Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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投稿が遅れて申し訳ない⋯アホみたいな多忙と体調不良のダブルパンチで中々時間が取れませんでした。
この話は前の更新するはずだったタイミングでほぼ書きあがってたので勢いで完成させてお出ししてます。次の日曜にもちゃんと更新出来るはずです、8割方書けてるので⋯もしかすると1日くらい遅れるかもですが。



第83話 連鎖する進化

『ゴ、ゴォール!!なんと試合開始早々、加賀美が先制点だァッ!!全てを打ち砕くパワー、雷の如きスピード!雷門中の副キャプテンがその力を見せつけたァッ!!』

 

「ふう⋯」

 

 

 ホイッスルに続く実況の熱の篭った声、唖然とするフィールドの中で得点を実感するには十分だった。今は⋯前半2分か、序盤も序盤だがこの点を取り切れたのはかなりデカい。作戦成功ってとこだな。

 

 

「柊弥⋯いつの間にあれだけのスピードを?」

 

「ちょっと、な」

 

 

 ポジションに戻るために自陣側へ歩いていくと、修也が話しかけてくる。珍しくその顔を驚愕に染めて。

 その質問は俺の進化について。知らないのも無理はない、鬼道以外には誰にも教えてないからな。カラクリについては立向居も知っているけど、それでも2人だけだ。

 

 

「俺はこの1週間、個人練習で常に重りを付けてたんだよ。上半身に付けられるベスト型のな」

 

「⋯一応聞くが、何kgだ?」

 

「10kgだな」

 

 

 俺が1週間でここまで進化出来たのはそういう訳だ。まずはチーム全体で行う練習をしっかりとこなす。出来るだけ身体を限界まで追い込むようにな。

 そしてその後、重りを着用した上でイナビカリ修練場に篭もる。フットボールフロンティア優勝に向けて特訓する中で最大レベルもクリア出来るようになっていたが、重りの着用によってその負荷を倍以上に跳ね上げる。一歩間違えればオーバーワークでぶっ倒れるくらいのハードメニュー、1週間毎日続けた結果がこれって訳だ。ちなみにこの重りは帝国で練習している時に春奈に用意してもらったものだ。

 その甲斐あって俺の身体はこの1週間で凄まじい進化を遂げた。パワー、スピード、そして持久力。間違いなくコイツらに通用する。

 

 

「段々と化け物じみてきたな」

 

「はっ、置いてかれんなよ」

 

 

 修也に軽く引かれているような気がする。けどお前も、皆もしっかり追いついてきてくれよ?そのための道は俺が開くし、後ろには守がいる。それが俺達雷門イレブンだ。

 

 

「加賀美 柊弥⋯お前は私が潰してやろうッ!!」

 

 

 試合再開。最前線で俺はガゼルと衝突する。コイツとは前の試合からの因縁がある⋯前の試合ではガゼルに勝ち切れなかった。スピードだけはほぼ互角だったが、それ以外の面ではコイツの方が上。ラストプレーもその差で負けた。

 けど今ならどうだ、さっきはほぼ不意打ち。正面からのマッチアップでも勝ち切れるか?

 

 

(速い。前より強くなっているのは俺だけじゃない)

 

 

 俺が今回鍛える上での目的は以前適わなかったガゼル、推定そのガゼルと同格以上のバーンを一方的に抑えれるくらいになること。対抗することは問題ないが圧倒は無理だな。

 

 

 だから、このパターンを練習しておいてよかった。

 

 

「お呼びかな、加賀美君」

 

「ようこそ」

 

 

 対ガゼルは俺とアフロディだ。ガゼルの強みはやはりそのスピード。もし俺1人で何とか出来ない場合、俺の次にスピードに長けているアフロディと連携して確実に潰す。

 

 

「チッ⋯バーン!」

 

「おうッ!」

 

 

 ポジショニングは完璧、そこに俺達2人のスピードでぶつかればまず単騎での対応は不可能、そうなれば絶対にパスを出すだろ。そのパスはおそらくツートップの片割れになるであろうバーン。そこまでが俺ら想定内、その為の連携パターンも練ってある。

 

 

「練習通りだな」

 

「おうよ」

 

 

 バーンの正面から修也が抑えに入る。更にその横から俺がカバーに回る。バーンのプレーを見たのは沖縄での1回のみ、しかも試合ではなくエキシビションのようなもの。初手からのトップスピード、空中での身のこなし、そして凄まじい破壊力のシュート⋯圧倒的なパワー。ガゼルの強みがスピードであるように、バーンの強みはパワー。

 ガゼルほどではないにしろあのスピードにパワーが乗れば抑え込むことは難しい。その為に必要なのは当たり負けしないフィジカル。細身のアフロディには少し難しい。だが修也、そして俺なら抵抗出来る。

 

 

「クソがッ、鬱陶しい⋯!」

 

「バーン様!」

 

「ネッパー!」

 

 

 チッ、パスを選んできたか。正面突破で来れば確実に俺達2人で抑え込めたんだけどな。

 サイドから走り込んできたネッパー、おそらくプロミネンスのヤツだろう。ソイツに対してバーンがパスを出した。だがそのスピードはバーン、ガゼルと比較すれば並。

 

 

「行かせるか!」

 

「円堂 守⋯なぜお前がゴールの外にいる!」

 

 

 ネッパーの進路を塞いだのは守。目の前に立ち塞がる守に対してネッパーが狼狽える。そうか、コイツらはキーパーとしての守しか知らない。ここ帝国で練習している時に乗り込んできたがバレていなかったらしい。

 そんな意表を突く形での守のディフェンスは想定以上に刺さっている。俺が言えた立場じゃないが、タイヤだったりぶっ飛んだ特訓で守のフィジカルは極限まで磨き上げられている。それも相まってそう簡単に守を振り払うことは出来ないだろうな。

 

 

 そして、時間を稼いでしまえば我らがゲームメーカーの手が届く。

 

 

「もらった!」

 

「ナイス鬼道!!」

 

 

 突破もパスも出来ないネッパーはその場から動けなかった。それをいち早く咎めた鬼道はそのまま駆け上がる。流れは完全に俺達にある⋯カオス、絶対にここで倒してやるよ。

 

 

 

 ---

 

 

 

「攻め上がるぞ!!」

 

「おう!!」

 

「くッ⋯!!」

 

 

 プロミネンスのネッパーが鬼道にボールを奪われ、流れは再び雷門イレブンが握る。想定外だ⋯まさかヤツらがここまでのパワーアップを遂げるとは。

 

 

 

「追うぞバーン!!私達でボールの支配権を奪い返す!!」

 

「ッ⋯」

 

 

 私はバーンに声を掛け、すぐさま切り返す。他の者達は雷門の進化に適応できていない。ならば我々が何とかするしかないだろう。

 だがバーンは動かない。走り去っていく雷門イレブンを凝視しつつも、ただそれだけ。まさか⋯動揺から萎縮しているのか?

 

 

『なあガゼル』

 

『何かな』

 

『絶対雷門に勝って証明すんぞ⋯俺達がジェネシスの座に相応しいってことを』

 

 

 出発前、バーンはこんなことを私に言ってきた。当然言われるまでもなくそのつもりだったし、我々こそが真のジェネシスなのも揺るがない。そんな啖呵を切っていたというのに⋯全く、仕方の無いやつだ。予想外のことが連続すると昔からこうだ。

 

 

「鬼道!」

 

 

 視線の先では加賀美が鬼道にパスを要求する。それを妨害するようにドロルがパスコースに割り込み、鬼道の動きを封じる。

 加賀美⋯彼には何としてでも勝たなければならない。前回の試合でも、この試合の始まりでも常に私達に牙を向いてきた。今この場の支配者は間違いなく彼だ。

 

 

「鬼道!任せろ!」

 

「円堂!」

 

「くッ」

 

 

 後ろから上がってきた円堂が鬼道とワンツー、ドロルを突破する。鬼道から加賀美へのパスコースはフリー、このままパスが渡れば確実にまた失点するだろう。DF陣がまだ機能していないし、グレント1人では加賀美の雷霆一閃は止められない。

 

 

「晴矢、そこで見ていろ」

 

「⋯風介?」

 

 

 私が、加賀美 柊弥を越えてみせる。

 

 

 

 ---

 

 

 

「出せ鬼道!!」

 

「頼むぞ加賀美!」

 

 

 円堂の助けを得てドロルを突破した鬼道。柊弥へ繋がる道は既に開けている。送り出されたボールは直線的な軌道を描きながら柊弥の元へ──

 

 

「シィッ!!」

 

「なッ⋯」

 

「馬鹿な⋯いつ動いた」

 

 

 刹那、疾風が吹き抜けた。これ以上邪魔されることなく通ると思われたパスは、柊弥に届くことは無かった。まるで空間を切り取ったかのように2人の間に現れたのはガゼル。そのスピードは先程の柊弥を上回るほどだった。

 

 

「くッ、行かせるか!!円堂!!」

 

「おう!!止めるぞ!!」

 

 

 パスカットに成功したガゼルはすぐさま雷門ゴールを見据える。狙いは当然カウンター、だがその目論見を見逃す鬼道ではない。すぐさまガゼルを止めるために動き出し、円堂もそれに呼応する。

 

 

「甘い、その程度で私は止められないッ!!」

 

(何だこのスピードは!?ボールを奪う前とはまるで比較にならん!!)

 

 

 しかし今のガゼルは止まらない。柊弥を越える、試合の流れを引き寄せる。その目標がガゼルを上のステージへと押し上げる。集中による限界突破、女神はガゼルに手を差し伸べた。

 

 

フレイムダン──

 

キラースラ──

 

「邪魔だッ!!大人しく引っ込んでいるがいいッ!!」

 

 

 一之瀬と土門は鬼道が突破された瞬間に動き出し、同時に必殺技でガゼルを押さえ込もうとした。だがガゼルは2人の想定よりも速すぎた。フレイムダンスとキラースライド、2人の必殺技が発動するよりも速くガゼルは一之瀬と土門の間を駆け抜けた。

 あまりの速さに一之瀬達は言葉を失った。だが、その試みは無駄ではなかった。僅かばかりに生まれたその時間が雷の支配者をこの場に繋いだ。

 

 

「ここまでだ⋯お前は俺が止める」

 

「止めてみろ⋯加賀美 柊弥ァ!!」

 

 

 パスカットされた時にガゼルが見せたスピード。そこから柊弥は、鬼道の次に動き出していた一之瀬達が突破されることを見越して既に動いていた。最速VS最速、2人のスピードスターの戦いが幕を開ける。

 

 

(くッ、寄せが速い⋯ぶつかり合うしかない!)

 

 

 ガゼルは単騎でここまでやってきた。それゆえにパスを出せる仲間は近くにいない。その上目の前にいるのは柊弥、先程のように触れられることなく突破することは不可能。だからこそガゼルは正面衝突を選択した。

 

 

「らァッ!!」

 

「ぐッ!?」

 

(何だこのパワー、単に速いだけじゃない⋯この男、1週間で自分の身体に何をしたというんだ!?)

 

 

 しかしその選択肢が悪手だったのではないか、そうガゼルは心の中で驚愕する。ガゼルの想定ではスピードでは互角でもパワーは自分の方が上のはずだった。だが実際には逆、柊弥の方が圧倒的に強靭だった。衝突の瞬間に当たり負けしそうになったが、ガゼルはありったけの力を込めて耐える。

 

 

(パワーは俺の方が上、勝てる!)

 

 

 一旦距離を取ったガゼルに対して柊弥は再び詰め寄る。もう一度ぶつかり合いに持ち込めば間違いなく自分が押し勝てる。その確信と共に全身に力を込める。

 

 

(私は⋯いや、私達はッ!!)

 

 

 衝突直前、柊弥は目撃する。ガゼルの眼にギラつく光が宿ったその瞬間を。

 

 

「負ける訳には、いかないんだァァッ!!」

 

「なッ⋯!?」

 

 

 直後、ガゼルが激しく叫ぶ。まるで獣のように、空間が震えるほどの咆哮だ。柊弥は衝突と同時に顔を歪める。明らかに重いのだ、ガゼルのチャージが。予想外のパワーに柊弥は一瞬後退、極限まで集中が研ぎ澄まされたガゼルはその隙を見逃さなかった。

 

 

「ここだぁッ!!!」

 

 

 ガゼルは柊弥の横を通り抜ける。柊弥もすぐさまその後を追うが、ガゼルは更に加速する。追いつくどころかどんどん距離が離される中、せめて声を張る。

 

 

「止めろッ!!」

 

「止まるかあァァァァァッ!!!」

 

 

 柊弥の声より早く、壁山や塔子、綱海がガゼルに向かって動き出していた。しかし先程の一之瀬達同様、必殺技の発動すら許されなかった。まさしく疾風怒濤⋯パスカットなら一瞬でゴール前まで辿り着いた。

 

 

ノーザンインパクト⋯"V2"ッ!!

 

 

 雷門サイドに考えさせる時間を与えずガゼルは己の武器を振りかざす。進化した絶対零度の一撃が空を裂きながら立向居の構えるゴールに向かって放たれる。

 

 

(未完成のムゲン・ザ・ハンドで止められるようなシュートじゃない!!それなら⋯)

 

マジン・ザ──

 

 

 迎え撃つならマジン・ザ・ハンド。その思考のプロセスが命取りとなった。魔神を解き放ったその瞬間には既に立向居の眼前にシュートが迫ってきていた。溜めが不十分なまま手を突き出すがそれは無謀。触れた瞬間に身体ごと立向居はゴールに押し込まれる。

 

 

 試合開始5分。天秤は再び水平となった。

 

 

 

 ---

 

 

 

「立向居!大丈夫か!」

 

「はい加賀美さん⋯すみません、守りきれませんでした」

 

「仕方ねえよ。俺がアイツを止めてれば済んだ話だ」

 

 

 ゴールまで駆け寄り、倒れ込んでいた立向居に手を差し出す。掴んだ手は震えており、先程のシュートの凄まじさを物語っている。

 あの瞬間、ガゼルは間違いなく壁を越えていた。じゃなきゃ1回目の衝突と同じように俺が優位だったはずなんだ。一体アイツに何が起こった?

 

 

「考えるのは無駄か⋯」

 

 

 そうだ、終わったことをいつまでも引きずるな。試合中にフィジカルが急成長するなんてことはありえない、なら俺がガゼルに負けたのは気持ちの問題だ。あの瞬間アイツは俺を執念で上回った。ならそれを更に越えれば良いだけだ。

 

 

「加賀美、守りは俺達に任せて点を取りに行け」

 

「分かってる。頼むぞ」

 

 

 ポジションに戻る時、鬼道が俺に声を掛けてくる。試合はまだ前半の5分、巻き返しなんてどうにでもなる。ここで俺がやるべきは再び点を奪って流れを取り返すこと。やるしかない。

 

 

「修也、アフロディ。着いてきてくれよ」

 

「ああ」

 

「勿論さ」

 

 

 点を取る。それが俺達ストライカーの仕事だ。

 

 

「アフロディ」

 

 

 ホイッスルが鳴り響き、俺達のキックオフから試合再開。後ろに控えているアフロディにボールを預け、俺は修也と一緒に先に走り出す。

 

 

「加賀美君!」

 

 

 間もなくしてアフロディから俺に声が掛かると同時にパスが飛んでくる。それと同じタイミング、俺の前に影が立ち塞がる。

 

 

「退けよ」

 

「断る」

 

 

 ガゼルだ。先程と同じ凄まじいスピードで進路を塞ぐ。修也は⋯ネッパーに封じられている。アフロディはまだ距離があるからダメだな。俺が単騎でガゼルを突破するしかない。

 さっきのことがあった以上、真正面からの衝突はリスキー⋯

 

 

 ⋯なんてな。

 

 

「いくぞッ!!」

 

「ぐッ!?」

 

 

 負けっぱなしで終われるかよ。ここでビビって正面衝突を避けるようなヤツがこの試合で勝てるわけねえだろ。

 ガゼルにとって予想外だったのか、大きく体勢が崩れた。すぐさま持ち直したが、お前が俺の隙を見逃さなかったのと同じように俺も見逃さない。一瞬で加速、ガゼルは流石の超反応を見せるがそれはブラフ。ダブルタッチで走路変更、真横に抜けるチョップドリブルでガゼルを追い抜く。

 

 

(見えたぜ、相棒)

 

 

 俺がガゼルを追い越したと同タイミング、修也がネッパーのマークを振り払って走り出していた。言葉もなしにアイコンタクトで意図を読み取った俺は修也の走るコースにボールを送り出す。そのボールは誰にも邪魔されることなく修也に渡る。

 

 

 だが俺は見てしまった。修也の後ろから迫る、猛き炎を。

 

 

「遅せェよ」

 

「なッ」

 

 

 修也以上、俺とガゼルと同格のスピードで誰かが修也の正面に躍り出てタックル。あまりの膂力に修也は耐えきれずボールの支配権を奪われる。

 その場に倒れ込んだ修也を見下ろしたのは⋯赤い髪、カオスを率いる男⋯バーンだった。

 

 

「目ェ覚めたぜガゼル⋯」

 

「ふん、遅かったじゃないか」

 

 

 だがその目は眼前の相手を下に見るような目では無い。闘志に満ちた⋯燃えるような目だ。

 

 

「行くよ」

 

「おう」

 

「待てよ⋯行かせるわけねえだろ」

 

 

 ガゼルがそう声を発すると、バーンは加速。同じようにガゼルも走り出す。だがそれを大人しく行かせてやる俺じゃない。すぐさま2人を追い掛ける。先にスタートこそ切られたものの、俺とガゼルの距離は離れていない。いざとなれば雷霆万鈞で無理やり追い越せる。

 

 

「ここは通さないよ!」

 

 

 だがその必要はなかった。後ろに控えていたアフロディがバーンの行く手を阻む。

 

 

「邪魔だ!フレイムベール!!

 

 

 アフロディと対面した瞬間、バーンはボールを地面に叩き付ける。すると下からマグマが噴き出し、下からアフロディに突き刺さる。噴火を連想させるほどの凄まじい勢いのそれは、アフロディを軽々と吹き飛ばした。

 だが十分だ、その時間があれば俺が届く。

 

 

「おっと、怖ぇ怖ぇ」

 

「くッ」

 

 

 俺は必殺技の後隙を狩るつもりで標的をガゼルからバーンに切り替えた。だが、予想以上にバーンの立て直しが早く、弾丸のような横パスが飛ぶ。俺が追うのをやめたガゼルがそれを受け取り、更に加速。あの野郎まだスピードに上がありやがった。

 それと同等の速さてバーンも駆け上がる。無理にボールを奪いにいったせいで俺はすぐには追い掛けられず、一気に突き放される。2人の連携は凄まじく、鬼道達のディフェンスを持ってしてもバーンとガゼルは止まらない。

 

 

「壁山!アレをやるぞ!」

 

「はいッス!!」

 

 

 だがパスやドリブルで躱す際に生まれる僅かな時間で守が後衛でのディフェンスに間に合う。壁山に声を掛けて守は正面のガゼルを止めに入る。

 

 

「ふッ、甘いよ」

 

「上だ守ッ!!」

 

 

 だが甘かった、ガゼル1人を止めることに集中しすぎてバーンの動きが見えていなかった。もしかすると誰かがバーンのマークに間に合っているはずだったのかもしれない。けどバーンが()()()()()あたり、振り切られたか。

 バーンは既に空中、そしてガゼルは最初から突破ではなくバーンへのパスしか考えていなかった。送り出されたパスがバーンの元に届くのは必然のことだった。

 

 

「いくぜ⋯アトミックフレア"V2"ッ!!

 

 

 翔んだままボールを受け取ったバーンは何と空中で反転し、炎を纏いながら更に高く翔びオーバーヘッドの体勢。

 そのまま放たれたのは太陽を連想させる程の熱を孕む灼熱のシュート。ゴールとの間に割り込める者は⋯立向居を除いて誰もいない。

 

 

「うおおおおおッ!!マジン・ザ・ハンド"改"ィ!!

 

 

 立向居が気合を剥き出しにして蒼の魔神を従える。咆哮と共に魔神がバーンの一撃とぶつかり合う。その瞬間、魔神の全身を炎が包み込む。

 

 

「ぐ、オオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 そして、魔神は炎に包まれたまま砕け散る。

 

 

「っしゃァ!!これが俺達カオスの実力だッ!!」

 

「油断は無い⋯全力を持って君達を叩き潰すッ!!」

 

 

 ゴール前のバーンとガゼルが声を荒らげる。その気迫は相当のもので、皆の顔が更に強ばる。それとは真逆に、カオスの面々の目には2人の眼光が伝染する。

 マズイな⋯この流れ、最初の優勢が完全にひっくり返る。

 

 

「けどな⋯俺達だってまだ終わりじゃねえんだよ」

 

 

 まだまだ底は見せてない。最後に勝つのは俺達だ。




前の話では柊弥が大暴れ。それに触発されたように躍動したのは何と敵であるバーンとガゼル。けど、進化の連鎖はまだまだ続くようです。次は一体誰でしょう⋯?
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