疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです   作:夏之 夾竹桃

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第15話 もう一つの週末

 ある4月の休日の朝、7時くらいの出来事だった。僕の家、部屋の中には見慣れた顔の2人が座っていた。寝ぼけていたが、判断は一瞬でついた。

 

「………彩羅、染羅………?」

 

何故彼女たちは僕の部屋にいるのだろうか?と、言うかこの状況がかなり混沌としている。寝起きの僕を幼馴染の2人は静かに見つめている。しばらく何も考えることができなかった。思考が追いつかなかったと言ったほうが正しいだろう。

 

「どうして家にいるの?」

 

ようやく出てきた言葉がそれだった。それに彩羅が答える。

 

「前言ったじゃん?また家に行きたいなって。」

 

たしかにそう言われてみればそんなことを言っていたような気がしてきた。

 

「それにしても、雉矢の部屋も変わったね。」

 

「まぁ10年近く経っているんだからな。内装だって変わるさ。」

 

そう言うと、彩羅は僕に近づいてきて囁いた。

 

「それもそうなんだけどさ、部屋の匂いとか?」

 

「………愚直。」

 

思惑は一瞬で分かった。だから僕はそういった。

 

「でも雉矢の顔真っ赤だよ?」

 

隠しきれなかったか。僕は僕でわかりやすかったらしい。

 

「………うるさい。」

 

「やっぱりその反応が好きなんだよね。可愛くてさ。」

 

今までの距離のまま………いや、更に近づきつつ言動もエスカレートしていっていた。僕に、圧をかけるようにだんだんと近づく彩羅。僕は、それに飲み込まれていくようであった。

 

「ねぇ、雉矢。私はやっぱりさ、雉矢のことが好きなんだよ。だからさ雉矢、嘘でもいいからキスしてよ………?」

 

僕はただ飲み込まれ、押し倒され、乗っかられて、迫られて………頭もよく回ってない状態。ベッドの上で2人きり。確実に僕は、高揚していた。

 

「ストップ。」

 

その声が部屋に投げ出されるとともに、僕は冷静さを取り戻した。染羅の声だった。そうだ、この部屋にもう1人いるじゃないか。僕はどうしてしまったのだろうか?きっと寝ぼけているのだろう。

 

「染羅。もう、後ちょっとだったのに。」

 

「だって、彩羅ばっかりじゃ不公平だもん。」

 

「だったとしてもさ………まぁしょうがない………。」

 

聞き分けはいいんだな。さすがお姉ちゃん。

 

「だからさ、私も混ぜて?」

 

染羅さん?ちょっと待って?ブレーキではなかったんですか?まぁ………心当たりで言えば結構甘えられているけれども。

 

「え、えーと彩羅さん?染羅さん?何する気です?」

 

「ただちょっと甘えるだけだからさ。」

 

彩羅の声。

 

「雉矢、イチャイチャしよう?」

 

そうして、染羅の声。なんだこの状況?僕を挟んで川の字で寝っ転がってる。両方から、ささやき声が聞こえてくる。

 

「ねぇ、染羅よりも私のほうがいいよね?だって時間だって私と話してた時間のほうが多いでしょう?染羅は無口だしさ、私と居たほうが絶対楽しいって。ねぇ雉矢、私のほうがいいよね?」

 

「彩羅の言うことは、聞かないで?私のほうがいいでしょう?ねぇ、いつもこんな感じの距離で話してたよね?雉矢と一緒に居たいから、私は雉矢のことが好きだから。どう思われてても好きだから。」

 

右から彩羅の声、左からは染羅の声。2人の声が僕の中で混じり合って、入ってきて、だんだんと現実か夢かもわからなくなってきて。僕は、溺れていた。溺れさせられていた。なにもわからないような時間の中、深く暗い空間の中、頭の中には聞き慣れた声が入り込み、消えていき………目が覚めた。

 

「夢………じゃないな。」

 

僕の両横にはちゃんと彩羅と染羅がいた。眠ってる。部屋の時計を確認すると午前10時を過ぎていた。3時間近くの時間が過ぎていた。

 

「二度寝しちゃったか。えーと………なんだこの荷物?」

 

部屋の真ん中にあった荷物に目が行った。ちょうど、朝に彩羅と染羅が座っていた当たりにそれは置かれていた。こんな物あっただろうか?

 

「いや、あったな。取り敢えず、一旦着替えようか。」

 

そうして僕は普段着に着替え、もう一度自室に戻ってきた。2人ともまだ眠っている。本当、こうして見ている分には可愛い。その2人が、今僕のベッドの上で………やめようか。ただ寝ているだけだし。それにしても今日の2人。どこか行くってわけでもなさそうな服装なのに、何でうちに来たのだろうか?そこについては後で聞いてみようか。さてと、起こすのも悪いし僕は一旦下に降りよう。問いたださなければならない人がいる。

 

「母さん、何であの2人が僕の部屋にいたの?」

 

「何でって言われても………あの2人だから?」

 

「答えになってないでしょう!?」

 

「えーだってぇ、雉矢に会いたいって言ってたんだもん。」

 

駄目だ………根本的に考えが違いすぎる。

 

「あぁ、分かった。」

 

「それで、今日は起きるの遅かったけど………もしかして………。」

 

「勘違いするな!二度寝しただけだ!」

 

「あの2人がいる状況で?二度寝?へぇー、そうなんだぁー。」

 

あ、駄目だ。普通信じてもらえるわけがない。

 

「も、もういいよ。」

 

「あ、そうそう。聞いたかもしれないけど、あの2人今日泊まっていくからね?」

 

「………は?」

 

そうか………あの荷物はそういうことだったか。じゃ、無いよ。ぼくそんな事知らないよ?何でそんな大事な情報………ってぼくが寝てたのか。はぁ………全く、もういいか。さて、一旦戻ろう。

 

「はぁ、この荷物そういうことかよ………言ってくれても良かったろうに。」

 

「ん………雉矢?あれ?私寝てた?」

 

最初に目覚めたのは彩羅の方だった。

 

「おはよ、彩羅。今10時過ぎ。」

 

「そんなに寝てたんだ。て、言うか酷いよ。寝ちゃうなんてさ。」

 

「ごめん。まだ眠かったから。」

 

「それにしたって酷いな。なんか、償ってもらわないとな。」

 

この時点で既に僕は嫌な予感はしていた。

 

「待って。それ、大丈夫?」

 

「何が?ちょっと………付き合ってもらうだけじゃん?」

 

そのちょっとが問題大アリなのである。これは恐らくスキンシップとかの領域の話ではにだろう?僕は正直怖いのだ。何を考えているのか………僕だって全部わかるわけじゃない。だから………何も読めない彩羅が怖いんだ。

 

「はい、目をつむってください。」

 

しかし、僕は言われたとおりにする。何故か?それは………僕自身知りたいのだ。彩羅のことを。そうして少し………期待しているのかもしれない。何を考えているのだ僕は。好きじゃないのだろう?では、何故期待という言葉が出てこなければならない?あまりにも矛盾しているではないか。何なのだ一体。何がこうさせているのだ?

 

「じゃあ次は、ちょっとかがんで。」

 

ここの時点で何が起こるかまで読めた。突っ放せばいいものを、僕は何故受け入れる?これがアレか?本能と呼ばれるやつなのか?実にくだらない。何故自我にも逆らって、欲してしまうのか。僕は、僕自身のことも満足に把握していないのではないだろうか?随分と、不思議なやつだ。

 

「目、開けちゃ駄目だよ?」

 

「お、おう。」

 

その瞬間はやってくる。その唇が僕に近づき触れ合おうかというその距離まで詰められる。何故、いつものことなのにこんなにもドキドキしているのだろうか?僕は、日に日におかしくなっているのではないだろうか?そうしてその時は来た。

 

「ねぇ、ドキドキしてるでしょう?私もだよ。自分でも何でかわかんないくらい、いつもドキドキしてる。雉矢、好きだよ。」

 

その言葉が、僕の耳元で囁かれた。期待とは違う。でも、この感覚は………期待値以上。ただ、耳元で囁かれただけなのに。何故こうも、僕はドキドキしているのだろう?やはり、僕は日に日におかしくなっている。




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