Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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デート回です、ナニワランドの話は絶対にこうすると決めてました
いつもの事ですが、感想や評価、多くのUAありがとうございます!


第57話 ナニワのひととき

 東京を出発して約半日、俺達は次なる目的地である大阪へと辿り着いた。そこまでは良かったのだが、理事長の調査によって明らかになったエイリア学園のアジトがあるとされている場所が俺達の疑心を煽り始めた。

 

 

「ここって……」

 

「日本最大級の遊園地、ナニワランド……だよな?」

 

「うわー、俺遊園地なんて初めて来たよ」

 

 

 そう、ここナニワランドである。ジェットコースターに空飛ぶ絨毯、フリードロップなど様々なアトラクションが若年層、ファミリー層から絶大な人気を得ている遊園地だ。そんなところにあのエイリア学園のアジトがある、と言われてもそりゃ信じられないだろう。現に皆頭に疑問符を浮かべている。

 とはいえ理事長からの情報だ。何かしらの根拠だったりがあるとは思うのだが、果たしてどうなのだろうか。

 

 

「間違いないわ、ここにエイリア学園のアジトがあるはずよ」

 

「とはいっても、ねえ?」

 

「けれどここでじっとしてても仕方ないわ、とりあえず手分けして探しましょう」

 

 

 瞳子監督が再度確認を取ったことでここを捜索してみるという方針に固まった。……何人かアトラクションやフードに向けてキラキラした目線を向けているが、監督を見るにそれも織り込み済みなのではないだろうか。皆意気込んではいるがやはりまだ中学生、日々重なるストレスを何らかの形で発散しなければやってられないだろう。かく言う俺もそうなんだが。

 

 

「怪しいアジトならあっちだと思います!」

 

「行きましょう行きましょう!」

 

「そっか、じゃあよろしくね」

 

「吹雪さん……」

 

 

 吹雪は早速現地の女の子を引き連れた探索へと出発した。漫遊寺の時といい、天然タラシな部分あるよなコイツ。それも吹雪の甘いマスクがなせる技か。

 そんなこんなで皆散り散りになっていく。守は夏未、秋、塔子の3人から言い寄られて両手に収まらない花状態になっていた……ってそんなことを気にしている場合じゃない。このままでは1人で探索することに──

 

 

「柊弥先輩!」

 

「春奈か、どうした?」

 

「よかったらその……一緒に回りませんか!?」

 

 

 まだギリギリ背中が見える鬼道のグループに走って寄生しようと思った直後、春奈から声が掛かる。俺の後ろにいたからまだいたことに気が付かなかった……何はともあれ助かったな。俺が1人であることを見かねて気遣ってくれるとは、もはや感謝以外の言葉がない。

 

 

「勿論だ、むしろこちらから頼む」

 

「本当ですか!?じゃあ早速行きましょう!私監督と古株さんがここに向かうって言ってたのを聞いてからずっとプラン練ってたんです!任せてください!」

 

「盗み聞きか?なかなか悪いことをするな」

 

「あえっ!?い、いやそんなつもりじゃ……」

 

「冗談だ、冗談。ほら行こう」

 

 

 性格悪いことをするなと猛抗議を受けながらも俺は、いや俺達は歩みを進める。春奈は宣言通り本当にこのナニワランドを探索するプランを練り上げていたようで、瞬く間にジェットコースター、フリードロップ、コーヒーカップやメリーゴーランドなど様々なアトラクションを制覇していく。いや、それだけじゃないな。チュロスにポップコーン、果てにはマスコットとの記念写真なんかも手元に増えていく。

 薄々思っていた、これはアジト探索ではなくてもはやデートなのではないかと。しかし……

 

 

「楽しいですね!柊弥先輩!」

 

「ああ、最高にな」

 

 

 こんなに眩しい笑顔を見せられてはそんな指摘は出来ない、いや出来るはずがない。行く道々で他の皆も楽しんでいるようだったのでもう俺も割り切ることにする。先程も思ったことだが息抜きも大事、だからな。

 

 

「次はお化け屋敷に行きませんか?ここのクオリティは中々らしいですよ!」

 

「お化け屋敷なんて行ったことないな。折角だし行ってみるか」

 

 

 という流れでお化け屋敷に行くことになった。遊園地には度々足を運んでいたが思えばそのどこにもお化け屋敷はなかったな。あったところで俺はジェットコースターなどいわゆる絶叫系によく乗っていたから見向きもしない可能性があるんだが。

 少し歩くとその建物が目に入ってくるが、これが中々に雰囲気のある建物だった。やはり国内最大規模の遊園地のものとなると気合いが違うのだろうか。最も比較対象が記憶にないから断定しかねるがな。

 

 

「お2人様ですね!それでは行ってらっしゃいませー!」

 

「カップルの2名様入りまーす!」

 

「「!?」」

 

 

 入口のスタッフのうち1人が内線で他のスタッフに連絡をする。だが待てカップルて。いや確かに男女2人でいたらそう見えなくもないのは否定できないが、俺が直視しないようにしていたことを突きつけないで欲しい。皆の俺達を見る目が少し生暖かったんだよ。そういうのじゃないから、本当に。

 

 

「え、えへへ……間違えられちゃいましたね」

 

「そうだな……なんというか、すまない」

 

「そんな謝らないでくださいよ!私は別に満更でもないというかなんというか……」

 

「え」

 

「なんでもないです!ほら行きましょう!」

 

 

 春奈の口から飛び出かけたその言葉に思考が支配される。今満更でもないと言いかけたよな?それはつまり……そういうことなのか?

 

 

「それにしても暗いでキャァァァァァァ!?」

 

「どうした!?」

 

「顔に!顔に何か!」

 

「……こんにゃく、だな」

 

 

 全力で脳内会議をしていると春奈の悲鳴に思わず顔を上げる。そこには天井から吊るされたこんにゃくが顔に張り付き手足をじたばたさせている春奈の姿が。

 

 

「な、なんて悪趣味なの……っていやァァァァ!?」

 

「今度は何だッ!?」

 

「足!足首に何か!!」

 

「……よく光を反射するためにつけてるリストバンドみたいな的なやつだな、巻き付くタイプの」

 

 

 何かこのお化け屋敷、仕掛けが可愛くないか?こんにゃくといいこれといい。もっとこう、お化けがワァーっと出てきて驚かせてくるものかと思っていたんだが……俺のお化け屋敷に対する認識が誤っていたのか?

 とりあえず足を止めては後ろの人の迷惑にもなるので進んでいる訳だが、1分おきくらいに何かしらの仕掛けが俺達に襲いかかってくる。その度に悲鳴を上げているのは春奈だけなんだが。

 

 

 とはいえ、なんというかこの状況は……凄く若者っぽいな。実際若いが。中学生になってからというもの、サッカーに打ち込みすぎてあまりこういうことはしてこなかったからな。オフの日に遊んだりはしていたが、遊びという名のサッカーが殆どだった。後は誰かの家でゲームしたり、本当にそんな程度だ。

 

 

「これが国内最大級のお化け屋敷……恐るべし」

 

「恐るべし……恐るべしなのか?」

 

「恐るべしですよ!何で柊弥先輩はそんな平然としてるんですか!?」

 

「いやだって、そんなに怖くないかなと」

 

「怖いですよ!!そんなに言うなら腕出してくださいよ!!」

 

 

 何故か怒り気味の春奈に腕を出せと言われたので大人しく差し出す。すると、春奈は自身の両腕で俺の腕をガッチリと掴んで離さない。

 ああ春奈、俺も怖くなってきたよ……この先出くわすであろうスタッフや他の客からの目線が。

 

 

「ここ、これで大丈夫です……さあ!進みましょう!早急に!」

 

「……はいはい」

 

 

 そういう春奈は有り得ないくらいに震えていた。ここまで怖がるほどなのか?とツッコミを入れれば、更にとんでもないことをしてくるかもしれないから口を結んでおく。

 

 

「ぐァァアア!!」

 

「───」

 

「は、春奈?大丈夫か?」

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ちょ待っ、腕ッ!!腕取れる!!」

 

 

 直後、横から飛び出してきた血塗れの幽霊……に扮したスタッフ。それはこのお化け屋敷を極限まで楽しんでる、もといビビってる春奈の恐怖の炎に火薬をぶち込む結果になったようだ。その華奢な身体のどこから湧くのか問いただしたい力で腕を締め、その状態で走り出す。試合中の俺に勝るとも劣らないような速さで。

 すると俺の腕がどうなるか、察しの良い人なら分かるだろう。半ば関節技のように締められ動かせない状態でそんな速さで走られては、肩関節が悲鳴をあげるのは必然だった。お化け屋敷で負傷し病院送りなんて結果を避けるため、俺も全力で走り出す。止まっていようものなら恐らくもげる。

 

 

「お帰りなさいませー!当園のお化け屋敷はいかがでしたか?」

 

「死ぬかと思いました……色んな意味で……」

 

「え?そ、そんなにですか……?」

 

 

 ほら見ろ、出口のスタッフさんにも若干引かれてる。そりゃ女の子に腕を引っ張られながら全力疾走で出てきて肩を抑えてる男にこんなこと言われたら何事かと思うわ。

 

 

「あー楽しかった!流石ナニワランドのお化け屋敷ですね!」

 

「ソウダナ」

 

「柊弥先輩どうしたんですか?もしかして、楽しくなったですか?」

 

「ソンナコトナイヨ」

 

「それなら良かったです!さ、まだまだ行きますよ!」

 

 

 先程のビビり具合が嘘かのようなテンションで次のアトラクションへと向かう。先程と違って握られたのは腕じゃなく手、そして足取りは緩やかなものだった。

 さっきも思ったが……なんというか、良いな、こんな時間も。

 

 

 

---

 

 

 

「ええ!?結婚!?」

 

「せや!ウチの特製ラブラブ焼きを食べたら結婚せなアカン決まりやねん」

 

「そんなこと食べる前には言ってなかったじゃないか!」

 

「そりゃ言ったら食べんやろ?」

 

「詐欺っスね」

 

「詐欺でやんス」

 

「そこ!ちょっと黙りや!」

 

 

 ナニワランドから少し離れたとあるお好み焼き屋にて、一之瀬 一哉は史上最大のトラブルに見舞われていた。その原因となっているのが目の前の少女浦部 リカ。1人エイリア学園のアジトを捜索していた一之瀬の前に現れ、半ば拉致のような形で店へと誘い込んだ後に手製のお好み焼きを食べさせ、それを食べたら結婚しなければいけないというとんでもない罠で一之瀬を仕留めに行ったのだ。

 その動機は至極単純、一目惚れである。恋とは人を盲目にするものなのだ。現在ナニワランドで奔走している1人の少女にも見られるように。

 

 

「邪魔やでアンタら、ほらどいたどいた!」

 

「へー、あれがリカの結婚相手?」

 

「結構イケメンやん?」

 

 

 程なくして同じような副、ユニフォームに身を包んだ少女達がその店に押しかけてくる。彼女達は大阪ギャルズCCCというサッカーチームであり、件の浦部はそこのキャプテンを努めている。

 浦部からの連絡を受けてやってきた彼女達は一之瀬と浦部を囲んでてんやわんやと騒ぎ立てている。円堂達がそんなことは認められないと抗議するが、一切相手にされない。

 どうしたものかと途方に暮れていると、ある男が声を上げた。

 

 

「分かりました!ではここは、サッカーで勝負をつけるのはどうでしょう!!」

 

「目金??」

 

 

 そう、目金 欠流その人である。目金は相手が女子チームであることに完全に慢心して勝負をけしかけたのである。そういう問題ではなく、サッカーで一之瀬の処遇を決めるのが何よりの問題なのだが、一同の予想に反して大阪ギャルズCCCはその勝負を受け入れた。

 

 

「そういえば、加賀美がいないけど?」

 

「任せてください!伝説のエース目金 欠流、今日限りの大復活ですよ!」

 

「ええ……俺電話してみるよ」

 

「あ、あー!そういえば加賀美君は大阪にいる親戚に会ったって言ってたっけかなー?ねえ夏未さん?」

 

「え、ええ?確かにそうだったわねー?」

 

「そういうことか……よし、相手を待たせたら無理やりにでも不戦勝を主張してくるかもしれない。目金を入れて試合をするぞ」

 

 

 マネージャー陣のこの動揺とここにいない自分の妹で全てを察した鬼道は、このまま試合に入ることを決定する。瞳子もいない今、鬼道の言葉はこのチームの決定権を握っていると言っても過言では無い。よって全員一之瀬を賭けた試合に臨むことを決めた。

 

 

 

---

 

 

 

「……ん?」

 

「どうしたんですか?」

 

「いや……何となく呼ばれてたような気がして」

 

 

 何だろう、何故かここじゃないどこかにいなきゃいけないような気がした。けどそこにいようものなら猛烈な勢いで追い出されそうな、そんな気もする。まあ気の所為だろう。

 

 

「次はあれです!あれ乗りましょう!」

 

「観覧車か」

 

 

 中々の大きさなんじゃないだろうか。頂上から見る景色は格別だろうな。

 あまり待ち時間もなく、10分程度並べば俺達の番が回ってくる。少し揺れるカゴの中に乗り込めば、緩やかに上へと登っていく。流石に高いな、まだ真ん中くらいの高さなのにもう人が豆粒のようだ。

 

 

「……柊弥先輩」

 

「どうした?」

 

「その……この前のこと、大丈夫ですか?」

 

 

 この前のこと……というと、真・帝国での一件か。確かに色々あったし、それで気が滅入り気味だったのは間違いないというか、否定できない。現に春奈は俺を心配してくれてか、鉄塔まで行ってたところに迎えに来てくれたしな。

 

 

 

「そうですか、それなら良かったです」

 

「……実を言うと、完全に割り切れたわけじゃない。俺のせいで染岡が怪我をした事実は変わりないからな」

 

「いいえ、あれは先輩のせいじゃないです!染岡先輩も言ってたじゃないですか!」

 

「それでも、だ。こうなった以上、俺は染岡の分も、いやそれ以上に頑張らなきゃいけない。近くに控えてるイプシロンとの試合も、俺が点を取らなきゃいけないんだ」

 

「先輩……」

 

 

 あの時誓ったんだ、俺が染岡の想いも背負うって。そのためには……まだ、もっと強くなるんだ。誰よりも、何よりも強くなって、この戦いに終止符を打つ。それが俺のなすべきことだ。

 

 

「……柊弥先輩!」

 

「どうした?」

 

「あの……そのっ!!」

 

 

 春奈が突如大きな声を出して俺の手を握ってくる。いつになく真剣な顔付きで、声色にも力が籠っている。突然のことに顔を覗くと、凄まじい勢いで目が泳いでいる。何かを言いたいんだろうか。

 

 

「えっと……すみません、何を言いたいか忘れちゃいました」

 

「……はっ、ははは!」

 

「と、柊弥先輩?」

 

「悪い悪い、ちょっと面白くてな……あまりに真剣な顔してたのに、何を言おうとしたか忘れたって、なあ?」

 

「う、うう……」

 

 

 声を出して笑うなんて何時ぶりだろうか。強張りがちだった表情筋が久々に動いたような気がするな。あまりに笑いすぎたせいか、春奈が少し不貞腐れてしまったが、焦って謝るとすぐにいつもの笑顔を向けてくれる。

 談笑しながら過ごしていると、程なくして一周回りきった。案外早かったな。いや、楽しく過ごせてたから早く感じただけか。

 

 

「少し待っててくれ」

 

「はい!」

 

 

 降りてすぐに尿意を催してしまったので近くにあったトイレに駆け込む。そういえばエイリア学園のアジトを探すという目的を完全に忘れてた。他の皆にどうやって言い訳をしようか……色んなところを巡って探してたとかで通じるだろうか。

 

 

 

---

 

 

 

(うう、どうしてあそこまでいったのに伝えられなかったの!私のバカ!!)

 

 

 柊弥がトイレから戻ってくるのを待っている最中、音無は1人頭を抱える。先輩マネージャー2人に根回ししてもらい、掴み取った柊弥と2人で巡るこのチャンス。

 音無はこの機会にあることを決めていた。それは──

 

 

(好きって、短い言葉なのに!!)

 

 

 そう、柊弥へ想いを伝えようとしていたのだ。彼女のプランでは、様々な場所を巡った後、最後にあの観覧車の中で告白するつもりだった。しかし、いざその時になると言葉が奥へ引っ込み、気が引けてしまった。拒絶されたらどうしよう、今の関係が悪化してしまったらどうしよう。年相応の様々な不安が頭を過り、結局伝えられずじまいとなってしまった。

 

 

(はあああ……先輩達に何て報告すれば……)

 

「ねえねえそこの子、暇なの?」

 

「えっ?」

 

 

 突如掛けられた声に顔を上げると、そこにはいかにもな男がいた。その男は音無が1人であることを確信するや否や、隣へ座り込んでくる。そしてやたらと顔を近づけ、次々と言葉を捲したてる。

 

 

「俺と遊ぼうよ!この辺り詳しいからさ!」

 

「えっと……すみません、今人を待ってまして……」

 

「いいからいいから!君ここら辺の子じゃないでしょ?案内してあげるからさ!」

 

 

 やんわりと断ったつもりだったが、この男にその意図は通じていないようだ。正確には無視しているだけだが。

 男は音無の腕を掴み、半ば強引に連れていこうとする。振りほどこうと力を込めるが、同世代、あるいは年上の男の腕力には勝てるはずがなかった。 周囲の来場者は関わらまいとあからさまに避け、警備員は近くに見当たらない。

 

 

(い、嫌……)

 

 

 その時だった。別の腕が横から伸び、男の手首を掴んだ。

 

 

「俺の連れに何か用事でも?」

 

「あぁん?誰だお前?」

 

「俺の連れに、何か?」

 

 

 その腕の正体……戻ってきた柊弥が、男の手首を握る力を強くする。エイリア学園と戦うために日々トレーニングを欠かしていない柊弥の力は相当のもので、柊弥くらいの歳の水準を大きく超えていた。

 さほど鍛えてなどいないその男は小さな悲鳴を上げ、音無を掴んでいた手を離していた。間もなくして男はその場から逃げ去った。

 

 

「行ったか」

 

「柊弥先輩……あの、ありがとうございます!」

 

「気にするな。ほら、行こうぜ?」

 

 

 そう言って柊弥は音無へ手を差し出す。音無はその手を取り、足取りを柊弥に委ねる。

 

 

(ああ、やっぱり私はこの人が好きなんだなあ)

 

 

 手から伝わる体温、足取りから伝わる気遣い。柊弥の優しさを感じ、音無は自分の頬が緩むのが分かった。目の前を歩く柊弥の背中が大きく見えるのは、胸の内に秘める恋情故か。

 

 

(必ずこの想いは伝えます。だから……覚悟しててくださいね、柊弥先輩!)

 

 

 

---

 

 

 

 まさかトイレに行ってたあの短時間で春奈か輩に絡まれるとは……特に何事もなく済んで良かった。いざとなったら大声で警備を呼ぶくらいはしようと思っていたから助かったな。

 そんな一悶着を乗り越え、俺達は皆の元へ向かっていた。どうやら皆の方でも問題があったらしい。なんと一之瀬が結婚の危機に瀕していたという。現地の女子に一目惚れされて何やかんやあったとか。相手がサッカーチームだったからサッカーで決着をつけたらしい。何だかんだ危なかったようだが、勝って一之瀬の平和は保たれたという。

 そしてなんと、彼女達はこのなにわランドの中にある地下修練場で強くなったのだという。そこに案内してくれるから、合流しようとのことだった。

 

 

「みんな、お待たせ。一之瀬、無事で何よりだ」

 

「大変だったよ、本当に」

 

 

 心做しかゲッソリしてる気がする。後で何か飲み物でも奢ってやろう。なんてやり取りをしていると、一之瀬に抱きついてくる水色の髪で俗に言うガングロ?の少女が声を掛けてくる。

 

 

「アンタが加賀美?中々のイケメンだけど、ダーリンほどちゃうな」

 

「ダ、ダーリン?」

 

 

 中々に強烈な子のようだ。だがまあ悪いヤツじゃないだろう。

 そこに瞳子監督もやってきて、例の修練場に案内される。まるで廃屋のような建物の中になんとエレベーターがあり、そこが入口のようだ。

 全員で降りていくと、何とそこにはイナビカリ修練場以上の広さを誇る何かがあった。遊園地の下にこんな場所があるとはな。

 

 

「ここがウチらの特訓場所や!凄いやろ?」

 

「ああ……だが、ここの持ち主は一体誰なんだ?」

 

「知らへんなあ。今まで使ってて誰も文句言いに来ないから一般開放されてるんちゃうか?」

 

「ええ……」

 

「加賀美がドン引きしてる……!?」

 

 

 とんでもない図太さに驚いたが、もしかしてここがエイリアのアジトなんじゃないか?同じことを思ったのか守が質問するが、そんなん知らんと一蹴された。俺達がここに来て何もアクションがないなら、少なくとも今はここにはいないようだが。

 とりあえずそのことは置いておき、浦部が修練場を案内してもらっているがとんでもない施設だ。イナビカリ修練場よりも豊富な設備が整っている。いくらかのレベルを設定でき、未だレベル10は彼女達もクリアしていないという。

 言い方は悪いが、女子チームである彼女達が皆といい勝負をしていたということは、それほどまでにここで得られる経験値が大きいということだろうか。

 

 

「監督、どうしますか」

 

「ここで特訓して得られるものは大きいわ。ここがエイリア学園のアジトじゃないとしても、どの道彼らとは近いうちにぶつかる。それなら使えるものは使うべきよ」

 

「成程……では」

 

「ええ。この修練場で暫く特訓するわ」

 

 

 とのことだ。早速準備をして俺はある設備に入る。DFに見立てた複数の仕掛けを突破し、ゴールを守るロボットを押し退け点を決めるというシンプルなものだが、かなり難しそうだ。

 DFはまるで風丸のように早く、土門のようにテクニカルで、壁山のように強固だ。そしてゴールはレベル3程度だというのに全力の轟一閃が通じない。

 

 

「随分鍛えがいがあるじゃないか……行くぞッ!!」

 

 

 使えるものは何でも使う。やるぞ、俺は。




おや、音無さんの様子が…?
次は特訓回です

ー追記ー
アンケートのご協力ありがとうございました!
結果を元に今後は0:00に更新していきますのでよろしくお願いします!
また、もし週一投稿が出来るようになったら何曜日が良いかというアンケートを新たにとっておりますのでまたご協力よろしくお願いします!

出来る保証はないですが、もし隔週になってもその曜日に投稿していくスタンスにしていきたいな、と思っておりす
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