アイツの距離が近すぎる   作:ぽむQ

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お久しぶりです。
本編の更新が滞ってしまい申し訳ありません。来週投稿を目標に頑張ります。

☆ミアちゃんお誕生日おめでとう!!☆


#EX8 アイツとブロンドと道案内【2021.12/6 ミア・テイラー生誕祭】

 突然だが、みんなは道案内をした事があるだろうか。普通にその辺を歩いていたところに迷い人を発見し、その人を目的地までナビゲートする……なんて体験だ。多分よほどのことがない限り起こらないシチュエーションだと思うし、もし遭遇したとしても相手に声をかけるのを躊躇ってしまう可能性もあるだろう。

 かくいう俺もその1人だ。いきなり知らない人に歩み寄るのは緊張するわ怖いわ、不審者扱いされたらどうしよう、とか……。

 だが俺は一度だけ、たった一度だけそのプレッシャーを跳ね除け、道案内に成功したことがあるのだ。なぜいきなりそんな事ができたのか、答えは簡単だ。………上原(アイツ)が隣にいたから。要はあれだ、好きな人の前でだらしない姿を見せたくない、的な……。

 これはそんなお話。俺が中学に上がるか上がらないかの時——まだ彼女を「歩夢」と呼んでいた時——に出会った、煌びやかな金髪(ブロンド)の美少女との一コマである。

 

 

 あれはよく晴れた冬の日のこと。冬休みの足音が聞こえ始め、クリスマスプレゼントやお年玉の話題が段々と増え、トイ○らスの分厚いカタログが家に届いたかと思えば欲しいものに片っ端からチェックを入れるような時期、俺は上原歩夢とお台場のショッピングモールへと足を運んでいた。 

 アイツ曰く「今年の冬こそマフラーを編んでみたい」というので、雑貨屋にて大量の毛糸を補充しなければならないらしい。俺も新しい手袋を買いに出るところだったから、なんなら一緒に行くか、といった具合に事が進んだのだ。

 そんなこんなで今、俺とアイツはショッピングモール内にある馴染みの店、うさぎモチーフのグッズが目白押しの雑貨屋『AGU☆PON』へ来ていた。

 

「〜♪」

 

 鼻歌まじりに材料を吟味する上原を横目に、俺は店内をぶらぶらしていた。自分の買い物はとっくに終わっていたから(スポーツ用品店の無地の手袋ほど使いやすくコスパの良いものはない)、まあ折角だから少し早めのクリスマスプレゼントというか、やはり幼馴染には日頃の感謝を伝えたいというか、率直に好きな人に贈り物をしたいという欲求に抗えず、狼とうさぎを模したキーホルダーを買い物カゴに入れ、レジへと向かった。

 

「いらっしゃいませー……って、おぉー、彼氏くん久しぶり〜」

 

後ろの壁に「今年の抱負『謙虚』」と書かれた紙が貼りつけられているレジに向かうと、顔馴染みであるバイトのお姉さん(めちゃくちゃ美人でスタイルが良すぎる、むしろ細すぎて折れないか心配だ)がいつものように声をかけてくれた。

 

「付き合ってないっての」

 

 お姉さん曰く、俺とアイツは360度どこから見ても付き合っているようにしか見えないらしい。俺にはデートだの彼女だのという概念はいまいちピンとこないが、まあ仲良く見えているのならばそれは悪いことでもないだろう。

 

「歩夢ちゃんにプレゼント?」

 

「まぁ、そんなとこ」

 

「ほー、キーホルダーとは……中々童心をくすぐるねえ」

 

「童心っていうかまだ子供だけど」

 

「刺さるなあ……私は子供じゃないんだよぉ……」

 

 学校と遊びと宿題と友達で構成されている少年少女のライフスタイルは大人のお姉さんにはダメージなのか、彼女は発散とばかりにレジ横に置かれたボックスぬいぐるみ型募金箱(頭が四角くてかわいい)を乱雑にバシバシ叩いていた。俺もいつかああなってしまうと思うと怖い、少しは謙虚に生きようと思った。

 

 

 

 上原の買い物が済みさあ帰ろうというところで、思わぬアクシデントに遭遇した。金髪の少女が泣いているのを発見したのだ。その風貌からみて外国人だろうか?

 周りの人は「助けてあげたい」ような顔をしながらもその一歩が踏み出せないようで。

 俺も正直怖いし見て見ぬふりすることも考えたが、上原の視線が突き刺さり、もう後には引かないことも実感していた。

 逃げてはいけない。小さな女の子1人見捨てるようなこと、あってはならない。意を決した俺は僅かな教養を振り絞り、英語の授業と教育テレビでやっていたワードを脳内フォルダから取り出し、彼女へ声をかけた。

 

can i help you?(大丈夫ですか?)

 

I got lost……(迷ったみたい……)

 

follow me(大丈夫、ついてきて)

 

 本来ならもっと会話をして彼女を安心させるべきだろうが、生憎これ以上の英語はわからない。上原と共に、そっと手を取って迷子センターへ向かった。

 程なくして保護者の方々、というよりもSPのような黒服の集団が来て彼女の安全は確保された。これだけの大所帯だ、きっといいところのお嬢様なのだろう、なんて事を考えながら、俺と上原も帰路へついた。

 

 

 

 以上でこの話は終わりだ。道案内をした、なんて大層なことを言ってしまったが、本当のところは迷子センターに連れて行っただけということ。大袈裟に言ってしまってすまない。

 だがこの一件で気づいた事がひとつある。俺はやっぱり上原歩夢の事が大好きである、という事だ。アイツの前ではカッコいい男でいたいと本気で思ったから、今回のことができたのだから。俺にとって上原はそれだけ大事な存在なのだと再認識できたことが一番の収穫だろうか。これから5年近くウジウジすると思うと、自分のヘタレぶりに呆れ返るばかりだが……。

 だが、俺はこのままでいいとは微塵も思っていない。現在(高2)の俺は高咲がトキメキを見つけるより早く上原に告白しなければならない。覚悟を決めなおす意味でも、この道案内の話を思い出す必要があったんだ。

 最後まで読んでくれてありがとう。ここまで付き合わせたんだ、絶対に成就させてみせる。もしも応援してくれるのならば、こんなに嬉しいことはない。

 

 最後に、久しぶりにプロフィールを確認して終わろうか。俺の名前は高城悠、好きな人は言わずもがな………上原歩夢だ。

 

 

 

 12月6日。ボクの誕生日かつ、生まれて初めてきた日本で迷子になった記念の日さ。その時は親切なボーイ&ガールに助けられたからよかったけれど、日本の混雑(ラッシュ)にはどうにも慣れない。それにバーガーは小さいし、道路は狭いし、どうにも魅力に欠ける……と言ったら怒るかな。

 ……なんて愚痴ってみたけれど、日本の文化にも適応しないといけないね。完璧な曲を作るには完璧な環境で、完璧に過ごさねばならないから。もうじき日本でのスクールライフが始まる。それまでに簡単な挨拶くらいは練習しておこうかな。

 

My name is(ボクの名前は) 『MIA TAYLOR』(ミア・テイラー).

I'd like to have a good time with you all.(君たちと一緒にトキメいていくよ。)

nice to meet you.(よろしくね)

 

to be continued…

 

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