姿だった俺は元の制服姿へと戻っていた。
そして、残ったメンバーで腰を下ろして話を始めた。
「さて、まずは僕達が何者なのかについてだね」
「ああ」
一呼吸おいてフェイはこう続けた。
「信じられないかもしれないけど、僕達は……未来から来たんだ」
少し短めですが、プロトコル・オメガ戦の終了までです。
この話含め、今後はなるべく決まった時間に投稿出来るように心掛けていきたいと思います。
毎日1話は投稿出来ればいいんですが・・・恐らく1、2日は間隔が空いてしまうかと思います。