迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4)   作:37級建築士

1 / 24
ダンまちにペルソナ4の要素を足したオリジナルストーリーです。基本はペルソナ4のテイストを出しつつ、ダンまちのキャラたちのエピソードを深掘りしていきたいと考えています。


~第零章・愚者の灯~
Day01~プロローグ


 猛暑が続く日々、最近のオラリオはとかく夏日寄りだ。

 

 晴天が肌に突き刺さる日が続いたと思いきや、連日土砂降りの雨が長く続いたりもする。去年はこうじゃなかった、異常気象か、何処かの神の陰謀だと騒ぎ立てる人もちらほら

 

 何かが起こるかもしれない、そんな漠然とした不安を抱くのは無理もない。絵巻や小説に記された超常がそのまま跋扈するこの世の中、そんなオラリオだ。

 

 事件の一つや二つ、また自分の身近で起こるのではと、意識が過剰と言われてしまえば仕舞い無いけど、でもそう感じてしまうのだ。

 

 何かが起こる、そう考えて身構えて

 

「おや、迷い人のようですな」

 

「……はぁ」

 

 身構えていた、だって仕方ないのだ

 

 僕は今老人、のような人?と面している。

 

 目が覚めれば僕が見るのは見慣れた天上のはず。けどここは自分の部屋でもなければ、というか壁も床もない。眠っていたはずなのに、なのに

 

 

……ここ、どこ?

 

 

 何かが起こるかも、それも僕とその回りを巻き込むようなことが起こりうる。そう肌で感じてしまうのだ。

 

 けど、取り敢えずはこの状況から。先のことも大事だけど、まずは今僕がいる場所に視点を置いてみよう。

 

 風の穏やかな夜、雲の流れが月明かりを霞ませる。きっと、外でキャンプでもするなら絶好の天候なのだろう。

 

 うん、急にキャンプの話をするのは何故か、それはほら、ご老人がいるのは焚火の前、後ろにはテントみたいなのも見えるし、完全にレジャー中に鉢合わせと言う感じだ。

 

 奇妙な外見、よく見ると傍にいる物静かな女性はとてもきれいな人だし、ここがオラリオ外の平原であっても、どうしてかそこまで怪しいとは思えない。何かが起こる前兆かもだけど、不思議と目の前の二人には敵意も不信感も出てこない。

 

「……あなた」

 

「!」

 

「ご相伴、いかがかしら」

 

 焚火の横で、よく見ると何やら真っ黒な塊をトングで掴んでいる。どことなく感じる獣脂の焦げる匂い、きっと何かで肉を包んで焼いているのだろう。

 

 お腹がすく、夕飯が少し控えめだったから、余計に

 

 

……あれ、でもこれって

 

 

 忘れてはいけない。僕はさっきまでずっとホームにいたのだ。夢遊病じゃあるまいし、まず立ち歩いて、ましてや都市の外に出るはずがない。

 

「……」

 

 誘拐、事件的な用語がいくつも頭の中で湧いては消えてと、そんな不具合を来したような僕の戸惑いに

 

「迷い人よ、安心しなさい。ここは、まだ夢の中ですぞ」

 

「夢、ここが」

 

 意識がさえる。目の前の老人の何気ないトーンの言葉で、今ようやく気が落ち着いた気がする。

 

 焚火の前、僕は用意された席に腰掛ける。金髪のお姉さんが僕の前に折り畳みのコンパクトな机を置く。焼きたてのローストビーフにパン、カップにそそがれたのは野菜とスパイスのスープ

 

 暖かい、どれも夢とは思えない

 

「……ここは、いったい」

 

「ベルベットルーム」

 

「?」

 

「あなたにとってここは必要な場所、それがベルベットルームよ。それ以上も以下もない」

 

「必要、僕がですか」

 

「どういうことかわからないでしょうが、いずれ理解成されます故。迷い人……いえ、ベル・クラネル」

 

 名を呼ばれた、まだ名乗っていない。

 

「失礼ながら、あなたのことは先に調べさせてもらっています」

 

「……ッ」

 

「ご安心を、殿方の恥部をくすぐるようなことは致しません。安心なさい」

 

 そう言い、ギャップのあるいたずらめいた笑みを見せてくる。

 

「……貴方たちは」

 

 謎が謎を更に生む。ベルベットルームという、この広い平原の中で焚火が作る唯一の明るい空間  

 

 相対するのは謎の老人と女性

 

「ほほほ、ご安心なさい……夢をもうじき覚めます。ですから、ここでは軽い自己紹介で済ましましょう。私の名はイゴール、そこの麗人はマーガレット、我らは貴方の味方です、ベル・クラネル」

 

 

 

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 

 

「!?」

 

 目が覚めた。冷や水を浴びせられたように、僕は布団から飛び起きた。

 

 窓から差し込む朝日、少し寝汗で不愉快なのはきっと連日の猛暑のせい

 

 けれど、いまはそれより

 

 

「……あれ、本当に」

 

 夢か現か、全車ならきっとこんなにも記憶は鮮明ではない。満たされた胃袋の感覚も、まだ鼻に残る焚火の焦げ臭さも

 

 全部、実感のあるものだ

 

「……なんだったんだろう」

 

「ベル、おーいベルッ」

 

「!」

 

 ヴェルフの呼び声、僕は思考に靄がかかったままベッドから飛び出す。

 

 今日も変わらず、ダンジョンに潜り探索を繰り返す。いろんな騒動も終わって、今はもう普段通りの日常

 

 だけど、もし何かが起こるのだとしたら、あの時のイゴールさんが言っていたみたいに

 

「……ッ」

 

 

……貴方の進む先に、占いは塔と月を、これはまた奇遇な話です。

 

 

……異界に勝るとも劣らないこの世界で、あなたは奇々怪々な出来事を目することでしょう。

 

 

……しかし、同時に覚醒の時も近い。ここに来た以上彼とあなたも同じ、己だけでなく周囲にすら覚醒をもたらす存在、言うなれば愚者の灯となりましょう。

 

 

 

「覚醒、灯……でも、愚者って」

 

 さすがに良くは思えない。意味深なことを言ってくれる割に、結局何をその占いが暗示していたのか

 

「ベル、寝坊か! 早く飯食わねえと置いてくぞ!!」

 

「…………はいッ!!!」

 

 

 

 

次回に続く

 

 

 

 

 




眼鏡をかけるべきか、銃を撃つべきか、それともコスプレをさせるべきか、書きたいことが山ほど出てくるペルソナ設定、ダンまちに合わせたオリジナル展開を提供していきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。