迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4) 作:37級建築士
我は汝、汝は我。目覚めし力は魔術師の絆。双眸開いて刮目せよ
焔と鋼、醜愚な獣人が奏でる槌の音を聞け。彼のものこそ、真なる勇士に勝利を託す創造者なり。
「……ペル、ソナ!」
ヴェルフ・クロッゾが手を突き出して、その手に浮かび上がらせた光のタロットが一枚。
内なる力、具象化させんがために拳を放ちタロットを砕く。派手に事を成すのは彼の願い、ここにきて大舞台を前に気力は十分、最高の晴れ舞台を飾るためにその名を叫ぶ。
「来やがれ、ヴァルカン!!」
大鎚を振るう獣の巨人。焔を纏い焔を従え、鋼と交えて武器となす。鍛冶師ヴェルフ・クロッゾ、魔術師のペルソナ使いとして覚醒せり。
× × ×
辺り一面が炎に包まれた。白銀の背景が一瞬で朱色に染まったのは、ヴェルフのペルソナが放つ炎によって
遮る壁は全て燃やす、燃やして壊して先へと進む。この熱はだれにも止められない
「ヴェルフ!!」
「あぁ、今がチャンスだ。ベル、俺が隙を作るッ」
だから、お前が畳みかけろと
続けてヴェルフは炎を振るった。大鎚を地面に叩きつけ、衝撃と共に火柱を上げた。
エイナシャドウを包み込む獄炎、アギラオが体表の氷を溶かしたことで弱点の物理が狙える。走り出し、懐へ滑り込みイナバギを展開、錫杖の槍が剣閃を描く
五月雨切り、さらにヘスティアナイフの連撃を交えエイナシャドウの体力を削る。魔剣の時よりもはるかに大きい隙、ヴェルフの炎は魔剣を超えている。
誰よりも熱い、戦友の力が誇らしく戦意は否が応でも上がってくる。
『イヤァアアァアアアアアアアアッ!!?!?!?』
「!」
火炎と物理でダウンしていたエイナシャドウ、突然に怒り狂い悪鬼のごとく暴れ狂う。八本の足が大地を砕き地面を揺らす。さらに、猛烈な凍気が吹き荒れて、またも全身に氷の鎧が戻る。
表面を覆う程度じゃない。まるで重装兵士の鎧の様に、禍々しい氷のアーマーが全身を包む。追いつめられて、いよいよ本気を出してきた、きっとそう言うことだ。
『■■▼■■▼▼■ッ!!』
「ヴェルフ!来るよ!」
「あぁ、防げヴァルカン」
放たれた氷の爆撃、建物並みに大きい氷の塊がいくつも空から降ってくる。躱し、受け流し、物理技で氷を砕いて細かくして、何とか防御していく。やはり、エイナシャドウはパワーアップしている。
もはや言語能力も捨てて、敵を葬るだけの意識しか残っていない、そんな怪物とへと落ちきってしまった。
「ベル、これ以上は……」
「ヴェルフは下がって、僕が盾になる……来い、ジャックフロスト!!」
ペルソナチェンジ、イナバギから呼び出したるはジャックフロスト。この戦いにおいて控えていたこのペルソナは氷結に対して耐性のあるペルソナだ。
次の攻撃に転じやすくするために、あえてこのペルソナではなく見切りをもつフウキを使っていたけど、こと氷結の防御となればこのペルソナの方がずっと強くたくましい。
[マハタルンダ]
ジャックフロストが両手を掲げる、氷結耐性で攻撃を耐えながら放つその波動は攻撃力低下の妨害スキル。
「守ってくれ、ジャックフロスト!」
そこへ、さらにスキルを重ねる。氷結弱点のペルソナを持つヴェルフの為に、このスキルを使う
[白の壁]
広範囲の攻撃力低減スキル、そして氷結耐性の障壁スキル。攻撃をしのぐためにスキルを惜しげなく使い、爆撃さなか安全圏を創り出すことに成功。
氷の爆撃をしのぎながら、冷静に敵を観察。勢いこそ向こうに在るけど、でもその負傷具合、損耗は目に見えて明らかだ。死に体なのだ。あのシャドウは
「おい、ここからどうする!お前の気力も、時間が経てばさすがに持たねえだろ!」
「わかっている、でも追いつめているのは確かなんだ! あと一撃、もう一度鎧を剥がすッ」
「策は!」
「二人同時に、タイミングを合わせる!」
「なるほど、そいつはいい!」
[コンセントレイト]
「シンプルでいいじゃねえか!全力の火力で焼き尽くす、それでこの戦いも終わりだッ!」
ヴェルフのペルソナが腰の剣を抜いて、大槌で剣を叩く。一叩きごとに剣は熱く灼熱の色を灯していく。アルゴノゥトと同じ力を貯めるスキル、ヴェルフが放てる最大限の火力をもってこの絶え間ない爆撃も敵本体も全部まとめて焼き尽くすつもりなのだ
炎と氷、相反する二つの優劣。真っ向からぶつかり合えば
「……ありがとう、ヴェルフ」
その答えは、今ここで
「焼き尽くせ!ヴァルカン!!」
ヴェルフが叫ぶ。ジャックフロストの盾から躍り出て、不知火を纏い空気が捻じ曲がるほどに熱く燃える大剣を掲げ、今技名と同時に振り下ろした。
[アギラオ]
「行けェェェェッ!!?」
弧を描く朱色の斬撃、集中して放かれたそれは敵の広範囲の攻撃をものともせず中央から突破していく。眼鏡のレンズに投射される激しい煌めき、炎の剛撃は確かにシャドウの元へ
[ブフダイン]
『ギギャァアアァガァアアアアッッッ!!?!?!?!?』
しかし、敵もむざむざ受けるつもりはない。最大限の氷を、アギラオよりもワンランク上の氷結スキルで迎え撃った。
角ばった氷柱が盾となり、炎を受け止め爆風が起こる。相反する二つの攻撃がぶつかり合ったことでの反発力。押し切られるのは
「くっ……これ以上は」
「……いやいい、このまま力を注いで」
押し負けるのは、ヴェルフの方だ。足りないのは承知、であるなら、僕が
……僕に火炎属性のスキルを持つペルソナはいない。でも
「こい、フウキ!」
[ガルーラ]
「!」『!?』
火炎は起こせなくても、今ある炎をより大きくすることはできる。一人じゃない、この炎は僕たちの炎だ
緑色の、疾風の魔力は炎と混じりより大きな火炎旋風と変わる。氷になんて惜し負けることは無い、最高温度、絶対灼度の焔、防げるものならやってみろ
僕たちの、いや
……ヴェルフの熱は、そんなものでは決して消えない!不冷の二つ名は伊達じゃないッ!!
「ヴェルフッ!!」
「焼き尽くせ!燃やせ!! 俺達の敵を灰に変えろッ、ヴァルカンッ!!!」
雄たけびを上げる。気力をペルソナという炉にくべて炎をより大きく。振り切った刃を返して、ヴァルカンは二度三度と炎を放つ。
炎はより大きく、エイナシャドウを包み込む火炎旋風が大蜘蛛を包み込むまでに時間はかからなかった。
燃えていく。エイナシャドウが、その巨体が全て、炎に燃えて灰と化していく
『……い、いや……わたしが、ワタシガァアアアッ!?!?!?!』
炎が消える。霧散していく火の子を払う突風。酸素が燃やされて真空となり風が吹き荒れていく。
黒焦げになった大地に沈む巨体、氷の鎧は砕け散り消えていく。むき出しの虫の体、もう起ち上る気力も残っていない。
巨体は崩れ胴体が地につき音が響いた。そして、それはとどめの瞬間を示している。
「……ッ」
合図は不要。僕とヴェルフは同時に駆け出して、ペルソナを展開して総攻撃を放つ。弱点の物理属性をつく攻撃、錫杖の連続斬りと大槌の上段降り下ろしが人型の本体を襲う。
「切り刻め、イナバギッ!」
[五月雨切り]
「ぶっ潰せ、ヴァルカンッ!」
[アサルトダイブ]
怪物の体は木っ端微塵に切り裂かれ、大槌の衝撃は残る肉片を跡形もなく吹き飛ばす。
断末魔と共に、エイナシャドウは姿を消していく。出口を塞ぐ氷は砕け、学園もまた崩壊を迎えようとしていく。
「先生、ヴェル助!!」
「クマ君、喜んでいる暇はないよ!」
「あぁ、エイナ嬢を抱えてとっととずらかるぞ!」
校舎は砕け、大地も地割れを起こす。マヨナカダンジョン、エイナシャドウが根城としたステージは宿主の崩壊と共に消えていく。
ベル達は急いで逃げ出し、崩壊の余波から逃れんと必死に、故に背後を見ない。
攻撃で朽ちて消えていくシャドウの骸、消えていくその中心
きらりと、光を反射する何かがあるようにも見えた。だが、全ては瓦礫の下へと
次回に続く
少し急ぎ足な展開ですがこれにて決着、ここまで読了お疲れ様でした。感想、評価などあればよろしくお願いします。
以下、登場ペルソナ解説
〇
愚者:イナハギ/因幡兎
「引用・解説」
因幡の兎、捨身月兎etc……黒の装束を纏う、白髪の大男にして兎人。赤黒く爛れた皮膚を隠すように全身を包帯でくるんでいる。武器は錫杖がデザインの大槍、錫杖の輪の先に十字の刃が付いているイメージ
「ステータス」
耐性=呪い、祝福
弱点=火炎
「スキル」
コウハ、マハコウハ、烈風破、五月雨切り、ラクカジャ、物理見切り、コーチング、精神耐性
魔術師:ヴァルカン
「引用・解説」
炎を纏う獣の大男、炎を常に纏いいくつもの剣と大鎚を背負っている。ギリシャ神話で火の神と知られ、かのヘファイストス神と夫婦の関係にある。だが、一説ではこの二神は同一存在とも言われており、諸説は様々。ペルソナが使用者と一心同体、同一存在と見るならヴェルフはなし崩し的に彼の女神の旦那になったともいえる。使用者の趣向に合致しすぎるペルソナが発現してしまったものだ
「ステータス」
耐性=疾風
弱点=凍結
吸収=火炎
「スキル」
アギラオ、マハラギオン、アサルトダイブ、炎上率UP、火炎ブースター、スクカジャ、コンセントレイト
星:フウキ
「ステータス」
弱点=電撃
吸収=疾風
「スキル」
ガルーラ、マハガル、ミリオンシュート、真・火炎見切り、氷結見切り、デクンダ
魔術師:ジャックフロスト
「ステータス」
耐性=氷結
弱点=火炎
「スキル」
ブフーラ、マハブフ、ラクンダ、デビルスマイル、氷結ブースター、凍結率UP