迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4)   作:37級建築士

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久々の投稿です。最近ダンまち二次のやる気が出た上、Vの方でP4Gの配信を見ていたらふつふつと執筆意欲が湧いてきました。長らく待たせましたが、新章の方をまた始めていければと

ダンまち×ペルソナ、がんばって面白く書いていきます。建築士の暇つぶしにお付き合いいただければ幸いです


~第二章・安楽のドリームランヅ~
Day23~暗雲再び


 

 

 ダンジョン中層、僕たちヘスティア・ファミリアにとって安全に且つ効率よく稼ぐ場所として長く重宝している範囲。最近はもっぱらこの範囲で、19層から下層手前までが毎日の狩場になっている

 下層まで到達している僕たちの狩場と考えれば少し及び腰にも思われる場所かもしれない。けど、今ファミリアのメンバーである命さんと春姫さんは別行動。もとより、二人は元の古巣で当面は活動を移すことは既に決定された事項である。

 

 かつて、ヘスティアファミリアが遠征に赴いた際、その借りを返す形として現在二人は桜花たちと共にパーティーを汲んでダンジョンに。

 

 今頃、他に縁のある中堅冒険者たちと手を結び下層にて狩りを行っているに違いない。春姫さんの魔法に関しては機密の面が強いモノの、そこは命さんがしっかり面倒を見てくれているおかげで何とかサポーター扱いで問題は無い

 

 そんな、そんな別行動が見られる今が僕たちの送る日常だ。冒険者として当たり前の行為、ダンジョンの探索

 

 地上で起きた怪事件からもう二週間は経過している。時折クマ君に顔を合わせに行く時を覗いて、僕とヴェルフには何もないのだ。フェルズさんに聞いても、今オラリオに異変らしい異変は無いとの回答である。

 元の冒険者家業の日々、改めていうがこれが今の僕らの現状だ

 

 前と変わらない、いつもの冒険者としての日々

 

 ただ、ただそこには一点

 

 以前の僕たちにはなかった、と奇異な現象が加わったことは、やはり目を背けられないもの

 

 

 

 

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

 

「押し付けられました、パスパレードです!」

 

「「!」」

 

 突如響くリリの声、それはここダンジョンで耳にするにはなんとも嫌な記憶しか出てこない。初めて受けたのは桜花達による中層でのこと、それ以外にも自分たちを疎ましく思うグループに幾度も押し付けれたことだってある。

 パスパレード、一方的にモンスターのヘイトを押し付けて逃げる行為。やられてしまえば、逃げてまた別の冒険者に押し付けるか、それとももろともに倒しきるか

 

 

……逃げるにしても、倒すにしても

 

 

「ベル様、ヴェルフ様……この敵は例のッ」

 

「ああ、わかっているッ」

 

 押し付けられたことへの怒りから悪態をつくように返事をするヴェルフ。怒りはもっともだが、見るべきは目の前の脅威。そして、この脅威は少々特異的だ

 

 目に映るのは空を舞う蜂の大群。黒と水色の変わった警戒色をしたこれらはつい最近目撃数が増えているレアなモンスター。登録された名前はブルーベスパ、大顎と毒針が恐ろしい大型の蜂である

 

 人の顔ほどある体躯、そして蜂達が放つ特殊な冷風は周囲の熱を奪い音頭を急激に低下させる。無視であるくせに、その生態は極寒の極限環境に適した異質存在。

 

 さらには群れでの攻撃方法も厄介だ。この蜂達はひと固まりで飛行して突撃し、その際に

 

 

「突撃が来ます、回避を!」

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

 向かってくる。すると、その軌道にある地面、生涯となる動植物が一瞬で凍結していくのだ。

 

 ブルーベスプの群れを前にして、その移動範囲に入ることは死を意味する。群れで移動することで冷風を増やし周囲の温度を奪う。当然、人の肉体すらも

 

 

 

「ぁ……ぐ、くぅうッ!?」

 

 

 

「まずい、リリがやられた!」

 

 

 空を舞い依然攻撃態勢を続ける蜂達、けど僕はすぐにリリの元へ駆けつけた。一瞬横に逃げ遅れたのだろう、右足に生々しい凍傷の後がある

 急ぎ、ポーションをかけて傷を癒さんとするが、またも忌むべき音が

 

 

……羽音が大きい、また仕掛けてくるッ

 

 

 ブルーベスパの群れは横に倒した八の字を描き速度を上げていく。輪は大きく、よりうねうねと乱れ動き加速していく

 

 明確な脅威、アルゴノゥトのチャージに躊躇いはない。けど、当然一発で葬れるほど群れは少なくない

 

 

「ベル、リリ助を抱えて逃げられるか!」

 

「なんとかする、けどその前にこいつを」

 

「あぁ、こうなりゃ躊躇っているわけにはいかねえ」

 

 腹をくくる発言、強敵を前に出し惜しみをしないという決意の一致

 

 僕の切り札といえるアルゴノゥト、そしてヴェルフの魔剣、以前であればこれらがジョーカーの札であった。だけど、ここで少し話を戻す

 

 

……そうだ、今の僕たちには

 

 

 明確な違い、異質すぎて見逃せない変化、あの世界で身に着けた大いなる力

 

 

「周囲に他の目は無い……みたいだ、問題ねえ」

 

 

「……よし」

 

 

 僕とヴェルフの目が合う、互いに意を決め、そして隠していたジョーカーを取り出すのだ。

 

 ブルーベスパはそんな僕たちを見てか、意思があるように怒りの羽音を立てて、そして分かれた二隊がそれぞれ僕らを狙う。僕とリリの居る場所、そして僕から見て二時の方向に立つヴェルフに目掛けて

 

 逃げるべき、圧倒的な脅威を前に、僕たちは

 

 

 

 

 

 

 

……我は、汝……汝は我

 

 

 

 

 

 

「来いッ」

 

 

 

「きやがれッ」

 

 

 

 

 

 

「「ペルソナッ!!」」 

 

 

 

 

 

 

 不退転の覚悟を胸に、最強の切り札を呼び覚ます。最強の、最強と信じるに値するもう一人の自分自身を

 

 

 

「光れ、イナバギッ!!」

 

 

「焼き尽くせ、ヴァルカンッ!!」

 

 

 

 叫ぶ、もう一人の自分自身の名前、ペルソナの名を冠する大いなる力、ただれた皮膚を包帯で隠した死装束姿の兎人、そして絶えることなく火を纏うケダモノの鍛冶師

 

 呼び出しと同時に二者は技を放つ。

 

 イナバギは錫杖の大槍を振るい光の弾丸を雨のごとく放ち、虫たちの大群は光弾の爆発で吹き飛び統率を失くしていく

 もう一方では、ヴァルカンが降り下ろした大槌の爆発、いや爆発的な炎の発生で文字通り飛んで火にいる夏の虫の末路が仕上がっていく。

 

 魔剣にも劣らないどころか一層勝る攻撃範囲と威力、見るものが見れば圧巻されて言葉を失くすしかない。改めて、ペルソナの力には身が引き締まる

 

 

「……すごい、あれだけの数が一瞬で」

 

 

 リリがつぶやいた言葉、それがまさにペルソナのすごさを表現する全てだ。

 

 命さん達がいなくても、他の冒険者の助けが無くても、多少の問題は無い。他者の目が無ければ、この力を遠慮なく行使できれば

 

 

……無敵、なんてこと考えてしまったり

 

 

 冗談めいた思考、すぐにいけないとかぶりを振って思考を正す。しかし、現実に得た力はあまりにもすさまじい

 

 あれほどあせた状況が一気に好転してしまった。未だ怒りの羽音を示すベスパたちも残りは5割か

 

 

「……よし、このまま畳みかけるぞ。リリ助は後ろにいろッ」

 

「は、はい……ぁ」

 

「下がってて、ペルソナが使えるなら……僕たちに負けは無いッ」

 

 ナイフを構える。ペルソナの操作に集中し、僕とヴェルフは攻撃の構えを取った

 

 ペルソナを出している以上、見られて問題が起こるリスクもある。このまま長引くよりも、一気に仕掛けるべきだ。

 

 錫杖に光を、大槌に焔を、戦意を高めるために僕らは叫ぶ。

 

 手にした力、異世界マヨナカダンジョンで手に入れた特異な力、ペルソナを叫んで地を駆ける。

 

 

 

「跳べ、イナバギ……ッ!!」

 

 

 

「こっちも負けてられねえッ……ぶっ潰せ、ヴァルカンッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~某日、地上オラリオ某所~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フェルズよ」

 

 

 重い、その場の暗い部屋模様に見合った大人しく重みのある声が部屋に反響する。

 

 老獪なその声、神ウラノスは呆けて独り言つるわけにあらず。話す相手は、影より音もなくその存在を現した

 

 

 

「フェルズはここに」

 

「聞かせてくれるか、例の噂の顛末を」

 

 

 現れたのは彼の腹心、異形な姿を有した人間の魔術師、の成れの果てが彼女を示す表現としては適格だ。意に沿うかは置いておいて

 

 フェルズは、おもむろに取り出した。出したのは数枚の羊皮紙、それが風に揺られて自然とウラノスの手元に移動し、手に掴んで目を通し始めた

 

「街で見られる不可思議な行方不明、例の噂に信憑性が消えると同時にまず見られなくなった。彼らの働きは確かというべきだ」

 

「そのようか」

 

「願いを聞き届ける鏡の中のもう一人の自分、そんな触れ込みだったか……ともかく、その噂はエイナ・チュールを期に途絶えていく傾向がみられる。街で耳にする行方不明者は、以前と同じ程度に変わっている」

 

「……平常時でも人が消えるのがこの街か。闇は消えずか」

 

 懸念はする、しかしそれでも異常が一つ消えたことは喜べきことだ。ウラノスは安堵から首を後ろに傾けて、そして一枚の羊皮紙は手元を離れて灯篭の一つに吸い込まれていくよう、燃えて灰となり消えた。

 

 ベル達が成し遂げた救出活動、それは確かに実績が見られる。これにて異変は終わりを迎える、と軽率に判断できればどれだけ楽なことだったか

 

 しかし、当然というべきか異変はその根本が放置されたまま。であればこそ、次が起こるのは自然なことか

 

 願いを叶える鏡の噂、そのシャドウ騒ぎは収束したが、次の羊皮紙に記載されたものは

 

 

 

「喜ぶべきだが、してこのもう一枚……ここにある情報は何だ」

 

 

 

 掲げた羊皮紙に記載された人の数、それは行方不明で無いモノの、問題としては同質の異常事態

 

 

 

 

「……原因は探っている。しかし、まだ彼らからも」

 

 

 

「めぼしいものは無いというのか。難儀だな」

 

 

 

 目を通し、ウラノスは静かに表情をしかめるのみ。祈りはダンジョンに通じても暗躍する何者かにはまるで意味を成さない

 

 暗躍する存在、意図して奇妙な噂が広まり、そして怪奇事件が起こる今のオラリオ

 

 行方不明の次は、原因不明の意識混濁。つまりは

 

 

「5人、被害はまだ増えていくな……原因は」

 

 

「不明だ。ディア・セイントですら匙を投げている。原因不明、しかし皆、奇妙なぐらい健やかに眠っている。長いものは五日以上、幸せそうな表情で謎の昏睡をしている。そう、例えるなら人生の安らかな終幕、安楽死を迎えたようにな」

 

 

「……奇妙だ」

 

 

 

「あぁ、誰が仕組んだことかは知りえないが……皆安らかに眠っている。微笑み、和やかに、皆が皆同じように」

 

 

 

「安らかに、目覚めることのない安眠か……安楽死とは言い得て妙だなフェルズよ」

 

 

 

「的を得たいつもりなんて無いさ。ただ、安らかだろうと苦悶であろうと……目覚めない眠りは死に他ならない。ウラノス、彼らには」

 

 

 

「あぁ、動いてもらう以外他ならんだろう。さもなければ、我らの住まうこの地に大量虐殺がまかり通る。安らかに、静かに命の火が吹き消されるのだ。それだけはあってならん……故に、消し去らなければならぬ、新たな噂を……その出所ごと」

 

 

「……辛き現実を逃れる幻の理想郷、まったく都合のいいうわさだ。いっそ、この目で見てみたいな」

 

 

 呆れの意を込めた言葉、それを最後にフェルズは気配を消した。

 

 残されたウラノス、その手に持つ羊皮紙を一瞥し、そして先と同様に手から離した。

 

 揺られ、あおられ、自然と燭台に吸い込まれ燃えて消える。火に炙られ、朱色に染まりそして焦げ行く羊皮紙

 

 光に照らされ、微かに映し出されたインクの文字列、そこに記されたのは行方不明者の情報、そして新たに流布されたと思われる奇妙な噂 

 

 

 

 

『幸せな夢をあなたに、夢と幻の遊園地・安楽のドリームランド……』

 

 

 

 

 ある昏睡者が眠りに落ちる前に呟いた一言、そのすぐに彼は長い眠りに陥ったことから、ある者はそうではないかと揶揄し、一方で事態の重さを知るものはそれを信じた

 

 安楽のドリームランド、それが本当にあるべきものなら、彼らは今そこにいるのなら

 

 目が覚めぬ者達のたどり着く場所、そこははたして現実にある場所か、それともはたして

 

 

 

 

 

 

次回に続く

 





以上、新章の出だしです。読了感謝

今回はここまで、本格的なストーリーは次回より始まっていきます。久しく書くペルソナネタのリハビリ的な消化試合でしたが、やっぱりペルソナ無双は書いてて気持ちがいいです。ペルソナって叫ばせるのいいよね、クロスオーバーは楽しい、また頑張って書いて行けそうです

感想・評価等頂ければ幸い、モチベ上がって気分が向上して結果健康になれます。つい最近までコロナだったので健康が何よりも欲しい
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