LoveLive! Prismatic Sunshine 作:ジュラーヴリク
今回の言い訳は
・お盆明けから仕事が忙しかった
・単純に筆が進まなかった
・優木せつ菜ちゃん専用ガンダムのアイディアを纏めてた
・今更メタルギアソリッドVやCOD:IWで遊んでた
の主に4つです。
それはそうと、スクスタではランジュとミアが正式に加入しましたね。自分はソシャゲと相性が悪いのでやってませんが、推しが増えそうです助けてください。
「「ただいまー」」
「おかえり〜」
「おじゃましまーす」
「お邪魔します。……しいたけは?」
「しいたけは美渡姉が散歩に連れてったみたいだし、そんなビビらなくてもいいよ。梨子ちゃん」
奥から志満姉が迎えに出てくるとほぼ同時に、遠くからしいたけの満足気な鳴き声と美渡姉の足音が僅かに聞こえてきた。マズイ、梨子ちゃんの頬がひきつってきている。
志満姉たちの世間話の腰を折るかたちになるけど、梨子ちゃんの精神的ダメージを避けるため、協力してもらうことにしよう。
「千歌、しいたけが散歩から帰ってきたみたいだ。荷物は俺が運ぶから、梨子ちゃんの案内を頼む」
「りょーかい」
「へえ、梨子ちゃんは千歌ちゃんの部屋に泊まるんだ。じゃあ私は真生くんの部屋に泊まっちゃおうかな〜?」
「「曜ちゃん!?」」
「いきなりなに言ってるの!?」
思わずハモる俺と千歌。目を丸くする梨子ちゃん。いや危ねぇから階段で振り返るなよ。
「冗談、冗談」
「ったく、冗談キツいぜ曜ちゃん」
(割と本気だったんだけどな……)
「え? なんだって?」
「あっ……んーん、なんでもない! さーて晩ご飯まで時間あるし、やるぞー!」
曜ちゃんが微かに呟いた一言。その意味は何となく解ったが、聞かないふりをした。
夕飯を食べ終わってからも少し作業して、そこで決まったこと、既に動きだしたことを整理すると
・作詞担当→高海千歌
・作曲担当→桜内梨子
・衣装担当→渡辺曜
・その他色々→宮代真生
目標→廃校阻止!!!
グループ名→???
オリジナル曲→鋭意制作中!!
目標や各自の担当はきまったけど、それだけだ。そもそも作詞担当がつまづいているのだ。
「んぁぁぁ〜〜……なんも思いつかないぃぃぃ〜……」
ベッドに仰向けに倒れこみ、ジタバタする千歌。おいスカートで暴れてるからパンツ丸見えになってんぞ。それでいいのか『花も恥じらうじょしこーせー』
「……よし! 気分転換に映画でも見るか!」
「映画? 私、あんまりハードなのは苦手かも……」
「私は真生くんのセンスに任せるよ」
「心配無用。直球学園ロボットアニメだから安心して見られるハズだ」
心配する梨子ちゃんと余裕? をもって構える曜ちゃん。正反対のリアクションを見せる二人に見せたのは『歌と三角関係、可変戦闘機の美しい空中戦』が見どころのロボットアニメの劇場版だ。
「あ、そっか……私の『好き』を全部ぶつけてみればいいんだ……!」
「『フラれても好きだから、愛してる』……そんなのアリなんだ……」
「ちょっと金髪の方のヒロインいい女すぎない……? こんな人絶対いないよ……?」
「梨子ちゃん……? 曜ちゃん……?」
クライマックスの辺りから二人とも急に黙り込んでいる。いや、なんか妙に食い入ってる。
そういや、千歌がさっきから静かになってる。見ると黙々とノートに詞を書き殴っていた。
……こりゃ、俺は一度席を外した方がよさそうだ。
「今、俺がいたら千歌の邪魔になりそうだ。一階で色々やってるから、ひと段落ついたら教えて」
「うん、わかった」
梨子ちゃんに小声で一言伝えると千歌の部屋を出て、風呂の用意やおやっさんの明日の仕込みの手伝いをこなしていく。始めてまだ半月程の仕事だが慣れたものだ。
あらかた片付いたところで美渡姉が上がったので、風呂に入ることにする。美渡姉の次だと熱いんだよなぁ……
side:梨子
真生くんが部屋を出て一時間くらい経っただろうか。曜ちゃんは千歌ちゃんが書き殴ったフレーズをヒントに衣装のデザインを起こし始めている。でも私は? ところどころフレーズを起こしてはいても、詞を見ずに曲を創り始めてそれが詞と噛み合っていなかったら元も子もない。そんなことを考えてしまい、どこか手持ち無沙汰になっている。
お互いに考えてる事を察しあって行動できる。あんな感じを『相棒』っていうのかな……
ない物ねだり、いや、『いない者ねだり』だと分かっててもなんか憧れちゃうな……
────
「できたぁぁぁ〜……多分。あとはこれを整えていって……あーたまーがオーバーヒートしそうー」
「ってことは、丁度いいタイミングだったかな? つーかなんだよその歌」
千歌の部屋に戻ると、歌詞の原型ができたところで限界がきたのかノートに突っ伏している千歌が目に留まる。お前作曲担当のほうがよかったんじゃねえの。
「あっ、いつの間に! ……なんかいい匂いするし!」
「明日の仕込みとかするついでに先に風呂入ってた。それと美渡姉が『キリのいいとこで風呂入ってこい。アイドルやるってんなら肌の調子は保て!』だとよ」
「えっ、もうこんな時間!?」
「やばいやばい。明日も朝練するから早く寝よ! 千歌ちゃーん、布団はどう敷く?」
急いで机の周りを片付け、着替えを出したり布団を敷き始める三人。すると梨子ちゃんが顔を赤らめながら言われる。
「あ、ねぇ……真生くん。その、部屋に戻ってくれるかな? ちょっと恥ずかしいから……」
「え? ……あっ! ごめん! なんも見てない! すぐ出る!」
急いで隣の自分の部屋に駆け込む。
イメージカラーの『サクラピンク』と『ライトブルー』ってそういう……自分の動体視力の良さを今だけは恨む。
布団に入ると今週溜まった疲れが襲ってくるが、目と頭は冴えている。
何度めかの寝返りをすると隣に誰かがいるような『心地よいいづさ』を感じる。努めて冷静に話しかける。
「どうしたんだよ? 曜ちゃん」
side:曜
千歌ちゃん達が寝たのを確認すると、音を立てないように隣の部屋に忍び込む。多分こうでもしなきゃ、彼と二人きりになれるタイミングなんてないから。
「どうしたんだよ? 曜ちゃん」
「……ごめん真生くん。……ちょっとだけ、ちょっとだけこうさせて……。明日にはいつもの渡辺曜に戻るから」
真生くんから拒否されるような言葉や雰囲気はない。彼の無言に甘えることにして背中に抱きつく。あれ? こんな背中広かったっけ……?
「……ありがとう」
「……ああ」
「……最近ね、なんか変なんだ……。昔みたく千歌ちゃんの思いつきに私が乗って、真生くんが作戦立てて、色んなことやってさ……。今はそこに梨子ちゃんが加わって……真生くんが私たちよりちょっと大きくなって……。
変わったのは、その二つだけなのに、梨子ちゃんが千歌ちゃんと真生くんと仲良くしてるたび……私の胸の奥で粘っこくて汚く濁った色の炎が燻ってる気がするの……。
ホント……なんなんだろ……コレ。自分のことなのに自分がイチバン……ワケわかんない……」
幼馴染の背中に抱きつきながら、一方的に話す。
ふと息継ぎをしようとした瞬間、背中を向けていたハズの真生くんがこっちに向き直りそのまま抱きしめられていた。
多分今、色んな感情が混ざって私の顔は醜く歪んでいるんだろうな……
───
曜ちゃんの独白を聞いているうちに、自然と彼女を抱きしめていた。自分でもよく解らないけど、ただ何となく、すぐ隣で泣きそうになっている『女の子』を放っておけなかった。
───翌朝、十千万前の砂浜
「……曜ちゃん? いつの間に真生くんトコで寝てたのの?」
「あぁうん、寝ぼけてた……のかな?」
「暗かったし部屋間違えたんだろ?」
「そうそう! それ!」
「「なんか怪しい……」」
起きたら布団が空だった曜ちゃんと、同じ部屋から出てきた俺は揃って千歌と梨子ちゃんの二人に問い詰められていた。朝5時から。砂浜に。正座で。
さて、詞も曲も衣装も原型ができて調整しているが、肝心のユニット名にピンとくるものが出ない。梨子ちゃん発案のスリーマーメイド、俺は良いと思うけどな。
閑話休題。
ランニング後のクールダウンとして砂浜を歩いていると、千歌がなにかを見つけたのか走っていく。
「ねえー! なんか書いてあったよー!」
千歌に呼ばれて行ってみると、砂に『Aqours』と書かれていた。
「なんて読むんだろ……? えー、きゅー、あわーえす……?」
「『あきゅあわーず』もしっくり来ない……」
「あきゅあわー……ッ! そうか! これで「こう書いてアクアって読むのかもしれない!」 ……梨子ちゃあん。それ俺が言おうとしたのに……」
梨子ちゃんがしたり顔で笑顔を浮かべる。
口々にAqours=アクアと呟いてみる。妙にしっくり来る気がする。
「ねえ、私たちのグループって名前決まってなかったよね?」
「多分、みんな同じこと考えてると思うよ」
「千歌、お前の思いつき、聞かせてくれないか?」
「うん! 私達がそれぞれ初めて出会ったこの砂浜で、このAqoursってコトバに出会った。これって奇跡だよ。だから、このAqoursを私たちのグループ名にしよう! どう?」
「異議なし!」
「大賛成!」
「スクールアイドル・Aqours……」
「よぉし! 私達は、今からスクールアイドル・Aqoursだ!!」
───
すべてがはじまった小さな砂浜で奇跡的につけられた名前『Aqours=アクア』を掲げ、改めて俺達は地道に練習を進めていった。
沼津駅前や浦の星校内、十千万ロビー、役場、路線バスでのチラシの配布及び掲示、田舎町特有の広域無線放送、手段は選ばず宣伝もした。
出来ることをしているうちに1日、また1日とファーストライブ当日へと近づいていく。
───
そして、ファーストライブ当日
《……今日の沼津はお昼すぎから明日朝にかけて天気下り坂となり、ところにより雷雨の恐れがある模様です》
「午後から雨か……」
「大丈夫大丈夫! 人事を尽くして運命を待つ! って言うでしょ」
いつものバス停で梨子ちゃんと合流する。
「それを言うなら『人事を尽くして天命を待つ』でしょ? おはよう。……いよいよ当日、だね」
「おはよう。……そうだね」
「なんだ千歌、珍しくビビってんのか?」
「ッ! ビビってねーし! そういう真生くんだって、本番で裏方トチらないでよ?」
他愛もない雑談をしているうちに浦女行きのバスが来る。どう転んでも今日が俺達の天王山だ。ビビるな、俺。
───
「照明、ヨシ。マイク、ヨシ。スピーカー、ヨシ。トラブった時のマニュアル、ヨシ。オールクリア」
「何回見直してるのさ?」
「ああ、曜ちゃん。天気も悪くなってきてるし、動いてないと、なんか不安でさ……」
「やることは全部やってきたんだし大丈夫。それに、作戦担当がオロオロしてたらこっちまで不安になってくるじゃん。大船に乗ったつもりで、あとは私たちに任せなさい!」
そう言うと曜ちゃんに笑いながら尻を叩かれる。
「ちっちゃい時から真生くんがなんとかしてくれた。今度は私たち、ううん、私がなんとかする番。じゃ……そろそろ本番だから行くね。目標達成へ全速前進、ヨーソロー!」
なんとかしてくれたから今度はこっちがなんとかする。敬礼しながら笑顔で曜ちゃんが言ったその一言で楽になれた気がする。大丈夫。あの三人なら大丈夫だ。
───そして開演時間
side:千歌
私の思いつきに曜ちゃんが乗って真生くん……違う、真生が作戦を立ててなんとかして。それが今まで。今度は、私たちで真生の状況をなんとかする番。曜ちゃん、梨子ちゃん、やろう!
ステージの幕が上がり、体育館のフロアが見えてくる。何人来てくれたんだろう? みんな楽しんでくれるといいなぁ。
目を開けた瞬間、照明も曲も何もかもが一斉に沈黙する。ウソ……こんな時に停電……? そんなのって……ないよ……でも、歌わなきゃ……。
───
イントロが流れ出した瞬間、照明が落ちた。
こんな時に……? いや、焦るな。裏方用のチャート式マニュアルは用意してある。それを基によしみ、いつき、むつみの三人、通称よいつむトリオにインカムで観客に対処中と伝えるよう指示を出す。
倉庫に発電機を取りに行こうとした時、千歌が泣きそうになりながら歌い始める姿が見え、思わず声を張る。
「千歌! ……待ってろ、なんとかする!」
「真生くん……こっちは……任せて!」
お互い声震えてんじゃねえか。情けねえ。
発電機がある倉庫に着くと、思わぬ先客がいた。
「あなた……!? ライブがあったハズのですのに、なぜここに?」
「この停電で会場が電源喪失しましてね。お互い目的は同じようですし、ここは協力しません?」
「……そうですわね。流石にこれを一人で運ぶのは骨でしたので」
思わぬ先客・ダイヤ先輩とともに体育館に発電機を運び、照明と音響を復旧させる。
side:千歌
無理だ。もうやめよう。どうせ誰もいない。今度ばかりはなんともならない。あ き ら め ろ
うるさい! うるさいうるさいうるさい!!
ネガティブな自分を抑えながら歌う。
ふと目の前が明るくなった気がして、目を開ける。
学校のみんな、駅前でチラシを受け取ってくれた子たち、志満姉ぇたち家族や近所の人、とにかく体育館に超満員で集まってくれた。
また涙が込み上げてくる。
「「千歌ちゃん!」」
「曜ちゃん、梨子ちゃん、いくよ!」
繰り返し叩き込んだ練習を思い出す。
よし、できる!
「皆さん、今日はこんな天気ですが来てくれて本当に、本当にありがとうございます!!
私たちは浦の星女学院スクールアイドル・Aqoursです! 聞いてください。『君のこころは輝いてるかい?』」
───
電源を復旧させ、目に飛び込んできたものは二つ。一つは涙を堪えながら歌う千歌の姿、もう一つは体育館に超満員で集まってくれた観客の人たち。
思わず涙が溢れそうになるのを必死に抑える。あいつらが笑って歌ってんのに、俺が泣いてどうすんだよ……
「「「ありがとうございました!」」」
三人の深々とした礼で幕が降りる。すれ違う人から賛否両論が聞こえた。
控え室に向かうと、三人とも着替え終わったらしく、入室許可が降りる。
「「「真生くん!」」」
「おい待て、グハァッ!」
抱きついてきた三人を受け止めきれず、抱き合ったまま背中から床に叩きつけられる。
「ありがとう。なんとかしてくれて」
「独りだったら挫けてた。後ろにいてくれて、ありがとう」
「結局、お互いなんとかしあっちゃったね」
「千歌、曜ちゃん、梨子ちゃん……俺の方こそ、ありがとう」
三人からのありがとうに、こっちもありがとうとハグで返す。緊張の糸が切れ、抱き合ったまま泣き笑いしていると、ふと扉が開く音がした。
「千歌ちゃーん、なんか生徒会長が四人で理事長室に来いって言って……あっ……ごめん。『お取り込み中』ってやつだった……?」
「やっぱりホントだったんだ……『Aqoursの実態は宮代くんのハーレム』ってウワサ……」
「学校で制服姿で三人まとめて相手するとか、まじひくわー……」
待てwait。誤解だ。俺達は潔白だ。
冤罪をかけられる前に理事長室に向かうと、満面の笑みを浮かべた鞠莉先輩に出迎えられた。
「Congratulation! 無事に体育館を満員、いえ超満員にしてみせたわネ!
……さて、約束は約束。スクールアイドル部の設立、及びその校内活動を正式に認可します。教頭先生、書類とハンコを。承〜認ッ!」
大仰なポーズを取りながらも寸分の狂いなく設立届の押印欄にハンコを押す鞠莉先輩。アンタそれ相当練習しただろ。
ダイヤ先輩が理事長室に入室してきた。
「貴女たち、ここをゴールと思わず、浦の星女学院の名に恥じぬよう努力することです。それと……」
「ハーレムは作っちゃダメよ? マサキ♡」
「なっ、鞠莉さん!」
「「「ッッッ!!!」」」
リジチョウ? アンタナニイッテンダ?
千歌たちに向き直ると三者三様に挙動不審になっていた。解らん。
「……さて、帰ろうぜ」
「……うん」
side:千歌
体育館でのファーストライブは成功に終わり、正式にAqoursとして活動できるようになった。
『廃校阻止』という目標はあるけど、その道のりは見通しサイアクだし、明日からどうするかは決まってない。でも、今日は思いっきり喜んでもいいよね。
side:梨子
途中アクシデントはあったけど、ライブは成功。ねえ千歌ちゃん、出会ってまだ数ヶ月だけど、私たち、『仲間』になれたかな?
ピアノからの応えは少しずつ聴こえるようになってきてる。もう少し。
side:曜
小原先輩やよしみちゃん達が言ってた『Aqoursは真生くんのハーレム』ってのが引っかかるけど、今は気にしないようにする。今日のライブは私たちだけじゃ出来なかった。そのことを忘れず、走れるところまで、違う。泳げるところまで泳いで行こう。
───帰りのバスの車内
帰る頃にはすっかり雨も上がっていた。
四人とも体力を使い果たして会話はない。千歌に至っては曜ちゃんともたれ掛かり合いながら寝ている。
ふと、梨子ちゃんが話し始めた。
「……ねぇ真生くん、二人とも寝てるから言うね。改めて今日までありがとう。
それと、お願いがあるんだけど、私も千歌ちゃんみたく呼び捨てにされてみたいなぁ……」
正直驚いた。
「……あぁ。どういたしまして。梨子」
俺もようちかりこの三人に抱きつかれてえなぁ…
真生のモノローグにあった『いづい』とはなんとも言えない違和感を表す仙台弁で、Tシャツを前後逆に着たり歯の隙間にスジが挟まったりすればその感覚が分かるかと思います。
第7話以降も、サービスサービス!