Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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ハーメルンにイナイレの風が吹いている・・・
乗るしかねえ、このビッグウェーブに


第80話 変化の兆し

「やあ、加賀美君。見違えたね」

 

「まぁな・・・で、何しに来た」

 

「ただ試合を見に来ただけさ」

 

 

 そう言ってヒロトはガゼルに鋭い眼光を向ける。ガゼルは何か後ろめたいことがあるのか、ヒロトから半ば不機嫌そうに視線を逸らす。この状況でガゼルにとって都合が悪いこと・・・俺達と引き分けたことか。

 

 

「加賀美君だけじゃない、皆強くなっているね。特に・・・円堂君、最後のセーブは見事だったよ」

 

「お前達を倒すためだ、俺達はまだまだ強くなるぞ!」

 

「いいね、楽しみにしてるよ・・・それじゃあね」

 

 

 ヒロトはそう言うと、手元の黒いボールを起動させる。すると周囲を青い光が包み込む。あまりの眩しさに俺達は視界を隠す。瞼越しにそれが収まり始めたことを確認し薄らと目を開けると、そこにはもう誰もいなかった。

 

 

「円堂 守、加賀美 柊弥・・・次は必ず倒す」

 

 

 そして、去り際にガゼルが残した怨念のような言葉が俺達の耳に入る。冷たくも煮え滾る怒りを秘めた声だ。自分のメンツを潰されたこともあるんだろう、相当俺達に立腹のようだ。

 次は必ず倒す、ね。それは俺達のセリフだ。エイリア学園の野望を止めるためにも、次は引き分けなんて結果じゃ終われない。これからの俺達には勝ち以外許されねえ。

 

 

 俺達はその後さっさと撤退準備を整え、スタジアムの外に出る。外には古株さんが運転するイナズマキャラバンが停まっており、皆その周りに集まっていた。

 

 

「アフロディ、今後も力を貸してくれるのか?」

 

「勿論さ。エイリア学園を倒すため・・・これからも一緒に戦わせて欲しい」

 

「歓迎するぜ、アフロディ!」

 

 

 そして、改めてアフロディが俺達の仲間になった。俺と修也がいるとはいえ、これからのエイリア学園との戦いでは決定力が足りないかもしれないし、吹雪はまだ戦える状態では無い。そんな今、アフロディが俺達に力を貸してくれるというのは僥倖だな。

 今回の試合で色々と課題も見えてきた。いつアイツらとの再戦になるか分からないが・・・それがクリアさえ出来れば確実に勝てる。

 

 

「円堂君、ちょっといいかしら」

 

「はい?どうしましたか、監督」

 

 

 その時、瞳子監督が守を呼び寄せる。瞳子監督の顔はいつもと変わらず毅然としたものだが、何かいつもと違うような気がする。1つ大きな決断をしたかのような。

 そして瞳子監督から語られたその内容は、俺達を激震させることになった。

 

 

「・・・貴方にはゴールキーパーを辞めてもらいます」

 

『えええええええええええ!?』

 

「・・・マジか」

 

 

 

 ---

 

 

 

「・・・ここに来るのも随分久しぶりに感じるな」

 

 

 あれから、俺達は稲妻町へ帰ってきた。とりあえず今日は解散、それぞれ久しぶりに自宅へと帰っていった。俺も直行しようかと思ったが、久しぶりにこの鉄塔広場に来たくなったからちょっと寄り道してみた。

 前来た時は真・帝国との試合が終わった時だったな。今思い返すとあの時は酷かったなあ・・・染岡の件があったとはいえ、試合の中で不動をぶん殴ったり、自分の力不足にずっとイライラしてたり。とりあえず今度不動に会うようなことがあったら一言謝らなきゃな・・・いや、でも染岡にあんなことしたヤツに謝りたくないな。五分五分ってことで勘弁してもらおう。

 

 

 守にキーパーを辞めさせる。その衝撃の決定で俺達は凄まじく動揺した。雷門イレブンは守がキャプテンであり、キーパー。それが俺達にとっての絶対だった。それを覆すということは、良くも悪くもチーム内に波乱を齎した。というか俺も過去一で驚いた。

 けど、これからのことを考えるとその決定はアリだった。これからヤツらに勝つために、個人だけじゃなくチームとして大きく変わっていく必要がある。その為の最も重要なピースとなるのが守なんだと俺は思う。

 ここのところそれが発揮されることは無かったが、守はキーパーだが前線での攻撃に参加できるポテンシャルがある。イナズマ1号、イナズマブレイク、そしてザ・フェニックス。どれも今の雷門の大きな武器となりうる。

 それに加え、あの試合の最後で見せた新しい必殺技のような何か。あれが完成すれば、守はフィールドプレイヤーとして攻撃も守備もどちらもこなせるようになる。つまるところ、リベロだな。

 

 

 守がキーパーになるなら、誰が代わりをやるんだ。そんな問題も浮き彫りになった。その時白羽の矢がたったのが立向居だ。ゴッドハンドを映像だけで自分のモノにし、マジン・ザ・ハンドを守に教えて貰いながら身につけ、すぐに進化させてみせた。当然凄まじい努力をしたんだろうが、それ以上に立向居にはキーパーとしての才能がある。それこそ、守に並ぶか、或いは上回るかというほどの。

 

 

 こうして俺達雷門イレブンはここで変わることになった。エイリア学園の喉元に食らいつくような、超攻撃的なチーム。明日からまた特訓頑張らないとな。

 色々あったけど、こういう感覚久しぶりだ。地球の命運がかかってる中不謹慎というか意識が足りないかもしれないけど──

 

 

「──楽しみだな」

 

 

 

 ---

 

 

 

「さあ2人共、これが新しいユニフォームよ!」

 

 

 翌日、俺達は今も尚校舎の建て直しが続く雷門のグラウンドに集まっていた。守と立向居がポジションコンバートする兼ね合いで、お互いにユニフォームが入れ替わった。

 

 

「キーパーじゃないユニフォームのお前は新鮮だな」

 

「へへっ、これからは後ろからじゃなくて隣で支えてやるよ!柊弥!」

 

「おいおい、加賀美だけじゃなくてチームを支えてくれよ?」

 

 

 そしてその後は特訓に・・・と思ったが、その前に守が立向居にあるものを渡していた。それは福岡で手に入れた大介さんのあのノート。

 

 

「これは・・・まさか!」

 

「そうだ!正義の鉄拳と並ぶキーパーの究極奥義・・・ムゲン・ザ・ハンドをお前に託す!」

 

「円堂さん、俺頑張ります!!けど・・・読めないです」

 

「あっ」

 

 

 そう、大介さんのノートはとにかく字が汚かったな。どのくらいかと言うと、それこそ守以外誰も読めないくらいに。むしろなんで守は読めるんだよこれ、血縁だからって理由じゃ説明がつかないぞ。マジで。

 守が翻訳家のようにノートの内容を立向居に伝える。その間俺達は今後の特訓の方針を確認することにした。

 

 

「さて、これからの特訓方針について俺と鬼道で話したことを共有するぞ」

 

「あれ、監督は?」

 

「理事長や響木監督と色々話すことがあるらしいから暫くは俺達に一任するらしい」

 

「そういうこと」

 

 

 それから俺と鬼道で今後について発表する。まず、二手に分かれて特訓を行う。グラウンドで必殺技の精度や連携の精度を高める組と、イナビカリ修練場でフィジカルの向上に努める組だ。俺達に足りないのは今足りないのはフィジカルだ。ダイヤモンドダストとの試合ではそのスピードに苦戦させられた。今後勝ちに行くためには、もっと強い身体を手に入れなければならない。身体が強くなれば、必殺技の威力も上がるし、連携の完成度も増す。

 

 

「と、いうわけでやっていくぞ」

 

「3日経ったらチーム分けは無しにして全員で2つの特訓を行う。さあ特訓開始だ!」

 

 

 その後チーム分けを発表し、それぞれ特訓を始めた。俺は今回はフィジカルトレーニングの方だ。

 

 

「加賀美さん、フィジカルを強くするって言っても何をするんスか?」

 

「何をするかって?そりゃあお前」

 

 

 俺に疑問をぶつけてくる壁山。それに答えるように俺はスイッチを押してマシンを起動させる。

 

 

「まずはひたすら走る!!1時間コースいくぞ!!」

 

「ええ!?1時間!?死んじゃうよそんなの!」

 

「その都度スピードも上げてくからな!着いてこい皆!!」

 

「よーし行くぞ壁山、俺達ディフェンスが強くならないと立向居の負担が増えちまう!」

 

「土門さん・・・分かったっス!立向居君のためにも頑張るっスよ!!」

 

 

 今回俺とフィジカル強化を目指すのは主にDFの皆だ。壁山、木暮、土門、綱海、塔子、そして俺だ。それ以外の皆はグラウンドで鬼道中心に特訓している。主に守をフィールドプレイヤーとして矯正してる感じだな。3日経った後が楽しみだ。

 

 

「ちょっ、速くない!?」

 

「こりゃあきちぃな・・・けど燃えるぜ!」

 

「お、余裕そうだな。じゃあもっと上げるぞ!!」

 

「綱海さん!!余計なこと言わないでくださいっス!!」

 

 

 再びスピードを上げる。塔子や壁山が既に根を上げ始めたがそんなものは関係ない。容赦なくスピードを上げる。ちなみに俺も全然余裕ではない。余裕が持てるようじゃ特訓にはならないからな。

 さて、もっと速くするか。

 

 

「加賀美さん!!無言でスピード上げるのやめて欲しいっス!!」

 

「も、もう死ぬ、死んじゃうよ!!」

 

「キッついなあ・・・リカも引きずり込めばよかった」

 

「ははっ、まあアッチも次はこの地獄を味わうさ」

 

「うおおおおお!!俺に乗れねえ波はねえええええ!!」

 

 

 

 ---

 

 

 

「ガゼルよお、テメェから喧嘩売っといて引き分けってのはちょっと無様じゃねえの?」

 

「私は負けた訳じゃない・・・彼らのスペックは充分に把握出来た。次は叩き潰す」

 

「残念だけど、その必要は無いよ」

 

 

 暗闇の中、バーンはガゼルに対して揶揄うように声を掛けていた。それに対するガゼルは苛立ちを表に出しながらも自分の意思をハッキリと示す。が、それに横槍を刺すようにグランが入ってきた。

 

 

「お前らにもうチャンスはねえってさ」

 

「何・・・まさか、あの方がそう言ったのか」

 

「そういうことだよ」

 

「残念だったな、ガゼル」

 

 

 グランがガゼルに告げたのは、三つ巴の戦いにもうダイヤモンドダストに参加する資格はないという実質的な追放宣言。もっとも、それはグランの独断などではなく、彼らの上に立つ者からの宣告だが。

 

 

「そうは言うけどバーン、残念ながら君達もおしまいだよ」

 

「・・・は?」

 

「つい先程、エイリア皇帝陛下が俺達ガイアに正式にザ・ジェネシスの称号をくださったのさ」

 

「おい、何だよそりゃ・・・俺達プロミネンスはまだ雷門と戦ってすらいないんだぜ!?」

 

「そうだね。でもあの方が決めたことだ・・・じゃあね」

 

 

 淡々とそう告げてグランはその部屋を後にする。残されたガゼルは俯きながらもギリギリと歯を食いしばり、バーンは怒りを顕にしながら拳を壁に叩きつける。

 

 

「・・・おいガゼル、提案があんだけどよ」

 

「奇遇だねバーン・・・私もだ」

 

 

 だが、やがて2人は互い向き合う。それ目に燃える何かを宿して。

 

 

「このままじゃ終われねえ、グランに・・・ヤツらに上には上がいることを教えてやるッ!!」

 

「そしてあの方に認めさせる・・・私達こそ、ザ・ジェネシスの称号に相応しいとッ!!」

 

『ネオ・ジェネシス計画・・・発足だッ!!』

 

 

 

 ---

 

 

 

「さて守、3日間の特訓の成果見せてもらうぜ」

 

「コイツを打ち返す威力があれば本物だ」

 

「おう!!かかってこい!!」

 

 

 雷門中に帰ってきてからの特訓が始まって3日が経った。2チームに分かれての特訓が終わり、全員合同での練習が始まる日だ。この3日間で俺達は結構レベルアップした。フィジカルに重点を置きつつも、普段通りの特訓もこなす。そんなハードなメニューが俺達の実力を底上げしてくれた。

 そして今は、その特訓の成果を確かめようというわけだ。

 

 

「さあいくぞ、加賀美!豪炎寺!」

 

「おう」

 

「ああ」

 

 

 鬼道が指笛を鳴らす。すると地中から5匹のペンギンが姿を現し、そのペンギン達と共に鬼道がボールを前に送り出す。そのサイドから俺と修也が走り込み、全く同時のタイミングでツインシュートを叩き込む。

 

 

皇帝ペンギン2号"V2"!!

 

 

 俺達3人がそれぞれレベルアップした状態で撃つことで、技自体も更に上のステージに登りつめた。可愛らしいフォルムながらも凄まじい力を感じさせるペンギン達は自由に空を駆け回り、やがて目標へ向かって空を裂く。その目標とは無論守のこと。キーパーではなくフィールドプレイヤーとしてどうやってこのシュートを止めるのか、見せてもらおうか。

 

 

「うおおおおお!!」

 

「・・・おお」

 

 

 守が気合いを発した時、俺は全身が震え上がるのを感じた。守を包み込む黄金のエネルギーは今まで通りの拳ではなく、額に集中し始める。そして守がそれを解き放つと、正義の鉄拳と同じような黄金の拳が守の額付近に顕現した。

 

 

「これが俺の・・・メガトンヘッドッ!!

 

 

 既に間合いに入ってきている皇帝ペンギン2号に対し、守はメガトンヘッドと名付けたその必殺技で迎撃する。双方はぶつかり合うと激しく火花を散らす。

 それにしても凄いな。この短期間で正義の鉄拳をそのままブロック技として発展させやがった。しかもあれはシュート技としても使えるとか。威力も進化した正義の鉄拳と比較して遜色ない。流石俺の親友・・・俺も負けてられないじゃないか。

 

 

「よっしゃあああ!」

 

「フィールドプレイヤー円堂 守・・・ここに完成だな」

 

「ああ。これで雷門はもっと強くなるぞ」

 

 

 守が完璧に皇帝ペンギン2号を弾き返すと、周囲を立向居や壁山達が取り囲む。それを離れた場所で見守りながら俺達は良い方向に変わっていけそうな自分達に胸を躍らせていた。

 

 

「さて鬼道、ここからどうする?」

 

「フィジカルトレーニングを並行する方針は変えない・・・が、1つ提案があるんだ」

 

「へえ、その提案って?」

 

 

 鬼道は少し考え込んだ後、俺にその考えを話す。

 

 

「円堂が前線に参加出来るようになり、メガトンヘッドも習得した。次は、連携シュートを1つ持っておきたい」

 

「というと?」

 

「・・・帝国の必殺技、デスゾーンを復活させる」




前回が長かった分今回は控えめです。長くしようとするとどうしても原作をそのまま垂れ流すような話になりそうだったので、ちょっとしたオリジナル描写だけ書き加えて円堂のリベロとカオスの話だけ回収しておしまいです。
次は帝国での特訓回ですね、デスゾーン2大好きです
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