疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです   作:夏之 夾竹桃

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第32話 プール

 そうして、1ヶ月ほどが過ぎ去った。ついに夏休みの到来である。期末試験………まぁ中間と同じように彩羅と染羅の凄さを見せつけられたよ。

 

 僕はいつも通り、普通の点数だった。まぁ、過ぎたことだ。後悔もしていない。これが普通なのだから、これでいいのだ。

 

 さて、夏休み。そうして7月下旬といえば、こんなことを言っていた気がする。

 

「雉矢!早くプール行こ!」

 

「待てよ彩羅。まだあっち側の4人来てないだろうが。」

 

と、僕は子供みたいにはしゃぐ彩羅を諭す。全く、染羅の落ち着きようを見てほしいが………目に見えてウズウズしているのがわかる。

 

 まぁ楽しみにしてたもんな。そりゃあこうなってしょうがないか。まぁこんなことを言いつつも僕だって楽しみだった訳だが。

 

「まだかな………。」

 

流石にちょっと遅くはないだろうか?何か事故にあってなければいいのだが。と、そんな心配をしていたときのことであった。聞き慣れた声が聞こえてくる。

 

「悪い!遅くなった!」

 

「まぁ…何も無かったんならいいけど、どうしたんだ?」

 

「いやそれが………。」

 

そう言って夢七は烏丸さんとあと一人。おそらくこの人が言っていた朱雀さんの弟。光華君だろう。その2人の方を向いた。

 

「なるほど………なんか納得できたぞ。」

 

あからさまに距離感が近い。所謂恋人のそれ………と言うような近さではないが、幼馴染かと聞かれればそれ以上か?

 

 いや、一方的だな。見た感じ烏丸さんが一方的に光華君に懐いている………いやこれはあれだ。からかってるんだ。

 

「まぁ、大体理解はできた。つまり夢七はあれだな………困惑してたと。」

 

「まぁ、そういうことだよ。色々あってびっくりしてるよ。」

 

「まぁ確かに………そうだな。」

 

しかし、光華君の気持ちも半分くらいわかる。僕もその立ち位置にいたことがあるからだ。とんでもなく恥ずかしいけど、離れてほしくはない。そんな不思議な感覚なのだ。

 

「取り敢えず、これで全員だな。と、僕は小鳥遊 雉矢。君が朱雀 光華君で良かったか?」

 

そう聞くと光華君は少し頷く。恥ずかしがり屋なのだろう。

 

「まぁ、ゆるくでいいよ。そんな感じの集まりだから。」

 

かくして、8人全員集まった。そうして、ようやく僕たちはプールへと出発するのだった。

 

しかしまあ、暑い。いや夏だからというのはわかっているがこんなにも暑かっただろうか?

 

「なぁ雉矢、暑すぎないか?」

 

「これは確かに想定外だった。」

 

「雉矢、どうにかしてよ。」

 

僕と夢七の話に彩羅が割って入る。

 

「生憎と、僕はそんなことできないしできたらとっくにやってるよ。」

 

前で僕たちがそんな話をしていると後ろから話し声が聞こえる。

 

「そういや私日傘持ってきたんだった。」

 

朱雀さんの声だ。

 

「小鳥?入る?」

 

「入る!」

 

即答じゃねぇか。というか日傘か………いやないよりマシか。別に僕が入るわけではないけども。

 

「い、一華………?」

 

「どうしたの?」

 

「暑くないの?」

 

「暑けど。」

 

そんな2人の声が聞こえてきた。ちらっとそちらの方を見てみるとなんとなく状況を把握できた。

 

 まぁ、烏丸さんが一方的に光華君にべったりくっついているわけだ。一体何があったのやら。

 

「で、彩羅、染羅。なんで2人とも俺にくっつき始めた?」

 

「「いいじゃん。」」

 

よくねぇよ………。

 

「暑くないのか?」

 

「「暑い。」」

 

なんで2人とも暑いのにくっついてくるんだか………まぁ、たまにはいいけどさ。

 

「と、言うか染羅は前に2人きりででかけてたじゃん。」

 

「そうだけど、彩羅だって結構過激なことしてたの知ってるんだから。」

 

あぁ、これは喧嘩になりそうだな………まぁ染羅は確かに2人きりででかけたから………今回は彩羅の方向に転がろうか?

 

「でも最近私雉矢と一緒に居れてないし。」

 

「確かに………それは知ってるけど………。」

 

「まぁ染羅、あれだよ。また一緒に出掛ける時間設けるから。」

 

そう諭した結果、ようやく納得してくれたようだった。

 

「全く………いいなあ雉矢も。」

 

「そんなにいいもんじゃないよ。」

 

この立場そこまでいいもんじゃない。理由として、僕はただ3人一緒にいられればいいと思っているからだ。

 

 だからここまで何も決められてないという訳だ。

 

 

 そうして僕達はようやく目的地についた。ここまでやけに長かったような気もする。

 

「じゃあ着替えたらまた集合な?」

 

夢七のその声で一旦は解散となった。さてと………まぁプールだから至極当然ではあるが水着か………。あの時に適当に選んだその水着………いや、それ自体に何ら問題はない。

 

「ちょっと、運動しなさ過ぎたかもしれないな。」

 

「うわ!雉矢ちょっと細すぎじゃないか?」

 

夢七も驚いている。僕だってびっくりしてるよ。肌の質感は男なのにくびれっぽくなってるんだから。

 

「確かに雉矢さん線細い………。」

 

「ゔっ………。」

 

光華君ですら………少しばかり腹筋がついている。正直ちょっとショックだ。まぁ夢七に適わないのはわかっていたが。

 

 さて、そんな僕達の事なんてどうだっていいだろう。そうして一度またみんなで集まる。にしても8人ってなるとかなりの人数だ。

 

 さて、この場をどう説明すればいいのやら。一言で表すのならカオス………。まぁ色々あったのだろう。

 

 ショックを受けてる烏丸さんに、どうにも距離感が近いような気がする朱雀さんと鳥塚さん。あと、僕のお腹を見ている彩羅と染羅。

 

 女性陣はこんな感じだ。

 

「雉矢………ちゃんと食べてる?」

 

「食べてます。」

 

開口一番それだった。まぁ、認めるよ。流石にまずい。運動の1つでもしなければ………。

 

「皆………でかいよ………いや………わかってるけどさ………。」

 

「い、一華………?」

 

随分と………ショックを受けている。あの時の羽音みたいだなと思いつつ。今度は朱雀さん達に目を向ける。

 

「こういう時なんだからもうちょっと露出しても良かったんじゃない?」

 

「い、いや肌見られるの苦手だからさ。」

 

あぁ、だいたい理解できた。そう言えばそうだったな。

 

「こんなに肌キレイなのに。まぁそのゆったりしたのも可愛いけど。」

 

「………うん。ありがと。」

 

本当、この2人に一体何があったんだろうか?まぁ、詮索を入れるのはよしておこう。

 

「さて、これで全員なわけだが………どうする?各々なんかする感じ?」

 

「まぁ、8人全員ってなるとかなり場所取るからね。」

 

なんで8人できたんだろうか?まぁもともと賛成したのは僕だが。

 

「じゃあ取り敢えず。雉矢は今回私とね。」

 

いつの間にやら僕の腕はガッチリとホールドされていた。

 

「え………あ、うん。」

 

そのことを認識するのに多少時間を要したが、まぁいいか。

 

「ずるいけど………しょうがない。」

 

染羅も我慢できているようで何よりだ。

 

「じゃあ、小鳥。行こっか?」

 

「うん。」

 

「私達も行こ?光華。」

 

「うん。一華。」

 

つまり、場に残されたのは。

 

「え?白鷺君。」

 

「まぁ………そうなるな。」

 

「本気?」

 

「ま、待って!その取り敢えず殺気を抑えて!」

 

「………しょうがないけど。私が話すことって言ったら、やっぱり雉矢のことしかないよ?」

 

「いいよ。俺もあいつのこと、まだよく知ってるわけじゃないし。なんか不思議だよな。」

 

「それが雉矢だもん。」

 

「行くか?」

 

「ただの駄弁りになるけどね。」

 

そうして、全員が解散する。まぁ、こうなるのは当然として………僕はどうにも彩羅の元気についていけてない。

 

「ま、待ってよ!」

 

「遅いよ!」

 

ただ、浮かんでたいな………なんて僕はそんなことを思っていた。

 

 不意に………僕はどうしてか寒気を覚えた。

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