疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです   作:夏之 夾竹桃

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第35話 特大のプレイミス

「あぁ、なんか疲れたわ………。」

 

まだここに来て1時間も経ってないのに僕はそんなことを言っていた。

 

「雉矢、あの人は…?」

 

「あぁ、色々あったんだよ。」

 

そう言って僕は彩羅をあしらう。あまり思い出したくないものでもあるのでとにかく話をそらしたい。

 

「まぁ………話したくないならいいけどさ。」

 

「そう言ってくれるとありがたい。」

 

さて、しかしどうしたものか。厄介ごとが増えそうな気がする。とはいえ、家まで突き止められているわけじゃない。何もないだろう。

 

 うちの学校に転校してさえ来なければ………。

 

 そんな未来のこと、今考えたってしょうがないな。とりあえず一旦リセットしよう。

 

「で、どうする?」

 

「どうするって………このあとか?」

 

「うん。」

 

そうだな、時鳥さんに気を取られていたせいか全く考えてなかった。しかし………しばらくは動きたくないな。

 

「もうちょっと休憩してもいいか?」

 

「まぁ………それもそうだね。」

 

そうして僕達はその場に残る選択をした。プールサイドのベンチからあたりを見渡してみる。

 

 遠くには朱雀さん達や烏丸さん達が見える。とても楽しそうだな………あぁ染羅は………やっぱり3人でいるべきだったかな。気まずそうだ。

 

 まぁ、確実にミスをしたな。こりゃまた何かせがまれるかも知れないな。

 

「なんというか、良かったな。」

 

「良かったの?」

 

「良かったことにしておく。また再開したときは、もしかしたら僕が成長するときかもしれないだろ?だから、良かったことにしておくんだ。」

 

「まぁ、そう捉えるしかないよね………。」

 

あまり重く捉えないほうが僕にとってもいいだろう。だから………まぁポジティブに捉える他ないのだ。

 

 さて、本来ならばのんびりとして終わりたかったがどうにもそんなことも言ってられない展開になってしまった。

 

 本当に最悪である。

 

「まぁ、その都度頑張るさ。僕は今までもそうして行きてきたからな。」

 

「雉矢もブレないね。」

 

そんな会話をはさみまたお互いに黙り込む。まぁ、ここまで急展開過ぎたからな。ちょっとの休憩だ。そうして、一旦忘れよう………。

 

「さて彩羅、そろそろいいかな?」

 

「私は大丈夫だけど雉矢は?」

 

「僕も大丈夫だ。じゃあい行こっか。」

 

「あぁでも何する?」

 

「それに関してなんだが………あれみてくれ。」

 

僕はそう言って染羅たちの方を指差した。

 

「あぁ、すごい気まずい雰囲気になっちゃってるね。どうするの?」

 

「流石にあれだと2人とも報われないだろう?やっぱり行った方がいいんじゃないかなって。」

 

「雉矢もお人好しだね。まぁいいよ。せっかく来たんだし楽しまないと損しか無いもんね。それに私も何も思いつくこと無いし。」

 

そうして僕たちは染羅達と合流することに決めたのだった。

 

「お、おう雉矢達か。どうした?」

 

「どうしたもこうしたもないさ。流石に気まずいだろう?だから僕たちも混ざろうかと思ってたところなんだよ。」

 

「それ彩羅さんは大丈夫なのか?」

 

「私達もすることなかったし。それにせっかく来たんだしさ。」

 

染羅の顔を伺うと見るからに嬉しそうなものに変わっていた。まぁ、結果としては良かったのだろう。

 

「それでなにかしたいこととかあるのか?」

 

僕がそう聞いてみる。まぁ、何も返っては来なかった。やっぱりノープランか………。とはいえ、僕もそんなに無いか言える立場ではないが。

 

「まぁ………なにかしたいんだったらとっくにしてるわな。」

 

「雉矢達はさっきまで何してたんだよ。」

 

夢七にそう聞かれたので僕は正直に答える。

 

「泳いでた。そんで浮かんでた。」

 

「うーん………それって楽しいのか?」

 

「正直に言おう。浮かぶのは楽しかった。」

 

「えー、泳いでたほうが楽しいじゃん。」

 

「だって、彩羅の泳ぎ以上に速いんだからついていけねぇんだよ。」

 

「そうかな………?」

 

「どう考えたってそうだわ。」

 

何度もいうが、あれは異常である。その道の人じゃないとあんなに早く泳ぐことはできない気がしている………正直怖い。

 

「え、えっとつまり、雉矢達も何も考えてなかったと………?」

 

「言ってしまえばそういうことになる。」

 

「あ、認めるのな。」

 

認めざるを得ないだろう。じゃないとあんなことしてない。まぁここまで来て暇すぎるのもどうかとやっと思い始めたのだ。

 

「にしてもなあ………何か持ってきてたりする?」

 

「あぁ………染羅、なんか持ってきてたっけ?」

 

「………ビーチボールなら持ってきた。」

 

用意が周到すぎやしないだろうか。別にここまで予想していたわけじゃないにしろグッドタイミングとしか言いようがない。

 

「「「それだ!!!」」」

 

僕達3人は一斉に声を上げた。どうもここまで全員暇だったようだ。

 

 全く、何をしていたんだか。そんなこんなでビーチボールを取りに行っていた染羅が戻ってくる。

 

 まさしくこの状況から救ってくれる救世主だ。さて、大げさな例えもこのくらいにしておいてとっとと始めるか。

 

「やっぱりこういう無心でできるのって落ち着くよな。」

 

「ビーチボールを無心でできる神経ってどうなの………?」

 

夢七にとってはただの作業に近しいのだろう。全く、運動神経のいいやつというのはどうにも癪だ。僕は結構集中しないとできないタイプだからな。それに、ここは水の中だし危ない。

 

 染羅、彩羅、夢七、僕とパスは続いていく。まぁ確かにずっとこれをやっていると段々と無心になっていくのはわかる。

 

 ただ、僕の場合集中しすぎて周りが見えなくなるんだと思う。そのくらい集中しないと多分僕はこの場でまともにパスさえ繋げれないだろう。

 

「なんかさ、こういうのってみんな無言になっちゃうね。」

 

彩羅が話し始めたのがわかる。僕は返事をしたくてもできなかった。

 

「まぁ、そういうもんだと思うけど。こういうどれだけ続けられるかって要は集中力の問題だし。」

 

染羅の的確な考察がはいる。確かに、そういう事なのだろう。じゃないと僕は普段こんなに集中なんてしない。

 

「と、言うかさっきから雉矢しゃべってなくないか?」

 

夢七の声が聞こえた。一応返したほうがいいか。

 

「僕は、この状況に手一杯なんだよ。」

 

タイミングを見計らい素早くしゃべる。

 

「あぁ、一生懸命………。なるほどな。」

 

「そういや雉矢ってスポーツはてんで駄目だからね。こうやってとんでもなく集中しない限りすぐミスしちゃうんだよ。」

 

「そうなのか………知らなかった。さすが幼馴染だな。」

 

「まぁ………知らないことだってあるけどね。」

 

彩羅は最後小さくそう言っていた。僕にはそれがはっきりと分かった。きっと、時鳥さんの事についてだろうな。

 

 まぁ………またいつか正直に話す機会があれば話すとしよう。多分、彩羅も染羅も僕がすべてさらけ出すことを望んでるだろうからな。

 

「彩羅………なんか含みのある言い方だね。」

 

「ちょっとさっきね。」

 

「………まぁ、ちょっと見てはいたけど………今は聞かないことにする。」

 

「そうしてくれるとこっちも安心だよ。私も何も知らないからさ。」

 

「ん?どうした、2人とも?」

 

どうしてこういうときだけ夢七は鈍感なのだろうか。まぁ、この場に関してはそっちのほうが都合がいい。

 

 しかしまあ、帰ったら修羅場確定かな?言い訳は………通じないだろう。きっとこの2人の前で僕の嘘なんてもの意味をなさないだろうからな。

 

 そうして、そのままバレーを続ける。さて、華々しさはないが………いや、何も得てはいないか。とうしたものかな。

 

「なんか、俺やっちゃった?」

 

夢七が何か勘違いしそうなので、これにも僕は返事をした。

 

「いや、お前は大丈夫だ。なんかやったのは………僕だよ………。」

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