迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4)   作:37級建築士

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せっかくのクロスオーバなんであのキャラをゲストで参戦させます。


Day03~遭遇

 絶句してしまう、そこはダンジョンのはずなのに、僕は地下へと続く階段を降りたはずなのに

 

「ここって、オラリオ?」

 

 濃霧を掻き分けるように進んでいくと、足元は気づけば平坦に、薄暗さの中でもそこは比較的光がある。なにせ、僕が今いる場所は外だ、上を見上げれば空が見える。よどんでいて赤と黒の模様しかない空だけど 

 

 街を歩き、当てもなく彷徨っていく。

 

 いや、訂正だ。すごく気を付けて歩かないと

 

「……ッ」

 

 何かがいる。黒い靄で、よく見えない

 

 一瞬だけ口のようなものが見えたけど、すぐ霧に消えてどこかに消えた。濃い霧の場所を避けて、取り合えず僕は歩みを進める。

 

 出口はどこか、せめて知っている人は

 

 ここがもし、地上と同じ場所なら、ギルド本部はどうだ、僕のホームは、豊穣の女主人は

 

 

 

……タタタ

 

 

「く~まくま~」

 

 

 せめて誰か、知っている人は。

 

 

「クマは~冒険者くま~」

 

 

 この場所から連れ出してくれる、誰かは

 

 

「……うん、やっぱり無視できない」

 

 いるのだ、着ぐるみが躍っている。小粋なステップを踏みながら愉快に口ずさんでいる。

 

 二頭身で、首の部分がジッパーで、つぶらな瞳は可愛いのかもしれない。

 

「……クマ、熊だよね」

 

「くまくま~」

 

「!」

 

 いかにも手作りな、張りぼてで作った工作の剣を持って愉快に行進。遠ざかっていくのは見過ごせない。せっかく見つけた手がかりだ

 

 追いかけるしかない、濃霧の中、唯一の導を頼りに僕は進む。

 

 そして、追いかけながらふと、あの夢のことを思い返す。ベルベットルームで出会った、あの二人のことを。

 

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 

「ただいくま~」

 

「?」

 

 謎の着ぐるみが戸を開けた。けどそこは

 

「前の、ホーム」

 

 かつて自分と神様が暮らしていたホーム、と言う名の錆びれた教会、そこへあの着ぐるみはさも実家のテンションで入っていったのだ。

 

「……」

 

 とりあえず、扉の傍まで近づき、ゆっくりと戸の隙間から

 

「さ、次の冒険クマぶへぇ!?」

 

「あ」

 

 ぶつかった。扉から出ようとしたところで正面から

 

 見つかった、そう動揺しなくてはいけない状況。でも、それ以上に

 

「あ、あたまが……ない」

 

「?」

 

 着ぐるみの頭が取れている。けど中身が無い、空洞だった

 

 おばけ、幽霊、そんな言葉がいくつも頭の中で沸き起こる。どうするべきか、逃げるべきか

 

「――――ッ!?」

 

「?」

 

 何かを探している。ダンダンと、地面をたたくように、何かを探している。

 

 

……頭、取れたからかな

 

 

 シュールに見えてきた。敵意は無いし、取り合えず親切にするべきか

 

「あの、すみません……急に出てきて、ぶつかって」

 

「……はっ、繋がったクマ。ふぅい、ご親切どーもってなぁああ!!?!!?」

 

「……あぁ、えっと」

 

 ぼよんぼよんと跳ねまわり、今部屋の奥の教壇の後ろに隠れている。頭もお尻も見えているけど

 

「だ、誰クマ、何で異世界に人がいるクマ!」

 

「異世界?」

 

「そうクマ、ここはクマの住処、お前は不法侵入者クマ!!怪しい奴め、いったい何者クマ!!」

 

「……」

 

 どこから突っ込めばいいのか。そもそもここは僕たちのホームであって、この語尾がクマの愉快な着ぐるみの家ではないはず

 

「えっと、ここはもともと「待つクマ、人間がいるなんて、これはマジヤバクマ!!」は?」

 

 急に騒ぎ出す。傍に落ちていた手作りの剣を拾ってぶんぶんと、まるで何かに襲われるのを怯えているようで

 

「君、急に驚いて何を」

 

「シャドウが来るクマ、人間を狙って来るんだクマ!」

 

「だから、シャドウってなんですか……そもそも」

 

 わからない、何が起こっているのか

 

 これまで起きたどの事件とも違う、もっと異質で、世界そもそもがことなっているようで

 

 

「ベルベットルームも、あの二人も、あなたも、異世界も……それに、マヨナカダンジョンって、シャドウって……いったい、何なんだ!?」

 

 

 

「……ッ!?」

 

「教えてくれ、いったいッ」

 

「う、後ろクマ」

 

「!?」

 

 

 

『―――――ッ!!!』

 

 

 

「な、ぐッ!」

 

 とっさに、腰のナイフを抜いて僕は防御態勢を取った。

 

 仮面をつけた球体、防ぎ切ったはずなのに体勢が崩れる。

 

「!?」

 

「いやぁ!!グロテスクは苦手クマ、食べられるのはダメクマ!!」

 

 球体がひっくり返る。目の前に合った仮面は飾、さっきにも見た目も鼻もない、ただ大きな口がそこには張り付いている。

 

 無駄に歯並びのいい歯が僕の腕に噛みつく。噛み切られはしないけど、平たい奥の歯に挟まれて骨がきしむ。

 

「!」

 

 攻撃されている、でも妙だ

 

 敵は恐ろしいが、そこまでの強さは感じない。実際、攻撃と言うのも単調で、こうしてあえて手を噛ませて内部からファイアボルトで破壊する、そうしようとしたのだ。だけど

 

「……ぐ、あぁ」 

 

 力が入らない、痛みが鋭い

 

「ふぁ、ファイアボルト!!」

 

 叫ぶ、口の中で炎雷が爆ぜた。だけど怯むどころか何も反応しない。通じていない

 

「!」

 

 浮き上がる、そしてそのまま噛まれた腕ごと振り払われた。

 

 壁を破り、そのまま外へ

 

 教会の外にもさっきと同じ口だけの球体がうじゃうじゃといる。舌なめずりをして、獲物を前に垂涎としている。

 

「どうして、こんなに」

 

 弱くなっている、使えたはずの力が通用しない。ファイアボルトもナイフも、こいつらの体に通用しなかったのだ。

 

「何をしてるクマ!早く逃げるんだクマ!」

 

「……でも、君は」

 

「狂暴になったシャドウ相手に勝ち目なんてないクマ!!逃げるしかッ、でも囲まれとるのよね。……はぁ、誰かお助けーーッ!!」

 

「……ッ」

 

 シャドウ、この不気味な敵のことなのだろう。周囲を囲むシャドウたち、退路は無い

 

 どうする、どうすればこの状況を

 

「……神様」

 

 託されたナイフを強く握る。状況は最悪でも、心だけは折れてはいけない

 

 何があっても帰るんだ。これまでと変わらない、どんな逆境でも、前に進むことを辞めたらそこで終わりなんだ。

 

 

「君、逃げるんだ」

 

「クマ?」

 

「僕が囮になる、ここから出るためにも、君には聞きたいことがある。だから、先に行ってくれ」

 

「なぬーー!!」

 

「早く、どれだけ持つかわからないけど……足掻いてやる、死んでも生きるッ」

 

 未知の敵がなんだ。まだ僕はここで立っている。手も足も動く、命ある限り何度でも叫んでやる。

 

 まだ、まだ僕は

 

 

「終わらないッ、終わってたまるか!」

 

 

……ズキンッ

 

 

「!」

 

 熱い、胸の奥が

 

 心臓に溶けた鉛が流し込まれているような、そんな感覚すらある。

 

 

……なんだ、なにかが

 

 

「………ナ」

 

 自分が自分だけでない気がする。ぼくと言う存在が、ベル・クラネルが一人じゃなくなろうとしている。

 

「……ペ……ナ」

 

 浮かび上がる言葉、これが何を意味するかは知らない。聞き覚えが無い

 

 でも、わかる。わかってしまう

 

 

「……覚醒、愚者」

 

 

 

――――ドクンッ

 

 

 

「!」

 

 そうだ、理解した

 

 己の覚悟を示し、本当の自分を知った。

 

 僕は愚者だ、始まりのゼロ、故にここから始まる。僕の、物語が

 

 

……そう、愚者は始まり。これから歩むあなたの旅路に、その力は欠かせない

 

 

 

「……やってやる、来い!」

 

『――――――ッ!!!?!?』

 

 向かってくる、シャドウたちが僕に向かってそのアギトを開く

 

 

……唱えろ、言葉を!

 

 

……呼び出せ、もう一人のボクを!!

 

 

 

「来い、ペルソナッ!!」

 

 

 

 




今回はここまで

次回、ベルのペルソナを登場します。オリジナルです、お楽しみに
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