月下の雫 <英雄 カイリース・デイビット>   作:もみじん

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こんばんはー、もみじんです。

今回第3話になります。

少し地の文多めです。(普段よりは)

それでは対戦よろしくお願いします。

以上


第3話 下船する場合は足元にお気をつけ下さい。

 

AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・機関室

 

Time:7月18日 11:58

 

 

突如その場から走り出したノエルを追い、機関室へとやってきたカイリースだったが、突如背後から現れたサラと名乗る人物により、

自身の命が何者かによって脅かされている事実を知る。

 

カイリース「幻想使い・・・そいつらがこの船に?」

 

サラ「今もこの船に居るかはわからないわ、奴らはその場に居なくとも幻想を扱える。」

 

カイリース「――――つまり、遠隔でも簡単に殺される可能性は十分にあるってことか?」

 

サラ「まぁ、そういうことね。

 だから私が来たの――――。」

 

カイリース「あんたなら幻想の攻撃から俺を守り切れると?」

 

サラ「えぇ、幻想は洗練された心意でしか対抗できないわ、あなたの心意じゃまだ幻想は弾けないのよ。」

 

カイリース「俺の心意がまだ洗練されてないって?」

 

サラ「そうよ、だってあなたこの船の本当の姿が見えてないんでしょ?

 彼女はそのことに気が付いているみたいだから日本支部所属ってのは間違いではなさそうね。」

 

ノエル「え?! 私??! ま、まぁそうね。

 見えてるわよ?」

 

カイリース「本当の姿って、、なにを言ってるんだ? 本当も何もこの船は豪華客船そのものじゃないか。」

 

サラ「はぁ、、もういいわ、とにかく行きましょう。」

 

カイリース「ちょっと待ってくれよ! どこに行くんだ?」

 

サラ「この船の船長に会いに行くわよ――――。」

 

 

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AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・ブリッジ前

 

Time:7月18日 12:06

 

 

理由もいわずに船長がいるであろうブリッジへと向かうサラ。

しかしカイリースはその行動の意味がわからずに戸惑っていた。

 

カイリース「サラ! ちょっと待ってくれよ! ブリッジにいっても船長には会えないぞ?」

 

サラ「あら、もう名前で呼んでくれるなんて嬉しいわ―――。」

 

カイリース「話を逸らすな、船長に何をしようとしてるんだ。」

 

サラ「私たちから見たらこの船こそ幻想の塊そのものよ、そんなのこの船の頭が一番怪しいに決まってるじゃないの。」

 

カイリース「確かに船長とは全然顔も合わせないし、素性もなにも知らないけどこの半年間俺はなにもされなかったんだぞ?

 それだけでも十分疑う理由はなくなるはずだ、違うか?」

 

サラ「その考えは甘すぎるわ、それじゃあ聞くわよ? この半年間でなにか不思議なこのは起こったりしたかしら?

 少なくとも私が知る限りじゃそんなことは今日までなにも起こらなかったわ、それを逆に考えてみなさい。

 もし仮にあなたを殺す準備が整ってその行動を起こした結果が今日の出来事だとしたらこれからあなた死ぬことになるわよ?」

 

カイリース「・・・」

 

サラ「わかったらさっさと着いてきなさい。私から離れて過ぎてると危ないわよ――――。」

 

カイリース(こいつはなんなんだよ・・・)

 

サラ「あら? 扉が空いたままね。」

 

カイリース(いつもは閉まってるのに、、何故だ。)

 

サラ「入るわよ――――。」

 

カイリース「おい、勝手に入るのは――――」

 

船長「誰だ――――」

 

カイリース「船長、、すみません、乗客が勝手に、、、」

 

サラ「これは――――!!」

 

ブリッジの中へと入ったカイリース一行は中にいた船長と対面する。

しかしその直後、カイリースの隣にいたサラはなにか異変に気が付いたのか船長めがけて急に走り出す――――。

 

カイリース「やめろ――――! サラ!!!」

 

サラはカイリースの静止を無視し、振り向いた船長の首元を狙い勢いよく手元にひそめていた小型ナイフを振り落とし、そして振り切った。

 

ノエル「う、噓でしょ――――。」

 

カイリース「・・・・・・」

 

船長の首は吹き飛び、あたりは血に染まる・・・と思えたのだがカイリース一行はそのありえない光景に驚きを隠すことができなくなってしまう。

 

カイリース「空だ――――。」

 

カイリースのたとえはその場の光景に的を得ていた。

なぜなら吹き飛ぶはずの船長の首はまるで空気が抜けた風船のように床へと落ちていったのだ。

 

サラ「遅かったか!」

 

ノエル「え?! こ、これってどういう事?!!」

 

船長「カイリース――――!!!」

 

次の瞬間、今目の前で空となったはずの男の声がブリッジ内に響き渡る。

 

カイリース「船長――――!?! どういうことだ?! これはなんだんだよ!!」

 

サラ「・・・船長は白だったって事ね。」

 

カイリース一行がまるで普段の落ち着いた様子とは別に騒がしくもがくように叫ぶ船長を目で確認する。

すると船長は下半身がすべて床に沈みこんでいるような状態になっており、まるで船に食べられている様であった。

 

そしてその沈みの速さは勢いを増し、船長の胴体へと到達する。

 

カイリース「船長! 俺の手を掴んでください!!」

 

船長「・・・俺は気にするな! お前もここから逃げるんだ――――!」

 

カイリース「でも、待ってください船長!!!」

 

船長「カイリース、あの女の事は信じるな――――。」

 

カイリース「船長――――?」

 

船長はカイリースへと何かを伝えると頭部まで沈み込んで行き、その場から消えていった。

 

ノエル「?」

 

カイリース「船長、、そんな――――」

 

サラ「外がなにか騒がしいわ! 行くわよ!!」

 

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AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・デッキ

 

Time:7月18日 12:12

 

ブリッジ内で船長が船に沈み込んでいく様子を目撃したカイリース一行、しかしその悲しみに浸る余裕すらなくすように外が騒がしくなっていき、様子をうかがいに行く事に。

 

宇須伊幸子「いやぁ――――――――!!」

 

ノエル「宇須伊さん――――――――!!」

 

デッキに着くと宇須伊も含めた大勢が先ほどの船長のように船に沈み混んでいっており、デッキは悲鳴で包み込まれていた。

 

カイリース「なんだよ、これ―――――」

 

ノエル「宇須伊さん! 私の手を掴んでください―――――!」

 

宇須伊幸子「冬ちゃん! 助けて―――――!」

 

カイリース「ノエル! あきらめろ! お前まで引きずり込まれるぞ!」

 

ノエル「でも―――――、、!?カイリース、危ない!!」

 

カイリース「な、俺もかよ!!」

 

ノエル「カイリース―――――!!」

 

カイリースも船へと沈みこんでゆこうとした瞬間、カイリースは後ろからの強い衝撃によってなんとかその危機を脱す事ができ、

そして強い衝撃の正体を知るべく後ろを振り向く。

 

カイリース「サラ!?」

 

サラ「やっぱりこの船に来てよかった―――――。」

 

するとカイリースが沈み込んでいっていた場所に変わるように今度はサラが船に沈み込んで行っていた。

 

カイリース「おまえ、何やってんだよ! 最初から守るとかいってたけど!! お前は俺に返す恩もないはずだぞ!?」

 

サラ「確かにあなたと私にそんな関係はないわ―――――」

 

カイリース「だったら・・・」

 

サラ「それなら・・・今から始めればいい。

 その関係を、まずはあなたが私に恩を返しなさい―――――!」

 

するとサラはまだ沈み切っていない右手を掲げ、何かのものをカイリースへと投げ渡す。

 

カイリース「こ、これは・・・」

 

サラ「うまく使いなさい・・・」

 

サラはそういうと船へと沈んでいった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ついにサラも船の中へと沈んでしまい、次々と犠牲が出てしまうカイリース一行。

サラを飲み込んでなおそれをやめない船に対して、カイリースはサラから最後に受け取ったペンダントを片手にデッキ中を駆け回っていた。

 

ノエル「カイリース! 宇須伊さんが!!」

 

カイリース「駄目だ! 一旦あきらめるんだ!」

 

ノエル「そんな・・・」

 

宇須伊幸子「助けてぇ―――――」

 

ノエル「宇須伊まで・・・」

 

宇須伊を飲み込むとついにデッキの床は命を吹き込まれたようにうねうねと動き出し一つ一つがカイリースたちを襲いだす。

 

ノエル「なによ、、あれ・・・」

 

カイリース「来るぞ―――――!」

 

うねうねと動く床は途端に先端が鋭く尖り、カイリースを貫く勢いで突撃してくる。

 

カイリース「心意解放―――――」

 

次の瞬間、鋭く尖る床はカイリースを貫いたかに思えたが、それは空気を貫いた。

そしてカイリースはなぜか先ほどまでいた場所とは反対へと移動していた。

 

ノエル「嘘?! 瞬間移動!??」

 

カイリース「まぁ、簡単に言うなら位置変えだな―――――」

 

ノエル(すごい、さすが英雄の器だわ―――――)

 

カイリース「こんなこともできるぞ―――――!」

 

カイリースは床に手を置くと、次の瞬間反対にいたノエルがカイリースの隣へと現れる。

 

ノエル「嘘! 他人にも使えるの?! それ!」

 

カイリース「まぁ、条件はいろいろあるけどね―――――」

 

ノエル「さっき使えばよかったじゃない!!」

 

カイリース「だからいろいろ条件があるんだ! それにそんな頻繁に使えたら必殺技じゃないだろ?!

 すぐに床が襲ってくるぞ、早くどこかへいこう!」

 

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AGE 2022 地球・太平洋

 

Place: ノア号・控室

 

Time:7月18日 12:24

 

デッキで床に襲われたカイリース一行は控室へと逃げ込む事になった。

 

カイリース「はぁ、はぁ、ここまで来れればひとまず大丈夫だろう。」

 

ノエル「はぁ、疲れた、、それで・・・これからどうするの?」

 

カイリース「・・・サラと船長を探しにいこう。

 あとついでにあの日本人も―――――。」

 

ノエル「え!? みんな生きてるの?」

 

カイリース「あぁ、おそらくだけどね。

 これ、さっきサラから受け取ったんだけど、今までずっと一点を指して点滅してるんだ。」

 

ノエル「それって、もしかして・・・」

 

カイリース「たぶん発信機だろうな、なぜかは知らないがこのペンダント、円状でコンパスみたいな役割をしてくれるらしいな。」

 

ノエル「ドラゴンレーダーってことね、それなら早速サラやみんなを探しに行きましょう!」

 

カイリース「そうしたいのは山々なんだがな、一つ問題がある。」

 

ノエル「なによ―――――」

 

カイリース「このマップを読み解けないんだ、このサラの居る座標はこの船のどこにもありはしない。」

 

ノエル「それって、つまり船には居ないってこと!? 」

 

カイリース「いや、俺の知る限り船にはいるはずなんだ、船のどこかには居るがそこは船じゃないんだ。」

 

ノエル「それどういうこと?」

 

カイリース「下なんだ―――――」

 

ノエル「え?」

 

カイリース「位置でいったらこれは船のどこかなんだ、ただこれが示しているのはこの船の下の座標なんだ。」

 

ノエル「つまり?」

 

カイリース「船底より下、つまり海底だ―――――」

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました!

ノエルが「え?」とかしか言ってませんが多分この物語ではずっとそんな感じです。

それといままで実は皆さんを楽しませたいとおもって書いていなかったことに気が付きました。

次回作以降はその辺も踏まえてそろそろ成果が出るような作品をつくりたいと思います。

今作はこんな感じで好きなようなこと書きまくりますのでよろしくお願いします。

やっと8月ですが暑さもまだまだ続きます。

体調管理気を付けて頑張っていきましょう!

ではまた来週!

by9月のシャンチーが楽しみすぎて夜も眠れない社会人さん

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