迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4) 作:37級建築士
追記:ペルソナの名前を訂正しました。
追記:話を分割、修正しました
自分がもう一人いる。その感覚は思いの外悪くないものだった。
強大な力の奔流、自分という存在がより大きくなっていく。世界の孤独から救い上げられたような、そんな悟りに近い感覚
僕は一人じゃない。この力はつながっていく、影の世界から迫る絶望を跳ね除ける灯、照らす道が迷宮を貫く。
……ペルソナ
手に掴むは愚者を示すタロット、アルカナが示す光の先に、彼は居た。
彼は兎だ、罪を経て、なおも旅路を続けた。身を焼き、月に至った一匹の物語、彼の名は
――――――ドクンッ
「来い、ペルソナ」
青の光が夜を照らす。愚者のカードを砕き、その力を開放する。
我は汝、汝は我、己の罪を知り、真なる我を彫刻せん
―――――――――――ドクンッ
「……跳べ、イナバギ!!」
〇
時間が止まったように、シャドウと呼ばれた敵達はその動きを止めていた。
彼らに視線があるなら、その先は僕の背後に立つ彼に向いていることだろう。
「……ッ」
前に出す。言葉を介さなくても、自分の手足のように、彼は身を進める。
白装束に刃の付いた金の錫杖、背中に背負うのは欠けた光輪、全身を覆う包帯はその奥の爛れた赤黒い皮膚を隠す。白毛の兎人にして大男、僕と同じルベライトの瞳を有した彼の名は
『――――ッ!!』
「吹き飛ばせ、イナバギッ!!」
迫り狂う、大口を開けて舌を出し、その咢でこの身を噛み砕こうと一斉にかかる。
攻撃は全方向から、故に放つ技は
[マハコウハ]
「!」
錫杖を振るう。光の軌道から放たれる放射状の光線。幾重もの敵を貫き、そして爆ぜる。爆炎が霧を払う。濃い霧で狭まった視界が晴れわたる。
……まだ多い、それに
態勢を崩した敵の全貌が見えた、その隙は見逃さない。錫杖を今一度構え、イナバギを渦中へ飛ばす。露払いは任せる。その隙に
「……イナバギ、頼むッ」
彼だけではない、戦うのは僕自身もだ。
今一度ナイフを強く握る。強く振りかぶって
「……ッ!!」
……ガギンッ!?
背後に迫る仮面の怪魚、その巨体の突進に刃を立てる。
今度は違う、僕の力は通用する。きっと、彼が姿を現したから、僕自身にも変化が生まれたのかもしれない。距離は離れていても、彼は僕と繋がっている。これがペルソナ、つながりの力
「はぁあああああッ!!!」
畳みかける。袈裟切り、中央、上段蹴り、刺突、僕の3倍はある体躯に対し連撃を放つ。敵も噛みつきと突撃で反撃をしてくるけど、防御と回避で裁き続ける。
僕自身、この戦い方では大きな一撃は放てない。通用はするけど致命打が不足する。だから、決め手が必要だ、切り札の一撃が、乾坤一擲の剛撃が
「イナバギッ」
『!!』
突進をバックステップで躱し、同時に反撃を交わす
背後は見ずとも、その刃は同時に、チャージを終えたヘスティアナイフとイナバギの連撃、僕と
[五月雨斬り]
「アルゴッ……ノォウト!!」
青と金色の剣閃、数えで十。仮面を、牙を、その巨体をバラバラに断ち切る。影は形を無くし、泥となって地に落ちて朽ちる。
「あわ、あわわわわ」
「……大丈夫、君」
敵が消え、安心して姿を現した。着ぐるみの彼は僕とイナハギを交互に目配せ、なんとも仰々しく驚いて見せる。
「き、君……一体何者クマ?」
「……僕、僕は」
ふと、思い返した。彼は手作りの剣を掲げて、自らを冒険者と称していた。
中身の無い空っぽの着ぐるみ、けれどその思いがあるならきっと良い奴なのだろう。だから、名乗るのであればきっとこれが正しい。ペルソナを消し、刃を収め、今一度向き合う
「僕は、ベル……ベル・クラネル、冒険者の……」
でも今は、新しく目覚めた彼と共にある、そんな僕は
「……ペルソナを使うから、えっと……ペルソナ使い、でいいのかな?」
「クマ?」
「あぁ、ごめん……何でもないよ。僕はベル・クラネル、ただの、冒険者だよ」
次回に続く
今回はここまで、次回より救出劇が始まります。今作はペルソナ4がベースに、他シリーズの要素やオリジナル設定、色々込みで楽しい展開を目指していきます。
感想・評価等頂ければ幸いです。モチベ上がります