疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです 作:夏之 夾竹桃
その日の夜のことだった。なんと言うか、やっぱりこの2人は姉妹なんだなって思ってしまった出来事である。
「雉矢?染羅ちゃん来てるよ?」
それは、母さんの声だった。
「分かった今から行く。」
僕はそう返事をして階段を下ってく。まぁ、なんと言うか心の中でどこか想像していた出来事はあったが………懐かしいような気もするな。前に染羅がこんなふうに僕の家を訪ねてきたのはいつだったか?
そんなことを考えながら、僕は玄関へと向かう。
「雉矢………上がってもいい?」
「今日は公園じゃないんだな?」
「今日は、雉矢の部屋がいい………駄目?」
「駄目じゃないよ。行くか。」
そうして、またお昼みたいに僕達は向かい合って座る。
「彩羅のこと、羨ましくなっちゃって。」
「それでも彩羅だって我慢してたんだとよ。」
「それは、私もよく知ってるよ。一番近くで見てるんだから。」
それもそうか。この2人は大体いつも一緒だ。お互いのことなんてよく分かってるだろうな。
「でも………やっぱり私はやっぱり雉矢と一緒に居たい。雉矢と彩羅が一緒にいる時間よりももっと長い時間一緒に居たい。」
「やっぱりそれが本音だよな。」
なんと言うかそれがやっぱり染羅の性なのだと僕は思っている。やっぱり彩羅よりも染羅のほうが独占欲は強い。それは僕も感じ取っていることだった。
何なら、その欲が今のこの関係を崩し去ってしまうんじゃないだろうかと思ってしまうほどに。僕は少し怖かった。
「やっぱり私は………2人きりがいい。今まで不安だった。雉矢がどこか遠くに行ってしまいそうで本当に怖かった。時鳥さんのときだって………本当に連れ去られるんじゃないだろうかって………。」
「僕はどこにも行かないよ。3人一緒だ。」
「3人じゃない!2人がいいの!」
久しぶりに染羅の感情的な声を聞いた。やっぱり今まで僕は何も分かっていなかったようだ。僕が求めているものと、2人が求めているものは違うんだ。今まで言葉ではそれが分かっていた。でも今僕はようやくそれを理解することができたんだ。
あまりにもおそすぎる。
「………なんて言うか本当にごめんな………。」
今日は本当に謝ってばっかりだ。惨めとしか言いようがない。こんなんじゃ………きっと最悪な結末を迎えるだろうな。多分、時期が迫ってるんだ。判断する時期が。
そんな事分かっていても僕は正直言う。同じくらい好きなんだ。優劣なんてつけることができないんだ。こんなんだから優柔不断なんだろうが………。
「………好きになっただけなのに………。」
その一言に僕は何も言えなかった。言っちゃいけないような気がした………言葉も出てこなかった。
「………やっぱり………無理なの?」
「僕にとっては両方大事だからな。どっちも掛けちゃいけない存在だ………。」
「そうじゃなくて………私が雉矢の恋愛対象になることは………無理なの?」
「………確かに、変に近寄られたらドキドキもする………でも、恋愛対象とか言う話になるとちょっと変わってくると思うんだ………。僕は彩羅も染羅も、そういう目で見れない………。」
「………多分雉矢は気が付いてないだけ。きっと心の中じゃ私達2人のことが好きなんだと思う。それも同じくらい。でもそれを自分で認めたくない………そうじゃないの?」
「それは………わからない………。」
本当に、自分でも何も分からなくなっていた。僕はどうしたいのか、何が正解なのか。
「………まぁ、雉矢ならそう言うと思ってた。ちょっと考えてみて。彩羅と私、それぞれにキスされた時のこと。きっと嬉しいと思ってたはず。きっと、ずっとこのままでいたいと思っていたはず。」
そう言われて初めて気がつく。そうだ、確かに僕はあのとき安心を感じていた。そして幸福であった………。そんな簡単で最低の答えを僕は見落としていたのだ。
「………確かに、そのとおりだ………。」
「それが雉矢の本音なんだよ。きっと私達と再開したときからそうだった。雉矢も、ずっと私達のことを思ってたんだよ。私達のことがずっと、好きだったんだよ。」
「………じゃあ、僕はどうするのが正解なんだ………?」
もう何も………わからないのだ。この崩れそうな今をどう修復すればいいのか。
「それは、雉矢自身が決めることだよ。答えは雉矢自身が導き出さなきゃいけないから。」
「………僕は………誰も失いたくないんだ。二度と、離れ離れになりたくないんだ………。」
「それは………私も同じだよ。」
なにもわからない。わからないからこそ考える。僕は結局何をするべきなのだろうか。
この関係を、壊さずにいれる方法は無いのだろうか?
まだそんなところで悩んでいる。そうだ、選択の時はすぐそこまで来ているのだ。答えを出す、その時なのだ。
「あぁ………雉矢こっち見ないで………。」
「どうした?」
「ちょっと………さっきまで堪えてたんだけどさ………不安になっちゃって………。」
顔を上げた僕の目に写ったのは泣いている彼女だった。
「染羅………。」
「見ないでって言ったじゃん………。」
「いや………ごめん………本当に。」
僕は………いつまで自分に嘘を付き続けるのだろう。そろそろ正直になってもいいんじゃないだろうか?
さっき染羅が言ったことが正しいなら僕は………僕は、目の前に居る方に手を差し伸べるしかないんじゃないだろうか?
そんな資格があるとは思ってない。自分のこともわからないのに他の人を救えるわけがない。そんなことはわかってるけど………生憎と僕には実績がある。
「染羅………僕にできることってあるか?」
「………側に居て。」
僕はそれから何も言わず側に居た。染羅からした僕の認識っていうのは何なんだろうか?
嫌いなやつであり好きな人である………みたいな感じなのだろうか?わからないのがまどろっこしい。本当に僕がここにいてもいいのかわからない。
でも、僕にはここにいる事しかできないんだ。答えはきっと見つけ出すさ。そんな気がする………根拠なんてない。でもそう思ってないと………怖いんだ。何もかもが。
「………雉矢、私の方もごめんね?」
「悪いのは………僕の方だよ。」
「………そろそろ、私も帰らなきゃ。またね、雉矢。」
涙は乾いているようだった。そう見えた。そうして僕は染羅の顔を信じて言うのだった
「あぁ、また。」
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そうして、私は雉矢の家を出ていった。今まで必死に堪えてきた、さっきとは別の涙が溢れ出る。
好きな人には決して見せたくない、嫉妬や不安、怒りの涙だ。
何もかも思い通りには行かない。いいやわかっている。それが人生であり、私だ。私は今日、雉矢に、無理に選択を迫った。これが最悪への道になるかどうかは………わからない。
私にも、何もわからないのだ。