LoveLive! Prismatic Sunshine 作:ジュラーヴリク
誠に申し訳ありませんでした。
うつ状態の療養と再就職、それらに伴う生活環境の変化や、そもそも創作意欲が落ち込んで筆が全く進まなかった。というのが主な理由です。
自作を何度も読み返し、推敲してようやく一話書けました。
これからも不定期更新になると思いますが、拙作を何卒よろしくお願いします
昼食休憩が終わり、曜に指定された防波堤で約束の時間を待つ。
真生「曜に言われて来たはいいけど、ちょっと早かったか……?」
今日の日付に何かしらの関連があったか考えてみたが、特に思い当たることはなかった。
今後の段取りや夕飯の献立など、色々と考えていると、ふと誰かが近づいてくる気配を感じた。
真生「わざわざ別行動するなんて、珍しく回りくどいコトするじゃねーの?」
果南「べ、別行動……?」
振り返った先にいたのは、曜ではなく果南ちゃんだった。
真生「あ、いや……なんでもない」
半端にカッコつけて外すとめちゃくちゃ恥ずかしい。さてどうしたもんか。
果南「あー……っと、曜ちゃんに今日の14時にこの防波堤に来てって言われてたんだけど、もしかして真生も?」
真生「そうだけど」
なおさら合点がいかない。俺と果南ちゃんをわざわざ呼び出して、且つ呼び出した本人は姿を見せない。アイツにしては不自然すぎる。
真生「まあいいか。ゆっくり待とうぜ」
果南「それもそうね。……曜ちゃん、ありがとう」
真生「なんか言った?」
果南「ううん、なんでもない! じゃ、隣に失礼して」
横並びで防波堤に腰を下ろす。
耳に馴染んだ内浦の波の音がする。
果南「ねえ真生、スクールアイドル部の調子はどう?」
真生「調子はどうって言われてもなぁ……。まあ……なんとかなってるよ。とりあえず。今は人気稼ぎが第一目標ってトコ」
果南「人気稼ぎね。あ、こないだダイヤが教室でプンスカしてたのはそういうことか」
真生「プンスカ……ねぇ? どんなカンジで?」
果南「『地元の人気者程度で! 統廃合阻止できるくらい入学希望者が集められるなら! とっくに! 私が! やってますわ!!』って。言いながら机叩いて後から痛がってた」
思ってた三割増しくらいプンスカしてた。
真生「……前から思ってたけどさ、やっぱりダイヤ先輩って相当愉快な女性(ヒト)だったりする?」
果南「愉快っていうか、ポンコツって言ったほうがいいかも。この前なんてスカート捲れて危うくパンツ丸見えになるトコだったんだよ?」
真生「いやいや、パンツ丸出しは流石に盛ってるでしょ」
果南「ところがぎっちょん、これがマジなんだよねぇ〜」
にわかに信じ難いが、まさかそこまで古典的なポンコツムーブは流石にしないだろ。とはいえ、ポンコツっぽいのは確定か……
仲良くするキッカケにはなりそうだな。
果南「あ、なんかワルい顔してる」
真生「ぃいや、べっつに〜?」
果南「ウソ。なんか策に溺れないタイプの策士みたいな顔してた」
真生「いや、どんな顔だよ」
果南「さっきの真生の顔! ……真生の表情、か」
ふと果南ちゃんを見る。その表情は、いつの間にか暗く沈んでいた。
果南「……この前さ、一緒にスクールアイドルやらないかって誘ってくれたよね」
真生「フラれちゃったけど……な」
果南「私、キツい言い方……しちゃったよね……」
真生「あぁ、アレか。別に気にしてないよ」
果南「ウソばっか。……あの時の真生、一瞬だけ悲しそうな顔してた。私の……言いかたの……せいで……」
待ってくれよ。なんでそんな泣きそうになってんだよ。俺は本当に気にしてないんだ。
ああもう、じれったいな。
果南「……っ!?」
真生「……こうすればわかってくれるかな? こないだのことは、もう気にしてないってこと」
有無を言わさず、果南ちゃんにハグをする。
果南「……うん。わかった」
数瞬置いて果南ちゃんがハグを返してくる。
俺を含めた、彼女と親しい人間だけに通じるボディランゲージだ。
果南「ねぇ真生」
ふと、果南ちゃんが口を開いた。
真生「なぁに?」
果南「もう少し経ったら……また誘ってくれる? 色々立て込んでて……まだ余裕なくってさ。来月にはなんとかするから」
真生「OK。来月ね」
先に立ち上がりながら果南ちゃんの手をとる。
果南「さて、と。千歌たちのこと、待たせてるんでしょ?」
真生「ああ。あんまり待たせるとまた機嫌を損ねそうだ。果南ちゃんも、帰り道気をつけてね」
防波堤の終わりで二手に分かれる。
果南「あーあ。来月って言っちゃったな……」
───side:ルビィ
千歌「あれ!? ……カメラのSDカードの予備忘れた!?」
ルビィ「大丈夫です! ここにあります!」
千歌「え? あぁ〜よかったぁ〜……ルビィちゃんありがとう〜!」
曜「おぉ……、ナイスアシスト……」
善子「あんた、お昼休みの間になにがあったのよ? なんか、さっきから張り切ってるけど」
そう。普段はクールで頼れる、正に『お兄ちゃん』ってカンジの真生さんが、頼ってくれたんだ。
ふと、肩に手が置かれる。
梨子「……ルビィちゃん。その話、詳しく聞かせてくれる? 」
梨子先輩が見たことのない表情をしていた。
ルビィ「ヒィッ!? ご、ごごごごごごめんなさい!!」
梨子「待って、違うの! 怒ってないから!」
ルビィ「ふぇ?」
梨子先輩の表情が、途端に柔らかくなる。
梨子「真生くんってね、一人でぜーんぶ抱えて無理するタイプなの。付き合いが短い私でも、すぐわかるくらい」
一人で無理する……全部抱えこむタイプ……
梨子「頼った相手が私じゃないのは、ちょっとだけ……ううん。結構悔しいけど……でも、真生くんが『人に頼る』って方法を採ったのが、なんか嬉しくて」
お姉ちゃんと、同じだ。
ルビィ「あの、梨子先輩。わたし……真生さんは……先輩のこと……」
言いかけて、口をつぐむ。私が言っちゃうのは違う気がしたから。
ふと見渡すと、いつの間にか真生さんが合流していた。曜先輩たちと話してる表情から察するに『午後イチの別件』も済んだみたい。
よし! 私もまだまだがんばらなきゃ!
気合いを入れなおしてから、真生さんに進捗などの共有をするべく歩み寄り、声を掛ける。
……あれ? 今ルビィ、真生さんのことなんて呼んだ……?
───
真生「ごめん。遅くなった」
一声かけ、合流する。撮影のほうも一段落つくところだったらしく、小道具に使った内浦みかんを曜ちゃんから手渡される。
曜「ん、おかえり。『午後イチの別件』は済んだの?」
真生「ああ。おかげさまでな」
曜「それはよかった」
残っていた疑問を曜ちゃんにぶつける。
真生「なぁ。一つ聞きたいんだけどさ。さっき、あの場に俺と果南ちゃんを呼び出しといてなんで曜ちゃんは来なかったんだ?」
曜「あぁ、それね。実は、その『別件の待ち合わせ』って果南ちゃんに頼まれてたんだよね」
果南ちゃんに頼まれてた?
曜「『こないだ真生にキツくあたっちゃったの謝りたいから二人きりになれるタイミングを作ってほしい』って言われてさ。……回りくどいことしちゃってゴメンね?」
いたずらっぽい笑みを浮かべながら、曜ちゃんが謝罪する。俺としては別に咎める気もない。むしろ、わだかまりを解くことができたことに感謝しかない。
真生「そういうことだったのか……。曜ちゃん、本当にありがとう」
曜「どういたしまして」
互いに、数瞬ほど微笑み合う。
ルビィ「あ……お兄ちゃん! ……用事は済んだの!? ルビィね!」
真生「ああ。バッチリ解決したよ。その様子だと、ルビィもがんばってくれたんだな! 偉いぞ!」
トテトテとこちらに駆け寄ってくる頼れる後輩を受け止め、労う。
ルビィ「うん! ……えへへ」
真生「ん……? お兄ちゃん?」
半ば無意識に頭を撫でていた彼女からは馴染みのない呼ばれかたに、一拍置いてから気づく。
ルビィ「……? ッッッ〜〜〜!?」
俺が気づくと同時に、ルビィちゃんも気づいたらしい。瞬間移動じみた速度で間合いを開き、しどろもどろで弁明し始める。
真生「……あーっと、ルビィちゃん? 俺は、別に気にしてないよ……?」
ルビィ「くぁwせdrftgyふじこlp」
ダメだ。ルビィちゃん的には『本気(マジ)でやらかした』レベルらしい。俺は気にしてないんだが……
曜「お兄ちゃん……? 真生、あんたルビィちゃんにナニ吹き込んだの?」
真生「いや……悪いが心当たりは無い」
ルビィ「ちがうんです! ルビィが呼び間違えただけで!」
千歌「おお……! 妹……キャラ……!」
担当パートを撮り終えた千歌が割って入ってくる
千歌「ルビィちゃんお願い! 1回だけでいいの! 『お姉ちゃん』って呼んで!」
ま た バ カ が バ カ な こ と 言 い だ し は じ め た
ルビィ「えぇ……」
ほら見ろ。先輩の奇行にルビィちゃんもドン引きしてんじゃねえか
ルビィ「えっと……千歌……お姉ちゃん……?」
あ、そこは無茶ぶりにもちゃんと応えるんだな。
千歌「んっ……! フフフ……ちょっとこれ……想像以上にヤバいかも……!」
曜「千歌ちゃん大丈夫……?」
梨子「千歌ちゃん、すごいニヤニヤしてる……。真生くん、なんでさっきの不意打ちお兄ちゃん呼びが平気だったの?」
真生「たしかにびっくりはした。なんでかってのは、俺がお兄ちゃんだから」
梨子「説明になってるようでなってないよ!?」
曜「ああー、そういえばそうだったっけ。陽菜ちゃん、元気にしてる?」
そういや梨子には言ってなかったっけ。仙台に妹がいるってこと。
梨子「……妹さん、いたんだ」
真生「ああ、そういや梨子には言ってなかったっけ」
善子「はいはい! ルビィも先輩たちも、ここでの動画も撮り終わったし、この後のスケジュールもあるから一旦戻りましょ!」
善子の一言で、いつものグダグダやりはじめる雰囲気が切り替わる。
真生「……っといけねぇ。そうだったな」
善子「そうよ。編集とかのほうが時間かかるんだし、アンタはむしろ今からのほうが本番でしょ? しっかりしてよね」
真生「ああ。悪い」
───そして、その日の夜
編集作業も一段落し、ここしばらくハマってるゲームの愛機を駆っていると、ふとノックとともにドア越しに声を掛けられた。
善子「ねえ真生。入ってもいい?」
真生「善子か。鍵は開いてる」
善子「……その、昼間はごめんなさい。出しゃばっちゃって」
真生「ああ。まぁ、気にすんなよ。あそこでグダグダやり始めるのが前までの俺たちの悪いトコだったんだ。その流れを変えてくれたこと、むしろ感謝してる。ありがとう。それと、すまなかった」
善子「今の流れでなんでアンタが謝んのよ。……アンタもこの作品好きなのね。ちょっと機体構成見せてよ」
妙なところに食いついてきた。千歌たちは欠片も興味なさげだったんだが。
真生「一応言っとくけど、あまり面白くない構成だぞ?」
善子にコントローラーを手渡す。
善子「……このカラーリング……『白騎士』ってまさかアンタだったり?」
真生「『白騎士』? 誰だそりゃ?」
善子「知らないの? ネームドプレイヤーよ。白地にダークブルーのラインマーキングが入ったミグ……あっ!」
慣れたような手つきで模擬戦モードを起動し、俺の機体を動かしはじめる。振り回されつつも、一応はまっすぐ飛ばせている。敵の対空砲火を避けつつ……墜落した。
リトライ画面のまま、無言でコントローラーを返される。
善子「なにこの……なに……? 戦闘機でバレエでもやるつもり!?」
真生「……どっちかってーとワルツ向きなんだがな」
善子「そうじゃなくて、じゃじゃ馬すぎ!」
運動性を強化しつつレールガンやレーザー等の次世代型特殊兵装も積めるようにチューンしてる以外はフツーのラーストチカだ。もっとも、この『超本格的エースパイロットごっこゲームの仕様』という括弧書きはつくけど。
真生「ざっと1分……ま、千歌よりだいぶマシか。アイツ、同じ状況で20秒で堕ちたからな。それとオマエ、たぶんラファールみたいな素直な機体のほうが相性良いと思う」
善子「ぐぬぅ……ラファール……、これね。使ったことないけど、一応私なりにカスタムさせなさい」
真生「お好きなように」
欧州系らしく曲線主体の優美なシルエットをしたクロースカップルドデルタの機体だ。極端な弱みのない性能で厄介な相手でもある。
彼女が施したチューンも、誘導性を上げたミサイルの確実な命中を狙った手堅い構成だ。
思ったとおり、こっちの方が無理のない綺麗な飛びかただ。
善子「クククッ……このヨハネにかかれば疾風を御することくらい容易いのよ!」
真生「ヨハネ? って……最初に会ったときにやってたキャラ付けか」
善子「そう! 津島善子というのは、この現世を生きる為の仮の姿! 私はヨハネ! 漆黒と純白を併せ持つ、堕天使ヨハネよ!」
楽しそうにしやがって……。
真生「なあ。俺が言うのも違うと思うけどさ……」
そーゆーのを無理に溜め込むと、後々キツくなるぜ。
ふと、遠慮がちなノックの音がする。マルちゃんだ。
花丸「失礼します。善子ちゃーん、そろそろ寝ないと明日に響くずらよー」
時計に目を向けると、確かに良い子は寝てなきゃヤバい時間になっていた。
真生「ほら堕天使サマ。ラッパも鳴ったし、善い子は寝る時間だ!」
善子「ヤダ! あとちょっと!」
真生「ダーメーだ」
仕方ない。強硬手段を採らせてもらおう。
真生「ダミーシステム起動だ。これより自動操縦で帰艦する〜」
善子「ひゃっ!?」
手の大きさの差を利用して操作を上書きし、自機の母艦に戻る。
《こちら空母 マクタビッシュ。貴機はこちらの管制下に入った。着艦を許可する》
アナウンスと共に画面が切り替わり、着艦パートに移行した。慣れないラファールだが、風の影響がないなら余裕だ。
《完璧な着艦だな。無事に戻ったようで何よりだ》
ゲーム機とTVモニターの電源を落とす。
善子も諦めて寝室に戻るようだ。
花丸「では、おやすみなさいです」
善子「……おやすみ」
真生「ああ。おやすみ」
二人が部屋に戻ったのを確認し、俺も床に就く。
ああ、なんだか今日は随分長く感じたな。よく眠れそうだ。
───翌朝
千歌「おはよ〜」
真生「千歌か。おはよう」
朝食の準備をしていると、珍しく千歌が最初に起きてきた。
千歌「手伝うね」
真生「おう、頼む」
今朝の献立はスズキの西京焼きに、自家製の漬物、ワカメと豆腐の味噌汁だ。
千歌「いい匂い……今日は?」
真生「PVの原型の手直しと、あとはどうすっかなァ……釣りでもして部費と晩メシを稼ぐか?」
千歌「釣りはヤダ。PVは……皆でやろっ。生徒会長さん達をギャフンと言わせてやるんだから」
真生「ギャフンと……か。そうだな。やってやろう」
そんなことを話しているうちに、朝食の匂いにつられたのか他メンバーも起きてきた。
朝食後も特に問題なく、PVの手直しや軽い基礎練メニュー、学生の本分でもある週末の宿題をこなし、夕方頃に解散となった。
───翌日。
鞠莉「さて。お互い忙しいし、手短にいきましょう。昨夜ラブライブ公式サイトにアップロードされたアナタたちのPV、2日で作った割には悪くないワ」
放課後、再びマリー先輩たちと理事長室で相対する。
千歌「ホントですか!?」
曜「やった!」
ダイヤ「ランクも一時的にですが、上昇傾向が見られますね」
梨子「頑張っただけはあった。ってことですね!」
まぁ、千歌たちのビジュアルがウケたってのも少なくはないだろうけどな。俺に言わせれば、そこらのテキトーなキャラ付けをゴリ押しする量産型アイドルより、コイツらのほうが100倍……いや、軽く見積もって2000倍はかわいい。
ただ……
真生「……プチバズりが長続きするとは思ってませんよ」
半ばひとりごとのように呟く。
鞠莉「……そうネ。そこで、アナタたちにちょっとしたQuestの舞台を用意したワ」
マリー先輩がパンフレットを数冊取り出し、扇のように広げたまま、こちらに手渡す。
千歌「すくーるあいどる……ふぇすてぃばる? いん、とーきょー?」
曜「会場は、アキバ……ドームですか」
梨子「秋葉原……」
驚愕した二人とは反対に、梨子の表情がわずかに曇る。音ノ木坂は確か秋葉原のすぐ近くだったハズ……
真生「……気まずい?」
梨子「……ちょっとだけ、ね」
真生「大丈夫。俺たちが……いや、俺がついてる」
梨子「ありがとう。真生くん」
次の目標は、アキバドーム。
スクールアイドルフェスティバル in Tokyoだ。
関係ないけど、宮城県の港町の地酒って、沼津港で多く水揚げされるカツオやマグロなんかの赤身魚、及びイワシやアジなんかの青魚と相性抜群なんですよね。
シーズン本格化まで1クール近くあるけど、敢えて分厚く切った初ガツオやイナダの刺身に、おろしにんにくマヨ醤油をたっぷりつけ、キリッと冷やした日本酒や濃いめの焼酎ソーダ割と共に一杯呑ると昨今の酷暑にも抗えるくらい精がつくので、今年の初夏あたりに飲みすぎない程度に呑ってみてください。