IS・VVVーインフィニット・ヴァルヴレイヴー   作:蒼京 龍騎

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早めとか言っておいて遅れました。本当に申し訳ない……


第五話 革命スル少年

IS・VVV

インフィニット・ヴァルヴレイヴ

 

プロローグ第五話 革命スル少年

 

 

一夏side

「かん……ざし?」

俺は、目の前に突如現れた紫と黒のIS……『ヴァルヴレイヴ六号機【火遊】』を見て思わず呟く。

そのISは右手にピッケルのような杖状の武装……<ハミング・バード>と表示されている武装を持ち、ローブのように配置されている緑のフレームは、ローブを思わせる。

その機体は……魔術師のように、ミステリアスで、幻想的で、美しかった。

「な!?なんでテメェがそれを動かしてんだよ!?」

「それは私たちが報酬で貰えるはずなのに!!!あんたが使ってんじゃないわよ!!!」

女達が、動いている【火遊】を見ると、顔を憤怒に染め上げる。

そんな二人を気に停めずに、簪がISに覆われた顔を俺に向ける。

「一夏さん!!!あなたは決して出来損ないでも、あの二人と同じ存在でもないです!!!

……一夏さんは一夏さんです!!!以前の私みたいに……自分を低く見ないでください!!!」

────ドクン。

心臓が高く跳ねる。

これに似た言葉を、俺は聞いている。

 

『一夏さんは自分を低く見すぎですわ。貴方には人に劣らない良い部分が沢山ありますわ。もっと胸を張ってくださいまし』

 

頭の中で、その言葉が何度も響く。

────俺を救ってくれた、セシリアの言葉が。

「一夏さんはとっても優しいです!!!出会ってまだ間もない私に優しくしてくれた!!!

私のために……怒ってくれた!!!!」

簪の叫びを聞くにつれて、頭の中で蘇りかけていた嫌な思考が薄れていく。

それと同時に、心に熱い何かが滾る感覚がした。

────ああ。そうだ。何悩んでやがるんだ、俺は。

────座ってる場合じゃねぇだろ、俺。

────挫けてる場合じゃないだろ。

────立てよ。立って、アイツらを……『前の俺の世界』をブッ飛ばせ!!!織斑一夏!!!!

頭の中で、先程までの嫌な言葉の代わりに、激励の言葉が思い浮かぶ。

「……そうだな……そうだったな……!!!!

────俺は俺だッ!!!」

折れた心を立ち直らせ、アイツらに……クソ姉とクソ兄に届かせるという思いで叫び、はまっていた壁から抜け出して【火人】を展開する。

「俺は、織斑千冬の妹でも、織斑百秋の弟でもねぇ!!!!

織斑一夏っていう……一人の、人間だ!!!!」

腰から<ジー・エッジ>を抜き放ち、それぞれを両手で強く握る。

「簪!!!心配かけて悪ぃ!!もう大丈夫だ!!!

────もう、俺を貶すのは辞めだ!!!!俺は俺に自信を持って、生きてやる!!!!

本当の意味で……この世界に抗ってやる!!!!」

口から、頭ではなく、心から浮かんだ決意の言葉が漏れ出す。

もう──この決意は折れない。

一度は折れた決意を、より強靭に打ち直したから。

────自分を、見いだせたから。

「はい!!!抗ってやりましょう、一夏さん!!!」

簪も、顔は見えないがおそらく笑顔を浮かべて、大きく首肯する。

「さっきからごちゃごちゃうるせぇんだよお前ら!!!」

「死ねぇ!!!」

俺らの声がうるさかったのか、女二人が先程より強く眉間に皺を寄せて銃を俺らに向ける。

俺は回避しようとその場から飛び立とうとするが、簪がそれを手で止める。

「一夏さん、その場で待機してください!!!!私が……止める!!!」

直後、【火遊】の緑のフレームが眩く輝く。

それと同時に、簪が<ハミング・バード>の先を『打鉄』と『ラファール』に向ける。

「【火遊】専用武装、<森羅万象>(しんらばんしょう)起動!!!対象の武装へハッキング開始……完了!!!セーフティロック、発砲不許可!!!」

その言葉を言い終える時には、既に襲撃者は引き金を引いていた。

「ッ!?簪!!!」

これから襲いにくるであろう銃撃から簪を庇おうと、簪の正面に移動し腕を体の前で交差させる。

────しかし、衝撃は一切襲って来なかった。

「……?」

不思議に思い、襲撃者の方を見てみる。

「な!?なんだ!?武器がロックされてるぞ!?撃てねぇ!?」

「ハッキング!?それにしては早すぎる!?」

襲撃者らは、焦った様子で銃を注視しながら引き金を何度も引いていた。

しかし、銃口から弾丸は発射されず、虚しくカチカチと音が鳴るだけだった。

「……簪、なんかしたのか?」

俺は振り返り、簪に聞いてみる。

先程の発光。あれが関わっているに違いないと思ったからだ。

「【火遊】の専用武装<森羅万象>を使いました。どうやらこれは、ISの射撃武装にハッキングを仕掛けて武装を強制的にセーフティーモードに出来るらしいです。ハッキング対策がされていたらもっとかかっていましたけど、特に対策されていなかったから早めにハッキングできました」

おい。今サラッとハッキングって聞こえたぞ?てか武装強制セーフティーモードってエグイなおい。

────ん?待て。簪、今平然とハッキングしてたけどもしや……

「……もしかして、簪って機械大得意?」

「はい。今までに暗部の、情報収集の仕事のお手伝いを手伝ったことがあるので、ハッキングはお手のものです」

言いながら、簪が両手それぞれの指先を、パソコンのキーボードを打つように上下に動かす。

……暗部ヤベーな。今後絶対喧嘩売らないようにしよう。社会的に殺されるわ絶対。

「……ちっ、不良品が!!!だったらブレードで切ってやらァ!!!」

「姐さん!!!私にも一本!!!」

そんな叫び声が、後ろから聞こえてきたので再び振り向く。

見ると、銃を乱雑に投げ捨てその手に新しくIS用の近接ブレード<葵>を握りしめた襲撃者達が、俺らを睨んでいた。

「……もう大人しく撤退してくれねぇかな。これ以上は時間の無駄だ」

「……ですね。そんなわからず屋の襲撃者には」

簪が、怒りを込めた声で呟くと。

<ハミング・バード>を腰にマウントしてから、ジャキッと、ナタのような刃……<ファン・タロン>を二本、同じく腰から取り出して両手の人差し指と親指で、それぞれを挟んで持つ。

「おしおきです」

次の瞬間、一本だった刃が五本に分かれて【火遊】の指に装着され、長い爪のような武装へと変わる。

簪が右手を引いて左腕を突き出し、踵を合わせてカンフー映画にあるようなポーズを取る。

俺の目にそのポーズはカッコよく見えて、一瞬見入ってしまうがすぐ我に帰り、俺も簪に合わせたポーズを取ることにした。

なぜ俺がそうしたのかは分からんが恐らく……厨二心が暴走したんだきっと。

簪とは対照的に、左腕を引いて右腕を伸ばし、右足を前に伸ばして両手に<ジー・エッジ>を持つ。

「……さて、わからず屋共に教えてやるか。

────誰に喧嘩を売ったのかを、な」

俺は大きく笑いながら、簪に視線を向ける。

簪も俺に目を向けていたらしく、視線がかち合う。

視線が合ったことに気付いたのか、簪が慌てて視線を逸らしてから首を数回横に降ると、襲撃者が居る方に顔を向ける。

「……もう、弱い私じゃない。私は私を……『革命』する!!!」

簪が、叫ぶと同時、地面を蹴る。

俺も簪と同じタイミングで地面を蹴り、簪は『打鉄』に向けて、俺は『ラファール』に向けて加速する。

「来いやガキ共!!!ブッ殺してやる!!!」

「よくも私たちのISを!!!」

襲撃者も、怒りの形相を浮かべながら俺らに向けて加速を始める。

だんだん、お互いの距離が短くなり、遂にお互いの刃の間合いに入る。

「うおぉぉぉぉぉ!!!!!」

俺は雄叫びをあげながら、<ジー・エッジ>を『ラファール』に向けて振り下ろ……

 

「────ちょっと好き勝手しすぎよ?そこの四人」

 

「……へ?」

「……え?」

「……は?」

「……な?」

俺、簪、『打鉄』パイロット、『ラファール』パイロットが、順番に気が抜けた声を出してその場で停止する。

それと同時に、俺の額には大量の冷や汗が浮かんできた。

────やべぇ……めっちゃ怖ぇ!!??

先程響いてきた声には、ただならぬ怒気が込められていて、気を抜けば足が震え出してしまいそうなほど威圧感がある。

恐る恐る、上を見上げる。

────そこには。

「……嘘だろ!?」

「……お姉ちゃん!?」

『最強』が、怒りの笑みを顔に浮かべながら、空に佇んでいた。

「いきなり居なくなって、どこに行っていたのかと思ったら……心配したんだからね?簪ちゃん」

「ヒッ!?」

言いながら、楯無が俺を睨む。

ダメだ。完全に怒ってらっしゃる。

俺が簪連れ出したことに怒ってるんだろうなきっと……

「一夏くん、事情は後でたぁっっっっぷり聞かせてもらうわ。

それより今は……軽いストレス発散をさせてもらおうかしら」

楯無が、空に向けて手を伸ばす。

直後。

「ぐぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

「きゃぁぁぁぁぁっ!?!?」

目の前に居た襲撃者二人の周囲が爆発し、SEを無慈悲に削ってゆく。

爆発はその二機のSEを削りきるまで起こり、爆発が収まると襲撃者たちのISがSE切れで解除されており床に伏せていた。

「……逃げたい」

それが、今の光景を見た俺の感想だった。

──このままだと俺殺されるんじゃないか……?

そう思わずにはいられないほど、容赦がなかった。

「無事ね、二人とも」

動かない二人を確認した楯無が地面に降り立ち、ISを解除してから俺らに聞いてくる。

俺らもISを解除して楯無に大きく頷く。

「大丈夫だ問題ない!!!」

「私も無事だよ、お姉ちゃん」

俺は恐怖からか口早に返事をして、簪は笑顔を浮かべて楯無に返事をしていた。

簪の笑顔とは対照的に、楯無の顔は驚愕に染まっていた。

「簪ちゃん!?胸!!どうしたの!?」

ん?胸……ゑ。

チラリと簪の方を見ると、楯無が驚愕している理由が分かった。

……撃たれた時に空いた衣服の穴がそのままで、その周囲は簪の血で赤く染っていたからだ。

いや、正直それが一般人から見たら一番ヤバイけど……俺的に一番ヤバイと思ったのは……谷間が見えちゃってる。ビーチクは隠れてくれてるけど、少し動けばその穴から簪のパイオツが出てきそうなほど……ファッ!?

「簪ィ!!!隠せ!!!胸元!!!今すぐ!!!」

頭の中で言葉にして、そこで現状を理解した。

俺は顔が熱くなるのを感じながら、勢いよく簪に向けていた視線を反対方向へと逸らす。

「……?隠せって何を……ッ!?」

そこで、初めて自身の胸の穴に気付いたのか、簪が顔を赤くしながら自分の体を抱くように胸元を隠し、俺から距離をとる。

「……一夏さんのえっち」

簪が、見られた事に怒ったのか上目遣いで俺を睨んでくる。

その様子は、怒っているとはわかっているのだが正直とても……エッッッッッッだ。

「って待て簪!?今のは不可抗力だろ!?俺だってわざとじゃねぇんだよ!!!」

まるで、俺が自分の意思で見てきたと言わんばかりの簪の誤解を解くため、俺は腕を上下に動かして大袈裟に動き、必死に弁明する。

だが、簪は余計に気分を悪くしたようで「ふーんだ!!」と言うと顔の向きを俺から逸らす。

────そして、俺はそこで気付いた。

後ろから、ものすんごい殺気を当てられていることに。

殺気の主は多分……というか絶対に合っているな……

後ろへ、恐る恐る振り返る。

……\(^o^)/オワタタシュケテー

目の前に映る光景に、思わず誰かの助けを求めたくなった。

「いーちーかーくーん?」

……鬼がいる。楯無の後ろに鬼が見える。

楯無が顔に禍々しい笑顔を浮かべて、両腕にISを纏わせ<蒼流旋>の穂先……正確には<蒼流旋>に内蔵されているガトリングガンの銃口を俺に向けてくる。

「ま、待ってくれ!!!頼むから!!!俺は悪くねぇ!!!運命が俺にこんなことを!!!俺は悪く……」

「問答無用!!!簪ちゃんを辱めた罪、贖いなさい!!!!」

楯無が、容赦なく引き金を引き弾を俺に向けてばらまいてくる。

「ギャァァァァッ!!!!!!」

その後のことは、とにかく大慌てで楯無から逃げ回ったということしか覚えていない。

 

 

???side

『……やった、できた。かんざし、まぎうす、なった』

『……もう、ほか、さんき……

ひかみなり。

ひのわ。

ひうちば。

みんな、ぱいろっと、みつかった。けいやく、できた』

『……かくめい、ちかい。でも、てっか、はんのう、ない。まぎうす、いない。しんぱい』

『……おにいちゃん、ぶじ、おねがい。わたし、みつける、ぜったい』

『……おにいちゃん、あいたい。

────ひとり、さみしい。あたたかさ、ほしい』

『……おなか、すいた。でも、がまん、する』

『……かんざし、なりたて、るーん、すくない。たべたら、しぬ』

『……みんな、あつまる、まつ。それまで、がまん。るーん、せつやく』

 

 

 

 

 

次回予告

簪が新しい力である『ヴァルヴレイヴ六号機【火遊】』を手に入れ、一夏も挫折から立ち直り襲撃者を撃退しようとしたところに、楯無が乱入。楯無は襲撃者を容易く打ち負かしその強さを二人に見せつける。

家に戻った一夏に、楯無は笑顔で最悪の事実を伝える。

その最悪の事実とは……

次回、インフィニット・ヴァルヴレイヴ、プロローグ第六話。

『復讐開始・前夜祭』

少年は、復讐に心を燃やす。

 




次回は長めに書くのでお許しを……
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