迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4)   作:37級建築士

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内なる自分との邂逅、仲間の覚醒ようやくの一人目、そして記念すべき一人目になります。




Day16~共に、熱く

『なんだよ、また戻ってきたのか』

 

 

 悪態をつくクソガキ。だが、紛れもなく昔の俺がそこにいる。

 

 ラキアの故郷、実家の屋敷の倉庫部屋。仕置きで閉じ込められていたのは今も懐かしい。

 

 

……閉じたまま、こいつはずっとここに

 

 

 改めて、自分のシャドウと対面した。だが、最初に比べどうしてか気負いもない。何かをするでもなく、ずっと蹲って

 

 小さな、短剣を握りしめて、小さく背を丸めている。

 

 

「……おい、シャドウ」

 

『…………』

 

「なんだよ、話があるんだしよぉ……ちょっとぐらい聞く耳もてよ。態度を直せって、いつも言われてただろ」

 

『なんだよ、貴族の躾けを今さらぶり返すのか。』

 

「ちがう、お袋や使用人たちじゃねえ……フォボスだ」

 

『……ッ』

 

「おい、どうした……なんだ以外か?」

 

 不意に告げたフォボスの話。シャドウは訝し気な眼でヴェルフを睨む。

 

 そんな視線に目もくれず、ヴェルフはその場でどしんと腰掛けて、静かにまた言葉を紡いだ

 

 

「俺、お前のこと……俺じゃねえって言ったよな」

 

 

 今にしてみれば、あの時に自分は何とガキだったか。ヴェルフの中でまた一つ黒歴史が増えてしまった。

 

 

 

……ああそうだ、俺は恥ずかしいガキだ。あの時から、何も変わっていない。変わるわけがねえ

 

 

 

 

「俺はガキだ。年を重ねても、ガキの頃ってのは消えねえ。ずっと付きまとうもんだ。クロッゾの過去も、フォボスのことも、全部含めてな」

 

『知った口を、そうやってお前は』

 

「終わったことにして、もう気にすることも無く平然としている……あぁ、そうだな。俺は、見ているつもりで見ていなかったんだ。自分の本音を」

 

 言葉を先読みして、被せるようにヴェルフは続けた。

 

 不思議だ。シャドウのことが、今なら手に取るようにわかる。ヴェルフは感じているのだった。自分がこの少年と如何に同じか。偽物だと適当を言っていたが、これがどうして適当と言えるか

 

 何も誇張はしていない。あの時の自分は、こんなクソガキで、感じたことは感じたままに言っている。嬉しい事も、そして嫌だったことも

 

 

 

……そうだ、俺は悔いている。フォボスのことを、でも当たり前だ。俺は、俺にとってあいつは

 

 

 

 全部が全部、クロッゾの家が嫌いだとは言わない。すでに解決したことであるから、これ以上父たちに言うことはない。だが、あの生きづらかった幼少期、自分はどうしてもあいつにすがって生きていて、そして勝手ながらこう思っていた。

 

 

 

 

「フォボスは、俺の親だ」

 

『!』

 

 驚いた顔でシャドウはこっちを見る。続けて

 

「俺は、フォボスのことを忘れない。あの時の不甲斐なさ、至らなさ、弱さ……全部、全部引っさらえて飲み干して、そんで初めて俺は俺でいられる。弱さに目を背けることはしねえ」

 

 

 内なる自分と向き合い、今ここでようやくヴェルフは心理にたどり着いた。

 

 シャドウは、安らかな顔でヴェルフに手を差し伸べる。語るに及ばず、ヴェルフはシャドウの、否

 

 

 己自身に対して、手を差し伸べた。

 

 

 

……こいつは、俺だ。俺もこいつも、同じ痛みを有した共柄だ

 

 

 

 今なら、言える。

 

 

 

 

「俺はお前で、お前は俺だ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    ×    ×    ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くッ」

 

 

 ペルソナを前面で盾にする。エイナ・シャドウの放つ氷の槍の雨、イナバギを展開し錫杖の連撃で攻撃をしのぐ。

 

 攻め手の魔剣は既に砕けた。残る手は、効くとはいえ致命打にはならない祝福属性のスキルだけ。

 

 

……だめだ、これ以上は

 

 

 体力も削れてきた。気力も少ない。ペルソナを維持するだけで精いっぱいなぐらいだ

 

 今ある手数は、イナバギとフウキ、そしてジャックフロスト。三つ目に関しては、エイナシャドウの属性から見てそもそも論外だ。拘束力のある氷の攻撃に対しての回避、致命打を与える物理

 

 

「……足りない、手数が、あと一手」

 

 

『■■■■■■■■――――――ッ!!?!?!?!?』

 

 

「!?」

 

 怪物の雄たけび、耳を貫くその叫びで体がすくむ。動きの切れも悪く、体の反射が上手く効かない。

 

 

……身が竦んでいる、これじゃあ、回避が

 

 

 フウキにペルソナを変える。そしてすぐ迫る氷槍の爆撃

 

 降り注ぐすべてを躱さんとするが、次第に刃は体をかすめて、ついに

 

 

「……ッ!!」

 

 

 蛇行するように、水平に飛び交い向かってくる槍、ここにきて隠していた攻撃方法とは、意表を突かれ反応に遅れた。

 

 上の攻撃にばかり注目していて、だからペルソナを頭上に置いている今、これでは防御が間に合わない

 

 

 

……やられ

 

 

 

 切っ先が喉元を突く、風穴を開けて彼岸の華を咲き散らす。

 

 だが、その瞬間

 

 

 

 

[アギラオ]

 

 

 

 世界は、紅き光を満たしつつ時を進めた。

 

 止まった時を進めた勇士は、焔を纏い鉄を鳴らす。ガコン、ガキン、大槌と炎で剣を鍛え、紅き光を…高く撃ち放つ 

 

 

 

 

「……ヴェルフ、まさかッ」

 

「あぁ、そのまさかだッ!!」

 

 

 

 

[マハラギオン]

 

 

 

 

 燃える。降り注ぐ槍がすべて燃えて消えた。吹雪で白みがかかった世界が赤く照らされ、世界はまたもアマテラスの光で暖かく開かれたのだ。

 

 炎と鉄、現れませり彼のペルソナは魔術師の絆、その名を

 

 

 

 

「……ここからは、俺の出番だ!! そうだろう、ヴァルカンッ!!?」

 

 

 

 

次回に続く

 

 

 




今回はここまで、ペルソナの詳細な情報は次回からになります。


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