疎遠になっていた双子の幼馴染と再開したらやっぱり僕は奪い合われる運命にあったようです   作:夏之 夾竹桃

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第6話 救い

 見てしまった………。2人が抱き合っているところを………。会話までは聞き取れなかったけどそんなことそこまで問題ではない。渡り廊下の向こうにたまたまあの2人の姿が見えたので行ってみたらこの様だ。私は、廊下の端に隠れてやり過ごしていたのでバレなかったが多分目撃しては駄目なものを目撃してしまった。これは絶対に誰にも言ってはいけないことだ。本当にまずい。それはそれとして、小鳥遊くんにも見つからないようにしなくては………。

 

「あれ?鳥塚さん?」

 

バレた。あまりにも早すぎる。バレないようにしようと思った矢先にこれだ。私はどうやらことごとく運が悪いらしい。

 

「あぁ、小鳥遊くん。」

 

どうしよう。このままやり過ごそうか?それとも疑問をぶつけようか?私がここにいたことはもうバレてしまっている。それなら聞いても大丈夫なのではないか?いやいや、逆にここに居たことしかバレてないんだ。いつから居たかなんてわかんないだろう。じゃあやっぱりこのままやり過ごそうか………。

 

「鳥塚さん、こんなところで何してたの?」

 

「えっとぉ………。」

 

駄目だ。早くそれなりの言い訳を考えなくては。あぁこういう時に頭回らないんだから。どもらずに『ただ通りかかっただけ』って言えば怪しまれずに済んだのに。

 

「もしかして、彩羅といるとこ見てた?」

 

「あ、あぁ………うん。」

 

白状することに決めた。しょうがない。一度言葉に詰まったのだから訂正とかは自然じゃないだろう。嘘ってこともすぐバレる。じゃあ私は白状することを選ぶ。

 

「あぁ、見られてたか。なんかゴメンな。」

 

「え、いや、いいけど。何で彩羅ちゃんとあんなことしてたの?」

 

「彩羅は、と言うか鷹野達は俺の幼馴染なんだよ。少しスキンシップが強いけど………。久々にあってあっちもテンション上がってたんじゃないかな?わかんないけれど。」

 

「お、幼馴染なの?な、何で言わなかったの?て、言うか初対面のフリしてたの?」

 

「あぁ、のっぴきならない理由があってな。幼馴染って言うことは言わないようにって。まぁ、さっきも言ったとおりなんだけどスキンシップが激しくてな?それで………なんと言うかブレーキなんだよな。あの2人を抑制する。幼馴染って言うことが広まったらあの2人リミッターが外れて何しだすか、わからないから。だから幼馴染ってことを隠して初対面のフリをすることで学校だったりとかでの大胆の行動を抑制しようと思ってな………ただ今回みたいなことになるとは………。」

 

「なるほど…強烈なスキンシップを避けるため………。」

 

何で彩羅ちゃんと染羅ちゃんは小鳥遊くんに対してそんなに過剰反応するんだ?と、言うか………さっき彩羅ちゃんは顔を真っ赤にして走っていったけど………つまりそれって。

 

「小鳥遊くんにとってさ、あの2人って友達?」

 

「あぁ、痛いところついてくるね。そうだな、今のところ。」

 

「じゃあ、2人の気持ちは分かってるの?」

 

「何度も伝えられた。でも、僕はまだその感情についていまいち理解ができてないから。そんな奴と付き合っても嬉しか無いだろう?だから、まだ友達。そりゃあ、ちゃんと覚悟は決めてる。」

 

「そっか………まだよくわかんないんだ。私のことを振ったのもそれが原因?」

 

「少なからず、この理由は入ってきてる。と、言うか鳥塚さんだって一応僕に告白したろう?嫌じゃないのか?」

 

「あぁそれね。私、多分寂しかったんだと思う。孤独って意味で。だからこういう形で落ち着いてたほうがいいのかなって思ってさ。あんまり嫌っていうのはないのかもしれない。それこそ私もわかんないけどね?でもなんだか分かってきた気がする。何で、あんなことしたのかっていうのが。」

 

私は、ただ寂しかったんだ。だから、そういう人が欲しかったんだ。自分を納得させてるわけじゃない。気付きつつある。それだけのことだ。

 

「そっか。じゃあ付き合うっていうのはやっぱり無し?」

 

「それこそアレ、小鳥遊くんが言ったんじゃん?まだ早いって。もう少し小鳥遊くん達と一緒に居させてよ?」

 

「あぁ、了解。」

 

その後、放課後まで、何事もなく時が過ぎさっていった。私はこの後、昨日のように小鳥遊くん達と帰ることを予定している。あんなことを聞かされたので少し距離感がわかんないけれど………それでもまぁ差し支えはないだろう。

 

「じゃあ帰ろっか。」

 

彩羅ちゃんのその言葉でみんなが歩み始める。私は一歩手前に引いて3人の背中を眺めていた。道中あることにかがついた。明らかに彩羅ちゃんと小鳥遊くんの物理的距離が近いのだ。それに比べてやはりと言うべきか、染羅ちゃんの方は口数も少なく、距離も空いているように見える。しかし、小鳥遊くんの話によると両方スキンシップが過剰とのことであった。じゃあやっぱり彩羅ちゃんはあまり人目を気にしないタイプ、対して染羅ちゃんは人目を気にするタイプと言うことだ。じゃあ逆に染羅ちゃんって誰もいない時どういう行動をとっているのだろう。思いっきりあまえんぼさんだったりして。それだったら可愛いな。そんなことを考えていると染羅ちゃんのほうが少し歩く速度を落とした。そうして少し小さめの声、前の2人が喋っているから私にしか聞こえないくらいの声で話しかけてきた。

 

「鳥塚さん、今日どうしたの?私達のことじっと見てさ。」

 

「え、そ、そんなこと無いよ?」

 

「そんなことなかったらそんなに慌てたりなんかしないよ。」

 

ここでもか。やっぱり私は嘘が下手だ。

 

「あ…見てました。」

 

「何で?」

 

「それは、その………仲、いいんだなって。ほらまだ転校してきて2日目なのにさ?」

 

「それは………幼馴染だからね。」

 

まさか自分から言ってくるなんて思わなかった。

 

「………それ言っていいの?」

 

「うん。少なくとも私は2人きりのときにしかそういうことはしたくないからね。でも、彩羅は違う。人前でもどんどんアタックしていく。それを見るたび、羨ましいなって思ったりもする。でも、その分私は人が見てないところでアタックする。それでバランスが取れてるんだけど………やっぱり羨ましい。」

 

「染羅ちゃんも、悩んでるんだね………。」

 

「うん………その反応見る限りだと知ってたね?」

 

「あ、うん。お昼に聞かされてさ。その時は彩羅ちゃんが………いやなんでも無い。」

 

危ない。これは、修羅を呼びかねないとても危険な言葉だ。流石にラインが見えた。

 

「彩羅、大胆だからね。でも、それでも私は雉矢と一緒に居たい。」

 

「純粋だね、染羅ちゃん。」

 

「純粋かもしれないけど、性格は悪いんだ。」

 

そう言うと染羅ちゃんは少し笑顔を見せた。冷静な顔から少し表情が変化してとても………可愛かった。何故私が魅了されているのだろうか?ただ、そんな事どうでも良くなるくらいに私は染羅ちゃんの味方になりたかった。

 

「わ、私こっちだからじゃあね。」

 

急ぎ気味に自分の家の方へと足を進めた。本当、染羅ちゃんは反則級に可愛い。何故小鳥遊くんは染羅ちゃんのことを選ばないのだろうか?それがいまいちわからない。そこまでの魅力が彩羅ちゃんにも備わっているのだろうか?備わっていそうだな。姉妹だし、双子だし、外見はそっくりだし、可愛いし。本当、罪な人だよ小鳥遊くんはさ。こんな可愛い幼馴染2人からアプローチ食らっちゃってさ。

 

 そんな小鳥遊くんに、私も救われたかったな。もう家についちゃった。あの速度のまま歩いてきてしまったらしい。いつもなら寄り道したりなんかでもっと遅いのに。私に「向き合え」って言ってるのかな。頑張んなきゃ。もう現実に戻ってきてしまった。

 

「痛っ………まさか雨?」

 

脇腹の痛み。あのクソババア、絶対に許さねぇ。

 

「ただいま。」

 

その声に対して、返事はなかった。

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