IS・VVVーインフィニット・ヴァルヴレイヴー   作:蒼京 龍騎

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第二話 赤ノ軌跡

IS・VVV

インフィニット・ヴァルヴレイヴ

 

プロローグ第二話 赤ノ軌跡

 

 

一夏side

「……逃げてきたのはいいんだが……ここどこ?」

俺が自分のISである『ヴァルヴレイヴ一号機【火人】(ヒト)』を展開し、足裏から赤い光を放ちながら空中を移動すること十分。

気付けば、俺は全く来たことの無い場所まで来ていた。

下には建物がちらほら見えるのだが、どうやらかなり田舎な場所まで来てしまったらしい。

来た道を戻って、家に帰ろうかなと思ったがアイツらが待ち伏せしてたらたまったもんじゃない。やめだやめ。

……ってか腹減ったな、どっかで飯買って食おう。

とりあえず人目のない場所に降り、ヴァルヴレイヴ……長いから【火人】って呼ぼう……を解除して歩いてみる。

見渡すと、大きな畑と家が数件という、いかにもな田舎の風景だった。

そんな田舎特有の、綺麗な空気を勢いよく吸っては吐いてみる。

……なんだ?さっきから妙な視線を感じるな……

深く深呼吸したことで気付いた。

……背後から、謎の視線を感じる。

さっき匂いを嗅いでみた感じだと……恐らく俺と同じ年齢の女。

バレないように、ISのハイパーセンサーを起動し真後ろに目線を向ける。

そこには、セミロングの髪にやけにかっこいいデザインの髪飾りを付けていて、眼鏡越しに赤い瞳を輝やかせて俺を見る一人の少女が居た。

……なんでだろうか。さっき襲撃してきた女にめっちゃ似てる。

──気の所為か。隠れ方があの女より下手すぎるから、違う人物だ。

「────そこで俺を見てる奴、大人しく出てきやがれ」

思い切って、殺意を込めて出てくるように言ってみる。

少女は一瞬体をビクッ、と揺らしたがすぐに隠れていた塀から出てきても俺の前に姿を現す。

「さて、なんで俺を見ていたのか教えてもらうぜ。教えてくれない場合強硬手段に出るからそのつもりで、な」

脅しを交えて、少女に問いを投げかける。

だが、少女は怯える様子が一切無く、むしろさっきより瞳を輝かせて俺の事を見ていた。

「……本物、だ」

少女から、そんな小さい呟きが聞こえると、少女が足早に俺に近づき俺の手を取って腕をブンブンと上下に振り始めた。

「本物の『辻風の黒銀』だ!!!本物だ!!!胸の黒銀の十字架に、黒の革ジャンと灰色のジーパン!!!」

「…………」

状況が飲み込めず困惑する俺を置き去りにして、少女が興奮気味に「あ!!」と叫んだことによって我に帰る。

「い、いきなりなん「私、更識 簪(さらしき かんざし)って言います!!あなたの、『辻風の黒銀』のファンです!!!ファンクラブにも入ってます!!!」……ハハァ(納得)……」

少女が発した言葉によって、俺は今の現状を理解する。

これも最近知ったんだが、どうやら俺のファンクラブである『黒銀の傘下』ってものが存在していたらしい。これも俺が作った訳じゃなく、グループの下っ端が金稼ぎ目的で作りやがった。だから作った奴を半殺しにして消させたはずなんだが、まだあったとは……次会い次第また作ったのか聞いて、クロだったら半殺しにするか。

……まぁ要するに……

この女子が俺のファン→ここに降りてきた俺を発見→見つかるのは避けたい(理由は不明)からひっそりと見ていた→俺にバレたから大胆に動いた

……ってところか?

「……あー、なるほど。要するに君は俺のファンで、俺を偶然見つけたから尾行してた。って感じか?」

「は……はい///」

少女改め簪が顔を赤くして答える。

「そんじゃ一つ聞きてぇんだが、ここって一体……」

ぐぎゅぅぅぅぅぅぅぅ。

「………」

大きく、俺の腹が鳴った。

そういや、さっきのハプニングで忘れていたが、腹が減っていたんだった。

それを自覚した瞬間、体から急に力が抜けて膝から崩れ落ちる。

そのまま地面に倒れると、だんだんと意識が朦朧としてくる。

「え!?あの、だ、大丈夫ですか!?」

簪が心配そうに俺を見るが、ボソボソとした小さい声しか出せない。

俺はどうにか全力を振り絞って声を出す。

「……め、飯……」

どうにかそう呟くと、俺の意識はフッと途切れた。

 

 

簪side

「え!?あの!?」

どうしよう!?あの『辻風の黒銀』が倒れちゃった!?

私、更識簪は目の前にいる私と同じ年齢の少年……私の憧れである『辻風の黒銀』を見て呟く。

私には彼の名前は分からない。でも巷で彼は『辻風の黒銀』と呼ばれている。

私が彼を知ったのは数ヶ月前。姉の会話を盗み聞きしているとその『辻風の黒銀』という名前が出てきたのだ。

調べてみると、その『辻風の黒銀』は世界に名を轟かせている最強で最凶な不良だった。

学校をサボり、習っている剣道をサボり、喧嘩に明け暮れている中学生。

その時は、不良と聞いて嫌なイメージを持ったけど彼について調べていくうちに嫌なイメージは完全に消えた。

調べた結果、彼の世間からの評価は異常なほどに高い。

『不良に襲われているところを助けられた』

『街の不良をことごとくなぎ倒し、ヤクザ相手に単身で挑んだ上無傷で勝利し、街の治安を良くしてくれた』

『悪人を倒す以外何もせず、傘下が悪事を働いた場合そいつに直々に鉄槌を下している正義の不良』

と、良いイメージが大半を占めていた。

────そんな彼に、私は憧れを抱いた。

悪を倒し、正義を執行するという彼に。

私自身、元々勧善懲悪という考えが好きだったこともあったからかもしれない。

 

「……って考えにふけってる場合じゃない!!!どうにかしないと……あれ?」

完全に自分の世界に入ってしまった自分を呼び戻せた私は、倒れた彼をどうしようかと考えたが、その際に彼が呟いた言葉を思い出す。

『……め、飯……』

──どうやら、空腹で彼は倒れたらしい。

それなら、と呟いた私は彼を担いで、重い足取りで自宅へと戻る。

 

 

一夏side

────あれ、俺は……そういや腹減って倒れたんだっけ。

ん?なんかいい匂いが……この匂い、もしや。

「飯だァァァァァァァ!!!!!!」

叫びながら、俺は起き上がった。

そして匂いの元を辿り、お盆の上に乗っていた色様々な料理に目線が行く。

俺はお盆の右横にあった箸を掴んで「いただきます!!!」と一礼してからその飯に食らいつく。

……うめぇ。うめぇよぉ……

お盆の上にあったのは、つやつやのご飯にオーソドックスな味噌汁、鮭の塩焼きにほうれん草の漬物という、日本ならではのバランスの良いものだった。

そのどれもが、旨すぎる。厳さんの料理ぐらい旨い。

腹が減っていたこともあったのか、俺はあっという間に料理を全て食い尽くした。

「ご馳走様でした。────美味かった」

「あ!!起きたんですか!?」

はふぅ、と満足した俺が息を吐くと、簪の声が聞こえ顔を上げる。

俺が居たのはいかにもって感じの和室で、視界の先では簪が手に食事を載せたお盆を持って襖を開けて部屋に入ってくる。

左には手入れが行き渡っている綺麗な庭が見えた。

「……悪い。もしかしてここ、君の家か?」

「はい!!倒れたあなたをどうにか運んで、私の家まで連れて来ました!!」

簪が俺の質問に笑顔で答える。

「飯も君が作ってくれたのか?」

「いえ、ご飯は使用人に頼んで……」

ん?使用人?ってことはもしや……簪って偉いさんの子供か?

だったらマズイな。俺の正体がバレないうちに逃げねぇと。

「────とりあえず、礼を言わせてくれ。

飯と布団ありがとう。何か礼をさせてほしいんだが、俺そろそろ喧嘩に行かなきゃいけねぇから、その喧嘩が終わったら改めて礼に来させてくれ」

「は、はい!!分かりました!!待ってます!!」

……駄目だ、罪悪感が半端ない。また来てくれるっていう期待の目線が痛い。でも俺は逃げないといけないんだ……本当に申し訳ないけど俺は喧嘩という名目で逃げ……

「ちょっと待って貰えないかしら、『辻風の黒銀』さん?」

ピタッ、と俺の動きが止まる。

その声は、聞き覚えがありすぎた。

昨日、あの時に聞いたからだ。

ゆっくりと振り返ると、そこには。

「……テメェ、なんでここにいやがる」

昨日俺の家を襲撃してきた奴らの、リーダー格と思わしき女が居た。

昨日顔はバッチリと見ているから間違えようがない。

「なんでって、ここが私の家だからに決まってるじゃない」

言いながら、女が手に持つ扇子を開くとそこには『当たり前』と書かれていた。

……へ?コイツの家?ってことは……

/(^o^)\ナンテコッタイ

ここ一番俺が来ちゃいけない場所じゃないか……俺の人生バッドエンド確定ですねありがとうございました。

「お姉ちゃん、もしかしてだけど『辻風の黒銀』さんに用があるの?」

……ん?お姉ちゃん?つまり簪って子は……俺を襲ってきたやつの妹かたまげたなぁ……

「ええ。ってもしかして簪ちゃん、この人のこと通称で呼んでるけど本名知らないの?」

「……うん。いくら調べても出てこなかったし」

「この人、今失踪中のあのブリュンヒルデの一番下の弟、織斑一夏よ?」

「────え!?嘘!?」

おい、さらっとばらされたくないこと喋りやがって殺すぞ扇子野郎。

秘密をバラされた俺は観念して、こいつらに秘密を話すことにした。

「……そうだ。俺は織斑一夏だ。まぁ今は織斑って名前が嫌で半ば家出みたいな感じでこうなってるがな。あいつらの事は家族とは思ってない。だから今の俺はただの一夏で、『辻風の黒銀』だ」

言うと、二人が「なぜゆえ?」といったような顔をしながら頭の上にハテナを浮かべたので、俺がそう思っている訳を話す。

愚兄からの虐め、クソ姉からの育児放棄、周囲からの差別と暴力、エトセトラエトセトラ。

話し終える頃には、簪の顔は真っ青に青ざめていて、姉の方は顔に少し怒りを浮かべていた。

「……そん、な……」

「……ビックリね。織斑千冬とその弟が……周りがそこまでの下衆だなんて……」

そんな二人の顔を見て、俺は俺の抱えている『最大の秘密』も明かすことにした。

「……オマケに、お前らにとびっきりの情報もくれてやる。お前ら偉い奴らっぽいからな。俺がクソ姉を殺したいほど憎む理由ナンバーワンである秘密を。

────『白騎士事件』を起こしたのは、織斑千冬だ。

あの事件の日、俺はあそこに……白騎士の真下に居た」

「「なっ……!?」」

二人の顔が、今度は驚愕に染まる。

俺はそんな二人の顔を見ながら、思い出したくはない記憶だからか頭痛が起こっている頭を押さえながら話す。

「……あの日、俺は友達の鈴と妹のマドカと家の近くを歩いていたんだ。そしたらいきなり上で爆発音が鳴って光って、見上げた瞬間……二人に瓦礫が降ってきて……」

頭の中であの光景を思い出すだけで、胃から何かがせりあがってくる。

ザザッ、ザザザッ。

頭の中で、ノイズが走る。

『ますたー、おこる、ほしい。ぴの、あげる、もえる、ぞうお』

幼い女の子の声が、頭に直接響く。

直後。あの日の光景が、残酷なまでに、鮮明に浮かび上がる。

 

 

「────ッ!?鈴!!!マドカ!!!」

「い、ちか……」

「おにい……ちゃん……」

俺の目の前には、瓦礫で体を押し潰されかけている二人。

そんな二人が、血を吐きながら俺の名前を呼んで俺に手を伸ばす。

「……ッ!!!待ってろ!!!今助けを呼んでくる!!!」

俺は二人の手を握ってから、膿んでいる上に折れている腕と足を無理矢理に動かして走る。

激痛が走るが、構っている暇はない。

大人さえいれば大丈夫、と安直な考えをしていた俺は、近くの家のインターホンを押す。

すると、ガタイのいい知らない男性が部屋から出てくる。

「なんだよ……って!?どうしたんだ君!?」

「助けてください!!!友達と妹があっちで瓦礫に……!!!」

助けてもらいたかった俺は必死に叫ぶ。

それが功を奏したのか、男の人は俺の言葉を信じてくれたようで顔を驚愕の表情に染めていた。

「なんだと!?わかった!!!連れて行ってくれ!!!」

その返事を聞いた俺は、再び足を動かして二人の元に向かう。

────良かった。これで二人とも助けられる。

そう思っていた俺は、心の底から安堵する。

──この先には、絶望的な光景が広がっているとも知らずに。

二人の元まで着いた俺は、息を切らして肩を上下に上げ下げしながら顔を二人が居る方に上げる。

「二人とも!!!助けが来た……ぞ……?」

見上げても、俺の視界に二人の姿は映らない。

「……は?」

その代わり、瓦礫に埋まりきった肌色の腕と……その瓦礫から真っ赤な液体が流れてくる光景が、俺の目に焼き付いた。

────ここで、現状を理解できないほど俺は馬鹿ではなかった。

「あ……あぁ……」

俺の目の前に、確かに二人は居る。

でも……間に合わなかった。

 

────俺の所為だ。俺が助けを呼ばないで二人を助けていれば。

 

────俺が、二人を殺した。

 

────俺が。出来損ないが生きてどうする。

 

「……あ、あああああああああああああっっっっっっ!!!!!!!!」

悲しみと怒りが混じった絶叫をあげて、上を……空に居る『白い騎士』を睨む。

その騎士は、顔をバイザーのようなもので隠していたが、真下だったこともあったのか……その素顔が、はっきりと見えた。

そこから見えた顔が、俺の怒りを更に増長させた。

「……クソ姉貴……!!!!

────よくも鈴を……マドカを!!!!!!」

口から血が出るほど叫ぶ。

白い騎士の正体は……俺のクソ姉。

「殺してやる……ブッ殺してやるッ!!!!!」

その叫びを聞くこと、俺の記憶がそこで途切れる。

 

 

「……ッ!?」

記憶の世界から戻った瞬間。

ドクン、ドクン、と胸を抑えたくなるほど俺の心臓が強く脈打つ。

それと同時に……抑えようのない『怒り』が溢れ出てくる。

気を抜けば、今ここでISを展開して暴れ始めてしまうほどに。

このままじゃまずい、と感じた俺は【火人】を即座に展開し、足裏から赤の光を放ちながら可能な限り上へ向けて飛ぶ。

ある程度上昇した俺は、その場で止まって怒りのままに腰に付いている刀を抜いて振り回した。

「クソッ!!!クソがッ!!!!なんであの時俺が生きちまったんだよ!!!クソ!!!」

怒りのままに、言葉を放つ。

『ますたー、しにたい?いもうと、ともだち、だいじ、とても?』

また、頭の中で声が響く。

「当たり前だッ!!!!あの子らは……俺を……俺をッ!!!!」

その声に、答えるように叫ぶ。

「……俺みたいな出来損ないを、好きになってくれたんだぞ!?大事なんてレベルじゃねぇんだよ!!!!俺の命よりも大切な……大切な……ッ!!!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!」

そうだ。あの子らは出来損ないの俺を好きになってくれた。

それを、その『愛』を改めて感じた瞬間、更に強く頭痛が走る。

それすら怒りに変えて、獣のような叫び声をあげてより力強く刀を振り回す。

ただ、湧き上がる怒りを晴らすために。晴れないとわかっている怒りを。

『……ますたー、かわいそう。わたし、おこらせる、やめる。ごめんなさい』

弱々しい少女の声が聞こえた直後、さっきまで湧き上がっていた怒りが嘘のように消える。

視界に『熱量限界到達。冷却開始。次回稼働可能時刻、本日二十二時』という文字が表示されると、体から力が抜けてISが解除され地面に向かって落下を開始する。

【火人】を使った反動か、強烈な眠気が襲ってくる。

朦朧とする意識の中、瞼を閉じながら俺は自然と言葉を口に出す。

「……俺は……俺はただ……二人が幸せになってくれれば……それだけで良かったんだよ……それなのに……ちくしょう……ちく…しょう……」

言い切った所で、俺の意識は途切れた。

 

 

楯無side

「何!?何が起こってるの!?」

先程、織斑一夏が胸を抑えたと思ったらISをいきなり呼び出したので私は一瞬驚く。

だが、瞬時に冷静になり咄嗟に『霧纏の淑女』を展開しハイパーセンサーで機体の情報を覗こうとしたが、視界には『あなた、ふてきごうしゃ。あなた、ちがう』とだけ表示される。

「は!?不適合者って何よ!?って何コレ?!ハッキング!?」

いつもとは違う表示が現れて、困惑した私は思わず叫んでしまう。

「……『ヴァルヴレイヴ』……?」

「……え?」

急に、私の大切な妹である簪が専用IS『打鉄弐式』(うちがねにしき)を展開して何かを呟く。

「お姉ちゃん、あの機体『ヴァルヴレイヴ一号機【火人】』って言うらしいよ!!!ハイパーセンサーで見たらそう書いてあった!!!でも、下に『あなた、てきごうしゃ。じょうほう、おしえる。ろくごうき、ひあそび、つかえる』って文字と座標が書いてあったけど……なんだろう?」

「……え!?簪ちゃんあの情報見れたの!?私『不適合者』って言われて一切見れなかったんだけど!?」

なぜ、簪が『適合者』というものであるのか。

なぜ、簪だけが一夏の機体の情報を見れるのか。

簪の目に写っている『座標』は何処を指しているのか。

聞きたいことが一気にできて、脳が混乱する。

「お姉ちゃん!!!!それよりつじかっ……一夏さんは!?」

「……ッ!?しまった!!!」

簪と話していて忘れていた。先程空に飛んで行った一夏は……!!!

空から、一つの影が落ちてくる。

ハイパーセンサーで難なく捉えられたそれは、気を失っている一夏だった。

「ッ!!!危ない!!!」

私は『霧纏の淑女』のスラスターを全力で吹かし、大急ぎで一夏の元まで向かう。

地面スレスレの所で一夏の腕を掴み、抱き寄せる。

「ふぅっ……ギリギリセーフね」

間に合ったことに安堵のため息をついて、私は一夏の顔を見る。

……寝ていた。

────小さな呻き声をあげながら、とても苦しそうな顔で。

「……なんで俺が…生きてるんだ……俺じゃなくて…鈴とマドカを生かせよ……許さねぇ……クソ姉貴も……愚兄もクソモップも……こんな世界にしやがったクソ兎も……殺してやる……」

「────ッ!!!」

そこで、私はこの少年が秘めている後悔と憎悪を垣間見た気がした。

……寝言に出てくるほど、思い詰めている。

────そんなの、あまりにも……可哀想だ。

「……あげないと」

無意識に、言葉が出た。

そのまま、流れるように妹へ回線を繋げる。

『お姉ちゃん!!!一夏さんは!?』

「とりあえず無事よ。……苦しそうに寝ているけど。

────簪、一夏くんは私たちが引き取るわよ」

『うん!!私もそれがいいと思う……って!?ええ!?』

驚く妹の声を聞きながら、私は家まで向かう。

「この子を織斑家に置いておけないわ。私が……守らないと。叶えさせてあげないと」

────この少年を、絶望から救うと。復讐を成就させると。決意を抱いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

謎の少女の声により過去のトラウマが蘇り、怒りに駆られて暴れ、眠った一夏。

眠りから覚め起きた一夏に簪の姉が提案を持ちかけてきた。

その提案とは……

次回、インフィニット・ヴァルヴレイヴ、プロローグ第三話。

『抗エル力』

少年よ、力を以て最強に抗え。

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