Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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人気はあるけど原作では活躍の場がないあの技とあのキャラが活躍します。さて、何でしょうか?


第84話 粉砕

「柊弥!」

 

「任せろ」

 

 

 試合再開早々に加速、劣勢である今相手に余裕を持たせたらダメだ。考える暇もないほど圧倒的な速攻で一気に攻め潰すのが最善手。

 

 

「おい、そんな簡単に俺達を抜けると思ってんのか?」

 

「思い上がりも程々にしておきたまえよ」

 

「最初から出来ないと思ってやる馬鹿どこにいるんだよ」

 

 

 そうすると一番最初にぶつかるのはやはりこの2人。コイツらの覚醒で流れが一気に持っていかれた。それなら、この2人を真正面から潰せば相手の熱も冷め、こっちの士気は上がるだろ。

 

 

 バーンとガゼルは互いに絶妙なポジショニングで俺の前方を塞いでいる。成程、正面突破だけを封じて横移動、後ろへのパス辺りはご自由にどうぞってスタイルか。パスは⋯最終手段だな。極力ラインを下げたくない。横へのパスも2人以外のヤツらがしっかり警戒してやがる。

 

 

「追い付いて見ろよ」

 

「んなッ⋯」

 

 

 攻めあぐねているところから一気にバーンに向かって突撃。勢いはそのままにボールを転がしたまま超スピードで左右に跨ぐシザースで揺さぶりを掛ける。

 

 

「ちょこまかとしつけェッ!!」

 

「残念、逆だ」

 

 

 重心がやや左に寄ったタイミングで右に切り返すが、バーンはしっかりと反応してみせる。だがそれは俺の撒いた餌。分かりやすく右に抜けようとすればその程度の重心の偏り無視して突っ込んでこれるよな。それが分かっているならそれをブラフにして次の手を打てばいいだけだ。右に抜ける際の左インサイドで送り出したボールを接近したタイミングで右インサイドで反転、俺を狩るために走り出した状態じゃここまでは対応できないだろうな。

 だが、左に抜けるとなると次はコイツとやらなきゃならない。

 

 

「キミのフェイント技術は既に体験済みだ。バーンのように突破出来るとは思わないことだ」

 

 

 ガゼルは冷たい視線を向ける。コイツには前の試合でもフェイントを使ってるからな。ダブルタッチにルーレット、そしてさっきバーンに使ったシザース。しかもバーンにあそこまで刺さったのはわかりやすい直情型なこともある。前は荒れてたがガゼルの本領はこの冷静さ。一度見せた技は通用しないとみて良いだろうな、併せ技ならまだしも。しかし、それは一度見せたらの話だ。

 

 

(外で弾いて、内で戻すッ!)

 

 

 右脚のアウトサイドで一瞬ボールを弾き出し、すぐさま同じく右脚のインサイドで弾き戻す。インで弾きインで戻すダブルタッチとはまた違う、一瞬の駆け引きにより特化したエラシコの動きだ。そこに俺のスピードが乗れば相当面倒だろ。

 

 

「くッ、逃がさないッ!!」

 

「しつけえな」

 

 

 が、ガゼルは片足で地面を思い切り蹴り砕き無理やり俺の進行方向に 躍り出る。ボディバランスなんてフル無視の滅茶苦茶な動き、コイツこんなことも出来たのか。

 けどそんな無茶な体勢で突っ込んできたらもう止まれないよな。

 

 

「なッ、バカなッ⋯!」

 

 

 すぐさま左脚でボールを止め、それを視点にして派生させるルーレットで左に倒れ込むガゼルを置き去りにする。

 

 

「行かせるか!!イグナイトスティール!!

 

「うおッ!?」

 

 

 だがガゼルを抜き去って前に向き直した直後横からネッパーの炎を纏ったスライディングが襲い掛かる。クソッ、ガゼルの最後の足掻きを躱すことだけに集中してたせいで第三の矢が飛んでくるなんて想像してなかった⋯!

 跳んで回避を狙うが間に合わない。それより早くネッパーのつま先がボールを捉えて俺は弾き飛ばされる。起き上がった時には既にネッパーは俺達の中盤まで攻め込んで来ていた。

 

 

「一之瀬!土門!」

 

「おう!」

 

「名誉挽回するぜ!」

 

 

 だが心配する必要はなかった。俺が前線でボールをキープしていたせいで他の皆はいつでも動く準備が整っていた。動けるヤツがいれば鬼道が指示を出せる、そうすれば簡単に攻め込まれることもない。バーンとガゼルも俺との差し合いでまだ最前線までは上がれていない。この2人以外ならつ鬼道の指示で動く鍛え抜かれた皆を突破することは簡単じゃないだろう。

 

 

「ネッパー!」

 

 

 ネッパーに対して一之瀬と土門が止めに入る。多勢に無勢、連携の練度が抜群のあの2人を突破するのは難しいだろう⋯そう理解してドロルが横からネッパーにパスを求める。だがネッパーはすぐにはパスを出さない。何が狙いだ⋯バーン、ガゼルが前線に来るまでの溜めか?

 

 

「⋯ヒート!」

 

 

 いや、違うか。ドロルへのパスを警戒させての本命のヒートへのパスか。だがリスクを抑える代わりにラインを下げた。それなら俺や修也、アフロディが──

 

 

「ヒート!俺に出せ!」

 

「バーン様!」

 

 

 ──速すぎんだろ、コイツ。いつの間にスタートを切った?

 

 

「⋯そういうことかよ」

 

 

 バーンが先程までいた場所を見ると、このスピードの仕掛けの種が残されていた。その場にあったのは、2つの足跡と広めに取られた手跡。陸上競技なんかでお馴染みのクラウチングスタートか。確かに普通に走り出すよりはスピード出せるだろうな。

 バーンのシュートの破壊力はさっき目の当たりにした通り。立向居のマジン・ザ・ハンドでは厳しい。俺が止めに入れば何とか⋯いや、待てよ。さっき自分でみんなが準備して待ってるって理解してたじゃねえか。それなら良い。俺が今出来るのは皆を信じて待つことだな。

 

 

「壁山、いけるな!」

 

「はいッス!!」

 

「へッ、テメェらに俺が止められるかよ!!」

 

 

 そのままバーンは飛び上がる。太陽のような熱を秘めた脚は炎の軌跡を描く。凄まじい熱が離れたところにいる俺の方にまで波のように押し寄せる。けどその眼下では守と壁山が待ち構えている。成程、あの技のお披露目か。

 

 

「これで3点目だ!!アトミックフレア"V2"ッ!!

 

 

 先程もゴールを燃やし尽くした灼熱のシュートが放たれる。その威力は一切衰えることはなく、再びゴールに向かって襲い掛かる。

 

 

「キャプテン!!」

 

「おう!!」

 

 

 迫り来る脅威に対して壁山はザ・ウォールを展開。だがその高度、強度は比較にならない。守のエネルギーを上乗せしてブーストを掛けている状態と言えば分かりやすいか。

 そして守は両手からゴッドハンドを展開。壁山が作り出したザ・ウォールをがっしりと掴み、それをより広範囲へ展開。ゴッドハンドから更に力が伝わり更に強固なものへ。

 

 

「これが、俺達の!!」

 

ロックウォールダムッス!!」

 

 

 リベロにコンバートした守と壁山による新必殺技。だがこれで終わりではない。このままならシュートの威力を削るだけで止めきることはできないだろう。だからこそ守は次の手を打つ。額に力を集中させ、黄金の拳を作り出す。正義の鉄拳と同等のパワーを誇る、守がリベロになった最初に創り出した必殺技。

 

 

「更に⋯メガトンヘッドォッ!!

 

 

 後ろをロックウォールダムで支えられたメガトンヘッドがアトミックフレアと正面衝突し、凄まじい衝撃波が巻き起こり火花を散らす。そうしている内にに2人は地面を削りながら押し込まれていく。

 

 

「負けるかァ!!」

 

「絶対に止めるッス!!立向居君の負担を減らすッスよ!!」

 

 

 そう叫ぶと、2人の覇気が膨れ上がる。それに呼応するかのように後退は止まり、ペナルティエリアに侵入するギリギリで踏み止まる。

 

 

「んだとッ⋯!?」

 

「ナイス円堂!こっちだ!」

 

 

 そして完全に止めた。すかさず一之瀬がボールを受け取りに走る。パスが渡った一之瀬はそのまま前線へ向かう。駆けていく途中で鬼道が合流し、テクニックに特化した2人による超連動で次々と妨害を突破していく。

 

 

「これ以上は行かせない」

 

「ふっ、お前がブロックに来るのは読んでいたさ」

 

「ふん、ならば止めてみたまえよ」

 

 

 ボールを持った鬼道に対してガゼルが抑えに寄る。いくら鬼道のスペックが高くても、ガゼルにはそれを全て押し潰せるほどのスピードがある。強行突破に振り切る前に何とか躱さないとキツい。いつでもカバーに入れる位置にはいるがどうする、鬼道。

 

 

「一之瀬!」

 

「甘い、そのパスは単調すぎる」

 

「それはどうかな?」

 

 

 鬼道が一之瀬のやや前気味にパスを送る。当然一之瀬はそれを自分のものにするために加速するが、それを読んでいたガゼルは超スピードで一之瀬に寄る。恐らくパスカットは出来ないが、一之瀬がボールを受け取ると同時にマッチアップに持ち込める。

 だが一之瀬はガゼルのそのスピードも計算のうちだった。受け取ると思わせて股の間を通してスルー、ガゼルとの正面衝突を避けてボールを見逃した。

 そのボールを受け取ったのは、走り込んできていた土門。

 

 

「よっしゃ!練習の成果だな!」

 

「ああ!そのまま運べ土門!!」

 

 

 鬼道から一之瀬へのパスと思わせてのスルー、そのこぼれ玉を土門が確保するまでの連携パターンか。練習じゃ俺も初見で煮え湯を飲まされたな。けどナイスだ、ガゼルは抜いた、バーンはまだ間に合わない。これなら⋯攻め切れる。

 

 

「そこからは進入禁止」

 

「くッ」

 

 

 土門の前に小柄な女DF、クララが立ちはだかる。アイツ、土門への寄せが異常に速かった。ガゼルが突破されたその瞬間に土門にだけ集中して動いてたか?

 だが問題ない、俺が間に合う。

 

 

「加賀美!」

 

「おう!」

 

「駄目」

 

 

 俺がサイドから上がり、土門にパスを要求する。土門もそれを聞いて俺の方に向き直りボールを送り出すが、突如としてその間に氷の城壁が現れる。何だこの必殺技、壁山のザ・ウォール⋯いや、ロックウォールダムに限りなく近い。

 

 

アイスフォートレス

 

「なッ、何処から──」

 

 

 壁の向こうで土門の声が途切れると同時、氷壁は融解。その奥にいたのは壁を作り出したクララ。そしてボールを足蹴にするゴッカ。土門は地面に倒れ込んでいた。

 ⋯なるほどな、クララが氷の壁を創り出して対象を周囲から隔絶。逃げ道を封じたところでゴッカが1vs1でボールを奪い取るってことか。正確には壁を作ることがあの必殺技の本領、ゴッカとの併せ技は応用の範疇だろうな。

 それにしてもあの壁、キツイな⋯強度もかなりのものと見た。あのキーパー単体なら俺が何とか出来る。けどシュート自体を封じられる、或いは威力を削られれば分からない。こんな伏兵予想出来るかよ⋯

 

 

「ドロル!!」

 

 

 分析しているとゴッカがドロルにパスを出す。だがそのドロルに対して修也が一気に詰める。ギリギリでタックルが間に合ってドロルはボールをロスト。そのまま転がっていくボールを確保したのはネッパーだった。だがそれすらも読んでいたアフロディがネッパーのボールを奪いに走る。並走する2人は何度かぶつかり合うも状況は動かない。

 

 

「ネッパー!」

 

「チッ⋯」

 

 

 それを見兼ねてサポートにリオーネが走る。だがネッパーはパスを渋る。何だ?今のパスを迷う理由はなかったはず⋯一体何だ?

 

 

「ボンバ!!」

 

「ふッ!!」

 

「なにッ!?」

 

 

 結局ネッパーら逆サイドから走り込んできたボンバに対してパスを出した。だが、その2人の間に割り込む影があった。鬼道だ。ネッパーのその動きを完全に読んでいたのかピンポイントの位置に現れたな、まさかこの前半の中でもう相手の癖を把握したのか?

 

 

「アフロディ!!」

 

 

 鬼道のそのスティールはカオスにとって完全に予想外だったのかカオス側の布陣は穴だらけだ。鬼道の弾丸のようなパスは吸い込まれるようにアフロディの足元へ送り届けられた。

 そのままアフロディは雷を従え天空へ翔ける。黄金の翼がボールを包み込むと、神々しい雷が迸る。

 

 

「このチャンス、必ずモノにする⋯ゴッドノウズ・インパクト!!

 

 

 アフロディの必殺シュートが放たれる。ようやく訪れたシュートチャンス、ここで同点に並べれば気持ち的にも俺の体力的にも余裕を持てる⋯さあ、どうなる?

 

 

アイスフォートレス

 

 

 ゴッドノウズ・インパクトがゴールに迫るが、突如氷の城壁がその行く手を阻む。あの技、敵を囲むだけじゃなく自分を中心に超広範囲までカバー出来るのか⋯ロックウォールダムと同等、下手すればそれよりも広いかもしれない。

 

 

「止められはしない、けどこれだけ弱めれば」

 

バーンアウト!

 

 

 明らかに威力が抑えられたゴッドノウズ・インパクトにグレントが炎を宿した拳を叩き込む。触れた瞬間アフロディの雷は全て燃やし尽くされ、ボールは地に落ちる。

 

 

「くッ、ダメか⋯」

 

 

 やはりあのシュートブロックが入ったら厳しいな⋯だが、それならそれでやりようはある。

 ボールはグレントのロングスローによってボンバへ。

 

 

「遅せェな」

 

「なにィ!?」

 

 

 一瞬の速攻で体制が整っていなかったからこそパス先を絞れた。ポジショニングが最も良いボンバに送ると思ってたよ。そしてボンバは体格がデカい分鈍い。それなら俺のスピードでぶんどれる。

 前半はもう終わりに近い⋯なら、ここで1つ無茶してやるか。

 

 

「貴方は駄目。そもそも撃たせないわよ⋯アイスフォートレス

 

 

 ボンバからボールを奪った勢いのままゴールに向かって走る。すると、クララが三度氷壁を創り出す。しかもその形は超広範囲な上にかなり高い。なるほどな、雷霆一閃の高度を警戒してか。消耗は激しいだろうが、あっちも前半終了が近いから全力で止めに来てるな。

 雷霆一閃なら壁は破れるだろうが、さっきのゴッドノウズ・インパクトのようにグレントに止められるのがオチ。

 

 

 それなら、俺は壁を壊すことに集中する。

 

 

「ォォォォオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 全身に力を込め、腹の底から叫ぶ。その時ボールから蒼の雷が激しく迸った。雷霆一閃は俺の究極奥義。パワーとスピードも併せ持った、考えうる限り俺にとって最強のシュートだ。だが、このシュートはどれだけエネルギーを込めるかで威力が大きく化ける。5割からはその化け具合も跳ね上がる。そして今からぶち込むのはその5割だッ!!

 

 

ライトニングブラスターV2ッッッ!!

 

 

 放たれた極太の雷は絶対零度の城壁と衝突。凄まじい勢いで壁が削れていく。

 

 

「く、うゥッ⋯!」

 

「打ち砕け」

 

 

 アイスフォートレスの耐久が一気に削れたその瞬間、まるで爆弾のように雷が炸裂。直後氷壁全体にヒビが入り音を立てて崩れる。

 それと同時、ボールは突き進むのではなく大きく上に弾かれる。そしてそこにいるのは、炎の魔神を従えた相棒。

 

 

「焼き尽くせ、修也」

 

爆熱ストォォォムッ!!

 

 

 ここまでが俺の狙いだ。ライトニングブラスターで壁を打ち破ったとして、威力を削れた状態じゃ結局止められる。だから最初から壁をぶっ壊すことだけに集中したわけだ。貫くのではなく、炸裂して砕くことに重きを置いたシュート。ボールが弾き飛ばされた方向に修也、或いはアフロディが反応できるかはほぼ賭けだったけどな。

 

 

バーンアウトォ!!

 

 

 グレントが炎の拳で爆熱ストームに対抗する。けどダメだ、そんな炎じゃ修也の炎に呑まれるだけ。俺の相棒を甘く見るんじゃねえよ。

 

 

「ぐォォォォッ!?」

 

 

 両拳が弾かれると同時、爆熱ストームを思いっきり腹に受けてゴールへと押し込まれる。ホイッスルが鳴ってスコアボードが2-2に更新される。そのタイミングで再びホイッスルが鳴り、前半終了。

 

 

「流石」

 

「良く言う。俺が来るって分かってて俺の方にボールを飛ばしたんだろ?」

 

「バレてら」

 

 

 互いに拳を突き合わせ、こちらへ走ってくる皆の元へ合流する。さて、何とか前半の内に同点まで持ち込めたな。まだまだ俺達には隠し球がある。アイツらはどう出てくることやらな。




アイスフォートレス。オリ技ですね。
カオスのDFって巨体2人組しか目立ってないよなあ⋯せや、クララって確かダイヤモンドダストの正GKよりキーパー適正あったな。ほなら新ブロック技使わせちゃお!wという軽いノリでの出番でした。
ちなみにカオスにはあと1つオリ技を使わせる予定です。テコ入れです。柊弥のせいで雷門側が強化されてるしこの位は平気平気。
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