迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4)   作:37級建築士

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投稿止まってました、申し訳ない。ペルソナスクランブルが楽しくて、そのおかげかまたふつふつと意欲がわいてきたので、ソフィー可愛いよソフィー




Day13~再点火

 

 

 

 気分が悪い。胸の中に何かがくすぶって、息がしづらくて仕方ねえ

 

 火にくべられた炭のような、なんとなく自分が燃え続けて灰になっていくようだと感じられる。

 それだけは理解できた。そして、それでもういいんじゃないかって、奥底でそんなことを思ったりもしている。

 

 消えたフォボスの責任を、いつかは背負う運命があったはずだから、ならこんな末路も仕方ないと。運命を受け入れて、ただ灰になって消える。

 

 消える、消えるんだ。おれは、このまま 

 

 

……ヴェルフ

 

 

「!」

 

『ぎゃはは、お前何してんだよ。鍛冶師が灰になって消えるとか、それどんなネタだっての!くだらなすぎて、笑えねえから逆に笑えるわ……くはは』

 

「……」

 

 フォボスだ、また俺の前に現れている。

 

 あぁ、そうだな。恨み言の一言や二言、あってしかるべきだ。だから、甘んじて

 

 

『バーカバーカ!!いい年して情けない、あれか!童貞だからか! ま、あのヘファイストスに一途のままじゃ当分は童貞だな。知ってるか、童貞のまま30になったら魔法が使えるんだってさ。』

 

 

 

 甘んじて、受け入れて……そう、受け入れて

 

 

 

『そっか、童貞の魔法使いか。あれだ、なんか申し訳ないな。私がお前の筆おろししてもよかったけど……いや待て、そう言えば昔寝てる時に』

 

 

「はぁあッ!? 待て待て、お前まさかっ!!」

 

 

 

『……』

 

 

 

「無言は止めろ、マジに聞こえるだろうが! あと項垂れるな!シリアスにしたら本当にやったみたいに……待て、その反応、おいおいオイオイィイイイッッ!!!!!」

 

 嘘だ、俺の初めてはあの神(ヒト)のために取っておいたのに

 

 貴族の特権だの、男のたしなみとかほざいて親父や親戚に勧められても我慢して、昔世話してくれたメイドの甘言にも耳をふさいで、そうまでして守ってきた俺の初めてを、こいつは、この女はッ

 

 

「俺の、俺のぉ……ッ」

 

『……ぶふっ』

 

「!!」

 

『ギャハハっ、ギャハッ……ぶふぁああっ!!!ダメだ、腹痛いッ……マジ、助け』

 

「……ッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 随分と時間がたった。現実の時間からすれば今でようやく朝が明けたころだ。そう、僕たちはこの世界で一夜を明かした。

 

 シャドウとの戦闘が終わって、探索をしている際に見つけた安全地帯、そこで僕らは休憩を取り、そして一人先んじて僕は探索を始めた。このあたりの立ち回りはダンジョンでのサバイバル術の延長だから、存外やってやれないことはない。敵を倒した際の戦利品で変な野菜とかも拾って、そのおかげで食料に困らなかったことも幸いだった。

 

 

……あのプチトマト、妙に頭がさえてすっきりするけど、大丈夫なトマトだよね。

 

 

 鍵の形をした麦、食べたら家に帰れそうな大根に身代わりになってくれそうなナス。どんな野菜だよと突っ込まれても仕方ない。あれはそういう味だとしか形容できないのだ。

 

 とまあ、極限状況で僕たちは無事身の安全を確保して、補給も得られた。だからこうして、一人で探索も滞りなく進められている。墓場も上の校舎と同じダンジョンの一部、僕は地下のフロアを三つほど登るとそこはどこか無機質で手狭な建物にたどり着いた。

 

 

「……ここだ」

 

 奥の扉を開けてようやく外の空気を吸う。そこは校舎の外、侵入の際に足場にした建物の一つ、どうやらここは焼却炉が置いてあるから、きっとゴミ処理施設のような場所なのだろう。

 

 どうして処理施設が墓地に繋がっているのかよくわからないけど、とにかく道が見えたのだ。急ぎ、僕は踵を返して二人が待つ場所に

 

 墓地のある空間にぽっつりとあった掘立小屋、墓地のフロアにもシャドウは現れたけど、その小屋だけはシャドウから襲われない、クマ君曰くセーフゾーンと言う場所らしい。

 

 シャドウが作り出す迷宮にある、隙間のような、抜け穴のような場所。どうしてあるかは また本人の認知がどうとか、言葉足らずだけどクマ君はそう言っていた。

 どうしてそんな知識を知っているか、衝動的に聞き返したけど、期待する回答はなかった。記憶はないけど、どうしてか知っている、と

 

 

「クマ君……本当に何者なのかな」

 

 本人は記憶が無いという割に、妙にこの世界のことに正通している。あの人懐っこいファンシーなキャラのせいか疑問に思わなかったけど、でも

 

 

「……うん、疑ってかかっても仕方ない。記憶が戻れば、きっとクマ君も自分から」

 

 

……ガチャリ

 

 

 

「ひぶっ、げぶぅ、ぶるぁああ!!」

 

「……」

 

 

……パタン

 

 

 部屋に入ったら、着ぐるみがタコ殴りにされている。マウントを取られて、容赦なく拳が顔にめり込んでいく

 

 なまじかわいらしい見た目だから、光景が生々しすぎる。子供が見たら皆号泣でトラウマを抱きそうだ。

 

「……って、感心してる場合じゃない。ヴェルフ、何やってるのさ」

 

 部屋の中に踏み込んで、僕は件の加害者を止めにかかる。そう、犯人はヴェルフだ。それはもう鍛冶場の炉のごとく熱く憤慨してらっしゃる、そうヴェルフなのだ。

 

「やめろ、離せ!おれはあのバカ神にわからせてやらねえと気が済まねえんだ!! いっつも人をからかいやがって、ふざけるな!!」

 

「ふざけるなはこっちのセリフだよ、相手を見て、クマ君が、マスコットが絶対見せちゃいけないグロテスクになってるから!」

 

「クソ、ふざけるな!俺の童貞はヘファイストス様専用だ!!」

 

「ごめん、本当に何言ってるかわからない!とにかく、ジャックフロスト!!」

 

 

 

 

[マハブフ]

 

 

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 

 

「……あぁ、その。悪かった」

 

「うん、いいよ……僕もやりすぎたし」

 

「クマの顔、戻らなかったら訴えてたクマ」

 

「すまん、悪気はなかった。許せクマ公」

 

「なんか雑クマ!」

 

「あはは、まあでも無事解決したし、うん……目を覚まして安心したよ、ヴェルフ」

 

「あぁ、すまないな。俺が気を失ってる間に、面倒をかけたみたいだな」

 

「うん、それはいいよ。仕方ないことだから、それよりほら、スープは」

 

「あぁ、もらう」

 

「クマも、クマも!」

 

「うん、はい」

 

 

 

「「「ズズ……」」」

 

 

 

「……なあ、なんでトマトスープ」

 

「現地調達かな」

 

「染みるクマ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵を倒して手に入れた野菜、それで即興ながら料理を作った。手先の器用さ、ついでに度胸もわずかながら成長した気分になる一時だった。セーフルームで休憩と食事を得て、僕たちは再び探索を開始した。

 

 すでに知っているルート。敵も避けられるし、相対しても手数が増えた今楽に戦闘もこなせる。

 

 シャドウ達にも弱点属性があり、疾風と氷結のおかげでこのダンジョンにいる敵のたいがいに優位に立てられたのは大きい。ただ、気力が減るとペルソナも使えなくなるから、その辺りの注意は気を付けるべきと学んだ。

 

 駆け足に昇っていく。そうして、僕たちはまた、あの場所へと

 

 

 

~屋上フロア、出口前~

 

 

 

「……なぁ、戻ってきたは良いけど……どうする気だ」

 

「うん」

 

 セーフルームでの休憩を終えて、体力も気力も取り戻した一行は再び彼の場所へ。

 

 ベルは扉をわずかに開き、隙間から覗くように屋上を見た。さっきとは違い、庭園には仮面をつけた偽エイナさんに、雑魚敵のシャドウも数匹。

 

 警備がさっきとは違う。けど、きっとこれが本当の状態なのかもしれない。

 

 

「……敵、多いな」

 

「クマ」

 

「……だね」

 

 再突破は諦める。でも、檻の中には依然エイナさんも見える。意識は無いようで、どこか弱っているようにも見える

 

 口惜しい、拳を作り、自分の足に叩きつけた。音は立てられない

 

 

「どうするクマ、どうやって突破するクマ?」

 

 

「だね……そうだね」

 

 

「おい、まさか何も案無しにかよ……戻ってきても意味ねえじゃねえか」

 

 

「うぅ……」

 

 

 冷静な駄目だし、ベルは自分のカリスマ度を気にした。

 

 

「クマ、特定のバイトとかをすると増えるクマ」

 

 

「?」

 

 

「クマ、特に意味はないクマ」

 

 

 わからないことを言う。クマ君曰く、発作のようなものだと。時たまに説明したくなるとか、なんとか、チュートリアルだとか、よくわからない。

 

 

「……なあ、ベル。策が無いなら提案だが、陽動はどうだ」

 

「へ?」

 

 ヴェルフは魔剣を抜いて、扉の前に立つ。

 

「大暴れして、時間を稼ぐ。その隙に、お前はエイナ嬢を」

 

「だ、ダメだよ……そんな危険なこと」

 

「だが、方法はない。確実を取るなら」

 

「……ッ」

 

 真剣に、妙に落ち着きのある振る舞いでそう告げてみせた。覚悟、罪滅ぼし、そんな目を僕は知っている。

 

 思い出したのは、中層で起きたあの出来事、その際に見た桜花さんの気丈な振る舞い。

 

 気丈な振る舞いの奥に抑え込んだ罪悪感。今のヴェルフはきっと、墓場でのことがまだ

 

 

「ヴェル助、無茶は良くないクマ!」

 

「だが、ベルしか戦える戦力が無いんだ。俺だって危険は承知、それでもまだ可能性はある。なら、俺はそれを選ぶ」

 

「ま、待って!」

 

「ベル!」

 

 

 

 

『――――――ッ!!!』

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

 突然、三人の大声も消し去る爆音が響いた。

 

 頭の奥まで響く轟音、耳を抑え耐え続けるうちに、それが鐘の音だと気づいた。

 

 

「なんだ、これ……ッ」

 

「わか、らない……でも、ぁ……皆、隠れて!」

 

 いち早く気づいたのはベルだ。

 

 自分たちがここに来るまで使った階段、その奥から大量の偽エイナさんやシャドウが昇ってくるのを。

 

「隠れろ!」

 

 とっさに、その場に在ったガラクタ、資材の物陰に身を隠す。遅れたクマ君は

 

 

「え、えっと……あわわわ、クマ!」

 

 

 その場で転がり、そばにあるゴミ箱へ身を投じた。ぐったりと動かない姿は、確かに捨てられた着ぐるみに見えなくもない。

 けど、そんな姿をさらすことで心は傷ついているのだろう。声こそないが、クマ君の悲し無きが聞こえてくる気がする。

 

 

「……ッ」

 

 

 こいつら、一体何なんだ。ゴミとなったクマ君は一度置いておいて、僕とヴェルフは密かに連中を観察する。

 

 大量の偽エイナさん達、それらが屋上に出て、そして何をするかと思えば、特に何もない。

 

 入った分だけ、外からも偽エイナさん達とシャドウが下へ降りていく。その意味は、きっと

 

 

 

……見張りの、交代

 

 

 

「……あの鐘の音、なのかな」

 

「あぁ」

 

「そういえば、ここに来る道中も」

 

「鐘の音で、部屋から一気にシャドウやエイナさん達が出たり入ったり」

 

「なあ、ベル」

 

「うん」

 

「さっきのは取り消しだ……別のやり方で行こう」

 

「……うん、そうだね」

 

 考えは、同じ。たどるべき道は見えた。

 

 エイナダンジョン、その最終攻略、その光明はすぐそこに

 

 

 

 

次回に続く 

 

 

 

 

 

 




今回はここまで、次回最終決戦予定、またぼちぼちと執筆していければと


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