ウルトラマンビースト Child of the monster king   作:ダラケー

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第1話 始まり

暗い夜の空を街を燃やす炎が赤々と照らす。

 

?「フハハハハハハハハ!!!!!!!」

 

燃える街の中で明らかに人の姿に似ているが体の所々に人ではない形を有する巨大な黒い影が不気味な高笑いを上げていた。

 

その影の前には光り輝く体で、胸の中央には赤く点滅して光球がある巨人がいた。

 

影は余裕の様子で、巨人は疲労しているのか苦しそうにしていた。

 

次の瞬間、両者が同時に構えると光線が発射された。

 

巨人は両手首を十字にクロスして、縦の手から青白い色をした光線を、影は両腕をL字にクロスさせて縦の腕から黒く緑がかった光線をそれぞれ発射した。

 

両者の発射した光線はお互いの取っている距離の中間点でぶつかり合う。

 

拮抗する2つの光線は徐々に影の光線が巨人の光線を押し返し始めた。

 

巨人「ぐっ!ジェリャアッ!!!!」

 

一瞬押された巨人だったがすぐに持ち直して力を込めると光線の威力が上がり、影の発射した光線を押し返し、影本体に命中した。

 

しかし影もただでは殺られずに左手に緑がかった黒いエネルギーを貯めると巨人に向かって放った。

 

放たれたエネルギーは巨人の左横腹に命中した。

 

巨人「あぐっ!?ジェリャアッ!!!!!!」

 

痛みに耐えながら巨人は光線を放ち続けた。

 

影「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

巨人の光線を喰らい続けて影は断末魔を上げて光の粒となって消滅した。

 

巨人「はあ…はあ…はあ…」

 

影を倒した巨人は体力が限界なのかその場に膝を付いてしまったその時だった、巨人の左横腹が黒く光りだした。

 

巨人「あぐああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

黒く光り始めた左横腹に巨人は苦しんで悲鳴を上げながら地面を転がるようにのたうち回った。

 

さらに光球の点滅も影と戦っていた時より速くなっていた。

 

巨人「あ…あぁ………………」

 

天に向かって右手を伸ばした巨人だが体が石化してしまい動かなくなってしまった。

 

石化してしまった巨人を小高い丘から見る1人の人物がいた。

 

後ろで束ね、真ん中に穴があいた布をすっぽり頭からかぶっているような服装をし、額にはサファイアのような深い青色をした鉱石のついた飾りを付けた少女がいた。

 

少女「―――――」

 

何かを巨人に言ってすぐに顔を覆ってその場に崩れるように座り込んでしまった。

 

その瞬間、彼は目を覚めた。

 

 

 

竜響「…っ、なんだ今の…?」

 

東京にあるとある一軒家の二階の一室にあるベッドで、爬虫類に似た尻尾が生えている青年の名はゆっくりと起き上がる【竜響】。

 

竜響「最近、よく見る夢だな……」

 

そう呟く竜響。

 

ここ最近になって彼はあの光の巨人と黒い影の戦いを夢に見るようになった。

 

まるでどこかの特撮テレビドラマのヒーローと悪の使者のような戦いだったがそこかリアルな感じを感じ取っていた。

 

竜響「ま、いっか。ふあ~…折角の休みだから二度寝でもすっか……」

 

二度寝をしようとベッドに倒れこんだその時だった。

 

竜響の部屋の扉が乱暴に開いて1人のピンクの髪に犬耳と尻尾を持っている少女が入ってくるなり跳躍した。

 

エウル「起きなさあぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

入ってきて跳躍した少女―竜響の姉であるエウルのドロップキックが竜響の腹部に叩き込まれた。

 

竜響「ぐほっ!!!!」

 

エウルのドロップキックを喰らって竜響はダメージを負って短く悲鳴を上げる。

 

竜響「ね、姉ちゃん…朝から何してんだよ……」

 

ドロップキックを叩き込まれて痛む腹部を抑えながら竜響は聞く。

 

エウル「何ってアンタねぇ…今日はお父さんの紹介で翼さんとマリアさんのライブに行く日でしょ!!!」

 

聞いてきた竜響にエウルは少し呆れながら答える。

 

竜響「あ…あぁ!そうだったぁ!!!」

 

エウルに言われて竜響は思い出して声を上げる。

 

エウル「ったくもぉ…アンタがどうしても行きたいって言うから誕生日の今日にあるライブチケットをお父さんが取ってきてくれたんでしょ。それを忘れるって…」

 

頭を押さえながらエウルは言う。

 

竜響「うぅ…何も否定できないのが辛い……」

 

エウル「まあいいわ。それより早く着替えなさい。下で朝ご飯出来てるから早く食べちゃいなさい」

 

竜響「おう」

 

エウルに言われて竜響は返事をするとそれを聞いたエウルは部屋を出て行った。

 

数分後、寝間着から普段着に着替えた竜響が一階のリビングに降りてきた。

 

エルザ「ようやく起きたでありますか、竜響」

 

キッチンにて既に食べ終わっている空の食器を洗っている腰まで伸びた長い桜のように綺麗なピンクの髪で、犬耳と尻尾を持った女性―竜響とエウルの母親【エルザ】が降りてきた我が子に言う。

 

竜響「母さんゴメン、すぐに食べるから!」

 

エルザ「急いで食べなくていいでありますよ。まだ時間はありますから」

 

謝ってきた竜響にエルザは優しくそう言う。

 

竜響「え、う、うん…」

 

少し怒られると思ったが優しく言ってきたエルザに竜響は少し戸惑いながらもうなずいて席に座った。

 

テーブルには目玉焼きとサラダ、2つの茶碗にそれぞれ味噌汁と白米が入れられていた。

 

竜響「いっただきまーす!」

 

箸を手に取って朝食を食べ始めた。

 

エウル「あ、お母さん。洗濯物、全部干したよ」

 

リビングの隣にある和室に繋がっている中庭からエウルがそう言ってきた。

 

エルザ「ありがとう、エウル」

 

エウル「うん!」

 

母親にお礼を言われてエウルは嬉しそうに尻尾を振る。

 

竜響「ごちそうさま!!」

 

朝食を食べ終えて竜響は食器を重ねて台所に持っていき流し台に置いた。

 

エルザ「速い…ちゃんと噛んだでありますか?」

 

食べ終わったのが速い竜響にエルザは聞く。

 

竜響「しっかり噛んで食べたよ」

 

そう言って竜響は和室の方へ歩いていくと備え付けてあるテレビをつけると丁度朝のニュースが流れていた。

 

アナウンサー『次のニュースです。本日午後18時に世界的アーティストユニットである風鳴 翼さんとマリア・カデンツァヴナ・イヴさんのコンサートがいよいよ始まります。超古代文明の遺跡にて行われるコンサートをするにあたり…』

 

竜響「お、今日行く奴だ」

 

エウル「へえー、超古代文明の遺跡でコンサートするんだ」

 

ニュースを見ていた竜響と中庭から戻ってきたエウルは呟く。

 

エルザ「楽しみでありますね」

 

話しが聞こえていたのかエルザはそう言う。

 

竜響「あぁ。すげー楽しみだよ!ってか親父は?見てないけど…」

 

楽しみであることを言う竜響だが父親がいない事に気づいて聞く。

 

エルザ「あ、えーっと、あの人は今…あ、チケットをくれた友人の所にお礼を言いに行っているでありますよ!それより2人とも準備するであります、腕輪を忘れないように」

 

少し慌てた様子でエルザは言う。

 

竜響「おう」

 

エウル「はーい」

 

慌てた様子のエルザに不審に思った竜響だが慣れているのか深くは追及しなかった。

 

 

 

とある場所の地下に発電機に繋がったライトの明かりを頼りに十数人の作業員たちが発掘作業をしていた。

 

発掘しているのは巨大な巨人の石像で横たわった状態で上半分が露になっていた。

 

発掘作業をしている作業員たちを見守る鍛え抜かれた肉体を持った赤いシャツを着て、ネクタイをしているが先を胸ポケットに入れている男性がいた。

 

作業員A「風鳴司令。発掘作業はだいぶ進んでいますがまだ難航しそうです」

 

作業員の1人が男性―司令官である『風鳴 弦十郎』に報告する。

 

弦十郎「そうか。分かった、引き続き作業を進めてくれ」

 

作業員A「はい」

 

報告を聞いて弦十郎はそう言うと作業員Aは発掘作業に戻っていく。

 

黒服A「司令!」

 

今度は入れ替わりに黒いスーツに黒ネクタイにサングラスをした男性が来た。

 

弦十郎「どうした?」

 

黒服A「例の方が来ています」

 

弦十郎「もうそんな時間か。ここへ連れてきてくれ」

 

黒服A「はい」

 

弦十郎に言われて黒服の男性が会いに来た人物を連れてこようとした時だ。

 

?「もういいよ、こっちから来たから」

 

男性の声が聞こえてその方向を見ると腰より少し長めの黒い髪を一纏めに結び、日焼けした黒い肌、紅い目、まだ幼さが残る顔立ちをして、背中から尾骨辺りから生えた尻尾の先まで段々と小さくなっているステゴサウルスに似た背鰭を持っているのが特徴の男性がいた。

 

弦十郎「なんだ、少しの時間も待てないのか。ガウ大王様は」

 

男性―『ガウ』を見て少し意地悪っぽく弦十郎は言う。

 

ガウ「もう、その肩書は止めてよ。僕はただの一般市民だよ」

 

弦十郎の言葉にガウはそう言い返した。

 

弦十郎「そうだったな。だがいつかはお前も元の身分に戻るんだ、今の内に慣れておけ」

 

ガウ「うぅ…違和感しか無いよそれ……」

 

弦十郎の言葉にガウは困った顔をして言う。

 

弦十郎「確かにな。それで今日はどうした?今日はお前の息子の誕生日だろ?こんなところにいたらまずいだろ」

 

ガウ「うん、今日はお礼を言いに来たの。竜響の為にチケット取ってくれてありがとう」

 

弦十郎「なんだそんなことか。あれくれらいどうってことないさ。いつでも言ってくれればプレミアチケットの一枚や二枚、回してやるよ」

 

ガウのお礼に弦十郎は景気よく言う。

 

ガウ「気前がいいことで。それより発掘作業はどうかな?」

 

弦十郎の言葉にありがたみを含めて言うと話を切り替えて発掘作業の事を聞く。

 

弦十郎「やっと折り返し地点っといったところだ」

 

ガウに聞かれて真剣な顔で弦十郎は言う。

 

弦十郎「先史文明期以前、超古代の時代に存在したと言われている巨人の石像。いったい何なのか、もしかしたらシェム・ハやエンキと同じアヌンナキやもしれん」

 

16年前に地球の全生命を改造し、支配しようとした先史文明期に存在した神、アヌンナキの一柱『シェム・ハ・メフォラス』と同じくアヌンナキの一柱『エンキ』を思い出して言う。

 

ガウ「さあ…でもこの巨人がもしシェム・ハたちと同じならその時はリルたちや弦十郎たちが頑張るんでしょ?」

 

弦十郎「む…ガウ、引退したからって少し頼りすぎじゃないのか?」

 

ガウ「そうかな?」

 

弦十郎「そうだよ」

 

真剣な話から少し顔を緩めて弦十郎とガウは話す。

 

するとガウの履いているズボンから着信音が聞こえてきた。

 

取り出してみるとスマホの画面に『竜響』の文字が出ていた。

 

しかし出るのを少し戸惑っていた。

 

弦十郎「竜響なんだろ?出ても構わんさ」

 

ガウ「うん、ありがとう」

 

弦十郎から許可をもらってガウは言うと電話に出た。

 

ガウ「もしもし?」

 

竜響『あ、親父?今どこにいんだよ、こっちはもう会場前だぞ』

 

ガウが出ると少し不満そうな声で竜響が出て言ってきた。

 

ガウ「ゴメンゴメン、すぐに向かうから待ってて」

 

竜響『なる早で頼むぜ』

 

エウル『無茶言わないの!!』

 

竜響『あがっ!?』

 

車いすに乗っているガウにそう言った竜響にエウルの鉄拳でも飛んできたのか悲鳴とともに切れた。

 

弦十郎「元気な子供たちだな」

 

ガウ「うん。みんな大事な家族だからね」

 

満面の笑みでガウは弦十郎に言う。

 

弦十郎「そうか。ほら、早くいかないと小言を言われるぞ」

 

ガウ「それは勘弁。それじゃあまたね」

 

弦十郎に言われてガウは踵を返すと小走りでその場を去って行った。

 

弦十郎と会っていた地下を後にしたガウは家族の待つコンサート会場へ向かっている頃、先に会場へ着いていた竜響たちは開場前にある噴水の前にいた。

 

ガウが来るまでグッズなどを買いに行きたかったが会場前やグッズ販売店はファンやメディアの人間でごった返していて下手をすれば迷子になりそうな状態だった。

 

竜響「だーっ!グッズ買えると思ったのに読みが甘かったぁ!!」

 

限定グッズが買えなくて悔しがる竜響は叫ぶ。

 

エウル「ほんと、まだ開場は2時間も先なのに人が多いなんて…さすがは世界に誇るトップアーティストユニットね」

 

開場が2時間も先なのに沢山の人が来ていることに驚きながらエウルは言う。

 

竜響「これ親父と合流できんのか?」

 

アリの大群のようにひしめき合っている会場の外の人々を見ながら竜響は父ガウと無事に合流できるか心配して言う。

 

エウル「あ、今お父さんの声が聞こえた」

 

竜響「え?マジで?」

 

ガウの声が聞こえたと言うエウルに、竜響は耳を澄ませると遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

エウル「あ、いたいた!おーい、お父さーん!」

 

遠くからガウの姿を見つけたエウルが大きな声で呼びながら手を振る。

 

それに気づいたガウが手を振り返して向かっていく。

 

エルザ「良かった。何とか合流できたでありますね」

 

家族が無事に合流できたことにエルザは安心した様子で言う。

 

その時だった、コンサート会場近くにあった電柱の場所に何かが落下して爆発が起きた。

 

竜響「なんだ!?」

 

突然の爆発に竜響たちを含めた周辺の人々の視線が集まる。

 

そこには電柱にベットリとへばり付いている黒く赤い線があり、時々脈を打つように短く発行している物体があった。

 

ガウ「あれはまさか!?」

 

物体を見てガウは驚いて目を見開き、かつての記憶が過ったのだった。

 

 

 

物体が落下してくる数十時間前・太陽系の太陽に近い方から4番目の惑星である火星近海では何十万隻はいるであろう軍艦が円錐型の陣形で艦隊を組んで、宇宙空間へ向けて艦砲射撃していた。

 

赤い光線が各軍艦の単装、連装、三連装から、艦首からはミサイルが放たれ、黒い宇宙空間の先に消え数秒後に爆発が起きる。

 

「どうだ!?」

 

艦隊の司令官らしき男が艦隊旗艦の三連装砲を装備した戦艦の艦橋に設置されている艦長席から攻撃の効果を確認する。

 

その瞬間、数光秒先の宇宙空間から無数の緑色の光線が飛んできた。

 

「か、回避ぃ!!」

 

飛んでくる光線を見て司令官は叫ぶと操舵手が舵をきる。

 

他の艦も光線から逃れようと回避運動をとるも間に合わず、横腹に光線が命中して爆発する艦が多発する。

 

その中には司令官の乗る旗艦も含まれており、何十もの光線が戦艦の船体に大穴を開け、さらに艦橋にも命中、中にいた乗員たちを宇宙へ放り出しながら爆沈してしまった。

 

壊滅に近い打撃を受けて船の残骸と人の死体が浮かぶ宙域を黒く赤い線が走る塊が猛スピードで通り過ぎっていった。

 

塊が通り過ぎた宙域に先程の艦隊よりも数が多い艦隊がやってきた。

 

「最終防衛ライン突破されました!」

 

「最終防衛艦隊、壊滅です!」

 

「目標、防衛ラインを突破して地球へ向かっていきます!!」

 

艦隊となる艦の中で、1番大きな船体を持ち、前に五連装の砲身を備えた砲塔が2門と後ろに1門、前後に三連装の砲身を備えた砲塔を各1門ずつ持った艦の艦橋にてオペレーターたちが言う。

 

?「おのれ…外来どもが!第四、第五分艦隊は生存者の救助!残りは至急、地球へ向け全速前進!!地球政府には今から俺が直接伝える!!!」

 

艦長席にてガウによく似た顔をし、右目に縦一文字の傷を持った青年が肘おきを殴りながら指示を出す。

 

?(くっ、兄者は今別の案件を抱えて手が離せん。ここ(宇宙)で何としても仕留めなくては!!)

 

指示を出した人物は焦りを募らせて、そう思っていた。

 

 

 

時は戻り、コンサート会場の近くにあった電柱にへばり付いた物体は地面に落ちたのを含めて、光輝いたかと思いきや周辺にあった電柱と岩石を取り込むように混じわった塊となった。

 

塊は徐々に巨大化し、30M級にまで大型化すると、背中にコイル状の突起物があり、体は岩石のようにゴツゴツして、小さな顔に目が三つある四本足の蜘蛛型の怪獣へと変貌した。

 

?「ギルガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

怪獣へと変貌した塊はコイルを光らせると口から黄色い稲妻状の光線を発射、遺跡を破壊しようとする。

 

だが狙いは外れて光線は遺跡の手前に着弾、盛大に爆発を起こして土を巻き散らす。

 

竜響「か、怪獣になった!?」

 

怪獣へと変貌したのを見て竜響は驚いて言う。

 

暴れる怪獣に周りの人々は恐怖にかられ我先にと逃げ始めた。

 

?「ギルガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

逃げ始めた人々の声を聞いて怪獣は逃げる人々の方を向くとコイルを光らせると口から黄色い稲妻状の光線を発射した。

 

逃げていた人々は怪獣の放った光線により消え去り、破壊された瓦礫に頭を打って倒れ、中には大きな瓦礫に押し潰されて命を落としていく。

 

エウル「なんで怪獣が攻撃してるの!?」

 

人々を襲う怪獣を見てエウルは驚いていた。

 

地球に住む怪獣はとある怪獣の一族により統率されて『大怪獣軍団』と呼ばれる一大勢力になり、一国家扱いとなっている。

 

現在、人間と怪獣は『人怪同盟条約』を結び、協力体制を取っている。

 

さらに特に友好的な国家は独自に条約や同盟を結べる国があるが、今は日本との『日怪連合』を結んでいるのみである。

 

人怪同盟条約により、人間は怪獣の住みかを破壊してはならず、怪獣は人間を殺してはならないとされているからだ。

 

ガウ「いや、アイツは怪獣なんかじゃない!!」

 

驚くエウルにガウが来て言う。

 

エルザ「あなた…あれはまさか…」

 

ガウ「今はそれより避難するんだ!」

 

エルザもあの物体のことを何か知っているのかガウに聞くが、ガウは早く避難するように言う。

 

竜響「!」

 

避難しようとした時、竜響は何かに気付いて別の方へ走り出した。

 

エウル「あ、竜響!?どこ行くの!?」

 

ガウ「おい、竜響!?」

 

別の方へ走り出した竜響を見てエウルとガウは呼び止めるがすぐに人並みに飲まれてしまう。

 

「うえーん、ままー!!」

 

竜響が向かった先には泣きじゃくる子供がいた。

 

その子供の近くの瓦礫に母親らしき女性が挟まれ、子供に逃げるように言っていた。

 

竜響「おい、大丈夫か!!」

 

辿り着いた竜響は子供に聞く。

 

「ままが、ままがぁ~!」

 

竜響の声を聞いて泣きじゃくる子供。

 

竜響「いま助けるからな!!」

 

そんな子供に竜響はそう言うと瓦礫に手をやる。

 

竜響「う…おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

機材がなければ到底持ち上がらないであろう瓦礫を尋常じゃない力で持ち上げて誰もいない方へ投げ飛ばした。

 

竜響「早く逃げろ!」

 

瓦礫を退かして、母親を持ち上げると避難させる。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

母子は竜響にお礼を言いながら避難する。

 

竜響「よし、俺も…」

 

周りを見て誰もいないことを確認した竜響は自身も避難しようとした矢先、眩しい光が見えた。

 

光の方を見るとそこには怪獣が竜響に向かって光線を放とうとしていた。

 

竜響「やべえ!?」

 

早く逃げようとしたが怪獣は光線を発射してしまう。

 

竜響「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!?」

 

悲鳴を上げ、目を瞑る竜響。

 

しかし光線に飲まれる直前、遺跡から赤く光る玉が飛んできて竜響を飲み込んだ。

 

竜響「ん?ここは?」

 

目を開いた竜響が見たのは真っ白な空間だった。

 

?「ここは俺が作った光の空間だ」

 

竜響「誰だ!?」

 

突然聞こえてきた声に竜響は身構えて叫ぶと周辺から小さな光が集まり、1人の人型へ形取った。

 

エンシャ「驚かせてすまない、俺の名はエンシャ。超古代の地球文明を守るためにある星雲から派遣された者だ。君の力を貸してほしい、この星を守るために」

 

光の人は『エンシャ』と名乗り、竜響に言う。

 

竜響「この星を守るって、あの怪獣みたいな奴からか?」

 

エンシャ「あぁ。しかし奴らは怪獣じゃない。奴らは暗黒人造生命体 ジャドーグ。そのジャドーグが無機物と融合した巨大怪物、暗黒合成獣と呼ばれる邪悪な生命体だ」

 

竜響「ジャドーグに、暗黒合成獣…」

 

電柱や岩石と融合した物体―『暗黒人造生命体 ジャドーグ』とそのジャドーグから生まれた巨大怪物―『暗黒合成獣』であると伝えられる。

 

エンシャ「奴らは星の命を貪り食う。奴らから俺は命を守るために戦った。そして奴らを操る首魁を俺は倒した……ハズだった。だが、奴らの生き残りがまだ残っていた。そして再び地球を侵略しようと行動を起こしたんだ。頼む、この星を守ってくれ」

 

竜響「だ、だが何で俺なんだよ?アンタが戦えばいいだろ?」

 

急に命を、星を守ってくれと言われて竜響は言う。

 

エンシャ「それは俺もしたいが無理なんだ」

 

竜響「なんでだ?」

 

エンシャ「俺の肉体は超古代の時代に滅んでいる。これは俺の力を引き継ぐ者が現れた時に備えたエネルギーでしかないんだ」

 

自身で戦えない理由を言うエンシャ。

 

エンシャ「それに君は他の人間とは違い、特別な存在のようだ」

 

付け加えるようにエンシャは竜響に言う。

 

竜響「俺が特別な存在?」

 

エンシャ「それはいずれ分かるはずだ。だから改めて頼む、君の力を貸してくれ」

 

竜響にエンシャは改めて言う。

 

竜響「………あぁ、分かった!俺にしかできないなら俺がやる!!」

 

少し間を置いて、竜響はエンシャに向かって言う。

 

エンシャ「ありがとう」

 

竜響の回答を聞いてエンシャは両手を竜響に向けると光を出した。

 

エンシャから出た光は竜響の右腕に手甲のようはアイテムと左腰にケースとなった。

 

竜響「これは?」

 

エンシャ「それは右腕のそれは『ビーストスパーク』、左腰にあるのは『ストーンフォルダー』だ。ストーンフォルダーにある石を出してくれ」

 

エンシャに言われるがまま、竜響は左腰にあるストーンフォルダーを開くといくつもの丸い穴が空き、その中に埋め込まれている丸い石を取った。

 

その瞬間に石が輝き、青い色で、白い色で怪獣のような模様が現れた。

 

竜響「なんだ!?」

 

突然変化した石に驚く。

 

エンシャ「それはチェンジストーン…いや、今は『ゴシラストーン』だ。それをスパークの甲に嵌め込むんで、レバーを引くんだ!」

 

変化した石―チェンジストーンことゴジラストーンを見てエンシャはそう言う。

 

エンシャに言われて竜響はゴジラストーンをスパークの甲部分に嵌め込み、レバーを引いた。

 

コネクト・ゴジラ!

 

竜響「獣王解放!!」

 

チェンジ!ウルトラマンビースト!!

 

教えてもらった訳でもないのに竜響は叫ぶと目映い光の柱に包まれた。

 

エンシャ「頼んだ、光を受け継ぎし者…怪獣と人間の子よ………」

 

光の柱に包まれた竜響を見てエンシャはそう言うと崩れるように消滅した。

 

 

 

ロックスパーク「ギルガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

四本脚の蜘蛛型怪物『合成雷虫 ロックスパーク』はコイル部分を光らせて遺跡を破壊しようとした。

 

その瞬間、目映い光の柱がロックスパークの前に現れた。

 

ロックスパーク「!?」

 

光の柱が放つ衝撃波で、ロックスパークの身体はバラバラ砕け散った。

 

ビースト「シェアッ!!」

 

目映い光の柱から尻尾、両手の先は鋭く尖り、尾てい骨には怪獣のような尻尾を持ち、赤と銀のツートンカラー、胸には雫のような形をした光球がついている獣人の姿をした巨人『ウルトラマンビースト』が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人々の前に現れた怪獣に酷似した巨大生物、その巨大生物の前に現れた獣人の巨人、ウルトラマンビースト。

 

果たして、彼は人類の味方なのか…。

 

それとも新たな脅威となるのか…。

 

それはまだ、分からない…。


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