疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです 作:夏之 夾竹桃
そうして、一応朝のジョギングは終わった。多分明日もあるんだろうけどな。家に帰ってみると案の定と言うか染羅がほっぺを膨らませて待っていた。
「どうして起こしてくれなかったのさ………。」
「えっとそれは………。」
どうにも言葉に困る。実際この立場にならないとわからないと思うが、どうにもあんなに気持ち良さそうに眠っているのを見ると起こすのは気が引けてくる。それに、彩羅のあの声を食らっても起きないやつをどうしろというのだ。
「まぁなんと言うかだな、多分あの状態の染羅は起こせないんじゃないかなって思ってな………。」
「どうして?」
「いや、彩羅が一回大声で起こしたのは分かったか?」
「いや全然。」
「じゃあ、どうやっても起きないだろうなって思ってしまってな………それに、気持ち良さそうに眠ってるもんだから起こそうにも気が引けちゃって………。」
「………まぁ、ゆるそう。」
お許しを頂いたところで僕は気になっていたことを聞く。
「それで、これからどうするの?」
「そうだね、特にすることも決めてないし、まだ居てもいい?」
「構わないけど、僕は課題やっとくぞ?」
「あぁ課題………そんなものもあったね。」
「まさかとは思うが忘れてたとか言うんじゃないだろうな?」
「そのまさかだったりする。」
全く、やっぱり彩羅も変わってないや。
「染羅の方は?」
「終わってる。」
「もう終わったのか!?」
まれに見るあれか?『初日で終わらせるわ』って言ってマジで有言実行するやつ。クラスに1人くらいいるあの訳のわからん集中力を持ってるやつ。
「だって、暇だったんだもん。」
暇で課題全部片付けるやついるんだなと驚愕する。まぁ、染羅ならやりかねない部分はあるけど。
「その集中力分けてほしいくらいだな。まぁ、そういうわけで僕は課題をやっておくけどどうする?」
「大体何時間くらいやってるの?」
「3時間くらい。」
「3時間!?」
「何驚いてんだよ彩羅。学校にいるときは6時間だぞ?その半分の3時間。全然短いだろう?」
「た、確かにそうだけど………はぁ真面目なんだから。」
なぜか呆れられたが、まぁいいだろう。
「そんで、結局どうするの?」
「まぁ、いいか。することないし。」
「私もそれで。」
まぁ、こうなるよな。正直わかっていた。しかしまあ、そこまでの問題はないだろう。何もなければの話ではあるものの………。
いや、こうなることは分かっていただろう?何故僕はOKしたのかわからない。
「彩羅、染羅、なんでそんなに距離感が近いんだ?」
「なんでってそんなこと分かってたでしょう?」
「そうそう、承諾したのは雉矢の方だよ?」
どうにも痛いところをついてくる。たしかにこうなるんじゃないかと予想した上で僕は承諾した。じゃあなんだ?まるで僕がこうなることを望んでいるみたいじゃないか?いや、そんなこと無いはずだ………無いはずだろう?
「まぁ、分かってたけどさ。」
そうして僕はまた、目の前の課題向き合う。しかしどうにも集中できない。まぁやらないよりかはマシだろうから、僕はペンをすすめる。いつもよりも遅いのが自分でもわかる。こう、まじまじと見られたらこうなるだろう。
「や、やっぱりさ、ちょっと離れてくれない?」
流石にこれに支障が出てしまっては堪らない。僕は彩羅と染羅にそういった。もちろんダメ元だ。
「「嫌だけど?」」
まぁそうですよね。さて、こうなったら僕のやることは1つだけだ。諦める。それしか無いだろう。しょうがないということにしておく。
そうして、どれほど経ったか?いつもより時間感覚が麻痺してて分かったもんじゃないけど、どうにかある程度終わった。
「なんか、疲れた………。」
いつもより確実に疲れている。まぁ、分かってなかったわけじゃないけどさ………。
「お疲れ様。」
「ありがとう染羅。なんかいつもよりも疲れたな。あと………眠い。」
そうだ、そういえば僕は今日そこまで十分に睡眠を取れているわけでもないじゃないか。そんな状態で課題やってたんだ。そりゃあ疲れる。
「うん、取り敢えず寝かせて?」
「えぇ………まぁいいけど。」
こういう時、妙に彩羅は優しい。
「私は………駄目。」
こういう時、染羅はちょっとわがままだ。
「待ってくれ、疲れたんだ。寝かせてくれたっていいじゃないか?」
「それなら………私の膝枕で眠ってくれるならいいよ?」
「「え!?」」
僕と彩羅はほぼ同時にその声を上げた。いや、そんなこと言われるなんて誰が思うだろうか?僕は一切予想してなかった。
「何驚いてるの?そのくらい、いいじゃない?」
染羅にとって膝枕とはその程度のものなのか?いや違う。完全に私欲が丸出しである。僕の目にはそれが見て取るようにわかる。
「そ、それだったら私も雉矢に膝枕したいんだけど?」
彩羅さん?いきなり何を言っているんだこの姉妹は?僕には理解できないが………まぁ、しょうがないということにしておこう。多分埒が明かない。
「ま、まぁ膝枕は百歩譲ってわかる。ただ流石にどっちかしかできないと思うが?」
「そんなこと分かってる。だから彩羅、ゆずって?」
「私、昨日の夜に染羅が雉矢になにしてたか知ってるんだけどな?」
「今朝、彩羅は私をおいて雉矢とでかけてたじゃん?それで帳消しでしょう?」
「そんなこと無いもん。私だって雉矢と居たいし。」
あぁ、またこれだよ。眠たいんだけど僕がどうにかしないと多分どうにもならないからな。全くこの2人は………。らしいことに変わりないけどな。
「まぁ、2人とも。多分埒が明かないからさ、今回の膝枕の件、保留にはできないだろうか?」
「「できない!」」
こういうときは本当に息ぴったりなんだよな。
「じゃあ何かい?2人でするのかい?」
どうやら僕は頭が回ってないみたいである。いつもならそんなこと言わないはずなんだけどな。
「どっちかがいいんだけど………雉矢が決めて?」
彩羅から返ってきたのは予想していない回答だった。さて僕はどう答えようか。
「僕が決めるの?」
「だってそれしかもう手は残ってないでしょう?だからさ決めて?」
さて、困った。どうしたらいいのかさっぱりわからん。何より厄介なのは僕は今まともに頭が回ってない。そんな状況でどう返事をしようか。いや、いっそこのまま適当に答えてしまおうか?
「じゃあ………彩羅で。」
僕はそう結論づけた。なぜかは僕にもわからない。本当にただ直感で選んだ。
「………雉矢がそう決めたんなら、我慢する。」
染羅はようやく我慢を覚えたらしい。或いは、今まで溜め込んでたものをある程度吐き出せたかの2択だ。
「じゃあはい。雉矢。」
目に見えて嬉しそうな彩羅。すでにべ度の上で待機している。気が早すぎだ。と本来ならツッコんでいたところだがあいにくと僕にそんな余力は残されていない。そうして僕は残った力でベッドまであるきながらすでにウトウトしていた。
そうして、柄にもなく恥じらいを捨て彩羅の脚に頭を委ねる。いつもよりも柔らかくて少しひんやりとしていて………心地良い。それしか感想は出てこない。
「本当に眠かったんだ。」
「彩羅が無茶な時間に起こしてたからでしょう?」
「私の夏場はあれが普通だからさ。」
「やっぱり彩羅はちょっとずれてるよ………。」
「ちょ、そんなに呆れないでよ!」
わずかにそんな声が聞こえているのが分かった。しかし、反応する気力なんて残っちゃいない。目を瞑りただその時を待つ。そうしてそのまま僕は欲望に従い意識を落としていくのだった。