LoveLive! Prismatic Sunshine 作:ジュラーヴリク
そんなこんなで第八話もバクシン的クオリティに仕上げられたと思います。
曜「……というワケ」
真生「なるほど、俺たちを誘った時とだいたい流れは同じか」
掃除の続きをしつつ、ルビィちゃんが体験入部することになった経緯を曜ちゃんがかいつまんで説明してくれた。
引っ込み思案な性格のルビィちゃんを、千歌が手を引いて半歩踏み出させてみた。俺たちが初めて会った時と同じように。
我らが幼なじみは普通を自称しているが、自分から行動を起こし、人を惹き付けるナニカを持っている。天賦の才能ってやつだと思う。
さて、ルビィちゃんについて、今使えそうな情報としては
・筋金入りのスクールアイドルオタク
・曰く、誘ってみたい子がいる
・黒澤ダイヤ先輩とは姉妹
辺りだろう。二人とも名字が黒澤だったし、なんとなく関わりはあるだろうと思ってはいたけど、まさか姉妹だったとはね。
曜「……そういえばさあ、いつの間に梨子ちゃんのこと呼び捨てにするようになったの? それに、千歌ちゃんも真生くんのこと呼び捨てにしてた」
真生「ッ!?」
曜「なんか……やっぱり、私だけ少し遠い気がするなぁ……」
曜ちゃんの瞳に陰が差す。
真生「……そんなワケないだろ? 曜ちゃんは……っ曜は! 俺の大切な……」
曜「……大切な?」
言葉が詰まる。俺にとって曜はどういう存在だ? 思考の海に潜りかけた瞬間……
《全校生徒の皆さん、まもなく完全下校時刻です》
完全下校時刻を告げる全校放送が部室にも響く。
梨子「真生くん、曜ちゃん、今日は時間切れだね。掃除用具は私たちで片付けておいたし、帰ろう?」
曜「……そうだね。はぁー、お腹空いた〜!」
千歌「アハハ、曜ちゃんティラミスふたつも食べてたのに〜。もう、食べすぎ〜!」
たすかった……
今、なんて思った? たすかった? 曜に対して……?
思考が追いつかないまま、三人とともに帰り道についた。
side:ルビィ
今日は色んなことがあった。用事もないのに気がついたら倉庫の前にいて、いつの間にか先輩がたのお茶会? に誘われて、そして、スクールアイドル部に仮入部することが決まって……
ルビィ「ねえ花丸ちゃん。一緒にスクールアイドルやらない?」
花丸「スクールアイドル? 高海先輩たちのAqoursもいるのに、ルビィちゃんとマルで?」
ルビィ「そうじゃなくって。Aqoursとして、一緒にやろう?」
花丸「あはは、まさか一日に2回も勧誘されるとは思ってもみなかったずら」
花丸ちゃんが続ける。
花丸「実は、さっき真生先輩からも勧誘されててね。でも、ルビィちゃんも先輩もなんでマルを?」
ルビィ「だって、花丸ちゃんかわいいし! それに、ルビィは! 理由なんてない! 花丸ちゃんと一緒にやりたい!」
花丸「ずらぁっ!? ……あぁ〜もう〜……2回もそんなハッキリ言いきられたらマルはもう断れないずらぁ……」
花丸ちゃんが赤面しながら頷く。
ルビィ「ありがとう! 花丸ちゃん!」
────
そして、約束の月曜日。
なんとか倉庫を部室として運用出来るまで片付けることができた。最初から体力作りはしんどいだろうという梨子の意見を採用し、今日はルビィちゃんと『もう一人』を含めてのミーティングをすることになった。
千歌「ふっふっふっ……改めてようこそ! スクールアイドル部へ!」
曜「仮入部といえど、明日からガンガンいくからね?」
真生「待て、お前らの基準でガンガンいったらルビィちゃん達が3日と持たずに潰れちまうだろ」
梨子「そうそう。私も最初は全身筋肉痛で大変だったんだから。ちゃんと加減しないと」
ルビィ「ピギッ!? ぜ、全身筋肉痛!? うぅ……大丈夫かなぁ……?」
花丸「……マル、体力テストのシャトルラン20回くらいだったずらぁ……」
体育会系コンビの冗談を真に受けたのか、たじろぐルビィちゃんとマルちゃん。
梨子とフォローはしたけど、ここからどうしたもんか……ん? マルちゃん!?
真生「そうだよ! なんでマルちゃんも仮入部してんの!? こないだ俺が図書室で誘った時はオコトワリしてたのに!?」
花丸「いやぁ、実はあの後ルビィちゃんにも誘われてたので……それに、あんな……『君が知らない世界、俺が教えてやるよ』なんて言われたのはハジメテずら……」
頬を染めるマルちゃん。はて、そんなん言ったっけ……?
千歌・梨子・曜「「「……」」」
ルビィ「……先輩、フケツです」
4方向から冷たく鋭い視線が突き刺さる。お前たちの俺の扱いって、最近ひどくないか?
千歌「さて、タラシナンパオーは後でお説教するとして。ルビィちゃん、花丸ちゃん、まだ(仮)だけど、改めて入部してくれてありがとう! これからよろしくね!」
ルビィ・花丸「「はい! よろしくお願いします!」」
梨子「明日からの練習内容は当分は体力づくり。放課後、教室まで迎えに行くから準備しててね」
曜「分からないことがあったら、どんな小さなことでも遠慮なく聞いて!」
そんなこんなで活動内容であるミーティングを終え、今日は解散となった。
───翌日の放課後
千歌「準備はいいかー!? 部活の時間だァー!!」
ルビィ・花丸「ピギャッ!? (どぎゃっ!?)」
真生「バーカ! カチコミに来たんじゃねえんだぞ!」
千歌「いったぁ! 脳天チョップするか普通!」
真生「普通にやっても止まらないのはどっちだバカチカ!」
千歌「あー! またバカって言った! バカって言う真生のほうがバカなんだよ! バーカ!」
「あ、あのぅ……先輩方はいつスクールアイドル部から漫才部に変わったんですか……?」
千歌「あっ、ごめん。うるさかった?」
真生「ああ悪い、騒がせた」
一年生の教室に突撃する千歌に思わずツッコむ。
他に教室に残っていた子たちに一言詫び、既に準備はできていると言わんばかりの二人を改めて練習場所である校舎の屋上に案内する。
曜「おっ、来たね?」
千歌「みんな揃ったし、いつも通りアップとストレッチからだね!」
ルビィ・花丸「は、はい!」
二人とも緊張しているのか、ガッチガチになってしまっている。
梨子「二人とも。リラックス、リラックス」
緊張気味な二人に、梨子が優しく話しかけながらストレッチを行う。徐々にだが、緊張とともに体もほぐれてきたようだ。なんというか、流石としか言いようがない。
曜「真生ー、ボーッとしてないで背中押してくれるー!?」
真生「えっ? あっ、おう!」
曜「もー、また梨子ちゃんのほう見てたでしょー?」
曜に声をかけられ我に返り、目の前のタスクに集中し直す。そうだ。今は梨子に見とれてる場合じゃない。
インターバルを挟みつつ今日の練習メニューを消化していき、クールダウンに入る。
実は最近、初歩的ながらもペアで行うマッサージ術を会得したので、メニューに取り入れているのである。
梨子「真生くん、もう少し……強く……! んっ……くぅぅ……!」
真生「もうちょい強く……このくらいか? ……梨子もだいぶ体力ついたよな。それに、柔軟性や声の伸びもかなり良くなってきてる」
梨子「……真生くん達のおかげだよ。私ひとりじゃ、きっと無理だったもん。あぁ〜……真生くん上手すぎィ……!」
真生「……そりゃどういたしまして、っと」
マッサージをしつつ、梨子と話をする。
俺たちのおかげ、か。梨子、感謝してるのは俺もだよ。
千歌「コラそこー! 勝手にいい感じになるなー!」
すかさず幼馴染の怒号が飛んでくる。あいつホント元気だな。ツ〇ンドラ〇ヴでも積んでんじゃねえの?
などと下らない事を考えながら曜の方をうかがうと、
曜「おーい、花丸ちゃん大丈夫?」
花丸「ほぐぇぇ……思ってた以上に疲れるずらぁ……」
ルビィ「花丸ちゃん、もうちょっとだからがんばって!」
マルちゃんが力尽きていた。
あの力尽きかたはスポーツとか本当にやってない子がスタミナ切れてる時のそれだ。ルビィちゃんも息は上がってるけど、マルちゃんよりは余裕がありそうだ。あと二人とも体硬いな。
よしよし、当面の課題と対策は見えた。あとは実行しつつ、千歌たち三人のスキルを底上げしていけば……
梨子「二人とも落ち着いた? とりあえず今日はここまでだね」
曜「お風呂上がりとか寝る前にもう一度柔軟するのと、しっかり食べて、体を休めること。運動後って筋繊維が負荷でブチブチに切れてるけど、よく食べてよく寝れば案外すぐ治るからね」
千歌「あとは楽しんでやるのがイチバン! お疲れさまでした!」
花丸・ルビィ「はい! ありがとうございました!」
今後やることを整理しているうちに、千歌たちが締めたようだ。
曜「あ、そうだ。真生からは見てて言うことないの?」
曜から話を振られる。二人に言うこと、ねえ。
真生「まずは二人ともお疲れさま。あーそうだな……体力は一朝一夕で作れるものじゃないから焦らなくていいよ。あとは千歌たちと大体同じだから省略!」
千歌「あっ! なにそれズルっ!」
真生「そろそろ完全下校時間だ! おっかな〜い生徒会長に怒られる前に帰ろうぜ!」
千歌から抗議されるが気にせず締める。
黒澤ルビィちゃんと国木田花丸ちゃんという二人の新入部員(仮)を迎え、スクールアイドル部のレベルが上がったのを感じながら帰路につくのであった。
side:花丸
善子「ねえずら丸。今日もちゃんと『ヨハネ』を抑え込めてたわよね?」
花丸「全然問題なかったずらよ。マル的にはむしろ無理して抑え続けるほうがシンドいと思うけど……」
善子「……いいの! 私たち、もう高校生なのよ? いつまでも『堕天使ヨハネ』だなんて言って厨二病を引きずってられないのよ……」
そうやって未練を残してるうちは引きずってる証拠ずら……。
いっそ思いっきり解放させたほうが後腐れなく『ヨハネ』を辞められると思うのに。
根っからの善人で不幸体質、オマケに考えすぎちゃうタイプ。我が幼馴染は本当に難儀な美人さんずら。
微かに感じる筋肉痛の気配と、初夏の風を感じながら、帰路に着く。地味なマルでも、今日くらいは主役気分に浸ってもバチは当たらないはずだよね。
なんかまた例の新型が流行ってきてますねぇ。皆さんもどうかお気をつけて。