疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです   作:夏之 夾竹桃

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第23話 私は、私達は

「なんだか、私は今嬉しいんだ。」

 

目の前のその人は語りだした。今、私が最も固執しているその少女。虹姫………。あれだけ苦手だったが、私達はこうして私の部屋で床に座って話し合っている。そうして、一緒に居てなんとなくではあるが楽しいのだ。自分でもよくわからない。ただ、居て欲しい。そう願うようになっていた。

 

「なんでそんなに?」

 

「光華がさ、決意決めたみたいでね。姉として…嬉しいって思った。これで一華の何が変わるかはわからない。悪化してしまうかもしれない。でも………なんだかいい方向に向かいそうな気がしているんだ。」

 

「そっか………光華君が………まぁ、どんな人かは会ったことないからわからないけど、きっといい方向に向かうと思うよ。虹姫がそう思うなら。」

 

「進んでくれることを祈るよ。私も。さてと………で、私は今日此処に泊まりに来たわけなんだけど………何する?」

 

「なにかしたいことか………。」

 

どうしようか。特にその辺のことは考えていない。まぁ、なんとかなるとそう思っていたからなのだが。そうして、私は正直に答えた。

 

「ノープラン。」

 

「だろうね。」

 

まぁ、見透かされているとは思ってた。あれだけ間を開ければ当然なのだが。さて、それにしてもやることが無いというのはどうにも………暇である。

 

「何をしようか………?」

 

私は、そう言葉を放った。虹姫に聞いているのもそうなのだが、自分にも問いかけるような意味合いをもたせた。そうして、思案を広げる。まぁ、そこまで真剣に考えているわけではないので、何も出てこない。こういうときの考え事というのはそういう物だ。何も出てこなくて当然だ。

 

「………ねぇ、試しに………だけどさ?」

 

虹姫が言葉を紡いだ。どことなくぎこちないように感じられる。そうして、虹姫は続けた。

 

「愛してるゲーム………する?」

 

「何故?」

 

ぽんっと頭に浮かんだ言葉をそのまま発してしまう。いやしかし本当にどうしてだろうか。私には解りかねるがどうせ今、することが無いのである。なので、多少の疑問は残るが私は答えてしまった。

 

「まぁ………いいけどさ。」

 

そう、言ってしまった。

 

「じゃ………先行私からでいい?」

 

虹姫がそう聞いてくる。まぁ、どちらにせよ言わなければならないという事実は変わらない。と、言うことは正直、どちらでもいい。

 

「どうぞ。」

 

と、私は答えた。そうして、虹姫がゆっくりと体を近づけてくる。私のその待ってという言葉を聞かずにかなりの至近距離まで詰め寄られる。そうして、気がつけばほぼ馬乗り。私は………正直に言ってしまうと高揚していた。高鳴りが、収まらない。頬もほんのりと紅くなっていることだろう。そうして、その言葉は私に届けられる。

 

「愛してるよ………小鳥………。」

 

高鳴りは………最高潮まで達した。これは…ズルいとしか言いようがない。照れる照れないの問題ではない。

 

「こんな距離感………まるで………恋人じゃんか………。」

 

そう、言葉にしていた。私には明確にあの3人の顔が浮かんできていた。あの3人も、この距離感を体験したことがあるのだろうか?そんなことを考えていると少し、はしゃいだような声が聞こえる。

 

「あ、照れたね?」

 

笑いを含ませたそんな声が聞こえた。恐らく………今までの仕返しかなにかだろう。今まで幾度か私は虹姫をからかってきた。その仕返し。にしても………このままでは少し癪だ。

 

「じ、じゃあ次私がやる!」

 

躍起になってそんな事を言った。私もどうやらまだまだ子供らしい。さてと、そうして次は私の番になった訳だが………どう攻めようか?虹姫と同じやり方だとさすがに面白みがない。どうしような………よし決めた。

 

「じゃあ………はい、おいで?」

 

そうして私は手を横に広げる。虹姫を受け入れるようにして、抱き寄せるようにして、目の前の彼女に対し、手を広げる。

 

「………え!?」

 

反応は予想通りのものだった。かなり焦っているのだろう。しかし、これでいい。

 

「だって、近くに来てくれたほうが聞こえやすいでしょう?ほら、来なよ?」

 

「え、あ………うん………。」

 

案外、すんなりと来てくれた。彼女の耳がすぐ側まで来ていた。先程のように高鳴る。その暖かさを、私はしばらく全身で感じていた。そうして呟く。その言葉を。

 

「………虹姫………私も、愛してるよ?」

 

今までと違う、ゾクゾクとした感覚だ。私は………少しこの感覚が好きかもしれない。少しくすぐったいけれど、その感覚がどことなく好きなのだ。しかし、どことなく失敗したかもしれない。この体制だと虹姫の顔が見えないじゃないか。こんな初歩的なことも忘れていたのか。どうも、私というのは子供だな。

 

「あ、あの………。」

 

虹姫の声だった。

 

「どうしたの………?」

 

「もう少しこのままでいい?」

 

「それは、どうして?」

 

「………あんまり見せられないような顔してるから………。恥ずかしいから見られたく無い………。多分、顔真っ赤………。」

 

「やったね、これで私の勝ちじゃん。まぁ、私もちょっと恥ずかしいから………このままでいいよ?」

 

私自身、これをするのはかなり勇気が必要だった。かなり、攻めた行動だったっていうことは理解している。ただ、興味が湧いてしまったのがいけなかったのだろう。でも、負けっぱなしはやっぱり嫌だから………こうなっている時点で私の負けなのでは?それでも、いいと感じてしまう。この暖かさが………懐かしい。少し記憶が蘇る。懐かしいのだ。虚空に揺れる彼女の姿。どこかで狂った彼女の姿。私を裏切った、何処ぞのクズの姿。あんなのでも、私は懐かしいと思ってしまうのだ。最後にこんな事をされたのはいつだったのだろうか。もう…覚えてもいないが、懐しいと思っている辺り体は覚えているのだろう。

 

「………懐かしいな………。」

 

気がつくと私はそんな言葉をこぼしていた。らしくない。言ってしまえば、弱音のようなものだと思っている。いや………ただ、甘えたい。それだけなのだろう。

 

「小鳥………?」

 

「いや、なんでもないよ。」

 

「………分かった。」

 

「ありがとう。」

 

そんな、私達くらいしかわからないような会話を交わして、また沈黙。別に気まずくなんて無いのが不思議だが、まぁ当たり前だろう。この沈黙は、どことなく優しいものだ。

 

「まだこうしてたいんだけどさ、いいかな………?」

 

気が付いたら、そんな事を聴いていた。

 

「いいよ………。」

 

きっと、そんな回答になるだろうなと私は予想していた。いや、どちらかと言えば期待だろう。そして、そういう信頼があったのだろう。そう言ってくれると、私は根拠も無く思っていた。人の認識の変化はここまで変わってしまうとは思わなかった。しかしだが………。

 

「………あぁ………温かいな………。」

 

「私も………おんなじ事思ってた。」

 

ただ、この事実だけでもいいんじゃないだろうか?私はいいと思う。しばらく、この時間が続く。お互いが望んだそんな時間。幸せだった。この時間がずっと続けばいいのになと思う。まぁ、今だけはもっと縋っても良いのじゃないのか………?

 

「もっと、甘えてたいな………?」

 

「………いいよ………?」

 

さっきと同じような回答を聞いたけど、やっぱり………嬉しい。私は、少し力を抜く。フッと一緒に横になる。すんなりと彼女もそれを受け入れる。とても、懐かしく幸せで………あぁこれが………本当にずっと続いてほしいと思う私はおかしいのかも知れない。おかしい………のか………?いや、そんなのどうだっていいじゃないか。私が幸せなら、私達が幸せならそれが1番いい。と、私は思っている。

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