IS・VVVーインフィニット・ヴァルヴレイヴー   作:蒼京 龍騎

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投稿クッソ遅れました!!!!申し訳ない……(´;ω;`)
リアルがクソ忙しくなってきた……っていうのもあるんですけど、その合間にヴァルヴレイヴを再度見てたのでこうなった始末です……
遅れた分いつもより長めになっている(はず)ので、どうぞ!!!


第四話 遭遇スル五

IS・VVV

インフィニット・ヴァルヴレイヴ

 

本編第四話 遭遇スル五

 

 

一夏side

「────っ」

甘い……甘い柑橘系の香りを感じ、眠りから覚める。

目を開けると、視界いっぱいに天井が映り、背にはふかふかとした柔らかい感触がある。

────どうやら俺は、セシリアに抱きついたまま寝てしまったらしい。

抱きついた後の記憶が一切ない。つまりそのまま寝てしまったということだろう。

しかも……顔を横に向けると、俺のベッドが来た時のまま綺麗な状態だった。

どうやらセシリアは、寝た俺を自身の布団に入れて寝かせてくれたようだ。

「……」

かなり……いや、とてつもなく申し訳ない。

右手を布団の中から出して、右目を出した手で覆う。

飯を食わせて貰った上に、俺のワガママまで嫌な顔ひとつせず聞いてくれた。

どんな顔をしてセシリアに接せばいいのか分からない。

様々な理由から来る恥ずかしさで、顔が熱くなってくる。

それと同時に……とてつもない安心感が俺を安堵させる。

────セシリアは……母親のように俺を受け止めてくれる。

頭を撫でてくれて、抱きしめてくれて、俺を拒絶しないで、甘えさせてくれる。

胸が、不思議と暖かくなる。

固くなっていた心が、柔らかくなるような────

「あら?一夏さん起きてますの?」

「ッッッッ!?」

部屋の奥から、体をひょこっと出して俺を見るセシリアに思わず驚いてしまい、布団から跳ねるように起き上がる。

「……すみません、驚かせてしまいましたか?」

俺を驚かせたと、申し訳なさそうにセシリアが俯く。

すぐさま、俺は訂正を入れることにした。

「い、いや、俺が勝手に驚いただけだ……そう思わせたのならごめん」

「それなら良かったですわ。ちょうど朝食が出来ましたので、良ければ食べます?」

「……食べる」

俺は大きく欠伸をして布団から降り、乱れた毛布を軽く整えてから部屋の奥に向かう。

そこでは、セシリアが制服の上からエプロンを着て、その手にはベーコンや目玉焼き、豆やウィンナーが乗った皿が二つ、手のひらサイズの、トースターで焼かれたであろうパンが二切れ乗った皿があった。

しかし、様々な料理が乗った方は片手で二皿持っていて、辛そうに手をぷるぷると震えさせていた。

「……片方運ぶぞ」

このままでは落としかねないと思った俺は、その皿をセシリアから奪うように、だが優しめの力で取って、テーブルへ向かって運ぶ。

「あら、ありがとうございますわ」

「礼を言いたいのは俺の方だ。

……あの、昨日のことも」

言っている最中で、昨日のことを思い出してしまいまた顔が熱くなるのを感じる。

そんな俺の様子が面白かったのか、セシリアは「ふふっ」と小さく笑う。

「気にしないでくださいまし。むしろ、また撫でて欲しかったら遠慮なく言ってください」

「……良いのか?」

いやいや、駄目だろ。なんで聞き返してんだよ俺。今の言い方だとまた撫でて欲しいように……

「ええ。いつでも」

セシリアは、俺の質問に満面の笑みで頷く。

その顔がとても眩しくて、自然とセシリアから目線を逸らしてしまう。

「……さて、このまま話しているのも良いのですが、せっかく作ったご飯が冷めてしまいますし、早く食べましょう?」

皿を一通り置き終え、セシリアが席に座ったので俺も席に座る。

「「いただきます」」

手を合わせ、そう言ってから食事を始める。

 

 

「……なぁ、一つ言いたいんだが……本当にセシリア料理上手いよな。プロになれるレベルで美味しい」

「正直自信がありませんでしたが、そう言っていただけるのなら嬉しい限りですわ」

食事を済ませ、学校へ来た俺は教室へ入って席に座り、隣に居るセシリアと話していた。

昨日のカレーもそうだが、セシリアの料理はとても美味い。

卵焼きも、ウィンナーも、セシリアは普通に作っていると言うが、俺がいつも食べるもの以上に美味しい。

「おはようございます、一夏さん、オルコットさん」

話している俺らに、先程教室へ入ってきたであろう簪が挨拶をしに来る。

「おお、簪か。おはよう」

「おはようございます、更識さん」

俺とセシリアは挨拶を返し、再び会話を再開しようとしたが……

「あ、そう言えば今日は一夏さんとオルコットさんの代表決めの日ですけど、二人とも準備は大丈夫ですか?」

「……あれ?」

その、簪が放った一言で、俺は……本来忘れてはいけない、重大なことを思い出した。

 

『今日は、セシリアと俺のどちらがクラス代表になるかを決めるため試合をする。』

 

「────俺今日セシリアと戦う日じゃねぇかァァァァァァァァッ!?!?!?」

頭を抱えて、俺は叫ぶ。

(マズイマズイマズイ!!!!!なんも対策してねぇ!!!!いや強いていえばクソ共ぶっ飛ばすので準備運動ぐらいはできたかもしれねぇが!!!!それでも前日にIS動かすぐらいはしとけよ俺ェ!!!!)

「……もしかして、忘れていましたの?」

「……」

セシリアが、心配と悲しさを含めた視線を俺に向け、簪は俺の言葉が衝撃的過ぎたのか口を開けて呆けている。

大切な試合のことを忘れていたのだ。悲しくない訳が無いし、驚くのも無理はない。

「……ごめん。気が緩みすぎて忘れてた……」

俺は忘れていたことを白状し、頭を下げて正直に謝ることにした。

……だけど、一つだけ言わせてくれ。

────俺セシリアに甘えすぎだろバッカヤロー!!!!

そう心の中で叫んだ後、セシリアを見てみると、なぜか複雑そうな顔で苦笑を浮かべていた。

「……ま、まぁ、わたくしも昨日は……その、甘やかしすぎてしまいましたし、わたくしにも非がありますから、気を落とさないでくださいまし」

なんてことだ、セシリアは女神だった。

セシリアが神々しく見えてきた……後光も見える。拝んどこ。

「皆、おはよう。きっちり全員居るわね?SHRを始めるから席に着いてちょうだい」

俺が密かにセシリアを拝んでいたら、扉が開きスコール先生が教室に入ってくる。

簪含む、周囲で騒いでいた生徒らがスコール先生の指示通り一斉に席に座りだして、十秒とかからず教室が静かになる。

「さて、今日の日程だけど……1、2時間目はみんな知っての通り織斑くんとオルコットさんのクラス代表決定戦を第一アリーナで行うわ。お互い専用機持ちだから見応えのある試合になるわよ」

スコール先生が言い終えると、先程まで静かだったのが嘘のように教室がザワザワと騒がしくなる。

その内容の大半は、『二人のISどんなのだろう?』や『企業専属と代表候補生、試合の結果はどうなるんだろう?』といったものであった。

そんな風に騒がしくなった生徒らを見かねたのか、スコール先生が生徒らを鎮めるために手を二回叩き、口を開いて話を続ける。

「みんな静かに。それでこの後なんだけど、二人はすぐにアリーナの待機室に向かってもらい、そこでISの準備を進めてから試合をするから……おおよそ三十分後に試合を開始するわ。二人以外の生徒は二十五分後にアリーナへ移動。言いたいことは以上よ。これでSHRを終わるわ」

スコール先生がこれからの行動を簡潔に説明し、SHRが終わる。

俺は言われた通り席から立ち上がり、アリーナへ向かおうとするが、一度足を止めてセシリアがいる方に振り向く。

そして……セシリアと戦う覚悟を決めて、その言葉を言う。

「俺……絶対負けねぇからな」

セシリアは一瞬驚くような顔になったが、すぐに大きな笑みを俺に向けて……

「ええ。わたくしも負けませんわ」

そう言い返してきた。

これ以上語るのは無粋だと思った俺は、アリーナに向けての歩みを再び進める。

 

 

アリーナの待機室に着いた俺は、そこで一度服を脱ぎ、更識重工から支給された【火人】専用のパイロットスーツに着替えていた。

支給されたスーツは従来の水着のように薄いISスーツとは違って、厚手の黒い生地のスーツの各所に赤い金属板のようなものが付けられていて、まるでロボットアニメのパイロットが着ていそうなものであった。

その上、本来ならISには不必要であるはずの赤いヘルメットも付いていた。

不思議に思いながらも、俺はヘルメットを被り、ヘルメット下部にあるスイッチを押して半透明のバイザーを展開し、顔を覆う。

これで【火人】を纏う準備はできた。後は試合を待つだけだ。

「────ああ、楽しみだな」

声が、自然と漏れる。

セシリアと、ISという同じ舞台で戦える。その事実が俺の気分を高揚させていた。

数年前の俺なら考えもしなかったことが、現実に起こっている。

高揚感に身を任せ、一曲歌ってしまおうかと思ってしまうほど、嬉しい。

……だが、そんな高揚感はすぐに消え失せた。

プシュッ。

急に、空気が抜けたような音が後ろから鳴り俺は思わず振り向いてしまう。

そこには、一番会いたくない存在が……二人(・・)も居た。

「一夏、お前の試合を見に来たぞ」

「一夏!!!応援に来てやったぞ!!!」

……ISスーツを着ている俺を見て、満足げになっているクソ姉と、クソモップだった。

さっきまでの高揚感が一気に冷めきり、言い表せないドス黒い感情が沸騰し湧き上がってくる。

湧き上がる感情を、手を握りしめることで抑えながら、俺はクソ二人を見ないように背を向け、スーツの微調整をするフリをする。

「……帰れ。ここは関係者以外立ち入り禁止だ。お前ら1組は関係者じゃない」

情報漏洩などを防止するため、試合などが行われる時は関係者以外立ち入ることが禁じられていることを、できるだけ殺意を込めずに言おうとするが、どうしても言葉が強くなる。

「何を言う!!私はお前の幼馴染だろう!!!ならば関係者だ!!!」

クソモップが、幼馴染ならなんでも許されると言わんばかりに叫ぶ。

そんなクソモップに、殺してしまおうかと思うほど殺意が湧くがどうにか堪える。

……しかし、クソ姉が次に放った一言で、俺は耐えきれなくなった。

「なに、弟の試合を見るのも姉として当然だろう(・・・・・・・・・・・・・・・・・)?」

……プチン。

突如、頭の中で何かが切れたような音がなり、今まで堪えていた怒りが爆発する。

弟?当たり前?

────ふざけんな。

「……ふざけんなよ……!!!!今まで俺の試合を見に来なかった癖に!!!どの口が言う!!!!」

前回とは違い、限定ではなく全身に【火人】を展開し、腰から<ボルク・アーム>を取り出し、容赦なく二人の足元めがけ引き金を引く。

<ボルク・アーム>から放出された光の弾丸が床に直撃し、<ハンド・レイ>とは比較にならない熱と衝撃が床を溶かして吹き飛ばす。

クソ二人は俺の行動にかなり驚いているようで、その場で固まっている。

────クソ姉は、俺の剣道の試合を一度も見に来たことは無かった。

理由?そんなの単純だ。

どうせ、誰とやっても俺が負けるから、見に行く価値がない。

……だとさ。

それを今更、手のひら返しやがって……!!!!

「……消えろ……俺の目の前から消えろッ!!!!!!」

<ボルク・アーム>を、二人に当たらないギリギリの箇所に銃口を向けて乱射する。

『HEAT CAPACITY』が、5/100、20/100とどんどん上昇するが、俺の視界にその表記は映らない。

これ以上近くに居られたくない。とっとと出ていって欲しい。

その思考が俺を支配して、周りを見えなくする。

何発撃ったか分からなくなった頃、遂に数値が100/100を迎えてしまい、装甲のあちこちが赤くなり、緑に発光していた装甲の光が消えた上で【火人】の動きが止まり、<ボルク・アーム>が俺の手から落ちる。

「……っ!?クソっ!!!!止まるんじゃねぇよ【火人】!!!!あいつらまだ追い出せてねぇだろうが!!!動けっ!!!動けよっ!!!!」

視界にまだクソ二人が映っており、追い出すため力一杯に体を動かし【火人】を動かそうとするが、【火人】は放熱音を鳴らすだけでピクリとも動かない。

「なんの騒ぎ……ッ!!!!織斑先生!!!篠ノ之箒!!!!また貴方達か!!!」

そんな時に、待機室の扉が突然開き、何事かとスコール先生が大慌てで入ってくる。

入った直後にクソ二人が居ることに気付いたのか、スコール先生は二人に対して殺気がこもった目で一瞬睨んでから俺の元まで駆け寄ってくる。

「織斑くん!!!!大丈夫!?」

心配そうな顔で、【火人】越しにある俺の顔を見る。

「スコール先生!!!お願いだ!!!あいつら追い出してくれ!!!もう耐えられない!!!!」

スコール先生に対して、溢れ出る感情のままに俺は叫ぶ。

そんな俺の様子が普通ではないと理解してくれたのか、スコール先生はクソ二人の元に急ぎ、両腕を使って二人の体を押し、力ずくで部屋の外まで追い出して扉を閉じる。

その際扉の横のパネルを操作し、入れないようロックをかけてくれたようだ。

「織斑くん!!聞こえる!?二人は居なくなったわ!!!もう大丈夫よ!!!」

スコール先生の声で、二人が居なくなったことを認識し【火人】を解除する。

「はぁーっ……はぁーっ……」

仰向けに横たわった俺は、肩を揺らして大きめの呼吸を繰り返す。

怒り狂ったせいか大きく体力を消耗していて、全身が酷くだるい。

幾らか呼吸が整い、落ち着いた俺はスコール先生と、その後ろにある……俺が放った<ボルク・アーム>により溶けた壁と床を見る。

「……すいません」

その一言しか、言えなかった。

自分を抑えられなくなった俺が情けない。

抑えられなくなった怒りを、最悪の形で吐き出してしまった。

────何やってんだよ俺。この後にあるセシリアとの試合をどうする気だ。

とてつもない罪悪感が、俺に襲いかかる。

「良いのよ、接近禁止命令が出ているのに近づいたあの二人が完全に悪いわ。賠償請求はあの二人に押し付けるから安心してちょうだい」

これだけ派手なことをやらかしても、スコール先生は優しい言葉を俺に言って気遣ってくれる。

俺は……その優しさに、少しだけ甘えたくなった。

俺は起き上がり、普通なら場違いだと言われるような発言をする。

「……これだけのことをしでかして言うのはあれなんですけど……この後のセシリアとの試合、出ることって出来ますか」

「……!!!」

俺が言ったことに対して、スコール先生は驚いたような、しかし嬉しそうな顔を浮かべる。

「ええ、出たいのなら出られるわ。でも、もう少し休みたいのなら私に言いなさい。試合開始までの時間を延ばせるから」

「……すいません。じゃあ延ばしてもらっても良いですか?その間に……」

俺は言葉を切って、自分の手のひらをじっと見る。

────【火人】のHEAT CAPACITYをどう下げる?

まだ、【火人】の数値は100/100。この状態で出ても試合にならない。

どうやって数値を0/100にする?

どうにか数値を下げられないか、俺が考えようと顎に手を置く。

……だが、いくら考えても解決策は浮かんでこない。

このままでは、セシリアとの戦いに出られない。

それだけは……嫌だ。

「……ねぇ、織斑くんは、もしかしてだけど……

ISのことで悩んでいるのかしら?」

「っ!?」

スコール先生の、俺の悩みを見透かしたような言葉に、思わず後ずさり、怪しむような目線をスコール先生に向けてしまう。

「……なんでそう思ったんですか」

「勘よ。それでISのことだけど……確か『HEAT CAPACITY』だったわね。

HEAT……熱ってことは、冷やせばいいんじゃないかしら」

「……ッ!!!!」

『HEAT CAPACITY』の存在をどこで聞いたと、なぜ知っていると聞きたくなった俺だが、どうでも良くなった。

────希望が見えた。

それだけで、動くのには十分だった。

「IS用の冷却材ってどこにありますか!?ありったけ使えば冷やしきれるかもしれねぇ!!!!」

普段は、スラスターを過度に吹かしてしまい、カスタムウィングに溜まった熱が高い状態である時などに使われるIS用の冷却材。

それを集めて【火人】にかければ冷やせるかもしれないと思った俺は立ち上がり、スコール先生に冷却材の在処を聞くが、スコール先生は待てと言うように手のひらを俺に向けると、どこからか携帯電話を取り出して操作し始める。

「もっと早く冷やせる方法があるわ。少し待っていてちょうだい」

そう言うと、スコール先生が携帯電話を耳に当て誰かに電話をかける。

「もしもし、レイン?いきなりで悪いけどフォルテに第一アリーナの待機室一に向かうよう言ってくれないかしら。ちょっと用ができちゃってね……そうよ。ちょっとトラブルがあって一号機の熱が溜まりきってしまったの。なら四号機(・・・)を冷やしたことのあるフォルテが最適でしょう?……ありがとうレイン。それじゃあ切るわね」

ピッ、という電子音と共に通話を切ったようで、スコール先生が携帯電話をしまう。

話の内容はよく聞こえなかったが……誰かを呼んだらしい。

「少し待っていてくれる?多分フォルテなら三十秒ぐらいで来てくれるはず……」

その言葉通り、三十秒ほど待つと待機室の扉がノックされ、スコール先生がロックを解除し扉を開ける。

入ってきたのは、ボサボサの黒髪を三つ編みにし、背中が曲がって猫背気味になっているのが特徴的な少女だった。

しかし、リボンの色が俺らの学年と違う。あの色は……二年生か。

「フォルテ・サファイア、ただいま参上ッス」

気だるげに、左手を上げて少女……フォルテが名乗る。

「ごめんなさいね。私の方の問題に巻き込んでしまって」

「全然大丈夫ッス。それで、話はレインから聞いてるッスけど、織斑一夏の『ヴァルヴレイヴ』を冷却すればいいだけッスよね?ならすぐに終わらせるッス」

会話さえ面倒臭いといったような様子で、フォルテが話し終えると、三つ編みの先に付いていたアクセサリーが輝きだし、フォルテの体の左右に……浮遊する『盾』が現れた。

その盾は、氷のように半透明で、相当低い温度なのか白い霧のようなものを発している。

「ISを展開したら、じっとしててくださいッス。動かれたら厄介なことになるッス」

俺は言われるがまま【火人】を展開し、その場でじっと待機する。

すると、フォルテの盾が俺の近くまで接近し、白い霧のようなものを吹きかけてくる。

「……おおっ!?数値が……!!!!」

先程まで最大まで上がっていた数値が、急激に下がってゆく。

80/100、60/100、20/100……0/100。

三十秒とかからず0/100になるまで冷やされた【火人】は、赤くなっていた装甲が元に戻り、消えていた緑の光を再び放ち始め、動き出す。

「……どうッス?動くッスか?」

フォルテに言われ、俺は試しに腕を振ったり手を握ったり開いたりして動かしてみるが、先程まで動かなかった腕がすんなりと動く。

足も同様に、思ったように動く。

「ああ!!!動く!!!バッチリだ!!!!」

「そうッスか。じゃあウチは戻るッス」

大声で、はしゃぐように騒ぐ俺を鬱陶しそうに見るフォルテは、足早に待機室から去ろうと動いたが、途中でその足を止めてから俺の方を見て、一言。

「……ああ、一つ言っておくッス。ウチが直々に冷やしてあげたッスから、試合に勝たないと何か奢ってもらうッスから」

そう言ってきた。

「……頑張ります。勝てないとしても、足掻けるだけ足掻いて、見返してやりますよ」

俺も決意を固めて言うと、その言葉に満足したのか、フォルテは笑みを浮かべながら手を振り、待機室から颯爽と去ってゆく。

 

『間も無く試合が始まります。両者ISを展開してカタパルトに登場してください』

 

フォルテが去った瞬間、タイミング良くアナウンスが鳴り準備を促してくる。

俺は早速、目の前にある大型のカタパルトに乗ろうと足を動かし、カタパルトに乗って出撃準備を済ませる。

そこで、俺はスコール先生に礼を言っていないことを思い出し、その場でくるりと反転してスコール先生の方を向く。

「……スコール先生。今日は何から何までありがとうございます。

────俺、試合頑張ります」

いきなり礼を言われて驚いたのか、スコール先生は一瞬ぽかんとしていたものの、すぐ我に返って大きく笑みを浮かべる。

「ええ。でもただ頑張るじゃなくて……勝ちに行きなさい、織斑一夏」

「……!!!はい!!!」

スコール先生の激励に、胸が熱くなるのを感じながら正面に向き直り、出撃準備を完全に完了させる。

 

『両者、出撃準備が完了したようなので、これより出撃までのカウントダウンを行います』

緊張からか、溢れ出る唾をゴクリと飲み込み、カウントダウンが開始される。

 

 

『カウントダウン3……2……1。

両者、出撃してください』

 

 

アナウンスの放送と共に、視界に『Catapult Standby』の文字が表示され、俺は気合いを入れることを兼ねて大きく息を吸い込み、叫ぶ。

「織斑一夏!!!!ヴァルヴレイヴ一号機【火人】、出撃する!!!!」

直後、カタパルトが斜め上に見えるアリーナへの道目掛けて加速し、俺はアリーナへ放り出される。

宙へ浮いた俺は足から光を放ちバランスをとって、地面に綺麗に着地する。

そして、俺は伏せていた顔を上げて……

「……は?」

まず、その一言だけが出た。

俺の向こうには、セシリアが乗っているであろう、青と黒のカラーリングの、全身装甲のISがあるのだが……

「……まさか、セシリアも、か?」

 

 

────【火人】に、【火遊】に、驚く程似ていた。

 

 

いや、幾つか違う点はある。

まず目を引くのは、肩に付いている機体を覆えそうなほど大型の装甲。その先の大部分が透明な物質でできており、薄い黄色に染まっている。

そしてその装甲に、左右対称に張り付いている飛行機型の装甲があり、今にも空へ飛びそうな雰囲気を醸し出している。

そして腕には【火人】にも【火遊】にも無い白色のパーツが増設されており、手には二丁のライフルを握っている。

全体的に防御性能と射撃性能に特化したような機体だと感じた。

「あら?一夏さんの機体、わたくしの【火打羽】(ひうちば)にそっくりですわね」

「どぅおっ!?」

耳元からいきなりセシリアの声が響き、思わず数歩後ずさってしまう。

見ると、セシリアが俺に対して誰にも聞かれない秘匿回線であるプライベートチャンネルを開き、俺に話しかけたらしい。

「……あのなぁセシリア、いきなりプライベートチャンネルで話しかけないでくれよ……フツーにビビるから……」

「……申し訳ございませんわ。それで、一夏さんのそれは……やはり」

「ああ。ヴァルヴレイヴ一号機、【火人】だ。セシリアのそれもヴァルヴレイヴだろ?」

聞くと、目の前にいるセシリアが装甲に覆われた頭を縦に振り、俺の言葉を肯定する。

「ええ。ヴァルヴレイヴ五号機……【火打羽】という機体ですわ」

「……かなりゴツイな」

よく見ると、セシリアの機体【火打羽】は【火人】より装甲が多い。

わかるだけでも、胴体と股を覆うように厚い装甲が追加されている。

「……武装のことを考えるとこうなってしまいまして……」

『言い忘れておりました!!!今回の試合ですが!!!お互い特殊なISということでルールを大まかに分けて三つ変更します!!!』

アナウンスから、重要そうな話が聞こえてきたのでセシリアは会話を途中で切り、俺もアナウンスを集中して聞くことにする。

結構長くなったので、簡単に纏めると……

・SEゲージの代わりにHEAT CAPACITYゲージを使用。

・数値が先に100/100になるか降参したら負け。

・実力者同士なので全武装の使用を許可。

……といった感じだった。

『さて!!説明も終わりましたし、これより試合開始までのカウントダウンを行います!!!!両者、準備をお願いします!!!』

そのアナウンスが終わった瞬間、セシリアが素早く二丁のライフルの銃口を俺に向けて構え、いつでも撃てるような体制に入る。

俺もそれに答えるように、右手で<ジー・エッジ>を抜き放ち、左腕には<ストライク・ブレイス>を装着するが、左手は何も持たないでおく。

……更識工業の人らと戦っていた時に見つけた『新技』を使うには、手を開けておかないといけないからだ。

『両者、準備が完了したようですのでカウントダウンを開始します!!!!

3!!!

2!!!

1!!!

試合ッ!!!!開始ィ!!!!!』

「行きますわ!!!」

「来い!!!!」

こうして、俺とセシリア……『ヴァルヴレイヴ』同士の試合が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリアが自身と同じ『ヴァルヴレイヴ』を持っていることを知った一夏。

彼女の駆る【火打羽】は強く、【火人】の攻撃もまともに通らず翻弄される。

敗北しそうになる一夏だったが、【火人】の数値が100/100を迎えた所で変化が起こり……

次回、インフィニット・ヴァルヴレイヴ、第五話。

『666』

その時、少年は革命の刃を引き抜く。




次回は一ヶ月以内には出したい……
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