Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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本当は昨日の日付が変わった瞬間に投稿したかったけど最後にもう一回手直ししたかったので1日遅らせました。それくらい力入れて書きました、欲望全て詰め込めて満足です。


第86話 神の審判

「クソッ⋯立向居!大丈夫か!」

 

「は、はい。すみません、止められませんでした⋯」

 

 

 バーンとガゼルのシュートに弾き飛ばされてすぐに立ち上がり、ゴールで倒れている立向居の元に駆け寄る。幸いにして怪我はないらしいが手が震えている。無理もない、シュートに触れた俺の脚も未だに痺れが残っている。

 ファイアブリザード⋯とんでもないシュートだ。ストライカーとしてトップクラスの実力を誇るあの2人が完璧に連携して引き出される超火力。2人でのシュートだってのに3人で撃つデスゾーン2よりも恐らく強力だ。

 

 

「クソッ⋯!」

 

 

 どうやってアイツらを止めるか、どうやってまた点を奪うか。この試合に勝つために俺がやるべきことを考えていると、立向居から声が聞こえた。自分の右拳に静かな怒りが籠った視線を向け、その表情も穏やかじゃない。

 恐らく、いや間違いなくその原因は自分への怒りだ。守から引き継がれたキーパーという重責。未だ完成させられないムゲン・ザ・ハンド。そしてこの試合3度目の失点。立向居は素直というか、責任感が凄い。大方ここまでの不利は自分の責任だとでも感じているんだろう。

 

 

「立向居」

 

「は、はい」

 

 

 勘違いするなよ立向居、お前だけの責任じゃない。サッカーはチームスポーツ。誰だけが悪いなんてことは有り得ないんだ。

 けどお前にこんなのは慰めにならないよな。だから言葉にはしない。けどその代わり──

 

 

「俺、いや俺達に任せろ。お前がどれだけ失敗しようが俺達が取り返してやる」

 

「え、でも⋯」

 

「だからお前は自分を信じろ。自分を否定することは可能性を縛ることと同じだ⋯少なくとも、俺はお前を信じてる」

 

 

 それだけ伝えて俺はポジションに戻る。立向居は皆が練習を終わったあとも自主練に打ち込んでいた。誰よりも努力していたを俺は少なくとも見ている。愚直に努力できるヤツは強いんだ、だから俺はお前を信じる。

 

 

「⋯加賀美」

 

「分かってる。点は取る、任せておけ」

 

「ふっ、余計な世話だったか?」

 

「まさか。良い気付けになった」

 

 

 俺がやるべきこと。そう、点を奪うこと。アイツらを止めるのは皆に任せてそれだけに集中する。それが今俺が出来る最善手。後半20分、時間もそんなに残ってない。出し惜しみをしている時間は⋯ないな。全力を持ってゴールまでの道をこじ開ける。ここからは総力戦だ。

 

 

「修也、アフロディ。俺にボールを集めてくれ」

 

「ああ」

 

「わかったよ」

 

 

 それだけ伝えて俺は2人にキックオフを任せて後ろに着く。さて、気合い入れ直すか。

 

 

「⋯絶対勝つ」

 

 

 すると、ホイッスルが鳴って俺の足元にボールが送られてくる。直後、持てる全てを解放する。

 

 

雷霆万鈞

 

 

 残り半分、雷霆万鈞をフルに発動しながら動き続けるくらいの余裕はある。出し惜しみはしない、俺の限界点を見せてやる。

 

 

「修也!アフロディ!着いてこいッ!!」

 

「おい、そんな簡単に行かせるとでも思ったか?」

 

「流れはこっちにある。キミの好きにはさせないよ」

 

 

 俺が走り出すと同時、バーンとガゼルが俺の前に立ちはだかる。試合再開すぐにボールを奪って点差をつける想定なんだろ、俺を止めるんじゃなくて完全にボールを奪う立ち回りだ。

 けどよ、そっちの方が幾分か抜け道が出来るんだよ。

 

 

「止められるモンなら止めてみろッ!!」

 

「バーン、正面を抑えろ!」

 

「分かってらあ!!」

 

 

 右に抜けようとするとバーンが俺の真正面に躍り出る。パワーのあるバーンが強行突破対策、スピードのガゼルが皆がサポートを潰すってとこか?成程な、確かにバーンに張り付かれたら無理やりは難しい。それでもってパスコースを徹底的にケアされたらジリ貧だ。

 

 

 けど想定が甘ぇんだよ。

 

 

「そんなんで俺が止まるかァァァ!!」

 

「なッ、重戦車かテメェ!!」

 

 

 真正面から行かないとでも思ったか?為す術なく足止めされるくらいなら思い切って仕掛けるに決まってんだろ。全身に力込めてバーンにぶつかると、予想していなかったからか一気に体勢が崩れる、そうなったらもう終わり。そんな状態で俺を止められる訳がねえ。

 

 

「いかせるか!」

 

 

 バーンを突き放すと見計らったようにネッパーが1人で俺の前に立つ。

 

 

「1人で俺を止められる訳ねェだろ」

 

「くッ」

 

 

 本職のDFでもない、そして俺のパラメータとは差がある。想定が甘すぎんだよ。

 

 

「リオーネ!止めるぞ!」

 

「ええ!」

 

「次から次へと⋯」

 

 

 ネッパーを抜いた次にはドロル、リオーネが2人同時に俺の進路を塞ぐ。さっきのガゼル達と違って完全に2人で来ている以上こっちの方が面倒だ⋯1人なら。

 

 

「任されたよ」

 

「アフロディ⋯!」

 

 

 視線、重心はヤツらの方に傾け突破を狙っているように見せかける。けどコイツらには見えていない、横から走り込んできているアフロディが。

 ごく自然な形で横にパスを流すとドンピシャでアフロディがそれを回収、そっちに意識が持っていかれたヤツらは俺を止められない。サイドステップでアフロディと真反対の方向に移動、そのまま走りアフロディと並走する。

 

 

「加賀美君、ここからどうする?」

 

「鬼道達は後ろで万が一に備えてる、デスゾーン2は期待出来ねえ。俺達でクララのシュートブロックを破った上でゴールをぶち抜かなきゃだが⋯まず1人じゃ無理だ」

 

 

 クララは完全にシュートブロックだけを狙うポジションにいる。先出し、あるいは包囲型を狙ってくるなら俺が何とかしてどっちかにキーパーとやり合ってもらえたが⋯無理だろうな。シュートブロックされた上で更にキーパーも倒す。それしかねえ。

 けど恐らくファイアトルネードDDじゃ無理だ。あのシュートは爆発力が凄まじい、1つの強大な壁をぶち壊すだけならこの上ないシュートだけど今はそれだけじゃない。2枚の壁をぶち抜く、貫通力が必要だ。

 

 

「あの技だ。あれしかない」

 

「あれか⋯分かった、僕達で決めよう」

 

 

 俺とアフロディの新必殺技、あれならその貫通力が備わっている。起点は俺、ボールはアフロディから俺に戻ってきた。

 だが死角から迫る気配がある。まずはコイツをやり過ごす。

 

 

イグナイトスティール!!

 

「見えてんだよッ!」

 

「ふッ、本当にそうかな?」

 

フローズンスティール!!

 

 

 死角から飛び込んできたボンバのスライディングを俺は飛んで躱す、すると今度は俺の着地際を狙ってゴッカが仕掛けてきやがった。高い位置ならパスも狙えた、けどもう間に合わない。着地と同時に脚元を貫かれた俺は為す術なく吹き飛ばされる。

 

 

(クソがッ、何だよこの連携パターン!?こんなモン初見で避け切れるか!!)

 

 

 さっきまであの2人が連携することはなかった。いや、連携パターンが存在していなかった。けど今になって何で⋯

 

 

「⋯そういうことかよ」

 

 

 間違いねえ、バーンとガゼルのあの連携だ。今まで見せることがなかった完璧な連動、それがプロミネンス、ダイヤモンドダスト間での連携が触発され始めやがった。

 何でクララがシュートブロックに振り切っているのかが分かった。まずこの2人がシュートを撃たせないことに集中しているからだろうな。クララは万が一の保険。この二大巨頭を突破しないことにはまずシュートすら撃てねえ。

 

 

「加賀美君!!大丈夫かい!?」

 

「悪い⋯油断した」

 

「仕方ないよ、あれは誰も想定出来ない⋯」

 

 

 アフロディの手を借りて起き上がる。脚に異常は⋯ないな。まだ動ける。奪われたボールはすぐに前線に送られていた。ゴッカからボンバ、ボンバからネッパーへ。

 それを見た鬼道が動き出す。ネッパーからのパスを受け取れる近くのプロミネンスのメンバーは封じられている。それを見て後ろから走り込んできているバーラが作り出すパスコースに割り込むための動きだろう。

 そのパスカットからこちらのカウンターに持ち込めれば次は点を取れる。あのスライディング連携を狙ってくるというのなら最初からもっと高く跳んで空中パスを出せば良い。俺の体幹なら出来る。

 

 

「⋯リオーネ!!」

 

「!!」

 

「そのまま持ち込め!!」

 

「そう来るかッ⋯」

 

 

 バカか俺は、何でDFの連携からこれを予知できなかった⋯!バーンとガゼルの連動がチームに影響を与えているなら、コイツも意識を変えてくるか。してやられた⋯鬼道は完全にバーラへのパスを警戒して前に出過ぎている。マズい、このままだと攻め崩される。

 

 

「間に合え──」

 

 

 そう理解した時には既に身体が動いていた。雷霆万鈞を惜しみなく使っての切り返し、消耗が想定より激しくなるけどこればっかりは仕方ねえ。

 リオーネがある程度切り込めばそこにバーンとガゼルが待ち構えている。パスを受け取った2人は容赦なく攻め込んでくる。それに対して守が中心となって阻止を試みるがそのスピードを抑えきれない。

 ダメだ、これじゃ俺も間に合わねえ。

 

 

「もっかい決めんぞ!」

 

「ああ!」

 

 

 バーンとガゼルが高く飛び上がる。それぞれが炎と氷を宿し、脚を振りかぶる。

 それと同時、地上からもう1つの影が空中に参戦する。

 

 

「させるかよォ!」

 

「綱海!!」

 

 

 何と、ファイアブリザードが撃ち出されるより早く綱海がそのボールを叩き落とした。しかも、そのボールは後ろまで下がって来ていた俺の元へ。

 

 

「行け!加賀美!!」

 

「最高だ綱海⋯」

 

 

 最高なんて言葉じゃ形容しきれねえよ、お前。ファイアブリザードを阻止するだけじゃなくてカウンターに繋げてくるなんてな。

 その頑張り、無駄にする訳にはいかねえ。何が何でも決める、誰にも邪魔なんてさせない。ダイヤモンドダストとの試合でやったように雷霆万鈞発動中に雷光翔破まで繋げる、相当な無茶だが⋯やるしかない。

 

 

雷霆翔破

 

 

 一気に身体が熱くなる。機械でいうオーバーヒート状態ってとこだろうが、そんなことはどうでも良い。出し惜しみはしない、俺の全部出し切ってでも勝ってやる。

 

 

「───!───!?」

 

「──!───!」

 

「──────」

 

 

 耳鳴りが酷い。視界も白くなってきた。ただひたすらに身体の中が熱い。けど止まらない。止まる訳にはいかない。

 

 

「──美君!!君は起───だ、僕に任せ──れ!!」

 

 

 アフロディ?何言ってんのかよく聞こえねえ⋯けど、パスを出せって言ってるのは伝わった。俺が起点がどうのこうのってのは必殺技のことだろ。俺がボールを持ったままこの先のディフェンスラインをくぐり抜けるより、アフロディが突破して俺が受け取った方が良い。そういう意図のはず。

 

 

「任せた」

 

 

 俺はアフロディにボールを委ねる。俺が想定したアイツらの突破方法、共有しとくべきだったか?

 と思ったけどその心配は杞憂だったらしい。アフロディは滞空時間を長く取るために必要以上に高く跳ぶ。その視線は俺の方に向けられている。任せろ、後は俺が──

 

 

「───」

 

「──!?」

 

 

 アフロディからボールが送り出される、まさにその瞬間。複数の何かがアフロディを貫いた。その足元に落ちるように崩れ落ちたアフロディ。その周りには白の冷気が漂っている。まさか──

 

 

「クララか⋯!」

 

 

 視線をゴールの方へ向けると案の定クララが手を地面に着いてアフロディの方を向いていた。どういう仕組みなのかは分からないがアイスフォートレスみたいな感じで何かをアフロディに向かって飛ばした。イグナイトスティールにフローズンスティール、そこにクララの対空を組み合わせたカオスの新たなディフェンスラインってことか。

 

 

「ぐォッ⋯!?」

 

 

 その時、意識が激しく遠のいて動悸が止まらなくなる。肺が潰れそうになるようなこの感覚⋯酸欠か。そこに雷霆翔破による激しすぎる消費、こうなるのも必然だったか⋯

 耐えろ、こんなとこで倒れたら終わりだと思え。俺はまだ何も出来てないだろうが⋯!

 

 

「こっちだ!」

 

「ネッパー!!」

 

 

 アフロディの最も近くにいたゴッカがボールを確保し、ラインを下げてきていたネッパーへボールを送る。直後、ネッパーの全身から炎が燃え上がる。

 

 

フレイムロード!!

 

 

 ネッパーが腕を振り払うと、纏わりついていた炎が一本の道となる。蹴り出されたそのボールは道に沿って真っ直ぐと飛んでいき、誰かの脚元へと吸い込まれる。その誰か、というのは⋯

 

 

「よくやったネッパー!」

 

「試合も残り5分⋯ここで決めて勝利を手繰り寄せる!!」

 

 

 バーンだ。その隣には、当然ガゼル。

 

 

「まさか、あそこから撃つつもりか!?」

 

 

 バーンとガゼルはまだゴールから遠い。雷門側の真ん中くらいの位置だ。けど確かにあの威力ならその距離でも撃ち抜ける。シュートブロックがどれだけ重なっても点を奪える自信があるってことか⋯クソッ、間に合わねえ。撃たれたらさっきの綱海みたいな止め方も出来ない。

 

 

「柊弥!!ここは俺達に任せろ!!」

 

「そうッス!!皆で絶対に止めるッスよ!!」

 

「守、壁山⋯」

 

 

 2人だけじゃない、綱海に塔子、土門、一之瀬、鬼道に修也までいる。俺とアフロディを除いた全員だ。皆、俺とアフロディが必ず点を取ることを信じてる。信じて待てって言ってる。

 じゃあ、任せるしかねえよな。

 

 

「任せたぞ、皆!!」

 

 

 体力もカツカツだ。俺が今やるべきは皆を信じる、それだけだ。

 

 

ファイアブリザードッ!!!

 

 

 バーンとガゼルがファイアブリザードを放つ。その威力はやはり本物、正攻法で止めるのは困難の極みだ。

 

 

ロックウォールダム!!

 

「からの⋯メガトンヘッドォッ!!

 

 

 壁山がザ・ウォールを展開、守が2つのゴッドハンドでザ・ウォールを更に広げて負荷を分散。そこに更にメガトンヘッドで威力を削る。それでも削れたのは五分の一かというくらいだ。

 

 

ボルケイノカット!!

 

フレイムダンス!!

 

ザ・タワー!!

 

 

 その次に土門がボルケイノカットを放ち、そこに一之瀬がフレイムダンスの炎、塔子がザ・タワーの雷を上乗せして威力を増強する。守、壁山と同じくらいシュートの威力を削ったが止めきれない。

 

 

「うおおおお!!」

 

 

 次にシュートの前に躍り出たのは綱海。何と綱海は腹でシュートを受けた。その後ろから修也、鬼道が背中を支える。必殺技でも何でもないブロックだが、効果はある。シュートの威力は半分近くまで削られた。

 

 

「止める⋯絶対に、俺が止める!!」

 

「いけ⋯立向居ィィィィィィ!!」

 

 

 立向居が両手を付き合わせると、背中から無数の黄金の手が姿を現す。これまでは蒼い手が薄く見えるだけだった、けどその手は黄金、そしてその輪郭はハッキリしているし、何より無限にも思える数だ。立向居のヤツ、この土壇場だ本当に完成させやがった!

 

 

「これが⋯ムゲン・ザ・ハンドだァッ!!

 

 

 無数の手がファイアブリザードへと襲い掛かる。抵抗するように暴れ狂う炎と氷、それを抑え込むべく更に伸びる黄金の手。あれが大介さんが遺した最強のキーパー技⋯凄え、凄えよ立向居。

 いや⋯立向居だけじゃねえ、皆もだ。この一連の守りは皆の力がなければ絶対に実現しなかった。

 

 

 俺も、俺も───

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 試合残り5分を切ったというところで放たれたファイアブリザード。絶体絶命かと思われたところで雷門イレブンが一丸となって織り成したシュートブロック、そして立向居の覚醒によってムゲン・ザ・ハンドが完成。

 結束し、試合中に更に進化したカオス。それに対抗するために意地を見せる自分の仲間達。それに触発されて限界を越えてなお燃え続ける己の闘志。闘志は心の器を溢れ出し、身体すらも燃やし尽くす。

 

 

「負けて⋯らんねェよなァッ!!」

 

 

 本能が、目覚める。

 

 

「お願いします⋯加賀美さん!!」

 

 

 帝国戦、世宇子戦と事ある毎に柊弥が入っていた集中状態。しかし、このカオス戦に向けて劇的な進化を遂げた柊弥は、更にその先へと踏み入った。言うなれば、極限集中状態。限界を極めた先にある極限へと到達したのだ。

 

 

(全部見える、全部聞こえる!こんな感覚は初めてだ⋯今なら、何だってやれるッ!!)

 

 

 立向居のいる雷門ゴール付近から駆け上がる柊弥に対して次々と魔の手が襲い掛かるが、その一切が通じない。時にギリギリまで引き付けて回避し、時に圧倒的なスピードでねじ伏せる。

 今この瞬間の柊弥の五感、思考力は研ぎ澄まされていた。普段ならば見えない相手の些細な動きも感じ取り、それに対して反射で最適な行動を選択する。初めての感じる全能にも近い感覚をフルで活用し、柊弥は己の使命をやり遂げんと走る。

 

 

「加賀美君!!」

 

「アフロディ⋯お前、脚痛めてるだろ」

 

「⋯!何でそれを」

 

「微妙にだけど不自然に重心が偏ってる。さっき撃ち落とされた時だな」

 

 

 その超感覚は仲間の不調すらも感じ取る。誰がどんな動きをしているか全てを見通すその眼は些細な違和感を見落とさない。

 

 

「その通りだ。けど──」

 

「やるんだろ、あのシュート。どれだけ止めても」

 

「⋯ああ!!だから加賀美君、キミの全力を僕にぶつけてくれ!!」

 

「全力を⋯それをすれば、お前の脚がどうなるか分からねえぞ」

 

「構わない!!あのシュートはキミが僕に合わせて完成したけど⋯それじゃダメだ!キミの全力に僕が追いついて、初めて真価を発揮する!!」

 

 

 併走しながらアフロディは柊弥を説得する。2人が創り出した新たな必殺シュートは、ファイアトルネードDDのように全てが完璧に調和して凄まじい威力を発揮する必殺技だった。アフロディよりも強力なエネルギーを秘める柊弥が調整することで名目上完成はしたが、アフロディはそれで納得していなかった。

 

 

(本気のキミに追い付いて初めて僕はようやく新たな一歩を踏み出せる!!それすらも僕の都合の良い解釈かもしれないけど⋯それでも!!)

 

 

 アフロディが柊弥に熱を帯びた視線を向ける。当然、柊弥はそれを感じ取る。自分が仲間達に応えたいと思っているのと同じように、アフロディもまた強い意志を抱いているんだと理解した。

 だからこそ、その首が横に振られることはなかった。

 

 

「分かった⋯けど、あいつらの連携は俺が潰す。それが条件だ、良いな?」

 

「ああ!それじゃあ行こう⋯僕達がこの試合に審判を下すッ!!」

 

 

 アフロディの言葉に頷いて柊弥は更に加速。アフロディを置き去りにする形で一人カオスの最終防衛ラインへと侵入した。

 

 

イグナイトスティール!!

 

 

 まずはボンバ。炎を纏ったスライディングを仕掛けてくるが柊弥はそれを飛んで躱す。それ自体は何ら難しくない。ここからが本番だ。

 

 

「⋯アイスバレット!!

 

 

 クララが地面に手を添えると冷気が漂い始め、氷柱のような弾丸が形成される。それは容赦なく空中の柊弥へと襲い掛かる。

 

 

「それは⋯想定内だァッ!!」

 

 

 柊弥が目を見開いて声を張ると、全身から凄まじい勢いで放電。空気を貫く氷の弾丸は雷に灼かれてその姿を消した。

 

 

「まだだ!フローズンスティール!!

 

「それも読んでるんだよッ!!」

 

 

 そして襲い掛かる第三の矢。着地の瞬間を狙ったゴッカによるスライディングだ。しかし柊弥はボールを軽く爪先で蹴り上げ、自身は空中で身を捻ったのを直すその勢いで錐揉み回転で対空時間を伸ばす。足場のない空中でのその大立ち回りは鍛え抜かれた柊弥の体幹があってこそ。

 スライディングの勢いのまま通り過ぎるゴッカを横目に柊弥は蹴り上げたボールを再び確保。とうとう邪魔をするものはいなくなったと思われたが、更なる死角がその場に現れる。

 

 

「加賀美ィ、テメェの好きにはさせねェ!!」

 

「このボールを奪いカウンターだ⋯先程のような奇跡はもう起きない!!」

 

 

 バーン、ガゼルが柊弥の前に躍り出る。ボンバ、クララ、ゴッカによる妨害は時間稼ぎという形で実を結んだ。

 だが、柊弥の顔に焦りは無い。

 

 

「俺もお前らの好きにはさせねえし、奇跡は今から起こす⋯俺達2人がなッ!!」

 

 

 直後、柊弥の放つ雷の威力が更に跳ね上がる。地面を砕くほどの凄まじい破壊力を秘める放電を前にバーンとガゼルは近付くどころか吹き飛ばされる。その目に写るのは、雷霆を使役する雷神。

 

 

「いくぞアフロディ⋯受け取れェェ!!」

 

 

 柊弥の周囲に16本の雷の剣が現れる。それと同時、柊弥から放たれる雷がボールに収束し、今度はボールから激しく放電する。柊弥はそれを全力で蹴り上げると、その剣も追従するかのように天へと昇る。

 

 

「ありがとう加賀美君、僕の我儘に付き合ってくれて」

 

 

 ボールと剣が向かう先、天空には黄金の翼に包まれたもう1人の神が待ち構えていた。

 翼が大きく開くとその翼に沿うように16本の剣が並び、ボールから黄金の雷が溢れ出す。アフロディが前方に掌を向けると、剣は高速で回転しながら巨大な円を形作った。その円は天上の世界と現世を繋ぐ門。その門を通じ、神の審判が下される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライトニングジャッジメント」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




フレイムロード シュート技 火
作中ではネッパーがバーンへのパスとして使ったが、本来はシュート技。

アイスバレット ブロック技 氷
クララさん謎強化第二弾。アイスフォートレスで氷壁を作り出す応用で氷柱状の弾丸を作り出し敵にぶつける。痛い。

ライトニングジャッジメント シュート技 風
ついにお披露目、柊弥とアフロディの連携シュート。剣の本数である16の由来は神の数字「358」(3+5+8=16)


ーーー
長かったカオス戦も次で完結です。最近更新が不定期になってて申し訳ない⋯
忙しさ故の不定期なんですが、そんな中でも感想やTwitterでリプなど頂いてモチベは常に高く保てていました。マジで感謝。
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