さて、何だかんだで入学式当日になった。
見たことの無いウマ娘達が校門を抜けていく。
隣に居るルドルフを見るとじっと新入生の顔を見つめている。
「トレーナー君。良く見ておくと良い。君の担当するウマ娘がもしかしたらこの中にいるかもしれないのだから」
「へいへい・・・」
しばらく見ていて新入生の中に昨日あったウオッカを見つけた。
何やら知り合いらしきウマ娘と言い争いながら歩いてるみたいだが・・・。
「俺には関係ないね」
そう呟いて手に持っていたカルピスを見る。
紫だ。
何故か白いカルピスが紫になっている。
可笑しいな?今日は通常のカルピスで葡萄味じゃあないんだけどな・・・。
「あ!カイチョー!」
いきなりドロップキックを決められ倒れ込む。
「君はトウカイテイオーか!そうか、今年からこの学園か」
「踏んでます・・・」
「うん!見ててね!会長みたいなスッゴイウマ娘になるから!」
「踏んでるって・・・」
「あぁ、楽しみにしているよ」
「だ〜か〜ら〜、踏んでるっつってんだろうが!」
何とか頭を上げて叫ぶ。
それに気付いたのか二人がこっちを見る。
「わわっ!ごめんなさい!」
「大丈夫か、トレーナー君?」
「あぁ、ギャグパートで良かったぜ・・・」
「ぎゃぐぱーと?」
テイオーが首をかしげながら聞いてくる。
「そんな事よりもうすぐ始まるぞ、急げよ」
「わっ!ほんとだ!じゃあまたねカイチョー!」
テイオーが走っていきルドルフも歩き始める。
「では、私も式の準備があるから行かせて貰うよ。トレーナー君も遅れないようにな」
「あ〜」
ルドルフの背中を見送ってカルピスを一口飲む。
よし、カルピスも補給出来た。
元気溌剌、勇気凛々!今日も一日始めますか!
「こらー!もうすぐ式が始まるのに何してるんですかタキオンさん!」
「あぁ、待ってくれ!せっかく面白いモルモット君を見つけたんだ!そんな無駄なことに時間を割いている暇はない!」
「良いから行きますよ!」
「何だ彼奴等?」
そんなこんなで式が始まった。
初めは理事長の挨拶から始まりルドルフの祝辞と色々プログラムがあるらしい。
どれもこれもウマ娘に取ったら目を引く物だろう。
なのに・・・・。
何故かさっきから視線を感じる。
と言うより皆が皆こっちを見つめている。
たくさんの人に見られるのはやはり怖い。
「トレーナー君トレーナー君」
「・・・・・何だよ?どうした?」
「いや、それはこちらのセリフなんだが・・・。何故君の身体は黄緑色に発光しているんだ?」
「発光?」
俺が自分の手を見ると確かに黄緑色に発光していた。
「な、な、な、何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「な、何かおかしな物を口にしたりはしていないか?」
「おかしな物?・・・・・・あ、超紫のカルピスのんだ」
俺がそういうとルドルフがため息を付いた。
「話は後でしよう。今はトレーナー室に戻って居てくれ」
そうルドルフに言われて待つこと三十分。
もうすでに眠くてソファーに寝転がろうとしていた。
「すまない。待たせたね」
いきなりドアが開いて起き上がる。
眠った頭をいきなり動かそうとすると頭が痛くなる。
あるあるだと自分では思っている。
「お〜・・・。お帰り〜」
「疲れているな?」
「いやいや、会長。これはただの偏頭痛だよ」
聞いたことのある声にドアの方を見るとそこに居たのは今朝見たウマ娘であった。
「紹介しよう。アグネスタキオンだ。君のカルピスに薬を盛った張本人だよ」
「え?薬?」
「あぁ、薬と言っても効果は身体が黄緑に発光する位だがね」
アグネスタキオン・・・。
確か聞いたことがある。
名家のウマ娘らしいがその性格故にトレーナーやウマ娘、職員などから距離を取られているとかなんとか・・・。
「ん?どうしたんだい?まさかモルモットにされたのを怒っている訳ではあるまいね?言っておくがこれは・・・「あ、いや、別に薬に関しては怒ってねぇよ?」ほぉ・・・」
タキオンが興味深そうに俺を見てくる。
対するルドルフは驚いたように目を丸くして俺を見てくる。
「では、何が不満なのか参考までに教えてもらえるかい?」
「いや、何で皆お前を奇人って言うのかな〜って」
「・・・・・言っている意味が良く分からないなぁ」
タキオンが顔をしかめ始める。
俺は薬を入れられたカルピスを見る。
「実験?をするタキオンは何て言うのかな〜・・・。そう、例えば走ってるルドルフみたいな楽しいそうな顔をしてる。何の目的が何かまでは知りゃあしないけど少なくとも俺には奇人には見えなかったな〜。あ、でも変な薬飲まされんのは勘弁な!」
話し終わってタキオンを見る。
さっきのしかめっ面は何処へやらポカンとした顔をしている。
ルドルフに至ってはもう呆れ顔だ。
そんなに可笑しな事言ったかな?
そんな中、誰かが吹き出す音がした。
犯人はタキオンだった。
「アハハハハハハハハハハハハハハッ!何だいそれは!私自身奇人と言われるのは仕方が無いと思っていたがこんな事を言い出す奴は初めてだ!」
「え?そんな変?」
「いや、トレーナー君。君は至極当然の意見を述べたまでさ」
「そ、そうか?じゃあ俺せっかく発光してるし木でコガネムシの真似でもしてくるわ!」
「え?」
私がトレーナー君を止めようとした時には既にトレーナー君は部屋から姿を消していた。
「ハァハァ、フゥー。私に言わせれば彼のほうがよっぽど奇人だがねぇ」
「あぁ、真面目であり不真面目。表裏一体の彼を私は・・・」
続きを言おうとして口を噤む。
「今のは、聞かなかった事にしておくよ」
「・・・・・すまない」
「「ミ〜ンミンミンミンミ〜ン」」
「そこの二人!早く降りろ!」
その頃トレーナー君はセミの真似をしていたもうひとりのウマ娘と一緒にエアグルーヴに捕まっていたらしい。
そして次の日、四月の選抜レースが行われる事になった。
新入生も参加するため四月はトレーナーもウマ娘も熱気が籠もっている。
「今回の新入生はやっぱりトウカイテイオーとウオッカ、ダイワスカーレットにメジロマックイーンが目玉ですかね?」
「あぁ、この四人辺りが取り合いになるだろうな」
おぉっと?知ってる名前半分知らない名前半分出てきたぞ?
ダイワスカーレットとメジロマックイーン?
出走表を見てみる。
おぉ、全く何書いてるか分かんねぇ・・・。
「あ!アンタは!?」
いきなり大声が聞こえて頭を上げて見る。
そこではウオッカが指をこっちに指している。
辺りに知り合いがいるのだろうか?
辺りを見回して確認する。
「アンタだよ!」
「にゃ?俺?」
「アンタトレーナーだったのか!?」
「そーだよ」
俺がウオッカと話していると昨日ウォッカと言い争っていたウマ娘がウォッカに近付いてくる。
「ちょっと、ソイツ誰よ?」
「ん?一昨日街でぶつかったって言ったろ?それがアイツだよ」
「あ〜・・・そんな事言ってたわね確か・・・。私はダイワスカーレットよ」
「おぉ、宜しく」
俺はスカーレットに挨拶して目を離す。
すると何故かスカーレットがムッとした顔になる。
「ちょっと!何処見てんのよ!」
「ん?あぁ、メジロマックイーンって奴を探してんだよ。今回の目玉はお前ら二人とテイオー、マックイーンだからな」
「って、返事しながら頑なにこっち見ないわね・・・。いいわよ!レースで一番になってアンタを見返してやるんだから!」
「おい!レースでカッコよく一番になるのは俺だぜ!?」
「何言ってんのよ!」
言い合っている二人を無視して辺りを見渡す。
つか、名前知ってても顔を知らなかったら分かんないんだろうな。
『それでは第一選抜レースを始めます。選手の皆さんは所定の位置に集まってください!』
こうして俺とウマ娘達の運命を決める選抜レースが始まった。
いや、短いか?
愛は重バ場大丈夫?
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構わんやれ
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いいや、限界だ!やるな!