誰かの英雄に成りたくて   作:パーカス

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ハイスクールDxD ~目覚めし怪盗とおっパイドラゴン
転移


この世界の名を知った俺は、風通しの良い場所に移動し座り込み、住宅街を見下ろしていた。

溜息をつきながら……

 

 

「はぁ……」

 

 

何処が簡単な世界なんスか?

明らかに難易度フルMAXじゃん

戦闘経験無いんだよ?まだ戦い方もわかんないだよ?

あの神様は鬼畜神なのかな?

しかもあれからナビみたいな声は聞こえないし、返信も返せないし、どうしたらいいの?

もう一度言うよ?どうしたらいいの?

 

 

そんな感じで俺が黄昏ていると、視界にモニターが突如現れた。

 

 

「ッ!?」

 

 

うぉ!?びっくりした……

何?このモニター?

てか、どっから現れた?

 

 

モニターに触れようと手を伸ばすが、そのモニターに触れる事は叶わずすり抜ける。

何度も触れようと試みるが、全てすり抜けるだけで終わる。

しばらくすると、画面にノイズが走った。

そのノイズが徐々に収まっていくと、画面に俺をこの世界に送り込んだ張本人の姿が映し出された。

 

 

『あぁーあぁー、映ってる〜?』

「あ、あぁ」

『うん、声量調整もバッチリだね』

 

 

何でもありなの?この神様は?

 

 

『さて、とりあえず転送は出来たみたいで安心しました』

「…そうか」

『はい。では、これから貴方の役割と貴方の能力についてお教えします』

 

 

待ってました!いや、てか遅くない?

転送前に教えるのが普通じゃない?

 

 

俺の心の声等届くはずも無く、女神は淡々と説明に入った。

 

 

『まず貴方には各世界に現れる“偽りの神獣”を倒してもらいます』

「“偽りの神獣”?神獣とは何か違うのか?」

 

 

モニターにネットで見た事あるような神獣の画像が、次々と画面に映り出した。

 

 

『神獣とはまた別種のものです。本来神獣とは神話や伝説などで伝承される主の事をいいます。生物、種族、精霊、怪物、魔物等の存在が神獣に値しますね』

 

 

へぇー、そうなんだぁ…

まっっっっったく、知らなかった……

へぇ〜、そうだったんだ…

 

 

『そんな神獣達とは全く異なる存在が“偽りの神獣”です』

「…なるほど」

 

 

名前からして強そうなのはさておき

そんなヤバそうなヤツがいたんだな…

 

 

「その“偽りの神獣”は神獣とは容姿が違うのか?」

 

 

その質問に対し、女神は首を横に振り否定する。

 

 

『“偽りの神獣”は神獣の元を複製して作られています。容姿は疎か、性格も酷似しています』

「それだと倒す事も出来ないぞ?」

『……倒す事も出来ない、ですか…』

 

 

女神が小さく呟き声を上げたが、俺はそれを聞き取る事は出来なかった。

 

 

『ご安心下さい。“偽りの神獣”は神獣の容姿を酷似はできますが、色彩までは似せる事は出来ません』

「…色が違うのか?」

『はい。“偽りの神獣”は全て黒化しています』

 

 

Fateで言うと、オルタ化、みたいなもんか?

 

 

『更にいえば、“偽りの神獣”には黒いオーラを纏っています。そして神獣とは違い、理性等は存在しません』

 

 

ただの化け物じゃねぇか

いや、人間にとっちゃ神獣も化け物には違いないか…

 

 

『質問等はございませんか?』

 

 

俺は顎に手を当てながら、考える。

 

 

質問かぁ…

聞きたい事山ほどあるけど、聞いてもわかんないからいいや

 

 

「いや、問題ない」

『!そ、そうですか、一応貴方の端末にデータは送っておきますので、忘れた時はそちらを確認してください』

 

 

端末?何処にそんなんがあるんだ?

 

 

『では、続いて貴方の能力についてです』

 

 

待ってました!!

端末の事は後回し!

 

 

『貴方のご所望通り、ペルソナ5のジョーカーの能力…そして、Fateのエミヤの能力を与えています』

 

 

おぉー!!つまりエミヤみたいに双剣やら弓なんかで敵をやっつけたり、ジョーカーみたいにペルソナ使って窮地を打破したり出来るのか!

 

 

『貴方はす───で、あつ────には─────い』

 

 

女神が能力について説明をしようとしていた時、モニターにノイズが走り、声が途切れ途切れになる。

 

 

は?え?は?

ちょ、ちょっと待って!?

説明途中で切れるのだけはやめて!?

多分今大事な話してくれてるから!!

 

 

そんな俺の心の叫びなどは聞き届く筈もなく、ノイズは次第に激しさを増していく。

 

 

『ま─────こ───お──────』

 

 

そして、最悪な事に女神との連絡は途切れ、モニターはその場から姿を消した。

 

 

嘘……だろ…?

俺…終わった…?

 

 

俺は絶望の底に落とされた感覚がし、膝から崩れ落ちる。だが俺は、何か思い出しすぐさま立ち上がる。

 

 

そうだ!

あの神さんが言ってた端末に書いてんじゃねぇのか?

 

 

すると、今更ながらポケットに何か入っているのに気が付く。それを取り出すと、生前の頃に持っていた自分のスマホが出てきた。

 

 

これが神さんが言ってた端末?俺のスマホじゃん

ま、いっか

逆にありがてぇし

 

 

俺はスマホを起動し、女神から送られてきたデータを軽く見ながらスクロールしていく。

しかし、自分が今欲している事は何一つ書いていなかった。

 

 

マジかぁぁぁ

使い方もわかんねぇんじゃ能力を持ってる意味がねぇよ…

これが本当の、宝の持ち腐れってやつか?

 

 

そう落ち込んでいると、突然スマホの通知が鳴り出した。

俺は通知の内容を確認した。─────その時。

 

「な!?」

 

 

スマホの画面に仮面を付けた俺の顔が写っていた。よくよく見ると、自分の今の格好がジョーカーの姿そのままになっていた。

 

 

は!?さっきまで俺普通に私服だったよな!?

何でいきなりジョーカーの格好になってんだ!?

しかも仮面まで付けて……

どうなってんだ?てかこのまんまだと街に行けねぇぞ?

 

 

と、内心で驚きながらも、とりあえずで通知の内容を確認した。するとそこには──────

 

 

─────貴方の寝泊まりする場所はマップに提示しているのでそちらを確認しながら向かってください。

それと能力についてなんですが2つ以上のアニメ能力を得る時、どちらか片方の能力の持ち主の格好になりますので、そこはご了承ください。もしその格好を脱ぎたい時は頭の中で念じれば脱ぐ事が出来ます。勿論、その逆も同じ要領でやっていただければ着ることが出来ます。

貴方が無事やり遂げてくれる事を信じています

女神より─────

 

 

そう書き記されており、俺は今一度自分の格好に目をやる。

 

 

これで頭ん中で念じれば脱いだり着たり出来るって、便利だな〜

どれ、いっちょ試してみますか!

 

 

俺は脳内で“消えろ”と念じると怪盗服と仮面が消え、先程までの服装に戻っていた。

 

 

おぉー!!

凄ェ!こんな便利な機能、生前にも欲しかったぜー!

よし!今度は逆でやってみよう

 

 

そして今度は脳内で“纏え”と念じると、仮面と怪盗服を身に纏う事に成功した。

 

 

便利〜!

 

 

そう思っているとふと、気が付いた事が出来た。

ペルソナ5を見た事があるから分かることだが、ジョーカーは確か契約した後に仮面が現れた筈だ。だが、俺はその契約すらしていないのに、仮面を付けている。

つまり……

 

俺は恐る恐る仮面を掴み、周りに誰もいない事を確認した上で、あのセリフと共に仮面を取った。

 

 

「…ペルソナ」

 

 

しかし何も起こらず、外した仮面は手に残ったままだった……

 

だが、俺は冷静にもその現実を受け止めた。

 

 

まぁ、分かりきってた事だけど、いざ使えないってなると悲しいな…

それよりも……

 

 

ペルソナが使えないっというよりももっと深刻な悩みが出来てしまったのだ。─────それは。

 

 

ペルソナが使えない今の俺って、コスプレ……だよな?

俺、めっちゃ恥ずかしいんだけど……

コスプレイヤーさん達には尊敬するよ…俺、恥ずかし過ぎて死にそうだよ……

使えないんじゃ意味無いし、恥ずかしいから脱ごう…

 

 

と、脱ごうとした時、自分の身体に異変を感じた。それも深刻な方面ではなく、逆に体力や力などが上がったような感覚だった。

あまりにも不思議な感覚だったからそれを試す為、不可能だろうと思いながら自分の身長よりも何倍にも高い木に向かって軽く跳ねる。

 

すると何の抵抗もなく一瞬で木の枝まで飛躍し、その枝に着地する。

 

 

エ?え?……え?

待って?めっちゃビビったんだけど…

明らか人間の脚力じゃないよね?普通ジャンプしただけでこんなに飛べないよね?

 

 

俺は今どれ位の高さにいるのか確認する為、下を覗き見ると、地面から何メートルも離れた場所に位置していた事が分かった。

 

 

うわたっか!?

これ降りたら脚の骨折れるぞ!?

てか身体能力も影響してんのか?

と、とりあえず降りてみるか……

 

 

俺は勇気もって下に降りると、ジョーカーのように鮮やかな着地を決め、着地した衝撃等はくる事はなかった。

 

 

これ明らかに両方の身体能力得てんな…

一応ジョーカーみたいに怪盗プレイは出来るみたいだな…

まぁ、とりあえず身体能力が上がってるのは知れて良かった…

 

 

俺は軽く笑みを零し、怪盗服から私服に変え指定された場所まで歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

スマホのマップを見ながら、住宅街を歩いていた。先程まで持ってなかった鞄を肩に掛けながら……

 

鞄は街に入る前に草木の間に手紙と一緒に置いてあった。その鞄は当然自分が生前に持っていた鞄だったので、すぐ自分のだと気付き、回収した。

中身はスマホの充電器にヘッドホン等が入っていた。

 

マップを見ながら進んでいると、目的地に到着した。しかもその目的地は何故か見た事ある家だった。

 

 

あれ?俺この家見た事あるぞ?

あれ〜?何処で見たんだっけ?

ん〜……思い出せねぇ…

 

 

そう悩んでいると、学生服を着た男に声を掛けられる。

 

 

「俺の家の前で何してんだ?」

 

 

声のした方へ振り返ると、その人物の正体に驚かずにはいられなかった。

 

 

兵藤…一誠……

 

 

兵藤一誠…

ハイスクールDxDの主人公でもあり、おっパイドラゴンの称号を持つ男……

何故主人公がここに居るんだ?と思った時、チラッと見た表札に衝撃の名前が書き記されていた。

 

 

─────兵藤、と

 

 

おいおいおい…

聞いてねぇよ……

何で主人公の家に来させたんだよ女神さま〜

 

 

「まさか…」

 

 

何かに気付いた一誠に、どう言い訳しようか脳をフル回転させ考える。

だが、その考えは杞憂に終わった。

 

 

「あんたが夜霧翔か!」

「は?」

「あれ?違ったか?」

「いや…何で俺の名前を……」

「え?いや、普通に母さんが言ってたから…」

 

 

どういう事だ?

何で女神さんは主人公の家を指定したんだ?

意味がわからん…

 

 

「ま、とりあえず入れよ!」

「あ、あぁ」

 

 

そう言われるがままに、俺は兵藤家に入った。

 

 

「母さん、ただいま〜!」

「おかえり〜ってあら?そちらの子…」

「あぁ!あの夜霧翔だってよ」

「まぁ!遠い所からよく来たね!」

「は、はぁ…お邪魔します」

「そうかしこまらなくてもいいのよ!今日からここは貴方も私達の家族の一員なんだから!」

 

 

一体どういう設定で俺はここに来たんだ?

意図が全く掴めん…

 

 

一誠は自分の部屋に鞄を置きに行き、俺は一誠の母に居間まで案内され、椅子に座り出されたお茶を飲みながら話を聞く。

 

 

「さて、今日は長い距離を歩いて来て疲れたでしょ?今日はゆっくり休んで、明日色々と準備をしましょ」

「…準備とは?」

「あら?聞いてないの?貴方を駒王学園に通わせてって書いてたけど」

 

 

そう言って一誠の母は1枚の紙を俺に見せてくる。そこには確かに、駒王学園に通わせてっと書いてあったが、その紙の1番下に何か書いてある事に気付いた。

 

 

─────やっほー女神様だよ?

ここから先は貴方にしか見えない事を書いてあるから、黙って読んでね?

まず貴方には宿泊場所として、この世界の主人公の家にしておいたよ。そっちの方が色々と情報収集が便利になるかな〜?って思ってね!

それと、この家の者達には貴方が遠くから来た親戚の子って言う認識にしてあるから、貴方にもその設定で過ごしてほしいの!お願いね!

じゃあ、これから頑張ってね!応援してるから!

女神より─────

 

 

テンションたっか

前の文脈よりテンション高いぞ?どした女神さん?

 

 

「はぁ…」

「どうしたの?はッ!もしかしてそんなに疲労が溜まってるの!?」

「い、いや、そういう訳じゃ────」

「そう言う事なら早く言ってちょうだい!一誠!」

 

 

俺の言葉に聞く耳を持たず一誠の母は一誠を呼び出す。すると、遠くの方から「はーい!」と返事が返ってき、一誠が顔を出す。

 

 

「翔ちゃんは疲れてるみたいだから部屋まで案内してあげて」

「はーい!じゃあ案内するから着いて来な!」

 

 

俺が疲労してるのが確定になってしまったので、もう言葉に甘えて休む事にした。

部屋まで案内してる途中で、一誠が唐突に話題を振ってくる。

 

 

「なぁ!」

「なんだ?」

「あんたの事、翔って呼んでいいか?」

「別に構わないが…」

「ホントか!?じゃあ俺の事はイッセーって呼んでくれ!」

「わ、分かった」

 

 

グイグイ来るな〜、と思いながらも何故か少し嬉しくなった。

そんなこんなで部屋まで案内され、一誠とはそこで別れ、俺は部屋の中をぐるっと見渡した後、ベットに腰掛ける。

 

 

さて、これからどうしよっか…

女神さんが言ってた“偽りの神獣”の情報が欲しいんだが、今の俺の戦闘力でどこまで追い詰めれるのかわからんから、ちょっと腕試しもしたいんだよな…

でも、イッセーの近くにいると原作に巻き込まれそうだからそこだけは避けたいんだよな〜

 

 

と考えているとふと、自分の能力でまだ試していなかったものがあった事に気が付いた。

 

 

あ、そういえばエミヤの能力、まだ使ってねぇや…

……誰もいないし、今ちょっとだけやってみよっかな

 

 

そう思い俺は手を前に突き出し、そして目を瞑り、ある魔術を唱える。

 

 

「───投影、開始。」

 

 

すると自分の身体が急激に熱くなり、更には血の巡りがより鮮明に感じ、そして目を瞑っていても今自分の腕に魔術回路が現れているが分かる。脳内でもその魔術回路が現れ、そしてその回路の先にある物を投影しようと、している。

手に何かが現れる。いや、その何かの正体はもう知っている。

目を開け、それを確認する。

 

手には剣が握られていた。

 

名前の無い、無名の剣。

だが、その剣は普通の剣とは少し違うように感じた。無名だからなのか分からなかったが、俺はとりあえず投影出来た事に喜ぶ事にした。

 

 

投影魔術は出来るんだ……

やったぜ!これで俺の戦闘力は急激にアップしたぜ!よし!次はエミヤのメイン武器……『干将・莫耶』を投影してみるか!

 

 

俺は再び目を瞑り、脳内にイメージを浮かばせ投影させる。

 

 

「───投影、開始。」

 

 

先程と同じように腕に魔術回路が現れ、そして脳内で回路が光の先へと伸び続け、手に形を表し具現がしようとしていた。

 

─────その時。

 

突如、脳内の回路が赤く染まり、そして時が止まったかのように動かなくなる。そして、次第にそれは崩壊していき、強制的投影魔術を解除させられた。強烈な痛みと共に……

 

 

「グッ!?」

 

 

何とか痛みを堪え、目を開け、息を荒く吸い上げる。汗も尋常ではない程かき、身体が重く感じた。

 

 

なんなんだ?今のは……

意味わかんねぇよ…

……まさか

 

 

俺は嫌な予感を覚えながら、別の武器を投影しようとする。次に投影しようとしたのは、エミヤが使う黒い洋弓だ。

 

先に結果を言うと、失敗に終わった。

干将莫耶の時と同じように回路が赤くなり、崩壊していった。だが、その前に投影をやめたので痛み等はこなかったが、俺は1つの確証に至った。

 

 

もしかして俺はあの武器以外投影出来ないんじゃないか?

 

 

俺は無駄だと分かりながら、適当に脳裏に過ぎった武器を投影してみる。

 

─────成功した

 

なんの問題もなく、右手にはRPGでよく見るロングソードが握られていた。理解が出来なかった。俺は他にも投影出来る物がないか試す。

 

投影出来た物は剣、短剣、槍、弓、銃等の様々な武器や武器外のも投影する事に成功した。

 

俺は悩んだ末に、ある答えに辿り着く。

 

 

名前のある武器…つまり()()()()()は俺では投影する事が出来ない

 

 

実験の結果、エミヤが使っていた数々の武器を投影を試みたが、投影出来たのは基本生産出来るような武器のみだった。

 

俺は投影し続けたせいか疲労感が凄く、着替える事無くベットに寝転ぶ。

 

 

はぁ……

何でこうも上手くいかないのかね…

 

 

内心で落胆しながら、そのまま俺は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、やっぱり調子悪いな〜」

 

 

1人の女性がモニターの前で色々とボタンを弄っていると、その後ろから声を掛けられる。

 

 

「失礼します。仕事の件で少しお話を………何をなされているのですか?」

「ん〜?ちょっとモニターの調子が悪くてさぁ〜、ヨミちゃん機械系とか得意〜?」

「ヨミちゃんはやめてください、私は機械系とかそういった方面は苦手です」

「そっかー、じゃあ誰かに直してもらおっと♪」

 

 

女性は上機嫌なまま椅子に座る。

その横に書類を持ってきた女性が立つ。

 

 

「姉上の言った通りに書類を持ってきたのに、姉上は何遊んでるんですか?」

「別に遊んでなんかないよ〜、あと!仕事中は何て呼ぶでしたっけ?」

 

 

女性は笑顔で質問し、溜息をつきながら呆れた顔で横に立っていた女性が答える。

 

 

「はぁ……じゃあ今すぐ服を着てください─────

 

 

 

───────天照大御神様

 

 

 

そう呼ばれた女性は嬉しそうに微笑み、椅子に掛けてある羽衣を纏い書類を受け取る。

 

 

「はいはーい、じゃあ何の話があるのかな?─────ツクヨミ?」

 

 

呼ばれた女性は真剣な顔で天照大御神に質問をする。

 

 

「何故、彼に嘘をついたのですか?」

「何が〜?」

 

 

天照大御神は惚けるように書類を見ながら、聞き流す。しかしツクヨミは更に質問をしていく。

 

 

「本来、神の使徒なんて存在しません。なのに貴方は彼を存在しない神の使徒にした」

 

 

ツクヨミは少し睨むように、聞く。

 

 

「何故ですか?」

 

 

天照大御神は書類を見るのをやめ、ツクヨミを見る。

 

 

「そんな怖い顔しないで〜」

「私は生まれつき目付きが悪いだけです」

「嘘だよ〜、絶対今睨んでたでしょ?」

「睨んでません」

「え〜」

「それより、早く答えてください」

「ん〜」

 

 

天照大御神は何か悩み、そして口を開く。

 

 

「使徒に理由は2つあるよ」

「2つ?」

「1つは純粋に“偽りの神獣”を倒してほしいから使徒にした」

「それでしたら使徒以外の方法でも良かったのでは?」

「それが2つ目の理由なんだよ?」

「え?」

「彼をね、使徒にした理由はね……

ただ純粋に生きて欲しかったからだよ?」

 

 

予想だにしていなかった答えに、ツクヨミは呆然としていた。

 

 

「……理解出来ません。もう少し詳しく説明してください」

 

 

そういうと天照大御神は悲しそうな顔をしだした。

 

 

「姉上?」

「あ、うんうん!気にしないで!えっと、これはもし彼が転生したらの未来像なんだけど…」

「はい」

「彼はどの世界に転生しても、()()5()()()で死んじゃうの」

「……え」

 

 

ツクヨミは理解出来ず、慌てて質問する。

 

 

「ど、どういう事ですか?普通転生した者は早くて30位で死ぬのが当然の筈では?」

「そう、普通はね?でも彼は違う。死ぬ理由は様々だけど必ず彼は5歳半で死ぬの」

「ど、どうしてですか?」

「原因は彼の中にある“心”です」

「心、ですか?」

 

 

天照大御神は目を瞑り、あの時見た少年の心の有り様を思い出す。

 

 

「…彼の心には複数の鎖が繋がれています」

「鎖…」

「その鎖の1つが彼の周りに影響を及ぼし、彼を死に追いやっているのです」

「……それだと使徒にしても意味がないのでは?」

「彼が望む能力に私の加護を混ぜて起きました。これで彼が死ぬ事はありません」

「…“偽りの神獣”と戦わせている時点で死ぬ未来は変わらないのでは?」

「それが契約なんだもの…変える事はできないわ…でも彼が死んだ時、再びこっちに転移されるようにはしてるよ」

 

 

ツクヨミは天照大御神の机に置いてある夜霧翔の写真を手に取る。

 

 

「…それでも彼に執着する姉上の考えは分かりません」

「ヨミちゃんは実際に会ってないから分からないだけだよ〜」

 

 

いつもの調子に戻った天照大御神にムスッとした顔で見る。

 

 

「じゃあその彼をモニターで見せてください。あとヨミちゃんはやめてください」

「それがモニターの調子が悪くてね、機械に詳しそうな(ひと)に任せよっかな〜って思ってて」

「それで先程までモニターを弄ってたんですね」

「ついでだしヨミちゃんも一緒に行く?」

「まぁ、暇ですしお供させて頂きますよ。あとヨミちゃんはやめてください」

「えぇ〜!」

 

 

ツクヨミは先に部屋から出て行き、天照大御神はそれを追おうとした時、ふと写真に目を向ける。

 

天照大御神にはツクヨミに言わなかった彼に執着する理由はもう1つ存在する。

それは─────

 

 

─────彼の思考や心の声が読む事が出来なかった

 

 

 

神の力を持ってしても、夜霧翔の考えは全く読めなかったのだ。

 

しかし、神にとってはそんな異常(イレギュラー)は娯楽の1つに過ぎなかった。

彼女は今後どうなるか楽しみにしながら、ツクヨミの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神界での夜霧翔(イレギュラー)の存在はまだ、序奏に過ぎなかった…




これって設定とか書いた方がいいのかな?
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