Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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第89話 エイリア学園の真実

「ここが……エイリア学園?」

 

「学校ってよりUFOじゃないか」

 

 

 8時に雷門中を出発してしばらく経って、俺達は富士山麓まで辿り着いた。監督いわくここがエイリア学園の本拠地らしいが……誰かが呟いたように山に突き刺さったUFOだな。このUFOで地球まで来た、ってことか?

 

 

「……皆、行くぞ!」

 

 

 呆気に取られる俺達だったが、守の言葉で現実に引き戻された。俺達はエイリア学園との決着をつけに来たんだ、こんな見てくれで気圧されてる場合じゃねえよな。

 

 

「おう……やろうぜ、ここでエイリア学園を倒す!」

 

「……そうだな」

 

「やってやろうじゃねえか!」

 

「待て!」

 

 

 一歩踏み出した、その時。突如後ろから声が掛かった。その声の主は……

 

 

「……響木監督!?」

 

「何でこんなところに!」

 

「俺はこれまでエイリア学園の謎を探っていた。そしてやっと答えに辿り着いた……エイリア学園の黒幕、それはお前だ!!」

 

 

 突如現れた響木監督が衝撃的なことを告げる。瞳子監督がエイリア学園の黒幕、つまるところ首謀者ということ。皆の間に動揺が走る。

 ……待て、一旦落ち着こう。瞳子監督がエイリア学園の関係者、ということは有り得る、というかほぼ確定だろうが完全に首謀者なんてことはあるのか?何はともあれ、響木監督の話を聞くべきか。

 

 

「瞳子監督がエイリア学園の黒幕って、どういうことなんですか!響木監督!!」

 

「それは彼女が自ら語るべきだろう。お前達をジェネシスと戦わせるのなら、全てを説明する責任がある」

 

「……全ては、あの中にあるわ」

 

「兎にも角にも行くしかない、ってことか」

 

「その通りよ。皆とりあえずもう一度キャラバンに乗ってちょうだい」

 

 

 響木監督も瞳子監督も詳しいことは語らない。黒幕と呼ばれた瞳子監督は俺達にまたイナズマキャラバンに乗るように指示する。ここまで来た以上は瞳子監督の指示がなければどうしようもないから取り敢えず皆乗り込んだ。響木監督も同行している。

 

 

『認証コードを入力してください』

 

 

 そして、監督が手元の端末を操作すると目の前のゲートから機械音声が鳴る。続けざまに何やら端末に打ち込むと、重い音を響かせながらゲートが開いていく。この際何故そんな端末を持っているのか、何故開けられるのかについては置いておくべきだろうな。

 

 

 開いたゲートにキャラバンが足を踏み入れる。そこからはしばらくライト無しでは何も見えないほどの暗い通路が続いており、どことなく不気味だ。敵の本拠地なんてそんなもんか。

 

 

「古株さん、あそこで止めてください」

 

「はいよ」

 

 

 しばらく進むと開けた場所に出て、そこでキャラバンからは降りることになる。ここからは歩きだな。

 

 

「監督、ここは何のための施設なんですか」

 

「……吉良財閥の兵器研究施設よ」

 

「吉良……まさか」

 

「私の父の名は吉良 星二郎……吉良財閥の総帥よ」

 

「……自らの作りだした兵器で世界を支配しようとしている男だ」

 

「ここはエイリア学園の本拠地で、吉良財閥の施設……ということは」

 

 

 そういうことか。だいたい予想出来てきたな。

 

 

「吉良財閥、エイリア学園……一体どんな関係があるんですか、瞳子監督」

 

「……全ては、エイリア石から始まったの」

 

 

 エイリア石、という気になる単語が出てきたその時。俺達の目の前のゲートが急に開く。

 

 

「侵入者発見、侵入者発見」

 

「何だ!?」

 

「ッ!?皆避けろ!!」

 

 

 奥から現れたのは人型のロボットだ。その数軽く10体以上。俺達を視認するや否や、足元のサッカーボールを凄まじい勢いでこちらに蹴り込んで来る。ギリギリで躱すがマジで危なかった、あれも吉良財閥の開発品か何かか?

 とはいえとりあえず身を隠さなきゃ危ないな、俺達だけなら何とかなるかもしれないけど春奈達が危ない。

 

 

「皆!一旦隠れるんだ!」

 

 

 どうするべきか周りを見回すと、ヤツらからの射線を遮れそうな通路を見つけた。俺が見つけたタイミングで鬼道も気が付いたらしく、皆をそこに誘導する。そっちをやってくれるなら俺は殿だな。

 

 

「あっ」

 

「音無さん!!」

 

「させねえよ」

 

 

 皆が鬼道の先導に従って通路に飛び込んでいく。けど後ろの方にいた春奈が足を縺れさせて転んでしまった。あのロボット共は容赦なく春奈に向かってシュートを放ってるが、俺がいる以上そんなことさせるわけない。

 飛んできたシュートは3本。最初の1本はまず脚でトラップ、2本目はトラップで確保したボールで迎撃。最後の1本は胸トラップからロボットに蹴り返す。

 

 

「春奈!立てるか!」

 

「は、はい!」

 

 

 時間を稼ぐと春奈は持ち直して通路に走っていく。春奈で最後だったからもう俺が残る理由もない。その後ろを追いかけるように俺も通路に入って射線から身を隠す。

 

 

「すみません柊弥先輩、私のせいで……」

 

「気にするな。別に怪我も何もないからな」

 

「こ、ここからどうするっスか?」

 

「そのことだけど……鬼道」

 

「ふっ、考えることは同じか」

 

 

 俺達がヤツらから身を隠してもなおヤツらはボールを撃ち続けている。俺達をここに縛り付けて動けないようにするつもりだろうな。

 けどヤツらは大きな失敗をしている。ロボットいえど、俺達にサッカーで勝負を挑んできたことだ。トラップ出来るくらいの威力であることはさっき分かった、それならやることは簡単だ。

 

 

「じゃ、先に行く」

 

「俺も行くぜ、加賀美!」

 

 

 俺が真っ先に飛び出すと後ろから綱海も着いてきてくれる。勢いよくヤツらの目の前に身体を晒すと、またボールの雨が降り注ぐ。けどあの数で俺ら2人に集中してるせいで所々シュート同士がぶつかっている。これなら凌ぐのも楽だな。

 

 

「よっと!」

 

「よし、皆来い!」

 

 

 俺と綱海でボールを確保すると、陰から皆が飛び出してくる。そのボールを使って次々とシュートを打ち込み、ロボットを破壊していく。上手い具合に反射して戻ってきたボールで俺も1体破壊しておく。何かあのロボットだけ黒いな。

 

 

「お、止まったぞ」

 

「あの黒いのが司令塔だったのか、流石だぜ加賀美」

 

「……まあな」

 

 

 ……言えない、マジで偶然だったなんて。

 

 

「さあ、先に進もう」

 

 

 警備のロボット達を潜り抜け、監督の先導で先に進む。驚くくらい何も無い、無機質という表現がピッタリの通路だ。ただ通行するためだけに存在しているというか、なんというか。仮にも研究施設なら誰かいるのかと思ったが、そんなことは無いのかもしれない。

 

 

「何だ!?」

 

 

 さっきのような襲撃に警戒していると、唐突に通路の照明が落ちる。それと同じタイミングで通路横のゲートが開く。そして俺達を誘い込むかのように手前から順にライトアップされていく。

 

 

「監督」

 

「……行きましょう」

 

 

 その道を俺達は進んでいく。間違いなく、この先に誰かが待ち構えている。黒幕か、はたまたヒロトか。

 

 

「開けた場所に出たな」

 

「ここは何処なんだ?」

 

「な、何か上にあるっスよ!!」

 

 

 その通路を進むと、広い部屋に出た。例に漏れず暗い部屋だが、今までの通路と違って上にも広い。そして、壁山の言う通りその上の方に何かがある。取り付けられた機械から光の粒子が放出されると、その中心に人が現れる。ホログラム技術、ってやつか?

 

 

「……お父さん」

 

「あれが、吉良財閥総帥で瞳子監督のお父さん」

 

『日本国首脳陣の皆様、お待たせ致しました。只今から我が国が強大な国家として世界に君臨するためのプレゼンテーションを始めさせていただきます』

 

 

 俺達のことが見えているのか見えていないのかは分からないが、突如姿を現した吉良はプレゼンテーションと称して何か語り始める。日本国首脳陣……ということは、これは財前総理達も見ているのか?

 

 

『もう皆様はエイリア学園をご存知でしょう。ご覧の通り、その力は絶大です』

 

「……ジェミニストーム」

 

『さて、今日はそんなエイリア学園の衝撃の真実をお話しましょう』

 

 

 "エイリア学園の真実"、ね。やっぱりエイリア学園の黒幕は瞳子監督じゃなくてあの吉良財閥の総帥みたいだな。響木監督が瞳子監督を黒幕、と呼んだのがどういう意図だったのかは分からないが、今はヤツの話を聞こう。

 

 

『自らを星の使徒と名乗る彼らですが、その正体は実は宇宙人では無いのです』

 

「……嘘だろ」

 

『全ては5年前に飛来した隕石から始まったのです。富士山麓に落下した隕石、そこから人間の潜在能力を最大限に引き出す物質が発見されたのです。その名は……エイリア石』

 

「5年前の隕石……エイリア石?」

 

「いよいよ分からなくなってきたぜ……」

 

『我々はこの素晴らしい物質を有効利用するため研究を重ね、遂にエイリア石の力を使い、人間の身体能力を飛躍的に強化することに成功したのです』

 

 

 ……ということは、エイリア学園のヤツらはそのエイリア石で強化されただけの俺達と同じ人間ってことか。レーゼも、デザームも、ガゼルにバーン。そしてヒロトも。だけど分からないな、何で宇宙人に扮する必要があった?

 

 

『そして私は財前総理に提案したのです。このエイリア石を使い、強い戦士を作る計画を提案しました。それがハイソルジャー。ハイソルジャーが人類の新たなる歴史を創造するのです』

 

「ハイソルジャー……人間を戦うマシンに変える恐ろしい計画よ」

 

「……何ておぞましい計画だ」

 

『しかし財前総理は愚かにもこの夢の計画を跳ね除けたのです。貴方は正義のリーダーを気取っていますが……何も分かっていない。そこで私は財前総理にハイソルジャーの素晴らしさを教えて差し上げようと考えました。大のサッカー好きである総理にとって、分かりやすい方法でね』

 

「エイリア石で強化された人間であるエイリア学園がサッカーによってその力を示す……これが全ての全貌よ」

 

「……ふざけやがって」

 

 

 そんなくだらない計画のために、俺達の雷門中を、他の色んな学校を破壊したのか?そして、皆はそんなことのためだけに傷付けられたのか?

 

 

『そして、エイリア学園最後にして最強のハイソルジャーを紹介しましょう。その名も、ザ・ジェネシス!究極の戦士である彼らの素晴らしき能力、完璧な強さを最高の舞台でご覧に入れましょう!!ジェネシスと戦う最後の相手は、雷門イレブンです!!』

 

「……ようこそ、雷門イレブンの皆様。旦那様がお待ちです」

 

 

 そうして吉良のプレゼンテーションは幕を閉じた。皆の間には何とも言えない空気に包まれている。……最もそれは俺も一緒か。相当頭にキてる。皆のことを考えれば、平静を装うなんて無理な話だ。

 そして、示し合わせたように開いた扉の向こうから光をバックに一人の男が現れた。旦那様、というのは吉良で間違いないだろう。

 

 

「皆、行くわよ」

 

「……はい」

 

 

 突如現れたその男、研崎に対して怪訝な視線を向けながらも瞳子監督は進むことを選んだ。当然、俺達も着いていく。

 

 

「……」

 

「……何か?」

 

「いえ、お気になさらず」

 

 

 研崎の横を通る時、何故かやたらと視線を感じた。思わず訊ねてしまったが、当然何も答えない。まあ良いか。

 

 

「ようこそ、雷門イレブンの皆様……瞳子」

 

「お父さん!ハイソルジャー計画を今すぐやめてください!」

 

「……どうやら分かっていないようですね、お前達もハイソルジャー計画の一部に組み込まれているということが」

 

「……どういうことですか」

 

「エイリア学園との戦いで鍛え上げられたお前達が、いずれジェネシスにとって最高の対戦相手になると思ったからですよ」

 

 

 瞳子監督はその言葉を聞いて驚愕を浮かべる。エイリア学園を倒すための奔走が、エイリア学園にとってプラスになることだったと突きつけられたからか。

 

 

「それでは試合の準備をしてください。ジェネシスが待っていますよ」

 

「待て!」

 

「何ですか?……加賀美君」

 

「お前の計画のせいで色んな人が傷付いた……そのことについて何とも思わないのか」

 

「ああ、そんなことですか」

 

 

 "そんなこと"。その一言で頭の中で何かが切れる音がした。けど、それだけじゃなかった。

 

 

「ハイソルジャー計画のためには必要な犠牲だった、それだけです。君には期待してますよ、加賀美 柊弥君」

 

「……ッ!!!!!」

 

 

 落ち着け、落ち着け俺。ここで子どものように怒り散らしても意味が無い。呑まれるな、怒ったところであの計画を止められる訳じゃない。

 

 

「柊弥、大丈夫か」

 

「……ああ、大丈夫だ」

 

「なら良い」

 

「……皆、私は今日までエイリア学園を倒し、あの人の計画を阻止するために戦ってきた。でも、貴方達を利用することになったのかもしれない」

 

 

 修也が気を掛けてくれたこともあって、何とか落ち着けた。あの計画を止めたいならこの後のアイツらとの試合で勝つしかない、こんなところで自分を見失う意味なんてない。

 すると、監督がぽつりぽつりと話し出した。

 

 

「私には、監督の資格は……」

 

「違う!!」

 

「……円堂君」

 

「監督は、俺達の監督だ!!監督は俺達が強くなるための作戦を考えてくれた!次に繋がる負け方を教えてくれた、俺達の挑戦を見守ってくれた!!だからここまで来れたんだ!!」

 

「……監督のやり方は好きじゃなかったけど、今なら分かる。監督はずっと、俺達のことを思ってくれてたんだって!」

 

「スパイとか言うてごめんなさい!」

 

「監督のこと疑って、すみませんでした!」

 

「あたし達は監督に鍛えてもらったんだ!」

 

「そうです!エイリア学園の為じゃなくて、俺達自身の為に!」

 

「……監督、皆の言う通りです」

 

 

 自分に監督の資格はない、と項垂れる瞳子監督。だけどこれまでのやり取りを見て未だに監督がエイリア学園の内通者だとか考えるヤツはここにはいない。監督は確かにアイツに利用されていたのかもしれないし、俺達が強くなることもエイリア学園にとってプラスだったのかもしれない。

 けれど、そんなことは関係ない。監督が俺達を強くしてくれたことには変わりないはずだ。

 

 

「監督、僕も監督に感謝しています」

 

「……吹雪君」

 

「監督!俺達には瞳子監督が必要なんです!!最後まで一緒に戦ってください!!」

 

「……皆、ありがとう」

 

 

 これが俺達の総意だ。俺達は監督にこれまで着いてきたし、これからも着いていく。そしてエイリア学園の、吉良の計画を止めてやる。

 それから俺達は研崎の導きで控え室に案内される。そこでそれぞれ試合に向けて準備を始める。この一戦で全てが決まる、さっきの怒りも、皆の無念も、全部込めて戦う。

 

 

「行くぞ皆!この試合は絶対に負けられない!俺達の戦いが地球の運命を決めるんだ!!」

 

「勝つぞ。そして全てを終わらせるんだ!」

 

『おお!!』

 

「皆、準備は良い?」

 

 

 準備を終わらせ、皆で気合を入れる。そしてタイミングを見計らって瞳子監督がこちらにやってくる。

 

 

「貴方達は地上最強のサッカーチームよ、だから私の指示はただ1つ……勝ちなさい!!」

 

『はい!!』

 

 

 監督を先頭に俺達は決戦の場所へと向かう。少しすると光が見えてくる。その光を頼りに進むと、サッカーコートに辿り着いた。そして、俺達の反対側からはジェネシス。その先頭にはもちろんヒロト。

 

 

「やあ。とうとう来たね……加賀美君、円堂君」

 

「ああ、お前達を倒すためにな」

 

「泣いても笑ってもこれが最後だ、絶対にお前達を倒す」

 

「俺はこの戦いでジェネシスが最強の戦士であると証明してみせる」

 

「……最強を目指すだけのサッカーが楽しいのか?」

 

 

 守がそう訊ねると、一瞬ヒロトの表情が揺らいだ。

 

 

「……それが、父さんの望みなのさ」

 

「父さん?」

 

「俺は父さんのために最強になる。最強でなければならないんだ」

 

「それがお前の真意か?守の言葉に思うところがあるんじゃないか、お前も」

 

「さあ、どうかな……お互いの信じるもののために全力で戦おう。君達の相手はエイリア学園最後にして最強のチーム……ザ・ジェネシスだよ」

 

 

 これ以上話すつもりは無いようで、ヒロトは後ろを向いて自陣側に戻って行った。アイツにも聞かなきゃいけないことがある。まずはそのためにも……試合に勝つ。

 

 

 さあやるぞ、これが俺達とエイリア学園の最後の戦いだ。絶対に負けない……背負った想いの為にも、絶対に負けられない。

 

 

「勝つぞッ!!皆!!」

 

 

 勝つのは、俺達だ。




富士山突入、そして次はとうとうザ・ジェネシスとの試合開幕ですね。また長くなりそうです。
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