迷宮異聞録~マヨナカダンジョン(ダンまち×PERSONA4)   作:37級建築士

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ペルソナ4恒例の救出劇、ダンまちスケールでお送りします。

追記:一部内容を訂正しました。


~第一章・霊血の命題~
Day06~再会と再開


「ここは、どこ」

 

 目が覚めて、まず口にしたのはそんな当たり前の疑問。赤黒い異質な空と建物が織りなす魔都。目の前にある建物が辛うじて自分の勤めるギルド本部のような場所であると理解する。

 

 前後の記憶はない。気が付けばここにいた。悪寒が絶えない不吉な場所。一秒たりとて長居したくない。

 

 とにかく去ろうと、私は一歩を踏み出した。このギルドに近づいてはいけない。どこか遠くへ

 

 

『……そっち、危ないわよ』

 

「!」

 

 背後からの声、そして目の前に現れた無機質な仮面の化け物、じりじりと迫り、私を声の主の場所へと追い込む。

 

「……誰、なの」

 

 黒い靄の中で唯一見える眼光、気味の悪い黄金職の輝きは身の毛をよだたせる。

 

 けど、不思議と既視感がわく。その存在に、どこか

 

 

『あたりまえよ、だって私は』

 

 心を読んだ。相手は一歩前に、靄がはけてその姿が露わになる。

 

 そいつは、その女性は私と同じ服を着て、そして私と同じ声でしゃべっていた。

 

「うそ、なんで、どうして!」 

 

 鏡以外で、私は自分の姿を初めて見てしまった。もう一人の自分、姿かたちは同じで、それが一層不気味でならない。

 

『私は、エイナ……本当の私。そしてあなたは偽物』

 

「な、なにを……あなたは」

 

 理解できない。いったい何者なのか。私を真似て、何をする気なのか

 

『真似じゃないわよ、でも今はいいわ。どうせすぐ、私が本物で、あなたが偽物だって理解するはずだから』

 

 自分の姿をした何かは少しキザったらしく、指をパチンと鳴らして後ろの化け物を使役する。腹に穴の開いた化け物が私の手を拘束し、そのままギルドの中へ

 

 歪んでいく、その形がまるで別物へ

 

 

「……な、なによ、ここ」

 

 

 

 

 

 

 

「ベル!」

 

「……離して、早く行かないと」

 

「落ち着けッ!」

 

「……でも」

 

 エイナさんの話を聞いて、居ても立ってもいられず僕は駆け出した。路上の真ん中、そんな僕をヴェルフは静止する。

 

「なあ、一度頭を冷やせ……ことがやばいことぐらい、俺だって理解している」

 

「いや、わかっていない……ヴェルフは見ていないんだ。あの場所を、異世界を」

 

「それって、マヨナカダンジョンのことか、本当だったのか?」

 

「……ッ」

 

「なるほど、ろくでもない噂だったわけだ」

 

 ヴェルフの手が離れる。体が傾いて二歩三歩と足踏み、僕とヴェルフの間に距離が生まれた。

 

 冷静に、ヴェルフは僕に向き合う。そして

 

「悪かった」

 

「!」

 

「俺が、あんな提案をしなけりゃ……ベル、本当に済まない」

 

 深々と頭を下げた。そんな姿を見て、僕は自分の中の血が冷めていくのを感じる。

 

 恨んでなんかいない。起こってしまったなら、それはもうしょうがないこと。もしかすれば、あの世界に赴いたのは、ヴェルフだったかもしれないのだ。

 

「……ヴェルフ」

 

「頭、冷えたみたいだな」

 

「!」

 

「ことの大きさは、お前のほうがきっとよくわかっているはずだ。だから、なおさら冷静になってくれ。そんで」

 

 空いた距離が狭まる。握ったこぶしがとんと、僕の胸の鎧を軽く叩いた。

 

「一人で行くな、俺たちはパーティーだ」

 

「……ヴェルフ」 

 

 失念していた。どうして、僕はこんな簡単なことに目がいかなかったのか。

 

 一人じゃない。焦る気持ちはあるけど、盲目になっていたらどうしようもない。

 

「……」

 

 落ち着くんだ。まず、あの世界に戻るとして、僕たちはどうすればいいのか

 

 また、あの噂を試そうにも、それでは日をまたぐ。では、出口は

 

「……ヴェルフ」

 

「どうした、何か思いついたのか」

 

「うん、確かめたいことがあるから、ついて来て欲しい」

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 ヴェルフを連れ、僕が目指したのは旧ホームだった教会、そこの地下を開け、埃立った室内をランプで照らす。明かりが照らす先、家具はそのまま、時折足を運ぶ僕と神様の懐かしの場所、ただ、それだけだった。

 

「なあ、こんなところで何を」

 

「……その、手掛かりが」

 

 どこを見てもあの謎の光る箱はないし、何も変わらない現実の世界でしかない。

 

 

 

 

……どうしよう、せめて行き方も聞いておけば

 

 

 

 

『……あぁ、テステス……もしもしクマ』

 

「へ?」

 

『さっきからそこの二人さん、こんな夜中に近所迷惑クマよ。んじゃ、おやすみ「待ったぁあああああ!!?!?!?」……くまッ!?』

 

 思わず叫んだ。聞こえたのは間違いない、クマ君の声だ。どこからともなく聞こえたそれは、あたりを探して

 

「鏡!?」

 

 テーブルに置いてある手鏡、それを取り角度を変えてみる。すると、そこは鏡のはずなのに、映し出すのは別の部屋、クマ君がいた部屋に相違ない。

 

「おい、ベル……なにを」

 

「戻れるかもしれない、向こうの世界に」

 

「?」

 

 角度を変え、向こうの部屋を探してみる。すると、ソファーの後ろの床で寝転がっているクマ君がいた。ナイトキャップをかぶって、鼻提灯を膨らましている。いや、頼むから寝ないで、おねがいッ

 

 

「……間違いない、向こうの世界とつながっている」

 

 

 原理はわからない。だけど、今はただ利用するしかない

 

 

「クマ君、クマ君!!」

 

『ん、その声……もしかして、先生?』

 

「そうだよ僕だよ、ベル・クラネルだよ! どうしてもまたそっちの世界に行きたいんだ。お願いだから、手を貸してッ」

 

「ふぇ、急に言われても、じゃあテレビ……は、そっちにないクマね。鏡なら、もっと大きいのがあれば……」

 

 寝ぼけ眼をこすりながら、クマ君はそう答えてくれた。鏡、ここにあるので一番大きいのは

 

「シャワールーム、脱衣所の鏡なら……ッ」

 

「お、おい!?」

 

 カーテンの仕切りを開ける。そこには壁に埋め込まれた煤まみれの鏡が。そこに移るのは僕とヴェルフの姿じゃない。鏡写しで、もう一つの寄り添う世界

 

 そして、そこに移るのはクマ君そのもの。ヴェルフは驚き言葉を失っているけど、今はあとまわしだ。

 

 手で触れた瞬間、鏡の表面が淡く光り、波紋を波立たせてクマ君の手が飛び出た。迷いなく、僕はクマ君の手を取った。ついでにヴェルフの手首もつかんで勢いよく飛び込む。心の準備がと、ヴェルフの悲鳴が聞こえるけど今はこっちが優先だ。

 

 

「のわぁあああああ!!?!?」

 

「…………ッ」

 

 上も下もない、混沌とした感覚に揉まれながら僕らは落ちていく。その先は摩訶不思議、未だ未知の尽きない異世界へと

 

 

 




今回はここまで、続きは今夜中に投稿できればいいなぁ
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