疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです   作:夏之 夾竹桃

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第11話 白と黒

 その日の昼休憩のこと。僕は珍しく物思いに更けていた。少しふと思ったくらいのことなのだが、それが気になってしまった。僕はまだ、好きということを知らない。好きとは、一体何なのだろう。まずその根底的な部分を僕は理解してない。そんな状態で彩羅か染羅、どちらかちゃんと選べるわけがない。いずれ、白黒つけなきゃいけないからな。

 

「珍しくボッチか?雉矢。」

 

その声は、見なくてもわかるな。白鷺 夢七(しらさぎ ゆな)、こんな名前だが男だ。そして高校に上がってからの友達。彩羅と染羅のことについては言ってない。だから知らないだろう………変な現場でも見られてない限り。

 

「まぁ、そうだな。結構久々にこの感覚だよ。」

 

「で、なにか考え事?」

 

こいつに言っても意味はないだろうな?色恋沙汰なんて興味なさそうだし、そんな話がこいつから出てるのも聞いたことがない。

 

「夢七は、好きな人とかっているか?」

 

「な、なんだよいきなり?いや、い、居ないけどさ。」

 

意外だった………。動揺が隠しきれてない。まず、その赤い頬をどうにかしろ。と、言いたいが今はそんな事どうだっていい。特に気になりはしていない。そんなことよりだ。

 

「そっか………じゃあお前の考える好きってなんだ?」

 

「お、俺の考える好き?………ずっと一緒に居たいって思う感じかな………?」

 

「やっぱお前もか。僕もよくわかんないけどさ、大抵そうなのかな?」

 

「ほ、本当にどうしたんだ、いきなり?」

 

転校してきた幼馴染に責められてるなんて言えない。どうしたものか。友達のことにできないか?あぁ………なんだか、架空の人物像がしっかりしてきて後々大変そうだからやめようか?って言うか、どっちか選んだ後僕は一体どんな行動を取ればいいんだ?

 

「うーん………まぁ、ちょっと色々あって。ふと思ったんだよね。好きってなんだろうって。」

 

そこまで話した時、廊下の方から聞き覚えのない女の人の声が聞こえてきた。

 

「おー、いたいた。夢七。」

 

その人は僕の席に………正確には夢七に近づいてきた。

 

「い、一華?な、何でここに?」

 

そりゃあ、男子で恋バナしてる時に女子が来るってそうなるわな。しかし何だ、読めてきたぞ。

 

「久々にさ、一緒にご飯食べたいなって………思ってたけど、その人は?」

 

「あ、あぁ。こいつは友達の小鳥遊 雉矢。」

 

紹介されたので、軽く会釈をしておく。するとあちら側も返してくれた。背は………小さいな。

 

「雉矢、こいつは幼馴染の烏丸 一華(からすま いちか)。」

 

「………幼馴染………。」

 

「烏丸 一華、夢七がいつもお世話になってます。」

 

「別に世話されてねぇよ!!」

 

仲がいいようで何よりである。僕らも周りから見たらこんなふうに見えてるのかな?まぁ………なんともじれったいな。実際この2人と僕たちでは結構訳が違うようだが。

 

「うーん………。」

 

「小鳥遊さん、どうしたのこれ?」

 

「考え事だって。好きって何だろうって。」

 

「………好き…ね。私は………ドキドキするけど、でも落ち着ける。みたいな感じですかね。」

 

また新しい考え方である。それで行くのであれば、僕は彼女らといて確かにドキドキする時がある。しかし、それは彼女らがドキドキさせに来ているのであって少し違うのではないだろうか?

 

「………僕には、まだ分かりそうにないな。」

 

「小鳥遊さん、何でそんな事?」

 

「色々あって、ふと思ったんだよ。」

 

「でも実際それって個人の考えが一番大きいいんじゃないですか?」

 

この烏丸さん、かなり鋭いところをつく方である。と言うか、そりゃあたしかにそうだ。

 

「まぁ、そうなんだけどさ。参考程度に、みたいな感じ。」

 

「はぇー………。」

 

「あ、そういえば確か夢七に用事があったんじゃなかったか?このまま引き止めておくのもアレだから持っていきなよ?」

 

「俺は物じゃねぇ!!」

 

「あぁ………小鳥遊さん、少しお話したいんですけどどうですか?」

 

「話?」

 

「はい。」

 

そうして、何故か僕は烏丸さん、夢七と共にお昼を過ごすことになった。楽しそうに話している2人。何故僕は呼ばれたのだろうか?わからないが………今、結構僕は空気になっている。

 

「あー、わりぃ、ちょっと俺トイレ行ってきていいか。」

 

何故このタイミングなのか?と、言うかこの空気感見てわからないのか?めちゃくちゃ気まずいのにどうしてこの場で席をたとうということになる?と、言えるわけもなく。見送るしかなかった。

 

「あぁ行ってらっしゃい。」

 

そうして、友達の友達と2人きり。こんな気まずいこと他にあるだろうか?だいたい話が弾むわけないんだよな。

 

「小鳥遊さんちょっといいですか?」

 

「あ、あぁ。」

 

なんだ?何事だ?

 

「ちょっと、協力してほしい事があって。大丈夫ですか?」

 

「内容にもよるが………夢七のことか?」

 

「な、何で分かったんですか?」

 

「やっぱり。分かりやすすぎるんだよ。」

 

「まぁ、話が早くて助かるのはいいですけど………。それで、多分お気づきの通り私は夢七のことが好きです。で、告白まで手伝ってほしいんです。いいですか?」

 

「えぇ………まず、夢七のこと振り向かせないとな。」

 

「は、はい。」

 

こうして、僕たちは協力関係になった。

 

 整理しよう。まず、夢七には好きな人がいる。これはほぼ確定でいいだろう。そうして、恐らくそれは烏丸さんのことだと思われる。続いて、烏丸さんは夢七のことが好きだ。これは確定している。告白は恐らく成功するであろう。では、何故僕が振り向かせることからと言ったのか。それは完全に僕のエゴなのだが………僕がこの2人を通して『好き』というものを知りたかったからである。少しでも理解できればと思ったからだ。これだけだと完全にサイコパスのそれなのだが………慎重になるに越したことはない。実際、これは不確定要素がかなり多い。まずは見極めるところからだ。

 

「で、どうやって振り向かせるかだが………好きなタイプとか聞き出しておいたほうがいいか?」

 

「あ、それは既にサーチ済み。夢七のタイプ、結構マニアックだよ?まず、天然が好きなんじゃない。養殖が好きなの。」

 

「さ、魚の話?」

 

「ほら、性格の話。天然な人とかいうでしょう?それの真似をしてる人のことを養殖って言うの。で、曰く『付き合う前までは養殖だったけど付き合ってからちゃんと自分の素を出してくれる』みたいなのが好みなんだって。前たまたま張り込んでたら聞いちゃってさ。」

 

「そ、そっかぁ………。」

 

何故だろう、悪寒が走る。いや、夢七のタイプの話も結構わからないのだが、それ以上にわからない単語が聞こえてきたので今僕はそれどころじゃない。

 

 そうして、その時。「いやぁ、ごめんごめん。」と、声が聞こえてきた。夢七のものである。ある意味、救いか?

 

「ん?雉矢、どうした?」

 

「そ、その何ていうか………夢七………お前………いやなんでも無い。お前に同情するよ………。」

 

「い、いきなりどうしたの?こいつ。」

 

「さぁ?」

 

僕はどうやら、また面倒ごとに足を突っ込んでしまったのかもしれない。しかし、前回のと比べ全然ピースフルである。

 

「おお、雉矢、いたいた。どこ居たの………さ………。」

 

「ずっと待ってたんだけ………ど………。」

 

あぁ、出くわしていけにない人達に………出くわしてしまった。これは、僕のせいじゃない。彩羅と染羅のせいだ。っていうか待ってたって?僕は何も約束してた覚えはないが?そういえば僕はだいたいこの時間は勾配に行っていた。仮にそのことを言っているのだとしたら………何で知ってるんだ?

 

「あれ………彩羅さん………今、雉矢って。」

 

それはそれとして、この無駄に勘のいい夢七を、この場で下す手段はなかっただろうか?

 

「気のせいだよ。」

 

「いや、でも。」

 

「気のせいだよ。」

 

「………はい。」

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