迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4) 作:37級建築士
追記:文章が重複していましたので訂正しました
思いついた策、それはシャドウ達を惹きつける方法。ベル達は道を引き返し放送室を探した。
エイナシャドウの根城とするこの学園の中、多くの兵士を一斉にコントロールするにはどこかに司令塔がある。学校という知識から、それは必然的に放送室であるとベルは見抜き、そしてそれは
『――――――――ッ!!』
「よし、倒した!」
「さあ、協力しろ!俺達の言う通りに放送を流しな」
見事なまでに的中した。放送室の中には番人と思われるエイナシャドウの部下、ボンテージ姿で且つ首輪に鎖が繋いである偽エイナさん。おそらく、まあそう言う趣味のある敵なのだろう。
「く、ころせ!」
「うっわ、本当にそう言うセリフ言うんだクマね」
「気を付けろベル、こいつにとってこれ以上はご褒美だぞ」
「……う、うん……うん」
頭が痛くなる。きわっきわの意匠でキャラが崩壊したエイナさんなんて見たくなかった。戦闘中も僕に攻撃されるたびに、ぶひぃだの、ご褒美ですぅうう♡♡♡とか、心が折れそうになるカウンターをいっぱい食らってきつかった。
というか今も、さあ早く、その鞭でぶちなさいよ豚にするように!、いえ、むしろ豚にしてください!! ベル様!!
「……あの、言う通りにしてください。」
「ハアアァン♡!? 袖にされるのもイイィイインンッ♡♡♡!??」
断末魔を上げるエイナさんの姿をした偽物。仮面にもひびが入ってきて、ちょっとずつ体が霧散しかけていく。まずい、せっかく倒してしまわないように手加減したのに!
「おい、消えちまったら意味がねえだろ!」
「先生、早くぶってあげるクマ!それでいうことを聞かすんだクマ!」
「い、いやだよ!」
「「早く!!」」
「……うぅ、ぐぬ」
叩いた僕の方が心にダメージが入ってくる。けど、背に腹は代えられず、僕は鞭を持ち、偽エイナさんの背中に
「ご主人様ァアアアアア♡♡♡!?」
「もういやだ、帰りたい」
ピンク色の音色を上げ、瞳孔を♡に輝かせる偽エイナさん。無事、命令通り操作盤を用いて放送を流す。
リンゴンリンゴン、人工的で少し不快な音色が校舎の至る所で反響する。屋上の放送室から、緊急指令の鐘の音を運んだ。
……侵入者が裏庭に
……急げ、全員召集だぞ。
……エイナ様のご意思だ、侵入者は見つけ次第殺せ
「……」
「おいおい、こんな簡単に」
「……クママ」
「ご主人様! もっと、もっとしつけぉ!??」
「……コウハ」
役目を終えた偽エイナさんは光となって消えた。悪夢としか思えない姿、どうか浄化されて二度と現れませんように
〇
「ハッ……ク、ハッ」
乱れる息、隠れて走って、ようやく見えた出口。
屋上でエイナさんを救出して、徘徊する敵をなぎ倒し逃走を図る。放送で敵を分散させたものの校舎から逃げるには難く、また屋上から飛び降りようにも屋上全体も鳥かごのような柵に覆われ結界のごとく、逃げ場は無い状況だった。
本来なら、例えエイナさんを確保しても校内を通じて外へ出るなんてのはまず不可能。けど、僕たちにはそれを避ける道があった。
それも、敵がわざわざ用意してくれた道だ。
……敵の数が少ない。今なら、裏門まで一気に
僕とヴェルフを落とした縦穴、そこからまた地下の火葬場を抜けて目指すべきは裏門。
この、エイナダンジョンを脱出して、現実世界に逃げかえれば僕たちの勝ちだ
「フウキ!」
虚ろの顔を持つ鬼、背丈以上に大きい棍棒を振るい、シャドウ達を蹴散らしていく。
裏門の玄関口、もう少し
「…………ベルッ!?」
「!」
一瞬のこと、ヴェルフが急に突き飛ばして僕は地面を転がった。
すぐに起き上り後ろを振り向くも、今度はものすごい衝撃と音で面食らってしまった。
……氷、僕たちがいた場所に
「先生!出口、出口ッ!!」
叫ぶクマ君、後ろを指摘して、その示す先は裏門の出口だけど
「氷で塞がっている……」
爆発の様に、鋭利な氷の塊が門を封じて出るモノを拒んでいる。容易に壊せそうにもないそれは、僕たちが追いつめられたネズミであることを宣言しているようだ。
『これで、逃げ場は無いわ……ベル君』
「!」
ぞっとさせる、鋭い刃物のような声質。でも、耳に障るそれは間違いなく、僕が親しむ彼女の声だ。
いた、そこにエイナさんが、否
この禍々しい学園を収める女王、エイナシャドウ本人、真の偽物がそこに君臨している。
『もう、お痛ばっかりして……イケない子、躾が足りない証拠ね』
「え、エイナさんはそんなこと言わない!」
『何を変なことを、私が言っているのよ。なら、本当でしょうに!!』
「!」
女王様姿のエイナさん、その手に持つ鞭を振るって僕に攻撃をしてきた。防御態勢で受けるけど、その衝撃に足が宙を離れ
「先生!」
「がっ、ペルソナ!!」
呼び出したのはイナバギ。錫杖を地面に突き刺し、吹き飛ぶ僕の体を支えた。
背後の氷は鋭利な剣山のごとく、吹き飛ばされてぶつかれば無事で済まない。
「氷、あのエイナさん氷を」
「火月!!」
「ヴェルフ!」
魔剣の名を叫んだ。クロッゾの魔剣が放つ炎の斬撃
衝突と同時に爆発のごとく黒煙が立ち上る。空気が焼け、衝撃が遅れて風邪を呼び起こした。
「ベル、一度下がって態勢を」
「駄目だ、ヴェルフ!」
逃げるんだと、ベルが叫ぼうとするも既に遅い
ベルは感じ取っていた。エイナ・シャドウ、その力の差異を
……あの時、最初に見た時と姿も違う。それに、伝わってくる嫌な感覚
「イナバギ!」
[烈風破]
放つ技は広範囲の衝撃波、無色のエネルギーを拡散させて爆炎を払い、そして
「!」
「下がって、じゃないと……絡めとられるッ!!」
迫りくる、大蜘蛛の糸からヴェルフを守った。
『ふふ、ハハハハ……ギヒャハハハハハハッ!!?!?』
「……おい、嘘だろ」
「大きい、最初の時よりもずっと」
煙は晴れ、敵の正体が露わになる
そこにいたのは大蜘蛛、最初の時よりもずっと成長していて、僕の出すペルソナの二倍三倍は優に越している。
そしてなによりも、その雲の頭に当たる場所、そこに、エイナさんの姿をしている大きな女性の半身がある。
『ハハ……いいわ、力が溢れてる、シャドウの私が本体を食らってもっと大きく、レベルアップしていくの!』
叫ぶ、その声はエイナさんの声だけど、もう面影は全くといってないに等しい。
モンスターのアラクネ、いやそれよりも禍々しい。大きさといい、その在り方はまさに階層主。つまり、ここからが
……最後の大詰め、ボス戦
ナイフを構える。イナバギを一度納め、いつでも次のペルソナが呼び出せるように、心の中で引き金を保つ。
「ヴェルフとクマ君は下がって!こいつは、僕が倒す!!」
敵は怒涛の怪奇、大雪山の化け蜘蛛。古の絵巻のごとき戦いが幕を開いた。
次回に続く
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