疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです 作:夏之 夾竹桃
「………プール?」
「あぁ、雉矢たちも来るかなって。もうすぐで夏休みだろ?そんときにみんなで行こうって話になってさ。」
まぁ、確かに予定はなかったが………僕たちが行ってもいいのだろうか?
「今さっきの話を聞く限りだと、夢七たち幼馴染4人で行くって話じゃなかったか?」
「まぁそうなんだけどさ、せっかくなら人数多いほうが楽しいかなって。」
「まぁ………とりあえず彩羅と染羅にも聞いてみるけど、他の奴らの了承は得てるのか?」
「あぁ、というかそもそもとして雉矢達を呼んでくれって言ってたのは虹姫だしな。」
朱雀さんか………じゃああれか?もしかしたら鳥塚さんにも声をかけたほうがいいな。いや、或いはもう話は通ってるかもしれない。まぁ、聞いておくとしよう。
「分かった。じゃあ話回しとくわ。で?日付は?」
「7月の終わりを考えてる。」
「なるほど。了解。」
そうして、夢七との話し合いは終わる。にしてもプールか。結構長いこと行ってないな。それどころか小学生のときの水泳の授業以来な気がする。まぁ、少し楽しみだな。
そうして、帰り道。プールの件の話を全員に回した。なかなかにみんな肯定的であった。
しかし、2名ほど気合の入りようがガチな人たちがいる。まぁ言うまでもなく彩羅と染羅だ。
「そっか………プール………。」
「言っておくが、僕はそこまで水着に興味はないぞ?」
「この前の染羅とのお出かけのときは可愛いって言ってたらしいじゃない?それって少なくとも興味はあるってことでは?」
痛いところをついてくる彩羅。きっとあのあと帰ってから染羅が自慢したんだろう。
「まぁ、それでもあれは私のセンスなんだけどね。」
と、得意げに言う彩羅。まぁ、そんなことは知っている。
「でも水着か………持ってないな。しばらくプールなんて行ってなかったし。」
染羅がそう言う。やっぱりそうそう行く機会なんてなかったらしい。
「そういえば私も持ってない…。」
彩羅もそんなことを言い出す。そうして僕も思い出す。
「僕もないや………。」
まさかこんな事になるなんて思ってもなかった。いや………まあこうなったら1つしかないような気がする。
「買いに行く他ないのか………?」
「「行こう!」」
こういう時には息ぴったりの姉妹。まぁ、いいけどさ。
「じゃあ今週末ね?」
「意義なし。」
この姉妹は本当に………勝手に話を進められても困るんだけど………。こないだの染羅との一件で今月は金欠気味なのに………。まぁ、安めなの買おうか。
「了解………日曜日な。」
あまり乗り気ではないものの僕はそう答えた。
そうして、その日はやってくる。日曜日だ。
「さて………まぁ結局ここに辿り着くわけだ。」
結構最近ここを見た気がする。まぁここくらいしか思い浮かばなかったと言ったほうが正しい。
「1ヶ月振りくらいだね。」
「私は結構久々なんだけどな。」
「彩羅、今回は迷子になるなよ?」
「な、なんでそんなこと覚えてんの!?」
そんな会話をしつつ、僕らはそのショッピングモールへと入って行った。
そうして僕は見知った顔の奴と会ってしまった。ここでこいつと会うとなるとなかなか面倒くさい。
「………お、おにぃが彼女連れとる………2人も。」
「語弊を招く言い方はやめろ?」
僕はそいつにそう投げかける。
「雉矢………妹なんていたっけ?」
彩羅の純粋な疑問だ。
「あぁ、妹じゃない。従兄妹だ。と、いうか何度も会ってるはずだけど………いや確かにこの変わりようじゃしょうがないな。」
「え?従兄妹ってことは………
彩羅かあからさまに驚いている。まぁ、でしょうねとしか言いようがない。
「そうですけど………。」
あぁ…こりゃ覚えてないな?
「彩羅と染羅って覚えてないか?小さい頃よく家に来てただろ?」
「え?帰ってきてたの?」
「うん………いや………本当に解かんなかった。」
かなり困惑しているな。まぁ、一旦収集をつけよう。
「それでだ。なんで受験生がこんなところにいるのかな?」
「い、いやー、最近おにぃのところにも行けれてなかったから………息抜き?」
「はぁ………なるほどな。まぁいいけど。学力は足りてるんだろ?」
「うん。」
「そうか………なるほどな。大体わかったよ。辛くなったら話は聞いてやるよ。」
「………ありがとう。」
まぁ、色々と事情があるのだ。あんまり言えないことだけどな。だから話に乗ってやったりしてたんだが、生憎と受験生になってしまった結果会う機会も減ったとそう言うわけである。
「で、おにぃ達はどうしてここにいるの?」
「あぁ………水着探してる。」
「なるほど………デート………。」
「黙らっしゃい。ちょっと色々あって誘われててな。8人くらいでプール行くことになったんだ。で、水着が無いことに気がついたんで3人揃って買いに来た。」
「なるほどね。手伝ってあげようか?」
「いいのか?」
「任せてよ。」
と、自信満々な宣告をされたので僕達は素直に羽音に任せることにした。
そうして………かなりの時間が経過し………。
「まだか?」
やっぱりこういうのを決めるとなるとかなり時間がかかってくるのだろう。
「………彩羅ちゃんも染羅ちゃんも、サイズが………。」
絶望の眼差しでうつむきながら羽音は試着室から出てきた。
「お、おう………なるほどな………。」
「何おにぃは納得してるのさ?あぁどうせ私は………私は………はぁ………つま先が見える。」
「まぁほら、あれだよ。2つも年が空いてるんだからしょうがないって。」
申し訳程度のフォローを挟むも、羽音の機嫌は治りそうもない。
「だって昔は大差なかったのに………はぁ。」
駄目かもしれん。これ以上任せたら羽音は血の涙を流す羽目になるだろう。早々に切り上げなくては。
「似合う水着は見つかったの………?」
「うん………2人ともスタイルもいいからね。あとはそれぞれのイメージにあった色合いやらなんやらかんやらを云々して………。」
あぁ駄目だ。壊れた。
「さ、彩羅も染羅もそれで大丈夫か?」
「「うん。」」
2人とも満足したようではあるが………羽音………。
「………そう言えばおにぃは?」
「あぁ、もう買ったぞ?」
「はぁ………いいよね。ほんとに気楽で………はぁ………。」
「か、会計するぞ!もってこい!」
これ以上は駄目だと判断した僕は2人にそう言い聞かせる。
そうして………まぁそこまで気にしてないのだが何故か、支払いは僕であった。そこまで気にしてはいないけれど、何故かだ。
「はぁ………なんか疲れた………。」
羽音がそう零す。
「時間はこの時間で大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。それとこのことは。」
「解ってるよ。それじゃあ、またな?」
「うん、またね。」
そう言って僕達と羽音は別れた。そのまま帰路を辿る。
「しかしまあ………羽音もお疲れのようだな。」
「そうそう、いったい何があったの?羽音ちゃん、あんな感じの性格だっけ?」
「あ?あぁ、中学デビューだよ。」
染羅はどことなく察しているようだった。彩羅は相変わらずきょとんとしている。
「まぁ、あんまり深ぼらないでやってくれ。あいつは頑張ってんだ。因みに志望校はうちらしいぞ?」
「そうなんだ………まぁでも、来年は私達3年だし、まともに話せるかな…?」
「まぁ、最初のうちなら話せるだろうな。」
とは言え、僕はなかなかの頻度で羽音と会うことになるだろう。
僕は多分そういう役回りになる時が来るんだ。そうして羽音のサポートをする。まぁ、こんなに上手く行くかどうかもわからない。来年のことなんて解かんないよ。